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【ノゾエ征爾の「桜の島の野添酒店」】No.117「せりふ」

台詞ってなんなんだろうか?
息子(4歳)がよく台詞を口にする。
夏にやった気づかいルーシーなどは、様々なシーンを覚えていて、家でよく喋ったり歌ったりしていたし、まさにこの朝もテーマ曲を本人なりに歌い上げていた。
先日もプロペラ犬の数人での自主稽古の日に、水野さんが息子さん連れてきていいですよとおっしゃっくれて、連れていくと、これまた台詞をいくつか覚えているのである。
そして日常の中で、不意にそれを口にするのだ。しかも、その台詞がハマるようなタイミングでだ。
たとえば、病院の話をしてると、「病院だってタダじゃないんですからね」と言うのだが、まさに私がほぼそんな台詞を言っていたのだ。開幕前なので詳しくは書けないのですが。
なんてことだ、息子の方が日常に台詞を活かしている。生きた言葉にしているではないか。
「おい座れ!」とも言われた。同じく私の台詞だが、あまり乱用されても困るようなものまで吸収していく。
年齢制限的に、今後息子が芝居を観れる機会が増えていくのだろうが、いつか、様々な芝居の様々な台詞で構成されたワンシーンなどができてたら怖いな。いや、楽しみだな。
でも息子の口から出た台詞は、全く違う聞こえ方がして、ちょっと勉強になったりしている。
同じ言葉でも通る体によって全然違うものになるんだなあと、当たり前なことを、ちょっと重みを持って気づかせてもらったりしているのでありました。
今年もどうもありがとうございました。
また来年元気でお会いできますよう。

 

【著者プロフィール】

ノゾエ征爾
のぞえせいじ○1975年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の1999年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。2011年の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された。

 

【今後の予定】
◯プロペラ犬「僕だけが正常な世界」(出演)
2022年12月16日(金)〜25日(日)@東京芸術劇場 シアターウェスト
https://bokudake2022.com

 

 

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