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【池谷のぶえの「人生相談の館」】第62回 大空ゆうひさん(俳優)

むしろこっちが人生相談したい気持ち満々のコラム、「池谷のぶえの人生相談の館」です。

50代に突入して1年が経とうとしていますが、ふと、お芝居がお仕事になった30代の頃から、私の地位はまるで変わらないな…と感じるのです。

いつまでたっても主たる役をやらせてもらえませんし、いつまでたっても絶妙に低い番手です。
どちらも、私の人気と実力がないゆえだと自覚していますし、普段はそんなものに特別執着もないのですが、つい最近、差し入れしたいお弁当が選べないという事態に直面し、初めて表現世界における権力の偉大さに憧れを抱きました。

私の中では、食というものが生きる中でとても大切で、というか、人生で楽しいことなんて食ぐらいしかなく、そこを大切にされないことは自分自身を何ひとつ大切にされないことなのです。

ましてや、私の中では表現とお弁当は同等です。
あの方はこういうのが好きなんだ、素敵だな、意外だな。お弁当ひとつで人となりとセンスが見えます。
あの方はこういうお芝居なんだ。素敵だな。意外だな。というセンスに値するのです。
お弁当は表現であり、お弁当を食べていただく方々はお客様なのです。

だからこそ、お弁当により私なりの表現をしたかったのですが、私の人気と実力不足により不本意な結果となってしまいました。
つーか、もう人気と実力なんてどうでもいいので、差し入れするお弁当を選べる権力だけ手に入れるにはどうしたらいいか…考える日々です。

となると、かつて自分が所属していた劇団「演劇弁当猫ニャー」の頃の記憶がよみがえります。(※「演劇弁当猫ニャー」とは、演劇界で一番美味しい弁当をつくり、弁当界で一番面白い演劇をやることを目標に、お弁当屋経営をしながら演劇をやっていくことをコンセプトにした劇団です。ええ、すぐ解散しました)

もしもあの頃、お弁当屋経営に真剣に向き合っておけば、今頃理想とするお弁当を差し入れできていたかもしれません。
その頃、お弁当に全く興味のなかった私は、お弁当づくりを劇団員のみんなにまかせっきりでした。その罰なのでしょうか。

数年前に占い師さんから、「あなたは、2022年~24年は雨の期間です」と言われたことがあります。22年でさえお弁当事情がこんな目にあっているのですから、24年にはもう、ある朝起きたらリビングに白米、寝室におかず、風呂場には煮豆、トイレには漬物がびっしり敷き詰められ、自宅全体が弁当になっている…みたいな罰があっても仕方がないでしょう。

ということで、「お勢、断行」は2年前のリベンジを果たし、無事幕が開きましたが、ずっとお弁当のことを考えています。私にとってお弁当は表現なので、ずっと表現のことを考えていることになりますので、安心してご来場くださいませ。

さて、今回は「お勢、断行」でご一緒中のこの方からのご相談です。

*****

のぶえさんの人生相談、いつも楽しく読ませて頂いております。のぶえさんとは、今本番中の『お勢、断行』の二年前中止になってしまった公演も含めるとご一緒させて頂くのが四回目ということで勝手にご縁を感じています。
前回の稽古場では、「このコーナーにもし呼ばれたら何を相談したらいいか」などと妄想しているというような事を口走った記憶もあり、おねだりをしてしまったようで恥ずかしくもあり、嬉しくもあり…光栄の至りです。

私は極度の人見知りで、過去には宝塚という「私を見て!」アピールが大変な強度を持つ劇団にいたにも関わらず、人前に出るのが苦手です。初めての現場など、緊張して顔が固まってしまう→愛想がない→感じ悪い印象100%からのスタートになります。
いっそ宝塚の大階段で羽根でも背負ってしまえば、小心者のあまり別人格が出現して、もはやカ・イ・カ・ンとなるのですが地味な自分が人前に出ると変な汗は出るし、とにかく居心地が悪いのです。稽古中に呑みに行けない昨今は、「感じ悪いと思ったけど、案外怖くないんだね」に覆す機会も失われつつあり…もういい大人なのでしっかりと振る舞えるようになりたいのですが、台詞のない日常のシーンがどうにも生き辛いです。どうすれば日常をもっと気楽に過ごせるものでしょうか?

