【小野寺ずるの女の平和 WEB】第8回 役者・振付師:エリザベス・マリー
お役者/糞詩人である小野寺ずるが表現の世界で闘う女達にインタビュー。
彼女達の過去現在未来を聞きだし、想いを馳せながら
私たちの平和は、女の平和は、表現の世界に身を投じる我々の望む世界はなんなのか。を夢見る連載。
役者・振付師 エリザベス・マリー
-妖艶なルックスに天真爛漫なキャラクター
歌にダンスにお芝居に、さらには振付師としても頭角を現す彼女は
華のあるオールラウンダーとして多くの演劇人に信頼をおかれる-
・・・世間の彼女の認識はこうだろうか。
正しい説明だけれども、おもれー彼女を表わすにはおもろくない!
二度共演したからこそわかった”おもれーザベちゃん”を
今回は戦友・ずるが(書ける範囲で❤︎)お届けします。
(※2022年5月取材/撮影)
毎週幹事の生い立ち
ずる ザベちゃんの経歴見たけど芸歴長いわね。
ザベ 芸歴23年。10歳位からやってるね。
ずる すご。ミュージカルスタート?
ザベ キッズモデルから。もっとハーフっぽい顔(※彼女はイギリスと日本のハーフ)だったから、母親が読者モデルに勝手に応募して。
ずる 自分の意思じゃないんだ。
ザベ うん。芸能やってる感覚もないままファッションショー出たりしてた。
ずる かっこいいね。
ザベ でも当時の写真見ると全部下向いてるの。やりたくなかったんだと思う。
ずる そうなんだ・・・。
ザベ 元々人見知りで、目立つ行為が好きじゃない子どもだったの。でもその流れでコンテストでたまたま準グランプリを獲って。
ずる コンテストは何を審査されるの?
ザベ ・・・笑顔?
ずる 何それ(笑)。
ザベ 真ん中で笑顔を振り撒けばいいってその時にわかったね(笑)。で、子役タレントいっぱいいる事務所にスカウトされてカタログモデルとか映画館で流れるCMとかユニクロの仕事とかした。
ずる すごいじゃん!
ザベ 全然記憶にないんだけどね。そんなんやってたら舞台のオーディションきて出るようになって。
ずる ダンスや歌はずっとやってたの?
ザベ ううん。その後モーニング娘。にハマって、踊りを真似っこしてダンス楽しいって思ったの。それで上手になりたいから自分の意思で習い始めた。なんかね、私センスあったのよ!
ずる (笑)。舞台出演は楽しかった?
ザベ 楽しかったね〜。ダンス始めてから自信がついたのか明るくなったし。
ずる 初舞台が小6かぁ。ザベちゃんって肝が据わってるけどやっぱり芸歴の長さ故なのかしら。欲がない感じがする。
ザベ 欲はないかも。次の仕事に繋げたいはあるけど。失敗もいっぱいしてるからさ。
ずる 失敗聞きたい。
ザベ 例えば〜(書けないような内容が話される)。
ずる 書けねぇよそんなん(笑)。
ザベ (笑)。20代前半は「今がサイコー!舞台やってイェーイ!呑み行こうぜ!」みたいなハチャメチャな時代でさ。ご縁を大切にしようって感覚はまだなかったな。その時代に出会った演出家さんが今売れてたりするのに、その頃の私って印象良くないだろうからもう縁はないよね。ちゃんとしとけばよかった〜って後悔してさ!後悔した時にやっとわかったのよ、これからはある程度ちゃんと大人の対応しなきゃって。
ずる ちゃんとした対応とは?
ザベ 演出家と仲良くするとか?
ずる 端的(笑)。
ザベ あ、本当にちゃんとしようって思えたのは松尾(スズキ)さんの現場出てからだな。それが25、6歳。
ずる 『キレイ』に出た時か。なんでその現場でそう思えたの?
ザベ それはそのあと松尾さんが仕事くれたからだよ。
ずる 美味しい蜜吸って(笑)!
ザベ 「うわ!この蜜美味しっ!」みたいな(笑)。でもそういうことじゃない?目に見えて次の作品呼ばれたとかさ。
ずる 次に繋がった理由を分析すると?
