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堂本光一主演による日本版ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』製作発表会見レポート!

1964年に出版されて以来、世界的なベストセラーとして読み継がれているロアルド・ダールの児童文学『チョコレート工場の秘密』を原作にしたミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』が、2023年10月9日~31日東京有楽町の帝国劇場で初演される(2024年1月4日~15日福岡・博多座、2024年1月27日~2月4日大阪フェスティバルホールでも上演)

この作品は、1971年、2005年に映画化され、特にティム・バートン監督とジョニー・デップ主演のコンビによる2005年版の、独創的な世界観が大ヒットとなったのは記憶に新しい。そこから生まれ出たミュージカル版は2013年6月イギリスのウエストエンドで初演され、2017年1月までロングラン上演が続くヒット作品となり、2017年4月からはアメリカ・ブロードウェイで新たなプロダクションとして上演。その後全米、オーストラリアなどでの上演が続き、現在も全英・アイルランドでのツアー上演が行われている。そんななかでの満を持しての日本版は、翻訳と演出に東京2020パラリンピック開会式で大きな注目を集め、映像効果を駆使しつつ、演劇のアナログな良さを手放さない独特の演出力で、オリジナル・翻訳劇と、幅広い舞台作品を精力的に手がけるウォーリー木下による、日本オリジナルバージョンが実現。更に、ウィリー・ウォンカ役には、2018年初演の『ナイツ・テイル─騎士物語─』以来5年ぶりの新作ミュージカルであり、自身初の翻訳ミュージカルに挑む堂本光一が登場。

共演陣に、チャーリーの母親役を観月ありさ。肥満児・オーガスタスの母親を森公美子と鈴木ほのかのWキャスト。勝ち気なバイオレットの父親役を芋洗坂係長。わがままな娘べルーカの父親を岸祐二。コンピューターオタクのマイクの母親を彩吹真央。かつてウォンカの工場で働いていたチャーリーの祖父を小堺一機の、個性的な顔ぶれが集結。

そして、世界中で5枚だけしかないゴールデン・チケットを手にいれ、工場に招待されるチャーリー・バケット役には小野桜介、チョウ シ、涌澤昊生がトリプルキャストで務めることも発表され、新たな日本版ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』誕生に大きな期待が集まっている。

そんな作品の製作発表会見が6月22日都内で開かれ、堂本をはじめメインキャスト全員と翻訳・演出のウォーリー木下が登壇。作品への抱負を語った。

【登壇者挨拶】

ウォーリー木下

ウォーリー木下  本当に感無量で、これだけ素晴らしいキャストの皆さんとご一緒に『チャーリーとチョコレート工場』が作れるということにワクワクしています。今日実際にお会いして本当にすごいなと。小説や映画をご覧になった方も多いかと思いますが、この作品にはたくさんの親子が出てきて、作品のテーマの一つに「家族」があり、しっちゃかめっちゃかと言うか(笑)面白いキャラクターばかりが出てくるので、楽しみで仕方ありません。「空想すれば叶う」というのが今回の一つのテーマになっていて、もう少し広く言うと、ここ数年、自由に動き回ったり遊んだりできない時期が続きましたが、やっぱり好きなものは好きと言いたいし、楽しみたい時には楽しみたいという、人間が持っている動物的なエネルギーやパッションは失われたくないなと思っていて。この作品は2時間近いミュージカルのなかで、音楽も振付けも演出も役者たちの演技の全てが総合芸術として、楽しいことをやるぞという気持ちにあふれています。よく「おもちゃ箱をひっくり返したような」という言葉がありますが、日本版の『チャーリーとチョコレート工場』は、世界一ポップでカラフルなおもちゃ箱をひっくり返した作品にしたいと思っています。是非皆さま僕と同じようにワクワクして待っていただけると嬉しいです。

小堺一機 ジョーじいちゃんという役は、この作品の要となる非常に大事な役なので、このお話をいただいた時にはとてもびっくりして、近くの神社に行きまして「お願いします」と言いましたら、神社の方から「頑張って」という声が聞こえた気がしました。可愛い孫と一緒に、素晴らしいおもちゃ箱の冒険をさせていただきたいなと思っております。

