【ノゾエ征爾の「桜の島の野添酒店」】No.81 「脚本を人に渡す」
月影番外地さんに脚本を書かせていただいた。
自分の、脚本執筆史上、最も時間のかかった脚本だったかもしれない。
かもしれない、じゃなくて、群を抜いてそうだった。
そのせいか、随分と入り組んだ構造になった。
自分で演出をするならともかく、
人に渡すにしては不親切なところも多かったかもしれない。
本番を観て、歓喜した。
演出も俳優も、全てを軽やかに飛び越えていた。
稽古過程は、軽やかどころではなく、相当に、ノゾエの野郎~・・状態だったと聞いたが、
結果としては、とても良かった。
大先輩な達者揃いな座組だっただけに、
皆さんが、見聞きしたことあるような脚本だけは書きたくなかった。
達者ものたちが、未体験ゾーンに遭遇した時に、どんな反応が起きるのか。
そんなものを勝手に期待して、遠慮なく書かせていただいた感があった。
そうして、本番を観て、完全にカウンターパンチを喰らったわけだ。
いやはや、とんでもねえでした。
すげえでした。
成果もそうだが、何よりもその意気が凄かった。
10年後、20年後、私はあのような意気で演劇をやれてるだろうか?
ひとまず今は、高齢者700人の意気と真っ向勝負の日々だ。
【著者プロフィール】
ノゾエ征爾
のぞえせいじ○1975年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の1999年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。2011年の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された
【今後の予定】
・彩の国さいたま芸術劇場 ゴールド・アーツ・クラブ
ワークショップ発表会
2019年12月21日、22日
・はえぎわ番外公演「お化けの進くん」
2020年2月28日~3月10日
@イマジン・スタジオ
https://event.1242.com/special/haegiwa/
▼▼前回の連載はこちら▼▼
http://enbu.co.jp/nikkanenbu/nozoe80/
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