大空ゆうひさん(俳優)

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ゆうひさんとは、5年前のこまつ座「円生と志ん生」で初めてご一緒させていただきました。

宝塚を時々しか拝見したことがない不勉強な私としては、宝塚時代のゆうひさんがどんなご様子だったのかも存じ上げないままお稽古の日々を過ごしていましたが、ふとiTunesでゆうひさんのお名前を検索すると「NICE GUY!!」
なるものに遭遇。聴いてみたらなんともワクワクするではないですか!
まさに、今回のゆうひさんのご相談にもある、私が知っているゆうひさんとは違う一面に出会えたのです。

それまでお稽古場では世間話くらいしか交わしていませんでしたが、「NICE GUY!!」について踏み込むことに。「いえ…それは…」と照れるゆうひさんの反応も楽しく、地方公演ではカラオケボックスで映像付きの「NICE GUY!!」をみんなで鑑賞するまで漕ぎつけ、そのかっこよさに大興奮した思い出があります。

その後ご縁あってご一緒した現場でも、何かというと「NICE GUY!!」を人質のようにちらつかせてまいりました。

今回のお稽古場でも、昔のように飲みの席などがあればすぐさま「NICE GUY!!」について啓蒙活動するのですが、お稽古中の短い休憩ではそれもままなりません。

ゆうひさんがおっしゃるように、その方のイメージをより広く深く知るにはお稽古時間だけではなかなか難しく、お稽古以外の時間がいかに豊かなコミュニケーションを育んでくれていたんだなぁということに、改めて気づかされますね。

とはいえ、ではみんなで稽古後に20分ほどでもおしゃべりをしましょう!という機会を設けたとしても、広く深くコミュニケーションするには、お稽古時間以外にももう少し時間が必要な気もします。

そこでです。

遠い昔、お稽古後に飲みに行きたい気持ちはあれど、なかなか言い出しっぺになるのが勇気とパワーがいる…という話になった時、私が考案したシステムがあります。

休憩中にみなさんが訪れるケータリング(お茶場)に、石と輪ゴムを置いておいて、その日飲みに行きたい人はそっと石に輪ゴムをかけておくのです。
お稽古後に石を見て2本以上の輪ゴムがかかっていたら、飲みに行く相手がいるということで、飲み会成立。ケータリングで休憩しているふりをしつつ相手を待ちます。結果、わりと連日、石に輪ゴムがかかる日々でした。

このシステムを導入したところ、わりと飲みたいと思っている人が多いけど言い出しづらかったんだな…ということがよくわかりました。

このシステムを参考に、ケータリングなどのところに、関係者の方々のお名前を書いた紙を貼ります。小学校の時の、壁新聞のようなイメージです。

例えばゆうひさんのお名前が書かれた紙に、ゆうひさんが好きなことや興味あることを書きこんだり、またカンパニーの方々からはゆうひさんへの質問なり、もしゆうひさんを知ってる方がいるなら、ゆうひさんはこんな一面がありますなり、いろんなことを書き込んでいくのです。
書き込まれたらそこにお返事を書いてもいいですし、お茶場や稽古場での話題づくりにもなるでしょう。

人によって書き込まれる量の差などが出て来ると思いますが、そこはカンパニーの腕の見せ所です。みんなが心地よく作品づくりに向き合えるように、お互い思いやりを持ち、自ずと調整してまいりましょう。

本来ならそうしたことを直接言葉で伝えあえるのが本来のコミュニケーションだとは思うものの、それをできる時間が本当にとれなくなってしまったので、苦肉の策ではありますが、演劇界にぜひ試験導入してみたいです。

しかし、舞台のお稽古ではそうしたシステムを試してみるとして、他の場所ではどうするかですよね。そうしたことができない場所もたくさんありますし、その度に羽根を背負うわけにもいきません。

そこで、キーホルダーです。
そっと伝えるには、なにかとキーホルダーの時代です。
ゆうひさんの一面をそっとお伝えするキーホルダーをつくりました。これを人目につく場所につけて、周りの方々からの「ん…?」という反応を待ちましょう。
少なくともこのキーホルダーをつけている時点で、「案外怖くない」というイメージは周りに伝わると思います。
その一方、「ゆうひさんっていったい…」という、謎めいたイメージは植え付けてしまうかもしれません。

そんな時はいつでも呼んでください。私がこれまでご一緒した中で知ったゆうひさんの真摯&紳士なところや、優しいところや、お茶目なところや、グルメなところや、乗りのいいところや、酔っちゃうとかわいくなっちゃうところなどなどを、余すことなくお伝えして回ります。もちろんまずは、「NICE GUY!!」から伝えます。

■ラッキー待ち受け

謎のキーホルダーができました。
もし私がゆうひさんと知り合って間もなくだったとしたら、これをつけているゆうひさんに話しかけられるだろうか…とシュミレーションしましたが、ギリギリ話しかけられると思います。
もし話しかけられないとしても、キーホルダーについて聞きたい…と毎日ゆうひさんに興味津々だと思います。そうなればこっちのもんです。

