人気劇画が超大作ミュージカルとして明治座に登場!中川晃教主演『チェーザレ 破壊の創造者』製作発表会見レポート
明治座が1873年の創業以来初となるオーケストラピットを稼働して、本格ミュージカル製作に挑む話題作、ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』が、4月13日~5月11日まで、日本橋浜町の明治座で上演される。
『チェーザレ 破壊の創造者』の原作は、惣領冬美により「モーニング」(講談社)に不定期連載されている累計140万部突破の大ヒット歴史漫画。15世紀のルネッサンス期イタリアを舞台に、イタリア半島の統一から欧州統一の野望を抱いた名門ボルジア家の後継者、チェーザレ・ボルジアの戦いが、歴史に名高い同時代に生きた人々と共に描かれていく。
この作品を宝塚歌劇団在団中から数々の名作を世に送り出してきた荻田浩一脚本、独自の世界観で注目を集める小山ゆうな演出、ミュージカルに留まらず、多くの話題作を手掛ける島健音楽という、豪華スタッフで、明治座が初めてミュージカル化。26年前に新装なった明治座に、実は作られていたというオーケストラピットが初めて使用され、生演奏での本格ミュージカルが上演される。
そんな作品の製作発表会見が1月都内で開かれ、主演のチェーザレ・ボルジア役の中川晃教、チェーザレに生涯忠誠を誓う腹心のミゲル・ダ・コレッラ役の宮尾俊太郎、「神曲」で知られるイタリアの詩人ダンテ・アリギエーリ役の藤岡正明、ボルジア家を支援するフィレンツェ共和国の実質的支配者ロレンツォ・デ・メディチ役の今拓哉、ルクセンブルグ家の初代当主にして神聖ローマ帝国の皇帝ハインリッヒ7世役の横山だいすけ、チェーザレの父ロドリーゴと教皇の座を争う政敵ジュリアーノ・デッラ・ローヴェレ役の岡幸二郎 、チェーザレの父ボルジア家の当主ロドリーゴ・ボルジア役の別所哲也の、シングルキャストの面々。また若手俳優たちは、2チーム制のWキャストで“スクアドラ ロッサ”からは、原作開始からしばらくはこの役柄の目線でドラマが進んだ学生時代のチェーザレのライバル、アンジェロ・ダ・カノッサ役の松田凌、ロレンツォの次男ジョヴァンニ・デ・メディチ役の平野良、アンジェロと同じ平民出身で博識のロベルト役の鈴木勝吾。“スクエア ヴェルデ”からアンジェロ役の山崎大輝、ジョヴァンニ役の風間由次郎、 ジョヴァンニの取り巻きドラギニャッツォ役の近藤頌利、ロベルト役の木戸邑弥が集結。更に、演出の小山ゆうな、明治座常務取締役の三田光政エグゼクティブ・プロデューサー、そして公演を後援するイタリア大使館のジョルジョ・スタラーチェイタリア大使が登壇。公演への抱負と期待を語った。
【登壇者挨拶】
三田 明治座の三田でございます。本日はお忙しい中ありがとうございます。明治座は今年創業147年になりますが、初めてのグランドミュージカルを製作させて頂きます。明治座は26年前に建て替えた時に、オーケストラピットを作っていたのですが、26年目にして初めて開けまして、ここにいらっしゃる素晴らしいキャストの皆さまと、グランドミュージカル『チェーザレ』を製作させて頂きます。これまで明治座は色々なチャレンジをしてきております。『SAKURA』という作品はカザフスタンで公演をさせて頂くなど、世界に向けた作品を何作か作らせて頂いて参りましたが、今回の『チェーザレ』は、ヨーロッパを舞台にした作品ですので、日本オリジナルの作品として、世界を目指すミュージカルに作っていきたいと考えております。演出の小山(ゆうな)さんや荻田(浩一)先生の脚本、ここにいらっしゃるキャストの皆さんとともに、この2020年明治座が一番力を入れている作品ですので、是非皆さまご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
小山 大好きなイタリアを舞台にした作品で、歴史ある明治座さんが初めてオーケストラピットを使うという大切な作品に関わらせて頂くことを、大変光栄に思います。そして、惣領冬実さんの原作、荻田さんの脚本、島健さんの美しい音楽がありまして、そしてここにミュージカル界の宝物、キャストの皆さんがいらっしゃいますので、みんなで良い作品にしていけるように、私も全力を尽くしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします
中川 皆様今日はお忙しい中ありがとうございます。チェーザレ・ボルジア役をやらせて頂きます中川晃教です。今、ちょうど(ミュージカル『フランケンシュタイン』の)ビクター・フランケンシュタインを演じているところで、科学者の、ちょっと変わった役を演じていますが、近年、僕が関わらせて頂いている役、年齢をざっと振り返ってみると16歳が多い。僕の実年齢は37歳です(笑)。チェーザレも16歳から始まります。そういう意味では、年を重ね、経験を重ねさせて頂きながら、今自分がこうして、この場に立つことができていることがありがたいです。そして、このオリジナルのヨーロッパを舞台にした、でも今の私たちが生きる時代と、どこか共通するもののある作品。簡単に言えばチェーザレはリーダーです。その強い力を持ったリーダーであるチェーザレが、どのように成長していくのか。そしてこの素晴らしいキャストの皆さん、ミュージカル俳優の大先輩の皆さん、そして実力、人気ともに兼ね備えている、同い年の藤岡(正明)さんや、僕より若い皆さん。そして、バレリーノの宮尾(俊太郎)さん。こうした大きく分けると三つの層の中で、更にミュージカルが盛り上がっている今の時代に、この新作を成功させる為に、自分の人生が重なるような、そんな物語をお届けできるように頑張っていきたいと思っております。どうぞ皆様、応援をよろしくお願いします。
