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【ノゾエ征爾の「桜の島の野添酒店」】No.110「ワークショップ」

すっかり妖しい匂いのするものとなってしまった「ワークショップ」。
この4月5月、彩の国さいたま芸術劇場にて、
やっておりました、「ノゾエ征爾演劇ワークショップ」。
ノゾエ征爾を微塵も知らない世間の方々からすれば、やはり良からぬことが行われている印象でしょうか、この時分。
しょうがない。
我々この業界全体で、そういうイメージを植え付けてしまったのは間違いない。
実際、そういうことがあまたあったことも間違いない。
植え付けたなら、引っこ抜いて、また別のものを植えていくしかない。
直接的に植えた人々も、傍観してた人々も、それはやらなくちゃいけない。
ちょっとやりすぎたと思う。まるで暴君のごとく。
見過ごしてきた側も、見過ごしすぎたと思う。

暴君になっていった男の物語。
「マクベス」。シェイクスピア。
ワークショップでやってた題材です。
地位を得るために心が暴れだした男は、地位を得て暴君に拍車がかかり、
成れの果ては言わずもがな。

たとえば、高校生などの演劇を見慣れていない方々にシェイクスピアを届けるとしたら?
そんな意識もどこかで持ちつつの創作・試作・模索ワークショップ。
俳優も、信頼のおける面々8名に集まってもらった。
しかし、演劇を見慣れていない方々のことを意識する前に、私がシェイクスピアに慣れてなさすぎた。
ともかく、真っ向からこの作品と向き合うのみだった。
時間や予算や人手など、ないものづくしの条件下。
それが良かった。
「ない」は「ある」を豊かにする。
場所、本、人、がある。十分すぎるほど十分だった。
演劇の初心に立ち戻って、シェイクスピア初心者であることもそのままに、
ともかく豊かさに溢れた創作の日々だった。
一回きりではあったが、本番を発表できたのも良かった。
100人強ほど観てくれたでしょうか。
作品は、やはり観てもらって初めて作品になっていく。
もっとやって、もっとこの作品を作品にしていきたかった。
そのポテンシャルを持った作品だったと思う。
まあ、上演が思うように叶わないのもまた演劇。
演劇に伴うあらゆる一期一会。
その一会を、横暴なことにしてはいけないと、切に感じるこの頃。

映画監督や演出家のいろんなニュースが出る中、うちの劇団員がこんなことを言ってたと耳にした。
「ノゾエさんが、そういう心配がない人で良かった・・」
そうだね、まあ、普通に過ごしてるだけです。
「劇団の先行きも、同じように心配ないといいんだけど・・」
そうだね、まあ、普通になかなか売れないだけです。

 

【著者プロフィール】

ノゾエ征爾
のぞえせいじ○1975年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の1999年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。2011年の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された。

 

【今後の予定】
・5月7日(土)よる10時~放送スタートのN H K土曜ドラマ「17才の帝国」に出演。
・世田谷パブリックシアター@ホーム公演 (脚本・演出・出演)
今年はようやく、10箇所近くの施設を回れるそうです。6月、お楽しみに。

 

▼▼前回の連載はこちら▼▼

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