小野桜介 チャーリー役はみんながやりたかった役だと思うし、みんなが憧れる帝国劇場なので、最初から最後まで頑張って演じ切りたいです。

チョウ シ 小学六年生です。今回チャーリーとして舞台に立てることがとても嬉しいです。よろしくお願いします。

涌澤昊生 最近野球をやるのも、観るのもハマっていて、オリックス・バファローズを応援しています。チャーリーはダンスをいっぱいやると聞いたので、いっぱい手を伸ばして元気に踊りたいです。

彩吹真央 この作品にはチャーリーをはじめたくさんの子ども役の方々がいらして、その親たちもたくさん登場するのですが、みなさん親バカで。それぞれの親バカぶりがキャラクターとして表現されていると思うのですが、中でもティービー夫人はぶっ飛んだ親バカなんだろうなと思っております。お酒が好きで、楽しいことが好きで、息子を愛するが故にぶっ飛んだ息子に育ててしまったぶっ飛んだ母親役をぶっ飛んで演じたいと思うので、よろしくお願いします。

岸祐二 岸祐二です。52歳独身です(笑)。僕はこの作品の映画が元々大好きでしたし、ファンタジーで、時代の風刺もある、少しドキッとするようなエンターテインメントが大好きなので、日本初演に関わることができて本当に嬉しいです。素晴らしい先輩方、共演者の皆さんとご一緒できて幸せです。そして『ナイツ・テイル』以来、光一くんとご一緒できて、光一くんの挑戦に一緒に向かえるということを幸せに思っております。たくさんの方にお届けできるように頑張りたいと思います。

芋洗坂係長 バイオレットという女の子の親は映画ではお母さんでしたが、今回お父さんとしてやらせていただきますので、ファンキーなお父さんを演じられればなと思っております。どう見ても面白くなるだろうキャストの皆様、演出のウォーリーさんをはじめスタッフの皆さんの足を引っ張らないように頑張りたいと思っております。今回の私の課題は、痩せすぎると岸さんとキャラが被ってしまう可能性があるので、痩せないように森さんと一緒に美味しいものを食べながら頑張っていきたいと思います。

森公美子 オーガスタの母親役を演じます。『チャーリーとチョコレート工場』の映画を何度も見るたびに、「これがミュージカルになったら私の役だな」と思っていました。それがウエストエンドとブロードウェイでミュージカルになり、今回日本版で役をいただけてありがたい限りでございます。子役たちや演出について詳しいことはまだわかっていないので、さっきもウォーリーさんに訊いたのですが、教えてくれないんです!でも本当に楽しみです。おそらくチケットはすぐなくなると思いますが、ぜひ劇場に足を運んでいただけたらと思っております。

鈴木ほのか 光一さんとは2000年の『SHOCK』の初演『Millennium SHOCK』以来なんと23年ぶりにご一緒させていただくので、まさにゴールデン・チケットが当たったような気分です。小説ではオーガスタスの苗字はブクブトリーと訳されていますので、ブクブトリーの母親として、骨組みをしっかり作って血を通わせていきたいと思っています。大人も子供の心に帰って楽しめるチョコレート工場、私も今からワクワクしております。どうぞよろしくお願い致します。

観月ありさ ミュージカルは今回で2作目なので、とにかくみなさんの足を引っ張らないようにやりたいなと思っております。おもちゃ箱をひっくり返したような世界の中で癒し的な存在になれたらいいなと、今からとても楽しみです。

堂本光一 この作品のウォンカをやると企画を聞いた時、まずはじめにびっくりしました。そして、いざこうして形になっていくことにすごくワクワクしていますし、ウォーリーさんが「おもちゃ箱をひっくり返したような」とおっしゃっていましたが、ひっくり返すどころじゃないですよね?ひっくり返してぶっ壊すような感じ?

ウォーリー そうですね。

堂本 ですよね?それくらいとんでもない作品になるんじゃないかと思っております。きっと皆さまには映画のイメージの方が強いと思いますが、これからお稽古を積み上げていって『チャーリーとチョコレート工場』日本版がどんな形になるのか。正直まだ本当に見えていないんですね。ウォーリーさんの頭の中だけにあるものなので、それをみんなで形にしていくのが楽しみです。内容的には、ひっくり返してぶっ壊すような作品ですけど、その前に人間のエゴもあるし、愛情もある。すごくたくさんのものが詰まっている作品だと思うんですよね。それをどうやって皆さんに伝えて、お客様一人ひとりがどんな感想を持ってくださるのかがすごく楽しみです。

【質疑応答】

堂本光一

──光一さん、豪華な共演者の方々と一堂に会していかがですか?

