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【粟根まことの「未確認ヒコー舞台:UFB」】第97回「BGMと劇伴」

気がつけば令和最初の夏も徐々にその暑さを増しております。そういえば、季節に対して「深まる」って秋しか言いませんよね。秋が深まるって普通に言いますけど、夏が深まるって言わないよね。なんでだろう。ええと、令和最初の夏が深まりつつあります昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか。もう少し夏が深まれば「けむりの軍団」が始まりますよ。

その「けむりの軍団」ですが、様々な媒体での宣伝文句として「クロサワ映画的な本格時代劇」と銘打っております。ええと、その通りです。黒澤明監督の映画のような重厚さもありながらも、どこか落語的な軽妙さも兼ね備えた今作。本格時代劇ということで、衣装もいつものような奇抜で外連味のあるカンジではなく、いかにも時代劇風な衣装でお送りいたします。要するに映画で使用される貸衣装を中心にしています。本格的で格好いいんだけど、暑いし洗えないんだよねぇ。

クロサワ映画っぽい所は衣装以外にも随所に現れています。まあ全部がそうなのですが、特に判りやすいのが劇伴だと思います。ええと、劇伴(げきばん)。劇の伴奏だから劇伴。これが今回ご紹介したい演劇用語というか映画・ドラマも含めた業界用語なのですが、その意味するところは、ほぼ「BGM」です。
BGM、つまりBackground Musicとは、映画・ドラマ・演劇において場面のバックに流れている音楽のことですね。皆さんが思い描くBGMと劇伴はほぼ同じです。映画なんかだと、それらのBGMがまとめてサウンドトラック(サントラ)としてリリースされていたりします。結果として、BGMと劇伴とサントラはかなり近い意味ですが、微妙に違ってはいます。

我々演劇の現場では、場面を盛り上げるための音楽のことをBGMと言います。実際には更に略してBGとかMとかいいます。何だよBGMを途中で切っただけじゃんかとは思いますが、実際にビージーとかエムとか言うんだからしょうが無い。Background Musicを略してBGMと呼んで、更にそれを略すんだから相当だとは思うのですが、現場では短い言葉の方が楽なのでそう略しちゃうのね。

舞台のBGMとしては、既製の音楽を使ったり、著作権フリーの音源を使ったりするコトもありますが、最近ではちゃんとプロの音楽家の方に専用の曲を作って頂く現場も多くなってきました。
その作品専用の音楽ですから、世界観がぴったり合っています。特に重要なシーンなどでは、ストーリーの進行と音楽とが同じタイミングで盛り上がるように作って頂いたりもします。ちょっと長めの、ドラマチックな展開をする音楽が、俳優の演技とシンクロするように盛り上がっていったりするとカッコイイでしょ。そういうのも作品専用に作って頂いたからこそです。まあ、必ずしもそんな音楽ばかりではありませんが、そういう場合もあるってコトですよ。

新感線の音楽といえば岡崎司さん。ここ20年ほどはほとんど全ての劇中音楽を司さんに作って頂いております。毎回毎回ですからもう本当に大変だとは思うのですが、お陰で素晴らしい音楽と共に公演を行うことができております。全部合わせると相当な曲数のBGMを作って頂いていると思いますよ。
もちろん「けむりの軍団」でも素敵なBGMを作って頂いております。ありがとうございます。

しかし! なんか今回はBGMってカンジじゃないんですよね。「けむりの軍団」ではあえて「劇伴」と呼びたくなるのですよ。あくまで感覚の問題ですが、BGMというと近年の言い方で、劇伴というと昭和の映画ってカンジなのですが、まさにその感覚です。
クロサワ映画で流れそうな、フルオーケストラの壮大な劇伴。軽快なブラスが跳ねるかと思えば、ワザと不協和音を奏でるストリングス。不穏な足音のようなティンパニが鳴れば、長閑なメロディーをピッコロが吹き鳴らす。そして、全体的に泥臭いようなモッタリした雰囲気。まさにクロサワ映画な劇伴が満載です。

今回はヘビメタは封印して、いかにも時代劇な空気を堪能して頂きたいと思います。7/15から東京公演が始まり、9月に福岡に、10月には大阪にも行きますよ。もちろん歌も踊りもチャンバラもありますが、全体としては会話劇なんですよね。舌先三寸で乱世を渡り歩く男たちの大冒険をお楽しみ下さい。

本文とは関係ありませんが、原宿のキャットストリートで見つけた妙なインベーダーモドキ。

【著者プロフィール】
粟根まこと
あわねまこと○64年生まれ、大阪府出身。85年から劇団☆新感線へ参加し、以降ほとんどの公演に出演。劇団外でも、ミュージカル、コメディ、時代劇など、多様な作品への客演歴を誇る。えんぶコラム「粟根まことの人物ウォッチング」でもお馴染み。

【出演情報】
2019年 劇団☆新感線 39興行・夏秋公演
いのうえ歌舞伎《亞》alternative『けむりの軍団』
作◇倉持 裕
演出◇いのうえひでのり
出演◇古田新太/早乙女太一 清野菜名 須賀健太 高田聖子 粟根まこと/池田成志 ほか
7/15~8/24◎TBS赤坂ACTシアター、9/6~23◎博多座、10/8~21◎フェスティバルホール(大阪)

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