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【池谷のぶえの「人生相談の館」】第27回 野間口徹さん(俳優)

むしろこっちが人生相談したい気持ち満々のコラム、「池谷のぶえの人生相談の館」です。

前回の舞台は2月頭に千穐楽でしたので、約4ヶ月ぶりに舞台のお稽古に通う日々です。

それなりにお稽古に通ってきた人生ですが、台詞はいつごろ身体に入るんだっけ? 共演者の方たちとはどのくらいで仲良くなるんだっけ? 声の大きさってどれくらい出せばいいんだっけ? 本番どのくらい緊張するんだっけ? など、毎回びっくりするくらい迷子になりますね。舞台のお稽古って樹海なのでしょうか。

そして、お稽古に通うために毎日利用することになる電車やエレベーターで起こるイラリとするあれこれもすっかり忘れていましたが、毎日体験すると思い出してきます。

車内。席が空いたので座ったら、おばあちゃまが乗ってきたので「お座りになります?」と聞きに行ったら、「次降りますので大丈夫です」とのこと。席に戻ろうとしたら、おばちゃまが既に着席。

その後やっと席に座れたら、隣の空席にお孫さんを座らせようとしたおばちゃまがいらしたので、2人で座れるようにと立ち上がり移動。しばらくしてそちらを見ると、お孫さんを膝に乗せたおばあちゃま。私の座っていた席には若者男子が着席。

イラリ。

エレベーターで、何としても開閉ボタンを触ろうとしない人々。
たまたま開閉ボタン近くになったので「開」を押し続けているのに、何の挨拶もしない人々。すごい時は乗っている人たち8人くらい全員が、貴族のようにただ降りていく時もあったりしますよね。

イラリ。イラリ。

女子の公共トイレ、私は両膝をちょっと壊しているためなるべくなら洋式を使わせていただきたく、自分の後ろに並んだ方に「和式でしたら空いてますのでどうぞ」と声掛けするも、ガン無視する人々。

イラリ。イラリ。イラリ。

人間たちめ…。

笑いを生むシーンのために、あれこれ絞り出して試すものの、クスリともしない稽古場…そんな痺れる経験を、上記人間のみなさまに与えたまえ。

まあ池谷さんたら、またそんなネガティヴなことばかり書いててイヤだわ…運気が下がるから近づかないようにしなきゃ!

というポジティヴ国からの声が聞こえてきそうですが、私ごときのネガティヴで崩壊するポジティヴなんざ、なんぼのもんじゃい!! もっとポジティヴ鍛えとけや!!

と、日々猛々しい気持ちになってゆきます。

しかし、私が乗っている電車の扉が閉まった視線の先に、白杖を持って少し迷うようにホームを歩く男性が目に入り大丈夫かな…と思っていると、電車が動いたため男性の姿は数秒柱に隠れ、次に姿が見えた時には、リクルートスーツを着た若い女性が男性を手伝っていました。

ほんの数秒後にこんなやさしい未来があるのかと思うと、人間たちよ…。と、私のイラリも癒されますが。

とにもかくにも、稽古に通うだけでもパワーが必要ですね。忘れていました。
さて今回は、数年ぶりにお稽古ご一緒中の俳優さんからご相談をいただきました。

*****

のぶえさん、お疲れ様です。
稽古場で5mも離れてない場所にいるのに、こんな風に文章を書いているのが可笑しな気分です。
早速ですが、相談に乗って下さい。

1.「快活」という人間の評価に憧れます。どうしたらそういう人になれますか?

2.すでに我々の周りには、地球外生命体が潜んでいると思うのですが、どうやったら見分けられるのでしょう?見分けられない自分が情けなくて仕方がないです。

3.ブルース・ウィリスの事を、ブルース・ウィルスと呼ぶ人の事を、どうしても信用できません。どうしたら信用できるようになるのでしょうか?

野間口徹さん(俳優)

****

1.「快活」問題
「快活…きびきびしていて元気なこと。気持ちや性質が明るく元気のよいさま」と辞書には書かれています。憧れますよね。

「気持ちや性質が元気のよいさま」は当てはまらなくとも、「きびきびしていて元気なこと」は、いまのお稽古場ではわりと当てはまってますよ、野間口さん。
半分クリアです。

快活の特徴としては、
はきはき喋る、自分の意見をしっかり持っている、明るい笑顔、ネガティヴなことは口に出さない、人の長所を褒めることができる、迷いがない、行動が早い、無駄が嫌い
だそうです。

野間口さんは、はきはき喋る、自分の意見をしっかり持っている、人の長所を褒めることができる、行動が早い、無駄が嫌い…のあたりも、当てはまっている気がします。こちらも半分クリアです。

私は全滅に近いですが、野間口さんは快活の「活」部分はもはや達成しています。快活に片足突っ込んでいます。

最近気になっている「潜在意識」というキーワードがあります。人は1割くらいの顕在意識で生きていますが、残りの9割の潜在意識を使えばどんな自分にもなれるそうです。

ぜひこの9割を活用して、野間口さんが快活になるか試してもらいたい。すでに快活になった自分をイメージし、それを100%信じるだけだそうです。

勝手に私がイメージしてみましたが、快活100%の野間口さんは、もはや野間口さんじゃない気がしてきました…というか、そんな野間口さん怖い…そして本当に快活…好きかしら…。
稽古場で話し合いましょう。

 

2.地球外生命体問題
地球外生命体というと、UFOに乗って現れたり、目が大きく手足が細く長いビジュアルなどを思い浮かべますが、むかし共演者の方から聞いた話では、地球外生命体は私たちの日常に同じように生活しているそうです。