ザベ ええとね、人あたりが良かった。
ずる コミュニケーション能力か。
ザベ 幹事やってた。呑み会の。毎週。
ずる (笑)!
ザベ ゲヘヘヘ!毎週幹事!
ずる 踊りと歌もあるでしょうよ。幹事やるから次呼ばれてるわけじゃないでしょうよ。
ザベ 幹事やってたから次も呼ばれたんだよ!だって呑み会全部行ってたもん!
ずる ・・・。確かにザベちゃんの積極性は現場を助けるけども。
ザベ バカなフリすれば誰とでも喋れるよ。
ずる 戦略として?
ザベ そうそう、外人性を活かす。「ザベちゃん外人だから♪」みたいな。私、(タレントの)ベッキーの従姉妹だし名前カタカナだし顔も整いがちじゃん?だから学生時代とか一目おかれちゃって人に話しかけてもらえなくてさ。自分は話したいのに距離を取られがちで・・・そんな時期があったから自分からいかないと人と話せないってのがベースにあるの。
ずる 天真爛漫に理由があったなんて。
ザベ でもね、ザベちゃん実際も本当にバカなのよ。フリじゃないかも。
ずる そんなことないよ、頭の回転速いよ。
ザベ 賢くはないね!何でも直感で喋るし!
ずる ・・・気持ちの良い人だね。
お仕事のコツは「ありがとう」
ずる ザベちゃんは仕事が途絶えないイメージがある。何かコツがあるなら教えてよ。
ザベ コツではないかもだけど、スタッフさんに感謝の気持ちをちゃんと伝えるっていうのを大事にしてる。意外とスタッフさんの評価が役者の評価を上げ下げするってことに気づいてない役者が多い。作り手側がしんどくなる役者って使われなくなるんだよね。スタッフさんにありがとうの気持ちを持ってないとダメになる子が多い。
ずる そういえば前一緒になった現場でもさ、衣裳さんが衣裳案を見せてくれた時にザベちゃんが「可愛い〜すごい〜」ってちゃんと労いの言葉をかけてたよね。私ぼんやりしてたから「あぁ無反応はいかんよな」って反省させられたよ。
ザベ まぁ頭回んない時もあるよね(笑)。実際私の場合、ヘアメイクさんが「あの子喋りやすいですよ」って推してくれて仕事が決まったことがあるの。私は人と喋るのが好きなだけだからびっくりしたんだけど。
ずる すごいじゃない。
ザベ スタッフさんのありがたみがね、振付師をやるようになってからわかったのもあるのよ。役者さんはスタッフさんの動きをよく見てみるとか、見えてない作業量を想像してみてほしい。だってさ、現場で演出家が「こういうのがあったらいいな」とか言うと次の日準備されてたりするじゃん。じゃあいつ準備したの? って話じゃん。
ずる 役者が帰った後だもんね。
ザベ そうそう。そういう想像力。人の仕事への想像を膨らませられる人間になれたらいいよなぁってすごく思うの。
ずる 戒められる・・・。
ザベ ほんとさ、役者は役者で大変だけど、役者はみんなが整えてくれたところに一番綺麗な形で出させてもらってるんだよ。だからスタッフさんへの「やってくれてありがとう」の気持ちは忘れちゃいけない!
プレイヤーに優しい振付師です
ずる 今後どうなっていきたいとかある?
ザベ う〜ん。自分の中でも矛盾してるんだけど、踊りが得意だけどずっとはできないなって思いもある。
ずる できないの?
ザベ 踊りのジャンルにもよるけど一線のダンサーってポジションは今の年齢でも厳しい部分はあると思う。スポーツ選手と同じでさ、20代前半が体がきくと言うかね。そう考えると自分がこの先舞台に立ち続けたいなら、私は今は歌を頑張らなきゃいけない。
ずる 舞台には立ち続けたいんだ。
ザベ 立ちたいね、立てるのなら。目標としては帝国劇場に立ちたい。そして劇団☆新感線と梅棒に出たい。
ずる 舞台に立ち続けたい理由はなんだろう。舞台の何が好きなんだろう。
ザベ 達成感と儚さかな。みんなで作り上げてる部活みたいな達成感と、2、3週間で舞台が終わってしまう儚さ。夢だったのかな、みたいな。桜みたいに消えていくその物悲しさが好きだったりするんだよね。
ずる それが好きか。
ザベ なんで好きなんだろう。永遠にやりたくないのよ。飽き性だし。終わる時はちゃんと終わったほうがいい。それにいつかまたみんなに会えるだろうなって感覚ない?
