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野村萬斎が主演する不朽の名作『子午線の祀り』が開幕!

「平家物語」に材をとり、日本演劇史上に燦然と輝く不朽の名作『子午線の祀り』が、2 月 21日、KAAT神奈川芸術劇場で初日を迎えた。(27日まで。のち名古屋、久留米、兵庫、東京公演あり)

『子午線の祀り』は、「平家物語」を題材に“天”の視点から人間たちの葛藤を描き、平知盛や源義経をはじめとする源平合戦に関わった登場人物たちを躍動感をもって浮き彫りにし、心理描写も巧みな壮大な歴史絵巻に仕立て上げた。また日本語の“語り”の美しさと荘厳な響きを引き出す群読という独特な朗誦スタイルが随所に用いられ、演劇史に確固たる地位を築いてきた。

そして2017 年に野村萬斎の新演出により世田谷パブリックシアターで上演。世田谷パブリックシアターの芸術監督として長年にわたり、古典と現代が融合した作品を数多く演出してきた野村萬斎の集大成ともいえる本作は、宇宙的な視座を持つ作品の深い考察、個人と全ての人間の運命を包み込む宇宙の対比、朗誦による日本語の美しい響きと身体性を活かしたダイナミックな演出が高く評価され、読売演劇大賞最優秀作品賞をはじめ、数々の演劇賞に輝いた。野村萬斎の新演出で上演し、数々の演劇賞を受賞した。

その名作を2021年初頭に、コロナ禍の中で上演するにあたり、2017 年版をベースに再構成し、2021 年版として新たに生まれ変わった。

【物語】
歴史上名高い源平の合戦。次第に平家の旗色は悪くなるばかり。兄・宗盛(河原崎國太郎)に代わり平家軍を指揮する平知盛(野村萬斎)は、一の谷の合戦で、源義経(成河)の奇襲を受け、海へ追い落とされる。以来、武将となって初めて自分に疑いをもちつつ、知盛は舞姫・影身の内侍(若村麻由美)を和平のため京へ遣わそうとする。

平家を支える四国の豪族・阿波民部重能(村田雄浩)は、三種の神器を盾に主戦論を唱え、知盛を立てて新しい日本国の存立を画策しようとする。知盛は平家滅亡を予感しながらも、後白河法皇の過酷な要求を拒絶し、徹底抗戦の道を選ぶのだった。

一方、源義経は、兄頼朝から目付役として遣わされた梶原景時(吉見一豊)と対立しならも、源氏方の先頭に立って慣れぬ海戦も乗り越え、ますます勢いづいていく。そして、ついに両軍は壇ノ浦の決戦の日を迎える—–。

 

【コメント】
その舞台の初日を終えた現在の心境や、本作・自身の役の魅力について野村萬斎らがコメントを寄せた。

野村萬斎[演出・出演]:新中納言知盛
『子午線の祀り』という戯曲そのものが持つ宇宙観を生かしながらも、より凝縮した“ドラマ”になった。そんな手ごたえを感じています。シェイクスピアは『ハムレット』の中で、「演劇は自然(時世)を映す」と書きました。人間があがきながらも一生懸命生き、活路を見出そうという姿が、このコロナ禍という非常事態下においてこそ、より際立ち、新しい『子午線の祀り』を作り上げることができたと思います。

大きな歴史の流れの中で、一人の人生は小さな物かもしれないけれど、すっくと力強く立っている。そう実感していただく機会になればと思います。

喜びも悲しみも、人々が一体となって共有するのはテレビやリモートではできない、劇場ならではのこと。木下順二さんの戯曲が持つ言葉の豊かさと、皆さんの想像力によって広がる世界観で、演劇はすごいなと感じさせる作品です。『子午線の祀り』で、皆さんの演劇ライフを復活させられたら。そう願っています。

成河[出演]:九郎判官義経
やはり巨大な戯曲なので、簡単には越えられない山に全員でタックルして、立ち向かっているという感じですね。とにかく手強いスケールの大きさです。

これからツアーにも行きますが、それぞれの土地によってお客様の空気感は違うだろうと思います。色んなところで色んな人たちに観ていただいて、そこでまた鍛えられて、その上で検証すべきところがまだまだ詰まっている戯曲です。

この戯曲は、初めての方には必ずしもとっつきやすいものではないかもしれませんが、日本語の魅力を再認識することができると思うので、現代人として、一緒に立ち向かってほしいなと思います。

