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新トップコンビで挑む異色の二本立て!宝塚月組公演『夢現無双』『クルンテープ 天使の都』上演中!

月組新トップコンビ珠城りょう&美園さくらのお披露目公演である宝塚歌劇月組公演 グランステージ『夢現無双─吉川英治原作「宮本武蔵」より─』レビュー・エキゾチカ『クルンテープ 天使の都』が日比谷の東京宝塚劇場で上演中だ(6月9日まで)。

グランステージ『夢現無双─吉川英治原作「宮本武蔵」より─』は、吉川英治のベストセラー小説「宮本武蔵」をもとに、二刀流の開祖であり、天下無双を誇る武芸者・宮本武蔵の半生を、作・演出の齋藤吉正が、武蔵を慕い続けるお通、武蔵の永遠の好敵手である無敵の天才剣士・佐々木小次郎など、取り巻く人々と共に描いた作品となっている。

【物語】
徳川家による長い治世がはじまるわずかに前の時代。作州宮本村に生まれた新免武蔵(しんめんたけぞう・珠城りょう)は、天下無双の剣豪を目指す猛々しい若者であった。折から天下分け目の関ケ原の戦いが勃発。いよいよ名を上げる好機と、武蔵は幼馴染の本位田又八(月城かなと)と共に戦に参加するが、大将首を取るという願いも空しく敗軍の兵となり、落ち延びる途中の伊吹山でお甲(白雪さち花)と朱美(叶羽時)母娘に助けられる。お甲とねんごろになった又八は、故郷に残してきた許婚同様の娘・お通(美園さくら)への文を託し、関ケ原の戦いで屍から拾い集めた刀などを持ち、京へ向かう母娘と共に出奔する。一方武蔵は又八からの文を携え故郷宮本村へ戻るが、関所破りの咎でお尋ね者となってしまう。それを見た僧侶の沢庵(光月るう)は、一計を案じ武蔵を千本杉に吊るし見せしめとすることで武蔵の命を救おうとする。そこにお通が現われ、又八が他の女性と暮らしていることを知らされた今、村で暮らすことはとてもできない、共に村を出たいと武蔵に訴える。身寄りのないみなしごの境遇に生まれたお通は、幼少期より目をかけてくれた又八の母お杉(夏月都)に逆らえず、又八の嫁となることを受け入れていたが、心の奥ではずっと武蔵を思い続けていたのだ。だが、共に村を出ようとした武蔵とお通の前に沢庵が現われ、己の強さに溺れ殺める剣しか知らぬ武蔵を諫め、生まれ変わって心身を鍛錬せよと、名を宮本武蔵と改め独行道の旅に立たせる。武蔵の背中にお通は四年後にここで待っていますと呼びかける。
天下無双への修行の道を突き進むこととなった武蔵は、長い旅路に吉岡道場当主・吉岡清十郎(暁千星)、無刀の技を持つ剣の達人・柳生石舟斎(響れおな)等、名だたる遣い手と剣を交え、剣を学んでいく。やがて武蔵が目指す頂きに、その名を世に轟かせる天才剣士・佐々木小次郎(美弥るりか)の姿が大きく立ち現れてくる。実は小次郎こそが武蔵の父・新免無二斉(紫門ゆりや)が生涯でただ一度敗れた剣客だったのだ。浅からぬ縁で結ばれた武蔵と小次郎は、ついに天下無双の名を懸けた宿命の対決の時を迎えるが……

 

歴史上確かに存在していたことは事実だが、その人となりや人生の多くが謎に包まれていた人物が、創作の世界で取り上げられたことで一躍ヒーローの座に躍り出ることはしばしばある。かつては「鞍馬天狗」の悪役としての登場がむしろ知られていた幕末の京都で活躍した新選組、中でも副長・土方歳三や一番隊隊長・沖田総司、更にやはり幕末の志士・坂本龍馬などは、歴史小説家・司馬遼太郎の作品「燃えよ剣」や「竜馬がゆく!」によって、今日一般的に定着している人物像のイメージが決定づけられたと言って間違いない。
そうした歴史上の人物の一人が、今作の主人公宮本武蔵で、兵法書として名高い「五輪の書」などの著作はあったものの、生国も生い立ちもはっきりとはしていなかった一介の剣術家を、天下一の武芸者に押し上げたのは、吉川英治が1935年から四年間の長きに渡り新聞連載を続けた大河小説「宮本武蔵」あってこそだ。この波乱万丈の大河小説に人々は熱狂し、映画、演劇、やがてテレビ、漫画へと様々なメディアで愛される国民的ヒーローになった宮本武蔵は、だからある意味では吉川英治の創作の人物と言ってしまっても良いくらいかも知れない。

