【ノゾエ征爾の「桜の島の野添酒店」】No.79 「立つ」
「立った!立った!立った!立った!立った!立った!立った!立った!」。
「前畑がんばれ!」ばりに連呼していた。
息子が立った。
たまたま稽古が休みになり、たまたまその瞬間に遭遇できた。
二足で立つまでに11ヶ月も要するのを目の当たりにすると、しかもここから歩けるようになるまでにまた数ヶ月かかると思うと、二足歩行ってのはなかなかに奇跡的な能力なのだなと再認識する。
さて、74名の役者が池袋の野外舞台に立つ。
74名が一堂にうごめく様は、それはそれは壮観である。
その数に圧倒されがちだが、個性強い強い一人一人が本当にいい。
演劇をやってて初めて天候のことを祈る。
彼らが無事に本番に立てることを祈る。
(そこそこ雨が降っちゃうと中止なので。)
そして私はと言うと、引っ越すことになり、この景色からついに旅立つことになるのであります。
【著者プロフィール】
ノゾエ征爾
のぞえせいじ○1975年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の1999年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。2011年の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された。
【今後の予定】
・音楽劇「トムとジェリー」
演出:ノゾエ征爾
10月大阪:クールジャパンパーク大阪WWホール
https://www.musical-tomandjerry.jp
・東京芸術祭2019 野外劇「吾輩は猫である」
原作:夏目漱石
脚本・演出:ノゾエ征爾
2019年10月19日~29日
https://tokyo-festival.jp/2019/wagahaihanekodearu/
・月影番外地 その6
「あれよとサニーは死んだのさ」
脚本:ノゾエ征爾 演出:木野花
2019年12月3日(火)~12日(木)
下北沢ザ・スズナリ
https://twitter.com/bangaichi2012
▼▼前回の連載はこちら▼▼
http://enbu.co.jp/nikkanenbu/nozoe78/
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