その方が地下鉄のホームを歩いていると向かいから、周りの人間とは少し雰囲気が違うサラリーマンが歩いてきて、なんだかおかしいな…と思いすれちがったそうです。
後日その話を知人にしたところ、「それは地球外生命体だよ。人間の姿で生活しているんだよ」と教えられました。
その数日後、やはり地下鉄のホームで、今度は先日のサラリーマンとはくらべものにならないほど人間のふりが下手だなぁ…と感じるサラリーマンが歩いてきたそうです。するとすれ違いざまに「おまえもな!」と関西のイントネーションで言われた…という話を聞いたことがあります。

信じるか信じないかはあなた次第…という系統になってしまうかもですが、野間口さんがもし「あの人は地球外生命体かもしれない…」と思う人がいたら、心の中で「人間になったふり、下手だなぁ…」と思えば、アクションしてきてくれるかもしれません。
ただ、その後野間口さんの人生がどうなってしまうのかは保障できませんが。

ちなみに、この件についてネットで調べたりしていた際に、「地球外生命体は、地球では独身」みたいな記事を何個か目にしました。

私も地球外生命体の可能性があるということです。
「池谷さん、人間になったふり、下手だなぁ…」と思ってみていただければ…その後野間口さんの人生がどうなってしまうかは保障できませんが。

 

3.ブルース・ウィリス問題
私もよく、人さまのお名前をよく把握していないことがあり、ご迷惑をおかけしていることと思います。

その罰なのか自分の名前もよく間違われ、池田のぶえ、池内のぶえ、池谷のぶよ…いろいろ「うぉいっ!」と思う時があります。
先日などは、「池内のぶえさん」「間違えました。池内のぶ江さんです」というのも発見しました。もはや誰なんでしょう。

そして名前を間違えられる時って、わりと好意を持たれた発言の時が多いのが不思議です。好意を持ってくれるなら、なぜ名前にも好意をまわしてくれないのか…。

ブルース・ウィルスと言ってしまう方も、好意こそあれ悪意はないと思うのですが、悪意はないにしろ、もう少し善意を使えないのか? ちゅう話ですよね。

野間口さんは、現場のスタッフさんのお名前をきちんと覚えて、積極的にお名前で呼ぶようにしている、という話を聞いたことがあります。素晴らしいですね。
そうするには、努力が必然だと思います。名前を覚える努力、口にして伝える努力。

善意は、ほんの少しの努力が必要なのかもしれません。そこに配慮がないことがちっさい棘のように、ひっかかり続けたりしますよね。
「そういう人のことを、どうしても信用できません」とのことですが、きっと、野間口さんが大好きな人が「ブルース・ウィルス」と言ってしまった場合、野間口さんの上手なつっこみで訂正し、もし次もまた間違ってしまった場合も上手なつっこみで訂正すると思うのです。そして、その人を大好きだということに、そんなに支障はないと思うのです。

きっと、好きかそうでもないかどちらにでも行ける位置にいる方、もしくは既にちょっと怪しい気持ちを抱いている方が、ある日「ブルース・ウィルス」と言ってしまった場合、野間口さんの気持ちがスーッと距離をとり始めるのではないでしょうか。

野間口さんに信用してもらえるかしてもらえないかのチェック機能として、とても判断しやすいですね。

今後、初めてお会いする人がいたら、快活になったイメージ100%の野間口さんで、「初めまして! 野間口です! 好きな映画は『ダイ・ハード』です! あの主演俳優さんのお名前なんでしたっけ、ブルース…」の答え次第で、相手が信用できる人物かできない人物か見極め、さらに「失礼ですが、独身でいらっしゃいますか!?」と快活に質問し、もし独身だったら「あの人、人間に変身するの下手だな…」と思いさえすれば、その人が地球外生命体かどうかも判明します。

ただ、そんな野間口さんいやです。
今後の野間口さんについて、稽古場で話し合いましょう。

■ラッキー待ち受け

野間口さんも含め、小劇場の仲間たちとご褒美に食べに行く調布のうなぎ屋さん「鈴木」さんのうなぎたちです。うなぎを食べている時は、自然と快活になれますよね。これからも、いろいろなことがある世界だとは思いますが、地球にある美味しいものたちに助けてもらってお互いがんばってまいりましょう。
(写真:佐藤真弓さん)

■野間口徹さん今後の予定
シス・カンパニー公演「恋のヴェネチア狂騒曲」Il servitore di due padroni
作:カルロ・ゴルドーニ、上演台本・演出:福田雄一
7/5(金)~28(日)
新国立劇場 中劇場
詳細→ http://www.siscompany.com/siskoi/

FBS福岡放送開局50周年スペシャルドラマ
「博多弁の女の子はかわいいと思いませんか?」
7/19(金) 19:00~

 

【筆者プロフィール】
池谷のぶえ
いけたにのぶえ94年より04年の解散まで劇団「猫ニャー」の劇団員として活動。解散後は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品、NODA・MAP、蜷川幸雄演出作品など数多くの舞台に出演。

[出演情報]
【舞台】
シス・カンパニー公演「恋のヴェネチア狂騒曲」(作:カルロ・ゴルドーニ、上演台本・演出:福田雄一)
7月5日(金)~7月28日(日)新国立劇場 中劇場

【映画】
「長いお別れ」(監督:中野量太) 上演中
「WE ARE LITTLE ZOMBIES」(監督・脚本:長久允) 6/14(金)公開

▼▼▼今回より前の連載はこちらよりご覧ください。▼▼▼

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