そんな剣豪が宝塚歌劇の舞台に登場する。しかも既に佐々木小次郎を主人公とした星組バウホール公演『巌流』などを発表している齋藤吉正が、本家吉川英治の小説を原作としたことを大向こうに掲げて、しかも宝塚大劇場・東京宝塚劇場の本公演として作品を世に問うというのだから、その決意の大きさたるや如何ばかりかと注目していたが、結果として舞台には、作者の想いの深さが難しさを加味してしまった感が少なからず残るものになった。
基本的にこれだけの大河小説を90分間の時間枠がある、宝塚の二本立て作品の中に収めようとした時に、最も重要になるのは、原作のどこを切り取るか?というポイントだろう。もちろんその為には長い小説、特に新聞小説のように日々読者を一喜一憂させ、次は、次はとの興味を引き続ける為に用意された多くの魅力的な、けれども実は主筋にはそこまでの影響がない登場人物やエピソードの数々をカットしていかなければならない。だがそれをするにはおそらく齋藤は原作小説を愛し過ぎていて、できる限り多くの人物、多くのエピソードを劇中に網羅することに心血を注いでしまった感が拭えない。これによって舞台運びにはどうしてもNHKが年末に放送する、1年間続いた大河ドラマの総集編に極めて近いダイジェスト感がついて回り、全てがサラサラと羅列されていく様相を呈しているのが惜しまれる。時代劇そのものの隆盛が原作小説が発表された時点から現在までの間で、明らかに下火になっている時代の流れも作品にとって不利な要素で、さしも天下の吉川英治の代表作「宮本武蔵」と言えども、誰もが必ず通っている、観客が脳内で充分補完できて当たり前の小説とは言えなくなっているのも響いていた。「巌流島の戦い」での武蔵と小次郎の宿命の対決が極めてあっさりと終わってしまう感覚になるのもこの為で、おそらく齋藤の中には『巌流』で充分描いたから、との思いがあったのだろうが、この作品の中で小次郎の背景がほとんど描かれていないのはやはり厳しい。『巌流』自体が2003年の作品で観ていない観客も相当数に上るだろう。そういう意味で作者自身の、原作や自作による前情報への期待が大きすぎた感は否めなかった。白い鳥と烏の群れに武蔵の天下無双への純粋な想いと現在の闇を象徴させているとも取れる演出、波をデフォルメした電飾が輝く國包洋子の装置、ストレートに世界観の伝わる青木朝子の楽曲の数々など目に見える成果も多く、切り口を変えれば傑作になる可能性もあったと思うだけに、作者には思い入れの強い作品を手掛けるからこそ必要な、自作を客観視する余裕を培って欲しい。

その中で、主演の宮本武蔵を演じた珠城りょうが、この人の持ち味である大きな芸風で剣豪のたどる道程に懸命に対峙している。男役として恵まれた体格も剣の達人を表わすのにピッタリで、豪快な殺陣の数々も見事にこなして惹きつける。元々の個性が実直な人で「強いから偉い」という極めて単純な思考を持っている殺気だらけの新免武蔵よりも、剣の道を究めていく宮本武蔵が、特に一度剣を置き、己を見つめ直す為に下総で仏像を彫り畑を耕している武蔵に特段の魅力があるのが、珠城ならではだ。お通への想いを口に出せず、録音の心の声が伝えるというのも齋藤がしばしば使う趣向だが、珠城の場合はその心の声がむしろ本人の資質に似つかわしく、勝利の為には実はかなり卑怯な手段も使っている武蔵を、そうとは感じさせないのも珠城の資質故で、実直なヒーローが最も似合う王道のスターだとの感を新たにした。

 