堂本 先ほど(鈴木)ほのかさんもおっしゃいましたように、23年ぶりの共演ということもそうですし、森さんをはじめ皆さんとご一緒できることが本当に嬉しいです。皆さん個性豊かすぎて(笑)今日が顔合わせのようなものなので、ご一緒してまだ一時間くらいかな?というところで、どうなるんだろうと楽しみで。またチャーリー役も三人いますけれども、めちゃめちゃ可愛いじゃないですか。たぶん彼らが稽古場でも僕らの癒しになると思います。本当に楽しみでしかないキャスト陣だなと感じました。

──光一さんはこれまでオリジナル作品に出演されてこられましたが、今回、映画や海外で既に上演されている作品に挑む意気込みをお聞かせください。

堂本 ミュージカル版と映画で、ウォンカというキャラクターも結構違っていたりすると思うのですが、ウエストエンド版と、ブロードウェイ版、もちろん小説とでもまた少しづつ違っていて、世界中に色々なウォンカ像があると思います。そこを日本版でどう演じていこうかなというところは、自分がまな板の上にのってウォーリーさんに捌いていただきたいと思っています。

──帝国劇場建替え前の新作に出演されることへのお気持ちはいかがですか?

堂本 考えてみれば、今年は帝劇に関して言うと、『ジャニーズ・ワールド』があって、『SHOCK』があって、先日発表された『DREAM BOYS』があって、この『チャーリーとチョコレート工場』なんですよね。こんなに帝劇でやらせていただいていいんでしょうかという感じです。よく「帝劇の住人」というようなことを言われるのですが、僕にとってはとんでもないことで。やっぱり帝劇という場所は、先輩方が素晴らしい歴史を築いてきた劇場なんですよね。ですから、そこに立たせていただけることに対する気持ちは『SHOCK』の初演の頃から変わっていません。だからこそ、ありふれた言葉ですけれども、一生懸命やらせていただこうという気持ちでいつもいます。素晴らしいキャストの皆さんとご一緒できるのが嬉しいですし、期待に応えなきゃいけないという思いでいます。

──ウォーリーさん、今回の『チャーリーとチョコレート工場』はレプリカではなく、日本オリジナル演出ということですが、この日本オリジナルバージョンに立ち向かわれるこだわりを教えてください。

ウォーリー もちろん映画も好きなのですが、小説がすごく好きで、どぎついブラックユーモアの、笑えないくらい笑っちゃうという小説の核の部分が大好きなんです。それと帝劇という場所で作るということ、今日集まってくださった豪華な皆さんと一緒にクリエイションする上で「僕が頑張るぞ」という気持ちもありますが、それよりも、与えられた原作と与えられた劇場と、一緒にやるスタッフ・キャストの皆さんと出会ってできることを一番大事にしたいと思っています。スタッフワークは既に進めていますが、スタッフのみんながすごく楽しそうにしてくれていて、話し出すと止まらないんです。それくらい色々な種が詰まっている脚本です。「こんなこと舞台でできっこないよ」と言いながら「でもこんな方法があるよ、これやってみよう」という、実験を繰り返しながら作ることにはこだわりたいですね。スタッフの皆さんはそういう気持ちでいてくださるので、初日から千秋楽までキャストの皆様とご一緒に作っていきたいです。

観月ありさ

──観月さん、光一さんとの共演は初めてとのことですが。

観月 はい、初めてです。バラエティや歌番組でご一緒させていただいたことはあるのですが、お芝居をさせていただくのは初めてです。

──『SHOCK』はご覧になっていますか?

観月 先日観劇させていただいて、本当に豪華で、とにかく光一さんの身体能力の高さを感じる舞台でした。あっという間に三時間が経ってしまって、飽きることのない舞台だなととても感動して観させていただきました。そんな光一さんと今回こうしてご一緒できるということは、とても光栄だと思っています。

──帝劇の印象はいかがでしたか?

