【粟根まことの「未確認ヒコー舞台:UFB」】第103回「二部・三部構成芝居」
明けましょう! おめでたいでしょう! お正月! もう令和二年ですよ。そりゃ元年が短かったからね。どうぞ令和二年もよろしくお願い致します。
そんな平成三十一年であり令和元年だった昨年には五本の舞台に出演しましたが、年末には上演時間四時間十五分の公演に出演し、しかも四日間毎日二回公演で、さらに年越しカウントダウンイベントも行いました。これって今年の出演舞台に加えてもいいのかな? もしそうなら、既に今年一発目の出演も終えてしまっている私です。
四時間十五分の上演時間となった「明治座の変 麒麟にの・る」は演劇製作会社る・ひまわりさんと明治座さんがタッグを組んだ年末の風物詩で、今回で九年目だそうです。四時間十五分と言いましても、本編二時間十五分のお芝居(一幕と二幕の間に三十分の休憩あり)の後にまた三十分の休憩を挟んで一時間ほどの歌謡ショーがあるという二部構成の舞台でした。つまり本編は合計しても三時間十五分。一部がお芝居で二部が歌謡ショー。途中で趣も変わりますから、意外と時間も気にならずに楽しめたと思います。
こういった二部構成やあるいは三部構成の舞台も結構多いのです。一番有名なのは、かつては新宿コマ劇場、そして今はやはり明治座さんでしょう。いわゆる「座長公演」と呼ばれる、有名な歌手や芸人さんやタレントさんが座長を務める作品。一部が座長を主演とした演劇で、二部が歌謡ショー。もちろん順番が逆の場合もありますが、そのバラエティに富んだ内容と、有名タレントを間近に見られる興奮も相まって、とても満足度が高いのではないでしょうか。 更に休憩時間には館内のレストランで食事をとったり、枡席の座席にお弁当を届けてもらったり、ロビーにある様々な売店で買い物をしたりと、多彩な楽しみ方もできます。
これが大衆演劇になりますと三部構成になる場合もあります。先日拝見した早乙女太一さん座長の「劇団朱雀 復活公演」も一部・舞踊ショー、二部・お芝居、三部・歌謡ショーという三部構成になっておりました。これがもうお見事! 座長である早乙女太一さん、弟の早乙女友貴くん、お父さんの葵陽之介さん、そして座員の皆さんとゲストの皆さんが全力で盛り上げる大芝居。それぞれの得意技である芝居、歌、舞踊、殺陣をふんだんに盛り込んだ作品で、全く飽きさせない構成になっていました。
そうなんですよね。二部・三部構成の舞台って、全く毛色の違う趣向で楽しませることができるので、長時間でも面白いんですよね。
劇団☆新感線でもかつてこの手法に憧れて、二部構成の舞台を行ったことがあります。1992年の「劇団☆新感線一座興行」では一部がお芝居で二部が歌謡ショーでした。芝居の稽古や歌や踊りの稽古がたくさんで大変だった記憶がありますが、とにかく楽しかったコトも確かです。何でしょうね、こういう興行ってなんだか高揚するんですよね。祭感というか「ハレ」感というか非日常感というか、とにかく楽しく盛り上がった気分になるのです。
短い舞台もいいし、長い舞台もいい。おのおの楽しめるように作っておりますので、それぞれお好みの方法でお楽しみ頂ければ幸いです。てなワケで、2020年もどうぞよろしくお願い致します。
内容とは関係ありませんが、地下鉄で見つけたマナー向上ポスター。浮世絵と近未来車両がコラボしていて素敵ですが、なんだコレ感満載。
【著者プロフィール】
粟根まこと
あわねまこと○64年生まれ、大阪府出身。85年から劇団☆新感線へ参加し、以降ほとんどの公演に出演。劇団外でも、ミュージカル、コメディ、時代劇など、多様な作品への客演歴を誇る。えんぶコラム「粟根まことの人物ウォッチング」でもお馴染み。
【出演情報】
2020年劇団☆新感線39興行・春公演 いのうえ歌舞伎『偽義経冥界歌』2/15〜3/24◎TBS赤坂ACTシアター、4/4〜28◎博多座
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