この公演からトップ娘役に就任した美園さくらのお通は、剣一筋に生きる武蔵に情け一筋でつき従っていく女性。武蔵に関わる吉野太夫や、朱美が「情けひとつには生きられない」と吐露することで、女性の生き方に極めて大きな制限があったこの時代に、武蔵一人を思い続けるお通の行動が如何に難しいものだったかがよく表れている。そうした想いの深い役柄と新たな立場を懸命に務める美園本人とがリンクしたのも幸運で、リリカルな台詞発声も大きな武器。この経験は今後の美園にとっても大きな糧になることだろう。期待したい。

 

武蔵の宿敵となる佐々木小次郎の美弥るりかは、大変残念なことにこれが退団公演だが、その美弥本人が集大成の役柄となった小次郎に、男役人生の全てを懸けたことが役柄を大きく押し上げている。出てきただけで只者ではない空気感を醸し出し、強烈な印象と妖しい美しさを漂わせる美弥の個性と力量がなければ、ここまで本人の想いや背景が描かれていない小次郎を、客席にアピールすることは到底叶わなかっただろう。本来は作品自体を、小次郎と武蔵の父との戦いと、そこから引き続く武蔵と小次郎の因縁に絞って描くことがもちろん望ましかったのだが、逆説的にこの描き方で主人公に対峙する宿敵としての小次郎を支えきった美弥の力量に、ただ感服する結果になったのは皮肉さえ超えた思いがする。相当に難しいだろう長尺の刀の扱いも堂に入ったもので、改めてこれだけの逸材がこのポジションで宝塚を去っていくことを惜しむ想いが広がった。

 

武蔵の幼馴染で共に天下無双の功名心を抱きながら、その生き方が俗世にまみれていく本位田又八の月城かなとは、ややコミカルに倒した演じぶりで、又八の変転していく人生を軽妙に見せている。この人の個性も本来はもっと生真面目で実直なものだと思うし、殺陣も達者にこなす美丈夫なだけに役柄の設定でそれらが発揮できないのはもったいなくもあるが、場面ごとに変化のある又八の人生をきちんと伝える芝居力にはやはり安定したものがある。公演中盤から怪我の為に休演を余儀なくされるアクシデントに見舞われたが、月組にとっても宝塚にとっても貴重な人材だけに、くれぐれも身体を大切にしつつ、1日も早い全快をと祈っている。

 

京に出た武蔵が勝負を挑む吉岡道場の当主・吉岡清十郎の暁千星は、自信に満ち溢れた遣い手が武蔵との対決によって人生を180度異にしていく虚しさと同時に、誇り高さを表出して飛躍を感じさせる。大人の雰囲気の役柄が一気に似合うようになり、色気さえにじませたのに目を瞠った。下級生時代から続いた抜擢に次ぐ抜擢に、遂に本人が追い付き更に追い越した感があり、これは宝塚全体にとっても大収穫。今後への期待が高まる好演だった。

 

その吉岡道場の人々では、兄・清十郎にとって代わり手段を選ばず武蔵に勝とうとする伝七郎の夢奈瑠音が、チャーミングな顔立ちの印象を払拭する荒々しさを出せば、道場の盛衰から巧みに生き延びる祇園藤次の輝月ゆうまと、道場と運命を共にする植田良平の蓮つかさが、それぞれの役柄の味わいを巧みに表現して個性を粒立たせている。また武蔵の「独行道」の師となる柳生石舟斎の響れおなのラストパフォーマンスの貫禄に、日観の周旺真広が位負けしなかったのは嬉しい驚き。彼らとは全く異なる立場で、やはり武蔵に戦いの真理を伝える本阿弥光悦の千海華蘭の造形も目を引いた。

また武蔵に関わる女性たちでは、吉野太夫の海乃美月が、美しく一本芯の通った女性像で強い印象を残している。この人も怪我の為にショーを全休していて、動きの少ない吉野太夫に回ったのもそうした影響があったのかも知れないが、このキャスティングは大きな吉と出て、作中唯一武蔵と小次郎双方に関わる役柄として、多分に駆け足気味の作品のエピソードと人物をつなぐ役割を見事に果たしていた。娘役一人で堂々と幕が切れる力量は貴重で、本復してのますますの活躍に期待したい。武蔵からもらった鈴を大切に持ち続ける朱美の叶羽時も、芝居力の高さで武蔵に寄せる心根を貫いているし、その訳アリの母お甲の白雪さち花が利に敏い生命力に溢れた女性の生き様を活写。出雲のお国の晴音アキの常に変わらぬ高い歌唱力も、作品の良いアクセントになっている。武蔵の弟子となる少年・城太郎の結愛かれん、小茶の天紫珠李ら、子役を演じる面々が揃って愛らしい。天紫は白い鳥でのダンス力の高さも光った。