ずる あるある。
ザベ そのシンパシー性みたいなものも良い。またこうやってずるちゃんに会えてるしね。
ずる シンパシー性ってすごくわかる。同じ舞台に立った人達って友達ではないけど、血を分けた感じというか。
ザベ 戦友みたいな感じかな。
ずる 終わるのは寂しいけど、寂しくないよね。それは振付師として関わった舞台は違う?
ザベ あ、全然違う。振付の時は寂しいってあんまり思わない。初日開けたら巣立ってる。「じゃ〜ね〜頑張ってね〜」って感じ。振付師の仕事も続けたいなぁ。
ずる 「エリザベスさんはどういう振付師ですか?」って聞かれたら何て答えるの?アピールポイントは何だと思う?
ザベ めっちゃいい質問!そうね・・・役者の心を持ちながら振付できる振付師、かな。自分がこの役だったらどう動くか、自分が役者だったらこの作品にどういう印象を受けるかっていう役者側の気持ちも理解しながら振付進行ができる。そこが強みかな。だから私の振付はただダンスっていうのではなくてお芝居をいれながらの踊りが多いかも。役者の心が成立しないような振付はつけたくない。
ずる 最近の振付作品をいくつか観たけど、正統派な耽美な印象を受ける。
ザベ 得意としてるジャンルによるのかも。私はジャズがベースのコンテンポラリー。よくわかんないのは全部コンテンポラリーと呼んでるけど(笑)。
ずる 振付が綺麗だよね。
ザベ 実は変わった振付ができないの。(立ち上がって動き出す)私の振付はね、右足、左足、そして右回りっていう”普通”が多いのよ。
ずる それ覚えやすいね!
ザベ そ!覚えやすいの!体の理にかなってる動きがほとんど。体に無理なことはさせたくない。
ずる プレイヤーに優しい振付師・・・。
ザベ あ、それいいわ。”プレイヤーに優しい振付師エリザベス・マリー”で〜〜す!
ずる 肩書きができた(笑)!
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エリザベス・マリーの平和
お金の余裕は心の余裕!
全員がお金を持ってること!
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エリザベス・マリー(写真右)
◯Elizabeth Marry◯神奈川県出身。
子役時代からミュージカル等の舞台を中心に、役者・ダンサーの他に声優や振付師としても幅広く活動。
ダンスカンパニーCHAiroiPLINのメンバーでもある。
【活動情報】
■舞台 ENG『missing』(声の出演)
3/8~12 ◎六行会ホール
eng-age.site/missing/
■ミュージカル『おとこたち』(振付)
3/12~4/2◎PARCO劇場、4/8〜9◎森ノ宮ピロティホール、4/15.16◎キャナルシティ劇場
stage.parco.jp/program/otokot
■ドラマ『松尾スズキと30分強の女優』
3/25放送
wowow.co.jp/drama/original
■舞台『シブヤデマタアイマショウ』
3/30~4/9◎Bunkamuraシアターコクーン
bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/
■東京War:DS 4/19~23
■文豪ストレイドッグス 6/9~7/2
■BALLO 8/30
【SNS】Twitter@liz_marry1126 / Instagram@elizabethmarry1126
小野寺ずる(写真左)
◯おのでらずる◯気仙沼生まれの脚本演出、お役者、糞詩人、ド腐れ漫画家。
個人表現研究所・ZURULABO所長。
【出演情報】NHK大河ドラマ『どうする家康』/ NHK夜ドラ『超人間要塞ヒロシ戦記』
【漫画連載】日刊SPA!『小野寺ずるのド腐れ漫画帝国』
【SNS】Twitter@zuruart
構成・文・撮影◇小野寺ずる
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