【ノゾエ征爾の「桜の島の野添酒店」】No.104「劇場」
新宿シアタートップスでの、劇団公演が無事に終わりました。
おかげさまでとか、軽々しく言えないくらい、本当に様々なおかげで公演をし、終えることができた。
まずは何よりも、本多劇場グループさんが、新宿シアタートップスを開場してくださったということ。
シアタートップスと言えば、あらゆる先輩たちが公演を行なってきた聖地のような場所だった。いつか自分も、と夢の一つを抱いておりましたが、叶わぬまま、シアタートップスは一度なくなりました。
それが今年、いきなり本多劇場グループさんからご連絡をいただきまして、この夏に、本多劇場グループとして新宿シアタートップスがリスタートすることを知らされた。
このコロナ禍の中で、新たに劇場をスタートさせることが驚き。そして感銘。
加えて、そのオープニングシリーズの一つをはえぎわにご依頼いただいたことも驚き。
二つ返事でやらせていただくことに。
そう、はえぎわ、この話をいただけていなかったら、次はいつ公演を打てていたか分かりません。2020年の2月にコロナで中止になって以降、次回公演の予定を立てれずにいたのです。
なので、劇場がオープンしたことも、劇団公演を不意にやらせていただけことも、さらにはそれがシアタートップスだったということも、なんか、コロナでの悲惨の連続を取り戻すかのように、幸なことが重なった。
人は、感謝をエネルギーにできた時に、わりととてつもないエネルギーを持つもので、
今回のはえぎわでの創作では、終始アグレッシブな気持ちでいることができた気がする。
何か、とても大きな何かを掴ませてもらったような気がした。
「ないものを浮かび上がらせる演劇や劇場に対する賛歌。
そんな演劇を見ることに対して価値を見出す人への賛歌。」
今作をそう評してくれた一般人の知人のこの言葉がとても嬉しかった。
僕は、やはり、演劇に救われ続けていることを実感した。
それが行われる劇場に、20数年演劇やってきて、初めて手をついてお礼をした。
【著者プロフィール】
ノゾエ征爾
のぞえせいじ○1975年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の1999年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。2011年の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された
▼▼前回の連載はこちら▼▼
http://enbu.co.jp/nikkanenbu/nozoe103/
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