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ファンタジー影絵ミュージカル『夢の翼を広げて』いよいよ開幕! 上⽥遙インタビュー

国内はもとより、これまでに延べ30ヶ国での上演実績を誇る現代影絵の専⾨劇団かかし座と、トップアーティストたちのコラボレーションで紡ぐ舞台、ファンタジー影絵ミュージカル『夢の翼を広げて』が、12⽉16⽇~18⽇に池袋・あうるすぽっとにて上演される。

台本・演出・振付を⼿がけるのは舞踊家・演出家の上⽥遙。制作はマイオン・クリエイティブカンパニーが、創⽴70周年を迎えたかかし座の協力のもと作り上げる。

舞踊家・演出家の上⽥遙は、東儀秀樹や早⼄⼥太⼀や宮川彬良というトップアーティストたちと独特の美の空間を⽣み出してきた。今作は実に3年の歳⽉をかけて創造する新感覚のミュージカル作品で、劇団かかし座の影絵を主軸とし、オペラ、バレエ、ダンス、ミュージックの各界のトップアーティストたちが共演。⼀⼈の少⼥と⼥神の化⾝である蝶が、世界各国の⽂化や⾵⼟、移ろう四季の美しさを旅する様を光と影のファンタジーとして紡ぎ出す。

変幻⾃在の⼿影絵パフォーマンスを中⼼とした劇団かかし座の影絵と、各界のトップアーティスト達との共演という「本物のパフォーマンス」だからこそ伝えられる、⼈間が築き上げてきた⽂化への愛、⼈間と常に共にある⾃然への憧憬と希望を鮮やかに歌い上げる舞台が、いよいよ明日、12月16日に幕を開ける。その公演の台本・演出・振付を⼿がける上⽥遙に話を聞いた。

トップクラスのアーティストたちがジャンルを超えて集まった

──まず今回この作品を立ち上げたきっかけから話してください。

僕はこれまで沢山のトップアーティストたちとともに、ジャンルを超える作品創りをしてきました。今回は、そのジャンルを更に広げて、かかし座さんの手影絵(ハンド・シャドウ)とコラボレートすることになりました。手影絵は、影だからこそ想像力をかき立てるもので、そこに歌い手やダンサー、演奏家が加わることで、更に立体的で豊かな表現の世界が生まれるんです。かかし座さんはこれまでも音楽とのコラボは行っていて、それをレパートリーにしていましたが、もっとスケール大きな世界にするために、僕の専門ジャンルでもあるバレエやダンスとコラボできる物語を作ろうということになって、その第一作となるのが、ファンタジー影絵ミュージカルを『夢の翼を広げて』となります。僕が台本・演出・振付を手がけています。

──その作品『夢の翼を広げて』は、どんな構成になっているのでしょう?

今回の主役は玉人形の桜ちゃんです。玉人形は僕の父親(⼈形劇界の重鎮・⽔⽥外史)が創作したオリジナルな人形で、NHKの「ごんぎつね」などの人形劇にも使われていました。その桜ちゃんと⼥神の化⾝である蝶が世界各国の⽂化や⾵⼟を紹介していくというものです。桜ちゃんと一緒に旅をする蝶々は手影絵(ハンド・シャドウ)で、かかし座さんの素晴らしい技術で表現されます。素⼿と⾝体の⼀部で100種以上の動植物などのモチーフを見せられるハンド・シャドウが、どれだけ多彩で、どれだけ豊かな世界か、観た方は絶対に惹きつけられ、感動すると思います。

──中心となる桜ちゃんと蝶は旅をするそうですが、その途中で出会う世界にいろいろなアーティストたちが登場するのですね。

そうです。ハンド・シャドウとフラメンコと和太⿎で情熱的に魅せる「闘⽜のアモーレとカルメン」には、フラメンコダンサーの上田はる美さんが、またヴァイオリニストの会田桃子さん、アコーディオニストの吉岡Reeりささんは、バレエ・ダンサーと「⽝のクロワッサン」や、滅びゆく⾃然への警笛と復活への祈りを込めた「森の⼥王のエピソード」をコラボレートします。会田さんと吉岡さんは、音楽をほとんど作曲してくれていて、しかも歌も歌うし演技もします。役が付いて演技までするのは初めてなので、張り切っていますし、それを見た音楽家の方たちが、こういうことを出来るチャンスがあるんだと刺激を受けてくれると思います。

今回を壮大な夢の第一歩に

──コラボメンバーがとても豪華なのも今回の見どころですね。

オペラ界からケン・カタヤマさん、⾼橋薫⼦さん、平井⾹織さん、バレエ界からは平多利江さん、緒⽅⿇⾐さんや松本直⼦さんといった各界のトップクラスのアーティストたちが集まってくれました。そして、まったく違うジャンルの組み合わせという、たぶん他の公演では不可能な顔合わせが、今回可能になったんです。それはアーティストの皆さんが、こういう刺激的な出会いを求めていたと喜んで参加してくれたからです。この作品は、そういう一生懸命に自分を高める努力をして技術を磨いてきた人たちが、さらに輝くための機会になり、一流の表現者たちがクロスオーバーできる場になる。それも目的の1つなんです。

─これだけの方が集まるということは、皆さんこういう企画を待っていた?

オペラにしてもバレエにしても観客層が固定されがちなのが悩みで、観客層を広げたいという思いはそれぞれ持っていたと思います。この公演なら、そういう枠を取り払って楽しんでもらえるエンターテイメントとして、子どもから大人まで、しかもごく一般的な観客の方たちにも気軽に観てもらえる。また、この作品はセンターが人間じゃなく影だからいいんです。アーティストたちが引いて全体を見ることで、逆に、歌とはなんなのか、踊りとはどういうことなのかということを見つめることになる。もし、自分の表現する世界を広げたいと思っているアーティストがいて、今回の公演を観たとしたら、おそらく自分たちにもっと様々な可能性があることに気づくと思うんです。そういう方たちに次の公演にはぜひ参加してほしいし、この企画がもっともっと沢山の人を巻き込んでいけたらと思っているんです。

──『夢の翼を広げて』というタイトルはとても壮大ですが、そこに込められたものは?