観月 ミュージカルの聖地というようなイメージです。その帝劇に初めて立たせていただくので、わからないことだらけですから、皆さんに色々お伺いしながら千秋楽までやりきっていきたいなと思っています。この歴史の長い劇場に立てるということに感謝していますし、自分のなかの経験としても今後に生かしていけるような作品になればと思っています。

──日本のエンターテイメント界の第一人者でいらっしゃる小堺さんが帝劇初出演というのは、意外な感じがするのですが、今回のジョーおじいさんは寝たきりのお役柄ということで、見せ場としてはどんなものに?

小堺 寝たきりと言っても前半だけなんです。意識もはっきりしていますので、何かしらの演出で元気な姿を見せられると思います。

堂本 タップがあるじゃないですか!

小堺 タップね、タップは欽ちゃん(萩本欽一)に言われて習っていたんだけど、やっとできるようになって「欽ちゃんできるようになりました!」と言いにいったら、欽ちゃん自分ができないの!(笑)。これが芸能界かと思いました(笑)。ベッドで足を動かしちゃいけないんですよね?

ウォーリー そうですね、動けないという設定なので。

小堺 ですよね。ですから、動かさないように頑張ります。

小堺一機

──映画版でも、小説でも結構ですので、この作品に感じている魅力を教えてください。

小堺 舞台に関しては、自分も半分お客さん気分でいるので、楽しみで仕方がないです。ウォーリーさんがどんな演出をされるのか、どうなるのか楽しみにしています。皆さんから良い刺激を与えてもらい、もしかしたら僕の方からも何か良い影響を届けることができて、良い化学反応が起きたら嬉しいですね。何しろ面白い原作なので、自分の想像を超えるようなことがいっぱい起きそうな気がしています。

彩吹 おそらく誰しも、子供の頃に、チョコレートやお菓子を買ってもらった時に、当たりが出るか、ハズレが出るかで、ドキドキされたことがおありだと思います。そういう本当に単純なワクワクドキドキ、子供がチョコレート工場に冒険に行くことでワクワクするのは当たりまえですが、映画を観た私たち大人もドキドキしたように、親の立場でもきっと夢を見られる冒険心満載なところが魅力だと思います。その大人も子供も楽しい作品をウォーリーさんの演出でできるのが本当に嬉しいですね。ウォーリーさんの演出作品には、今回で三作品目にご一緒させていただくのですが、皆さんが「どういう演出をされるのかわからない」と口々におっしゃっていたように、実は舞台稽古に行くまでわからないという部分があって!本当にすごくカラフルで、お稽古場ではつかみきれなかったところが、舞台稽古に行ったときに「こういうことなのか!」とわかるので、今回も楽しみです。

彩吹真央

岸  原作がとてもカラフルでポップな楽しい世界であると同時に、社会風刺や人間の醜さなども見せるブラックユーモアもある。笑っているんだけど心に刺さるみたいなところが、多くの人に愛される理由だと思うし、僕もそういうところが好きなので、それを体験できることがすごく楽しみです。彩吹さんもおっしゃいましたが、僕もウォーリーさんの作品は三作目なのですが、僕は本番開けてお客様の感想を聞かないとわからない、というくらいで。半信半疑な部分がやってみたらとても楽しかったというマジックが起きますので、それをすごく楽しみにしています。

芋洗坂 この作品自体が奇想天外で先が読めない物語だという楽しさがすごくあると思います。そのブロードウェイ版、ウエストエンド、小説、全てのものを越えた日本版ができるということなので、我々もわからないことだらけですから、お客さんにもわからないことを楽しんでいただければと思っています。光一さんがおっしゃったように、そのなかに人間のエゴだったり、親の子供に対する過剰な愛など、見ていて「うーん」と思う部分もあるのですが、最後には「こういうことだったのか」と気づけるような、楽しく明るく、ハートフルなラストを迎えるのかな?と、いまは勝手に思っています。そういう自分の想像をどんどん超えていく作品ができるんじゃないかなと思います。

芋洗坂係長

 みなさんお気付きでしょうか。今日私たちはいろんなカラーの服を着ています。私たちは赤で、黄色、緑と色々で、堂本光一さんはチョコレート色なんです。こういうカラーがいるということは、舞台ではさらに色々なカラーが出てきますし、衣装のデザインをちょっと見せていただいたんですがすごいです。ワールドワイドにすごくなっているので、ミュージカルを御覧になる方もとても多いですが、それでも皆さんぶっ飛ぶと思いますよ。さらに私は、光一さんが飛ぶのではないかと思っていて。

ウォーリー 飛びます。

 そうですよね?私も飛ぶ準備をしておきます!