特に大きなパートを握っている沢庵の光月るう、お杉の夏月都の大活躍はもちろん、少ない出番をきちんと印象づけている新免無二斉の紫門ゆりや、政の玲実くれあが武蔵の美しい両親としてインパクトを与えている。この両親をもう少し本筋に関わらせていれば作品も締まったろうが、退団の玲実が美しさを活かせる役柄だったのが嬉しい。

こうした演者それぞれの頑張りの中で、辻風黄平のちの宍戸梅軒に扮した風間柚乃が、相当に難しいはずの鎖鎌の殺陣をこなしてその骨太な魅力を見せただけでなく、月城の代役として急遽又八役を演じ、とても急遽の代役とは思えない堂々とした舞台を見せてくれたのは特筆に値する。新人公演では主演の武蔵を演じていて、又八がこの作品の中で三つ目の役柄となったが、風間の若さが役柄に上手く作用して、その時々の出会いに流されていく又八が、故郷を発った折には武蔵と同じ志を持っていたこと。その武蔵から遠く離れてしまった自分に対する忸怩たる思いの枷を解いて、再び故郷に戻っていく心根をスッキリと示したことに、この人の持つ非凡な才能を改めて感じさせた。また風間の代役を務めた蘭世惠翔も、前述したように難しい殺陣のあるアクの強い役柄を果敢に演じて、作品を支えたことを称えたい。

そんな芝居のあとに控えたのが、レビュー・エキゾチカ『クルンテープ 天使の都』で藤井大介の作。これまでに中近東、中国、シルクロードといったオリエントの世界に材を求めた草野旦の『サン・オリエント・サン』や、沖縄、インドネシア、中国、タイ等のアジア各地の文化をテーマにした岡田敬二の『Asian Sunrise』など、アジアや中近東を描いたレビュー作品はあったが、タイ一国に照準を合わせたレビューというのは、レビューがそもそも「お国めぐり」を基本としてできあがった芸術だけに、極めて珍しいものと言える。芝居の齋藤同様に作者の藤井のタイ愛が炸裂していて、方向性は異なるものの、作者が作品に込めた思いという意味ではかなり共通したものを感じる二作品の並びになった。

その中で新トップコンビの珠城&美園の結婚式の場面の演出や、退団の響、玲実、音風せいやへの餞、また新組長と副組長光月&夏月お披露目に近いものなど、組のメンバーへの配慮もあるのが座付き作者の目線として好ましいし、ジェンダーレスのレビュークラブという、元々ジェンダーを越えた存在である男役が演じるには相当難しい設定の場面を、楽々とこなす輝月の歌唱力が活かされているなど見るべきものも多い。暁と月城の戦いの場面の爽やかさと同時に、トップコンビとの絡みの中で月城の芝居力、見事な脚線美で魅了する暁のダンス力がひとつの場面に並び立っているのも良い。

ただ、もちろん惜別の銀橋ソロや、珠城との幻想的な蓮の場面など多くの活躍の場があるのは認めつつも、去りゆく美弥るりか単独の場面が少なく感じられたのには、残念な思いが残る。二番手男役の退団としては十分な配慮なのかも知れないが、この位置に達した人だけが見られる夢というものが宝塚世界には確実にある。その夢はある意味では本人以上に、男役美弥るりかを愛したファンがより強く祈り、願った種類のものに違いなく、その無私の想いを浄化する配慮が望まれた。とは言え、美弥本人が放つ美しい煌めきには特段のものがあり、惜しむ想いが尚募る見事な華として舞台を彩ったことは、長く記憶されることだろう。

 

