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【ノゾエ征爾の「桜の島の野添酒店」】No.106「とらになる」

年始。運気について、考えることが多い時期でしょうか。
いつもはなんとなくひくおみくじも、今年はひかなかった。
おみくじでの多少の吉なんて、あっさりと吹き飛ばされた昨年一昨年があったからだろうか。
オミルコン(息子が言うには)くんもなかなかにタチが悪く。
そんな深手は負わせませんよ的な顔をしつつ、広く浅く、ハバをきかせているのが非常に鼻につく。
社会の運気は今年も凶からスタートっぽいし、個人的な運気は分からないし、なのであるが、
私によって運気が上がっている人が少なからずいるらしい。
もう1年は経つだろうか、近所に住む後輩的な友人に、古くなった自転車をもらってもらった。
どう処分しようか悩んでいた時に、道端でばったり遭遇し、モノは試しで、「捨てるんだけどいる?」なんて聞いてみたら、「めちゃ欲しいす!」となって、もらってくれた。
そしたら、「あの自転車もらってからめっちゃ仕事運がいいんです!」と、会うたびに言ってくれる。私がコロナで次々と仕事がなくなっていく中、彼はグングン仕事運が上昇していったらしい。
そして、本当につい先ほども、彼にテレビをもらってもらった。
兄からおさがりのテレビをもらえることになり、現物の処分に悩んでいたところ、またしても彼にばったりと遭遇した。
やはりモノは試しで、「テレビ捨てようかと思うんだけど、、」「欲しいす!」食い気味できた。
「相当古いんだけど、、アマプラとかネトフリとかそういう横文字系のも見れないんだけど」「欲しいす!ノゾエさんにチャリもらってからめちゃ仕事増えたんで!」
また言われた。こっちがまた一つ仕事が消えた中。
まあ、でも、自分のおかげで運気が上がったと思ってもらえるのは、悪い気がしないもので、テレビもやはりもらってもらった。
夜、重く、でかいテレビを自転車に乗せて、おっさん二人で支えながら、ゆっくりゆっくりと、落ちないように気をつけながら、段差とか曲がる時にも細心の注意を払いながら、進む姿は、きっとハタから見たら、不気味だったか、微笑ましかったか。
ノゾエさんと仕事ご一緒した人で、売れていった人、すごい多いですよね。
たまに言われることだ。悪い気はしない。
もしそれが本当なら、もう、そういう人として有名になりたいくらいだ。あげちん。
しかし、悠長にそうも言ってられない。私自身も誰かあげてくれないものか。
いや、他人頼みではだめだ。
20年前に巨匠にチラシに書いていただいた。
ノゾエ、虎になれ。
寅年の度に、あれを強く思い出す。
今年を逃がすと、次は還暦手前になる。
今年、虎に、なれ。なる。
と、ペットボトルのお茶に、「ラベル裏におみくじあり〼」という文言が目に入る。
小吉でした。がおー。
本年も何卒よろしくお願いいたします。

【著者プロフィール】

ノゾエ征爾
のぞえせいじ○1975年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の1999年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。2011年の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された

 

 

 

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