鈴木 ロアルド・ダールの小説も、映画も素晴らしい作品ですが、ミュージカルは曲がとにかく素晴らしくて!今日も朝からロンドン版のオリジナル・キャストの歌をずっと聞いていましたが、光一さんが歌われるメインテーマの「Pure imagination」が、本当に素敵な曲で、一度聴いたら頭から離れないです。

堂本 素敵に歌えるかどうかは別問題ですよ(笑)。

鈴木 いえいえ、その素晴らしい曲を光一さんの歌声で聴けるのを今から楽しみにしています。それぞれのキャラクターに合わせてヨーデルやヒップホップなど、とても特徴的なポップな曲がいっぱいあって。ウエストエンド版とブロードウェイ版のいいところを全部合わせて最高の日本初演を作ると伺って、稽古が楽しみです。何より私たちを痛めつける時に出てくるウンパ・ルンパが、帝国劇場でどう具現化されるのか、皆様もワクワクしてお待ちくださいませ。

鈴木ほのか

観月 私も映画からとても好きな作品でした。ですから今回お声がけいただけたのが嬉しくて。森クミさんがおっしゃったように、衣装で表現された世界観がポップで可愛らくしいんです。私自身はまだどういう衣装で、鬘なのか?はわかっていないのですが、今から衣装やセット、日本版ならではのウォーリーさんの演出をとても楽しみにしています。

堂本 少し重なる部分がありますが、『チャーリーとチョコレート工場』というのは、ひも解いていくとすごく深いストーリーなんですね。舞台版に関して言えば、「ウォンカとチャーリーはどういう関係なんだろう」「もしかしたらすべてが幻想で、チャーリーはウォンカの子供時代なのかも」と思うこともできる。色々な捉え方ができる作品だと思います。それは観てくださった方それぞれが違う感想でいいと思うんです。どれも正解だと思います。ただ、我々としては土台みたいなものを、自分の信じたもので作っていかなければいけないと思うので、そこはウォーリーさんとも、どういう方向性でいこうかをしっかり話し合いたいですね。でももしかしたら正解って出せないかもしれないですよね?それでいいんですかね?

ウォーリー そういうのすごく好きですね。

堂本 正解がない感じですよね。ただウォンカという人について、取材を受けた時にインタビュアーの方が「子供嫌いの人」と言われたので、「あぁ、この方には子供嫌いに映ったんだな」と思ったんですが、「子供嫌いかもしれないし、そうでないかもしれない」というものすごく深い作品だと自分は思っています。いまの世の中は表現にも気をつけなければいけないのですが、この作品はすごくブラックなところもあるし、ウィットに富んでいるところもたくさんある。その言葉の裏にあるものを受け取ってもらえると、ポップな部分プラスアルファで、素敵な作品なのかなと思っています。その辺を如何に自分たちが読み解けるかですね。

──ウォーリーさん、演出について、もう少し具体的にお聞きしたいです。

ウォーリー えぇ?(笑)。でもそうですよね。僕はせっかくなのでアナログな、演劇でしかできないことをたくさんやりたいのと同時に、今の僕らならではのテクノロジーとか、まだ舞台では使われていないような表現もたくさん取り入れて使っていきたい……ってごめんなさいね。まだこんなことしか言えないのですが、ただウンパ・ルンパを含めて20~30は斬新な演出があると思います。

堂本 ウォーリーさん、僕一つ心配しているのが『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』に予算を取られすぎてこっちに回って来ないことなんですけど……(場内爆笑)

ウォーリー すごいセット作ってたから、焦ってたんです(笑)。

堂本 すごいですよね、こっち予算大丈夫ですか?

ウォーリー 大丈夫!予算がたとえなくても、僕は小劇場出身なので、そこは知恵と人力でなんとかします。

堂本 想像力ですね!ここにいる皆さんも、びっくりするとおっしゃっているから。

ウォーリー 観た方がびっくりすることをしたい気持ちはすごくあるので、特にお子様などが観ていただいて「舞台って面白いな、人間って面白いな」と思ってもらえることをしたいなと。

堂本 なるほど!

ウォーリー そこを楽しみにしていただけたら。あとは帝国劇場全部がチョコレート工場になるような、お客さんも一緒に冒険するような壮大な仕掛けも考えています。

──先ほど「光一さんが飛ぶ」というお話でしたが、フライングがあるということですか?