こういう状況の中での初日でしたが、観たいと思って来てくださったお客様の熱気を感じました。無事に終えてホッとしています。

河原崎國太郎[出演]:大臣殿宗盛
2021 年版の『子午線の祀り』は日々進化・進歩していくような作品だと思います。もちろん初日に完成を目指して稽古してきましたが、そこから更に積み重なっていくものだと思います。ツアーに行く先々で少しずつ進化していく作品になるはずです。期待して観ていただければ嬉しいですね。我々も「地域の皆様へ」という想いも含めて伺うつもりです。

皆様の明日の活力になるような舞台をこれからもお届けしていきますので、存分にお楽しみください。

吉見一豊[出演]:梶原平三景時
木下順二さんの作品に出演させていただくのは初めてです。その中でももはや伝説の作品とも言える『子午線の祀り』に出演できたことを、とても光栄に感じています。

40年以上前に創られた実験的な作品ですが、当時と比べ演劇界におけるイデオロギーが無くなった現代においても古くならない、実にエネルギッシュな作品。「平家物語」がベースではありますが、真面目になりすぎないよう、良い意味で戯曲との距離感を保ちながら挑んでいきたいと思います。

また、私にとってはコロナ禍となってから初のツアー公演でもあります。全国の皆様にこの作品のエネルギーをお伝えできるよう、心して務めたいと思います。

村田雄浩[出演]:阿波民部重能
ようやく初日を迎え「辿り着いた」という気持ちです。再演で内容自体は変わらないけれど、このご時世で変更した部分やセットも前とは全然違っているので、初日は初日で1つの完成した作品をお見せしましたが、これからももっと色々なことができると思っています。萬斎さんもきっとこれで満足はしていないでしょうし(笑)、これからどういう風になるか。会場によっては空間の使い方も変わって、よりぎゅっと凝縮された見え方になると思います。そういう意味でも、これから日に日に期待していっていただきたいです。

1回でなく、もしよろしければ2回3回観ていただけると、違うものが観られると思いますので、お待ちしております。

 若村麻由美[出演]:影身の内侍
まず、スタッフキャスト全員揃って初日を迎えられ感無量です。感染症予防対策にしっかりとご協力くださったお客様方がとても温かいカーテンコールをくださり、マスクの下の笑顔が見えた気がしました。劇場に共にいる喜びを分かち合い一期一会のタイムトラベルを千穐楽迄果たします。

『子午線の祀り』は源平合戦ですが、親子や兄弟の話でもありグッと身近に迫るものがあります。知盛は息子を見殺しに逃げた自分を許せず、全ては運命だったのかと影身に問い続けます。影身とはプラトニックラブですが、影身が殺された後は、知盛の心の声となります。非情の相を見極めよと伝える影身の言葉が、2021年の皆様にどのように聞こえるのかとても興味深いです。

【公演情報】
『子午線の祀り』
作:木下順二
演出:野村萬斎
音楽:武満徹
出演:野村萬斎 成河 河原崎國太郎
吉見一豊 村田雄浩 若村麻由美
星智也 月崎晴夫 金子あい 時田光洋 松浦海之介
岩崎正寛 浦野真介 神保良介 武田桂 遠山悠介 森永友基
●2/21~27◎KAAT 神奈川芸術劇場<ホール>
〈料金〉S席8,500円 A 席5,000円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
U24 チケット(24 歳以下)4,250円 高校生以下割引1,000 円 シルバー割引(満 65 歳以上)8,000 円
※U24、高校生以下、シルバー割引は、チケットかながわの電話・窓口・WEB にて取扱(前売のみ、枚数限定)
〈お問い合わせ〉KAAT 公演:チケットかながわ 0570-015-415(10:00~18:00)
〈公式サイト〉https://www.kaat.jp/d/shigosen2021

●3/3・4◎名古屋公演 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
〈お問い合わせ〉メ~テレ事業  052-331-9966
●3/7・8◎久留米公演 久留米シティプラザ  ザ・グランドホール
〈お問い合わせ〉0942-36-3000
●3/13・14◎兵庫公演 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
〈お問い合わせ〉0798-68-0255
●3/19~30◎東京公演 世田谷パブリックシアター
〈お問い合わせ〉世田谷パブリックシアターチケットセンター 03-5432-1515 (10~19 時)
撮影=細野晋司

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