桜ちゃんは宇宙を旅するわけですが、人間の心の内側にも宇宙があって、それは138億年前の誕生したばかりの宇宙と夢で繋がれるんです。それには桜ちゃんの心が美しく磨かれることが大事で、そのために旅をする。そして、それを観ている観客の方たちの心も一緒に旅をして磨かれて、人を憎んだりしないで生きていけるように、それこそ戦争のない世界にするための1歩になればいいと思っているんです。

──その夢のスタートになるのがこの公演なのですね。

今回をスタートにあと2年間、こういうジャンルを超えた作品を創っていくという企画なんです。その夢の始まりを、ぜひ沢山の人に観にきていただいて、応援していただければ嬉しいです。

●ファンタジー影絵ミュージカル「夢の翼を広げて」HP

https://www.maion2114.com/information/yumenotsubasa/

●プロモーションダイジェスト映像

■PROFILE■
上⽥遙(うえだはるか)
舞踊家・演出家、1957年⽣まれ。⽗は⼈形劇界の重鎮「⽔⽥外史」。2000年新国⽴劇場「キング・リア」⽥中泯、東儀秀樹。2003年川井郁⼦、⼩松亮太とトップダンサーによる「RED」。2010年⽇本、イスラエル友好60周年フェスティバル作品「Rokujo」(舘形⽐呂⼀)をセザンヌデラルセンターで上演。同年、⽇中国交正常化40周年、上海万博、⽇中特別作品「⽊蘭(ムーラン)」⻩⾖⾖、真琴つばさ。新国⽴劇場オペラでは、フランスのフィリップ・アルローと組み、「ホフマン物語」「アンドレア・シェニエ」。熊川哲也の映画「F」、Kバレエカンパニーの旗揚げ公演の演出、振付を担当。早⼄⼥太⼀、⼩島章司、安寿ミラに作品を提供している。名古屋開府400年「SHIRO」、岡本太郎⽣誕100年「踊る太郎」、岐⾩市⺠芸術祭「岐⾩の四季」等、数多くの総合演出を⼿掛ける。福島の復興と⾵評被害の払拭を願い、⽔と⼟と神々の伝説を伝えるAsaka座を設⽴。
【受賞歴】叫びと囁き全国舞踊コンクール創作第1位⽂部⼤⾂賞 魂の蝶東京国際振付家コンクールファイナリスト 智恵⼦、わが愛名古屋市⺠芸術祭賞 江⼝隆哉賞 村松賞 批評家協会新⼈賞

●劇団かかし座
1952年創⽴。今年2022年に70周年を迎える、⽇本で⼀番最初に誕⽣した現代影絵劇団。⽣⾝の俳優のドラマチックな歌と演技とダンスが美しい影絵と融合した、唯⼀無⼆の影絵劇(シャドウ・ファンタジー)公演から、独⾃のレイヤーアートによる影絵作品の制作等、影絵に関する総合的な活動を多⾓的に展開。また、⼈間の素⼿と⾝体の⼀部で100種以上の動植物等のモチーフを表現する⼿影絵(ハンド・シャドウ)パフォーマンスは、現在までに世界のべ26カ国で絶賛され、様々なメディアやミュージックビデオやコンサートへの出演、⾳楽LIVE等のアーティストへの指導・監修も⾏う等、活動の幅を広げている。

【公演情報】
豊島区国際アート・カルチャー特命大使/SDGs特命大使自主企画事業
ファンタジー影絵ミュージカル『夢の翼を広げて』
台本・演出・振付:上⽥遙
影絵演出・美術:後藤圭
⾳楽監督:会⽥桃⼦
出演:ケン・カタヤマ ⾼橋薫⼦ 平井⾹織 平多利江 上⽥はる美 緒⽅⿇⾐ 松本直⼦ 会⽥桃⼦ 吉岡Ree りさ ⼤多和正樹 辻しえる
劇団かかし座:飯⽥周⼀ 菊本⾹代 櫻本なつみ 好村⿓⼀ 梅原千尋
シャドウダンサー:⽊村有希 塚原あさぎ 三沢朋⼦ 瑠莉 清⽔美弥⼦
シャドウピアニスト:瀧⽥亮⼦
●12/16~18◎あうるすぽっと(豊島区⽴舞台芸術交流センター)
※ホワイエにて「影絵遊びコーナー」開催。ホワイエ開場は開演の60分前。客席開場は開演の30分前。
〈料金〉前売/⼀般⼤⼈6,000円 ⼦ども[⾼校⽣以下] 3,000円 (全席指定・税込・3歳未満⼊場不可)
※豊島区⺠会員割引[在住・在勤・在学]  ⼤⼈5,000円 ⼦ども[⾼校⽣以下] 2,500円
ファミリーチケット[⼤⼈1枚+⼦ども1枚] 7,000円
※当⽇券は500円増し
〈お問い合わせ〉マイオン・クリエイティブカンパニー03-3950-2603(平日11時~18時)
マイオンNet Shop 予約フォーム
https://ssl.form-mailer.jp/fms/534b0da4759029
マイオン・クリエイティブカンパニー
https://www.maion2114.com/information/yumenotsubasa/

 

 

【取材・文/榊原和子 写真提供/マイオン・クリエイティブカンパニー】

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