ウォーリー チャーリーと一緒に飛ぶところがブロードウェイ版にあるのですが、それを日本版ならではでどうするか。元々空想で書いたような奇想天外なことばかりが出てくるお話なので、それをどう実際の舞台上で表現するか?は、それこそ製作と予算の相談をしたいです。

堂本 フライングとはちょっと違いますよね?

ウォーリー 宙に浮くという感じですね。

──光一さんと観月さん、チョコレートにまつわる思い出がありますか?

観月 バレンタインデーに好きな男の子にチョコレートを渡しに行ったらいなかったので、イニシャルだけを書いて置いてきたのですが、その帰りに当の男の子が女の子と二人乗りで、自転車でいくのを見て一瞬にして恋が破れた、というほろ苦い思い出があります。

堂本 チョコレートとは関係ないかもしれないんですが、ほろ苦いということで言うと、小学校の頃、当時全く自分の容姿に興味がなくて寝ぐせとかついたまま登校していたのですが、ちょっと気になっていた女の子に「光一くんの髪の毛パイナップルみたい!」と言われて。すごいショックを受けて次の日から寝ぐせを一生懸命直していた思い出があります。

涌澤昊生 チョウ シ 小野桜介

──チャーリー役のみなさん、堂本さんにお会いした印象はどうでしたか?

小野 光一さんがウォンカ役を演じると発表になってから、会う日をすごく楽しみにしていました。

堂本 まだちゃんと話もできていないよね。よろしくね!

小野 よろしくお願いします。オーラがすごくて、ちゃんと顔を見れてません。

チョウ 会った時に一発で「あ、この人、一般人じゃないな」って(場内爆笑)。オーラがすごくあって髪がさらさらでかっこいいと思います。

涌澤 こんなこと言っちゃいけないけど、テレビで見てるときはあんまりかっこいいのかわからなかったんですが、でも、会ったらまあかっこよかったから(場内爆笑)、これがプロだなって思いました。

堂本 ステージ上ではもっと輝きたいと思います!(笑) このストーリーって主役はチャーリーだと思っています。座長としては僕がやらせていただきますけれども、僕も長くやっている『SHOCK』も、東山紀之さんがいてくれたところからスタートしたので、自分がこの立場になれるのがすごく嬉しいですね。懐いてくれるようにしないといけないなと思っているので頑張ります。

全員が作品を楽しみだと口々に話した会見は以上で終了。フォトセッションのあと、キャスト一同による囲み取材に引き継がれた。

【囲み取材】

──光一さん、改めて、新しい作品に挑戦する意気込みを教えてください。

堂本 とにかく作品をやるという話を聞いた時から、どうなるのか想像がつかない、まだついていないところもたくさんあるのですが、各スタッフの皆さん、才能のある方が集結してくださっていて、ビジュアル撮影の時も、自分がどんどん料理されてウィリー・ウォンカが生まれていく様を感じたんです。それがすごく素敵な時間で、きっと稽古場でも一つひとつこうした積み重ねがあると思うと楽しみです。

──そのビジュアルですが、ご自身で見ていかがでしょう。

堂本 これを毎日やるとなると相当大変だなと思いました。もちろん試行錯誤をしながら、ということもあったのですが、1時間半くらいかかりました。鬘も本番はどうなるかわかりませんが、でもなるべくこれに近い形でやりたいと思っています。ミュージカル版では最初はおじさんの姿、こういうちょっと中性的ではない姿で登場して、パッとウォンカになったりする演出なども元々あるので、そこをどうやるのかも楽しみです。

──光一さんは演出には関わらないのですか?

堂本 もちろんです!

──他のみなさんから見て、光一さんのビジュアルはどうですか?

観月 とてもかっこいいですし、この撮影をされていることを知らなかったので、情報解禁でこのビジュアルが出た時に、「こんな感じになるんだ」と知ってワクワクしました。衣装も鬘もメイクもそのものですよね。

堂本 オリジナルを踏襲してもらったので、これと変わらないように出たいんです。

──ブロードウェイ版より派手なのですか?