■大空ゆうひさんの今後の予定
【舞台】
「お勢、断行」
原案:江戸川乱歩
作・演出:倉持裕
出演:倉科カナ/福本莉子/江口のりこ/池谷のぶえ/堀井新太/粕谷吉洋/千葉雅子//大空ゆうひ/正名僕蔵/梶原善
日程:2022年5月~6月
会場:世田谷パブリックシアター
(兵庫・愛知・長野・福岡・島根にてツアー公演あり)
詳細 → https://setagaya-pt.jp/performances/202205osei.html

「お月さまへようこそ」
作:ジョン・パトリック・シャンリィ
演出:石丸さち子
出演:小日向星一、南沢奈央、大久保祥太郎、納谷健、久保田秀敏、大空ゆうひ
日程:2022年7月28日(木)~7月31日(日)
会場:パルテノン多摩 大ホール
詳細 → https://www.parthenon-renewalopen.jp/moon

「羽世保スウィングボーイズ」
作・演出: G2
出演:博多華丸/南沢奈央/大場美奈/中村浩大/椿鬼奴/斉藤優/天宮良
大空ゆうひ/長谷川初範 ほか
日程:2022年10月23日(日)~10月28日(金)
会場:明治座
詳細 → https://www.meijiza.co.jp/info/2022/10-1/

【コンサート】
「Sound Theater 2022-Ⅰ」
出演:TSUKEMEN、大空ゆうひ
日程:2002年9月23日(金・祝)、24日(土)
会場:パルテノン多摩 大ホール
詳細 → https://www.parthenon-renewalopen.jp/sound

【アルバム】
芸能生活30周年記念アルバム発売決定! 「CANTO」大空ゆうひ
発売日:2022年1月12日
通常盤:3300円
初回限定盤:5500円
(スタジオ録音の様子、インタビューなど収録のDVD付き)
詳細 → https://crescmusic.jp/?p=1831&preview=1&_ppp=9e3a3065e4
<お問い合わせ>
㈱オフィスE&N
080-4448-9228 (平日 11:00~18:00)
contact@office-eandn.lsv.jp

 

【筆者プロフィール】
池谷のぶえ
いけたにのぶえ94年より04年の解散まで劇団「猫ニャー」の劇団員として活動。解散後は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品、NODA・MAP、蜷川幸雄演出作品など数多くの舞台に出演。

[出演情報]

【舞台】
「お勢、断行」(原案:江戸川乱歩、作・演出:倉持裕、音楽:斎藤ネコ)
2022年5月11日(水)〜5月24日(火) 世田谷パブリックシアター
https://setagaya-pt.jp/performances/202205osei.html

兵庫:2022年5月28日(土)12:00/17:00、5月29日(日)12:00 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
https://www1.gcenter-hyogo.jp/contents_parts/ConcertDetail.aspx?kid=5022412306&sid=0000000001

愛知:2022年6月4日(土)18:00、6月5日(日)13:00 春日井市民会館
https://www.kasugai-bunka.jp/archives/31929

長野:2022年6月12日(日)13:00 まつもと市民芸術館 主ホール
https://www.mpac.jp/event/37473/

福岡:2022年6月16日(木)19:00 福岡市民会館 大ホール
https://3pm-net.com/entertainment/setagaya_pt3.html

島根:2022年6月19日(日)14:00 島根県民会館 大ホール
https://www.cul-shimane.jp/hall/event/?fid=8347

【テレビ】
テレビ朝日系 土曜ナイトドラマ「妖怪シェアハウスー帰ってきたん怪ー」 
毎週土曜 23:00〜
座敷童子/和良部詩子役
https://www.tv-asahi.co.jp/youkai_kaettekita/

【テレビ】
Eテレ アニメ「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」
毎週金曜 18:40~18:50
声:銭天堂の店主・紅子役
https://www.nhk.jp/p/zenitendo/ts/4NX2MRW758/

【テレビ】
衛星劇場 ナイロン100℃ 47th SESSION「イモンドの勝負」2022年5月29日(日) 15:30〜
(2021年11月 本多劇場にて上演の舞台公演)
https://www.eigeki.com/series/S73430

【映画】
「妖怪シェアハウス」(監督:豊島圭介)
2022年6月17日(金)公開
https://youkai-movie2022.jp

【コラム】
福岡のエンタメ情報誌 シアタービューフクオカ「めずらしく体調のいい日に」
https://tvf-web.com

【DVD】
イキウメ「外の道」(作・演出:前川知大)
2021年6月、シアタートラムで収録された舞台公演DVD
発売中
https://www.ikiume.jp/tuhan.html#sotonomichi

▼▼▼今回より前の連載はこちらよりご覧ください。▼▼▼

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