何より新トップコンビにこの作品のカラーがあっていて、宝塚レビューに新しい可能性も感じさせる作品となっていた。尚、月城の不在を、プロローグや中詰めなどを蓮つかさ、戦いの場面を夢奈瑠音、トップコンビと暁が絡むクラブの場面を風間柚乃、フィナーレの黒燕尾のダンスを輝月ゆうまと、月組が総力を結集して埋めたパワーには深い敬意を感じる。全員揃っての舞台を心待ちにしつつ、この難局を乗り切った月組の面々に拍手を贈りたい。

 

また、初日を前に囲み取材が行われ、月組新トップコンビ珠城りょう、美園さくらが記者の質問に応えて公演への抱負を語った。

まず珠城が「本日からいよいよ東京公演がスタート致します。月組としては久しぶりにお芝居とショーの二本立てとなりまして、宝塚らしい日本もののお芝居、そして藤井大介先生の魅力満載のタイを舞台にしたエキゾチックなレビューという二作品となっております。今、日本は元号が変わり新しい時代がスタート致しましたし、宝塚歌劇は今年で105周年を迎えます。皆様への感謝の気持ちを忘れずに、今回美弥るりかさんを始め、今まで共に歩んできた大切な仲間が卒業していきますので、その仲間と過ごす時間を大切に、6月9日の千秋楽まで駆け抜けたいと思います。また、今回は私と美園(さくら)のトップお披露目公演でもございます。そちらも合わせて皆様にご覧いただけますよう精一杯務めて参ります。どうぞよろしくお願い致します」と、新たに相手役となった美園や、退団する美弥るりからへの想いをこめた挨拶を。

続いて美園が「お芝居とショー共に宝塚らしい、今の季節と相まって、お客様と熱く盛り上がっていけるような作品となっておりますので、私も微力ながら月組の一員として頑張りますので皆様観にいらしてください」と、新トップ娘役らしい初々しい挨拶で、新たなコンビの誕生を印象づける。

その中でコンビとしての互いの印象を問われて、珠城が美園が大劇場公演当初よりもトップ娘役という立場に慣れてきているのを感じるので、より良い関係を築いていきたいと語ると、美園も少しずつ緊張が解けてきているので、珠城にしっかりついていきたいと互いに前を見据えた言葉で、今後のコンビとしての成長に期待を抱かせる。

また、流れの早いストーリーの中で役を演じる上で大切にしていることは?との問いには、珠城が「巌流島の戦いに向けた作品の盛り上がりの中で、宮本村にいた最初の武蔵がそこに至るまでに見せる、人としての成長を大切に演じたい」と武蔵の成長物語として作品を捉えていると明かすと、美園も「ひたすら武蔵を追い続けるお通にも、武蔵が剣一筋で生きているのと同じく、情け一筋で生きている誰にも譲れないものがある。そうした武蔵との共通点に共感していただければ」と、女性が能動的に行動することが難しかった時代のお通を分析していた。

更に、ショーの好きな場面は?という問いには珠城が「たくさんあるのですが、下級生に至るまで様々に活躍している中詰めはきっと皆様に楽しんでいただけると思いますし、美弥さんとの蓮の場面は色々な想いが湧き上がります」と、トップ就任時から共に歩んだ去りゆく美弥に想いを馳せた。一方美園は「デュエットダンスです。珠城さんを心の中で感じる部分が一番多い場面なので」とトップ娘役としての初めてのデュエットダンスへの想いを語った。

全体に緊張のあまり総体的な答えをしがちの美園に「自分の役については?」「自分が好きな場面は?」と絶妙にフォローを入れていく珠城のリードが印象的で、新たなコンビの歩みに期待の高まる時間になっていた。

尚、囲み取材の詳細は7月9日発売の「えんぶ」8月号に舞台写真の別カットと共に掲載致します。どうぞお楽しみに!

【公演情報】
宝塚月組公演
グランステージ『夢現無双─吉川英治原作「宮本武蔵」より─』
脚本・演出◇齋藤吉正
レビュー・エキゾチカ『クルンテープ 天使の都』
作・演出◇藤井大介
出演◇珠城りょう 美園さくら ほか月組
●5/3〜6/9◎東京宝塚劇場
〈料金〉SS席 12,000円 S席 8,800円 A席 5,500円 B席 3,500円 (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京宝塚劇場 03-5251-2001
http://kageki.hankyu.co.jp/

 

【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】

 

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