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【ノゾエ征爾の「桜の島の野添酒店」】No.82「生まれ故郷」

「出身地」問題がある。
小学校の終わりまであちこちを転々としてたので、出身と言われるとなんとも答えづらいわけなのだが、
なので基本的に「岡山生まれ」と記すようにしている。
すると人は、「生まれ」に含まれるニュアンスまでは汲み取ろうとなんてしないので(当然か)、
普通に「ノゾエさん岡山なんですね!」と言われるわけだ。
それが岡山の人となると、それなりのテンションとなる。
そしてすぐにそのハイになった気持ちを落とす羽目になる。

岡山で生まれたけど、それは母が岡山だから岡山で生まれただけで、
別にちゃんと住んだわけでもなく、
しかしじゃあ本当に生まれただけかと言われれば、そうでもなくて、
祖父母や親戚がいたので、それなりによく行ってはいたし、
天満屋の屋上でよく遊んでたし、小さい時からやまとのラーメン大好きだったし、今でも一番好きなラーメンだし、たこ公園とかでよく遊んでたし、あ、でも全然詳しくないス!あ、でも大好きス!でも全然詳しくないス!
などと、ともかく、微妙なのだ、この生まれ故郷。
そんな岡山で、この度、ワークショップをさせていただく機会があった。
演劇で初めて岡山と関われた。と言うよりも、演劇をやってたから関われたと言えるだろうか。
日中ちょっと時間があったので、界隈を散策したのだが、
近々取り壊されるという母の母校の小学校や、その向こうの旭川、朝市、岡山城、後楽園、ラーメン、えびめし。
あちこちに、むかーしの自分の残像があるというか。
要は特別な街なのだな。ふむ。
また行きます!後楽園、時間がなくてダッシュで突破しただけだし。

 

【著者プロフィール】

ノゾエ征爾
のぞえせいじ○1975年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の1999年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。2011年の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された

 

【今後の予定】

・はえぎわ番外公演「お化けの進くん」
2020年2月28日~3月10日
@イマジン・スタジオ

https://event.1242.com/special/haegiwa/

 

▼▼前回の連載はこちら▼▼

http://enbu.co.jp/nikkanenbu/nozoe81/

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