【ノゾエ征爾の「桜の島の野添酒店」】No.80 「一年」
74名の役者による、大群衆野外劇も無事に終えて、
今は、また、さらなる大群衆劇、ゼロがもう一つ付く以上の人数で、
高齢者によるゴールド・アーツ・クラブ。
多人数専門ってわけでも全くないのですが、たまたまそんなのが続いていて、
そんな脇で、一つの命が、ひょっこりと一年を生ききりました。
いやはや、人が一年生きるのってすごいことなんだなと、つくづく思わされたものでした。
そんな今も彼は高熱と戦っておるわけでして、
高熱だったはずが、熱を下げるシロップを両親が誤って飲ませすぎたせいで、
体温下がりすぎてしまって、
夜中に色んなところに電話して、バタバタして、ごめんなごめんな言って、
なんともかんとも。
バタバタ出来ているうちが華なのかもしれないな、なんてそんな心のゆとりもあまり持てないまま、
私の部屋だけ引越しの片付けが一向に進まない現状に、呆然とする間もなく、
段ボールの上でこれをパチパチ書いているのである。
冬が徐々に、ですね。
【著者プロフィール】
ノゾエ征爾
のぞえせいじ○1975年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の1999年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。2011年の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された。
【今後の予定】
・月影番外地 その6
「あれよとサニーは死んだのさ」
脚本:ノゾエ征爾 演出:木野花
2019年12月3日(火)~12日(木)
下北沢ザ・スズナリ
https://twitter.com/bangaichi2012
・ゴールド・アーツ・クラブのワークショップ発表会は、12月下旬です。
▼▼前回の連載はこちら▼▼
http://enbu.co.jp/nikkanenbu/nozoe79/
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