堂本 そうですが、ウエストエンド版はもっと派手ですね。ブロードウェイ版は簡略化しているところも結構あって。その両方の良いところを取って、とウォーリーさんがおっしゃっていたので、集大成的になったらいいなと。

森公美子

 光一くん結構面倒くさがりなので、(ビジュアルについて)手を抜きはじめたら注意しようと思います。

堂本 意外とメイクとかにこだわりないタイプなので。ウォンカとして生きていけるように頑張ります。

鈴木 昔からなさることは素晴らしいけど普段は力が抜けていて。普通に接してくださるんです。でも先日も『SHOCK』を拝見して、メンタルも肉体も素晴らしいなと、同じ俳優としてどうしようと思ったほどです。今日お会いしたら怖い人になっているのかな、と少し思っていたのですが、そんなことはなくて安心しました。ビジュアルも中身も全く変わっていないですね。

堂本 さっきチャーリーから「まあかっこいいかな」と言われたので、まだまだ大丈夫です(笑)。

──子役の皆さんとの絡みも多いと思います。

堂本 一つ懸念があって、稽古場できっと彼らが一番早く台本を覚えてくると思うんですよ。我々はドキドキして彼らについていこうと思います。絶対しっかりしているから。

 しかも、子供達は他にもいるからね。

堂本 だから『SHOCK』の初演では座長という立場ではいさせていただいたものの、東山さんがいらしてくださったので、子供たちにとってそういう立場になれたらなと、頼りになるなと思われたいですね。頼るのではなくて(笑)。

──観月さんとの初共演はいかがですか?

堂本 いま思っていることを言っていいですか?

観月 お願いします。

堂本 隣に並びたくない!(笑いが起きたのに)何を笑ったんですか?(指さして)いま、何を笑ったんですか?(場内さらに笑いが広がる)見たままでしょう!スタイルが良すぎて、隣に並ぶのは大変だろうと。やっぱり素晴らしいですね。

観月 でも並ばせて下さい!

堂本 ステージ上では直接絡みはないかもしれないけど、観月さんのお仕事はもちろん拝見していますし、みんなで稽古場で色々な経験をしながら積み上げていくのが楽しみです。そして色々たまってきた時の、僕のはけ口は岸さんなので(笑)

岸祐二

 ありがとうございます。

堂本 でも岸さんも結構言ってくるので。

岸 そう、お互いにぐちぐちね(笑)。

──世界に5枚のゴールデン・チケットを持って光一さんのところに行ったら何を見せてくれますか

堂本 何を見せるかですか?そうですね…僕と一緒にフライングをするというのはどうでしょう(喝采)。

──涌澤くん、ここまでで堂本さんの印象は変わりましたか?

涌澤 おもしろくてかっこいいです。一つ増えました!

堂本 初日までにどうなっているか楽しみなので、もう一回訊いてくださいね!うーん、稽古で駄目なところを見せられないですね。でも、稽古場では駄目なところも見せ合おうよね。共有したいね。

──では最後に、みなさんへのメッセージをお願いします。

堂本 この『チャーリーとチョコレート工場』のミュージカルを皆様に届けられることを本当に楽しみにしています。自分自身もご覧の個性あふれるキャストの皆さんと一緒にこの作品を作り上げていけるのを楽しみにしています。そのワクワクがきっとステージ上にも乗って、皆様に伝わると思います。劇場でお待ちしておりますので、是非楽しみにしていてください!

【公演情報】
ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』
脚本:デイヴィッド・グレイグ
音楽:マーク・シェイマン
歌詞:スコット・ウィットマン/マーク・シェイマン
原作:ロアルド・ダール
映画版楽曲:レスリー・ブリカッス/アンソニー・ニューリー
日本版翻訳・演出:ウォーリー木下
出演:
ウィリー・ウォンカ:堂本光一
バケット夫人:観月ありさ
グループ夫人:森公美子/鈴木ほのか
ボーレガード氏:芋洗坂係長
ソルト氏:岸祐二
ティービー夫人:彩吹真央
ジョーじいちゃん:小堺一機
チャーリー・バケット:小野桜介、チョウ シ、涌澤昊生
●2023年10月◎帝国劇場
〈料金〉S席16.000円 A席10.000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777
〈公式サイト〉 https://www.tohostage.com/cacf/index.html

【全国ツアー】
●2024年1/4~15◎福岡・博多座
●2024年1/27~2/4◎大阪・フェスティバルホール

 

【取材・文・撮影/橘涼香】

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