別所 チェーザレ・ボルジアの父でございます。よくできた息子でしょ?あまりにも息子が素晴らしい説明をしてくれましたので、私の方からは、このロドリーゴという人物、権力、財力、知力、力のあるものが美しい、それが全てだと思っている父親像をどこまで演技力、歌唱力で迫っていけるか。今日集いし、素晴らしいメンバーが揃いましたので、それぞれの魅力が花開く舞台になると思います。舞台上で皆様からパワーを頂いて頑張りたいと思います。先ほど司会の方が(このキャストを)キラキラしているとおっしゃっていましたが、ここからこっち(自分から左側、岡、今を示し)はギラギラしています(爆笑)。ギラギラ系です。役柄上ですよ!(笑) 私は『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』、最近ですと『マイ・フェア・レディ』などに関わらせて頂いておりますが、このようなオリジナルのミュージカルが日本から発信されることを、とても嬉しく思いますし、これが世界でどのように受け止められるのか。韓国ミュージカルが今非常に注目を集めていますが、日本のオリジナルの作品が世界の人の目に留まるように。そして明治座で上演して、次はローマ公演なんかができたら、大変嬉しいなと思います。そんな風に思いながら、今日をスタートに、ここにいる仲間と共に、中川さんを中心にやっていけたらと思っております。どうぞよろしくお願いします。
宮尾 ミゲル役をやらせて頂きます宮尾俊太郎です。僕は普段バレエダンサーとして、全く声帯を使わない仕事をしています。先ほど小山さんに確認したところ、たぶん今回僕は踊らないということなので、歌とお芝居でこのドラマを作らせて頂くということになると思います。僕はイタリアが大好きで、モーターで言えばフェラーリ、ファッション、そしてオペラやバレエの発祥もイタリアということで、この作品はちょうどルネサンス期、そういった文化・芸術が構築されていった時代の人間ドラマですので、ここに集まった方々と、その空気を作って、皆さんに味わって頂けたらと思っています。そして僕自身のミゲルという役は、中川さんの演じられるチェーザレの側近ということで、危険なことがあれば、すぐにどこからともなく飛んできます。なので、僕も役作りのために、まずは中川さんの近辺を護衛しまので(中川に向かい)安心してお過ごしください(笑)。どうぞよろしくお願いします。
岡 ジュリアーノ役の岡幸二郎と申します。この話を頂いた時にキャストを見て「あっ明治座さん本気だな」と思いました。ほぼ二つ返事でやらせて頂きますとお返事したんですけれども、明治座で初めてオーケストラピットを使う。そしてオリジナルということで、素晴らしいミュージカルがきっと出来上がると確信して、 私もそのひとコマになれたらと思っております。私のやる役なんですけれども、ここに居る出演者の中で一番黒い役だと思います。私は最近憎たらしい役しかやっておりません(笑)。今回は(パネルを示して)そこにも写っておりますが憎たらしいですね(笑)。憎たらしい役というのは、憎たらしければ憎たらしいほど、正義が素敵に見えるかなと思っておりますので、小憎たらしく演じられたらと。どうぞよろしくお願いします。
藤岡 ダンテ役を演じさせて頂きます藤岡正明です。先ほど、中川君が振り返ってみると最近16歳の役ばかりやっていると言っていましたが、憎たらしい話ですよね~(笑って会場に)笑うところですよ(笑)。僕自身を振り返ってみますと、近年はずっと労働者の役をやってきました。労働者枠という新しいジャンルを務めております(笑)。今回『チェーザレ』のお話を頂いた時に、貴族の方々がいっぱい出る、今度こそ貴族ができるんじゃないか?と思っていました!違いましたね。ボロボロの衣装でした(笑)。ただ、偉大な詩人ダンテを演じさせて頂くということで、また明治座さんが初めて超大作ミュージカルに打って出るということで、これは他の興行会社さんを凌いでいる、これからは明治座の時代だ!と中川さんが言ってました(爆笑)。海外ミュージカルなにするものぞ!の歴史の幕開けの瞬間をぜひ期待して、劇場に足を運んで頂けたらと思います。劇場でお待ちしております。
今 ロレンツォ・デ・メディチを演じさせて頂きます今拓哉です。僕は明治座3回目の出演です。最初は『天璋院篤姫』で将軍を、次は『細雪』で元子爵の役でした。そして今回はメディチ家の中でも一番偉大と言われているロレンツォ・デ・メディチです。ね!(と、藤岡に勝ち誇るように言うので、会場大爆笑)。3回目ということで、やっと明治座さんの馴染みになれるかなと思っていますが、馴染みになるにはそれだけのお芝居と作品がついてこなければいけないなと思っております。明治座3回目の出演ですが、あそこにオーケストラピットがあることを知りませんでした。でも、あの空間で生オケで、どんな響きが生まれるのか、どんな歌が生まれるのか、どんなドラマが生まれるのか、今から楽しみでなりません。ワクワクしております。ロレンツォは芸術、政治、経済、宗教すべてのHUB(中心)にあった人だと思います。今回、新しい作品を作るにあたり、色々な年代、そしてキャラクターのHUBになれるように、稽古、本番通して励みたいと思います。よろしくお願いいたします。
横山 皆さんこんにちは!ハインリッヒ7世役の横山だいすけです。この素晴らしいキャストの皆さんとともに、明治座の舞台に立てることを嬉しく思います。冒頭で三田さんが「明治座は色々なチャレンジをしている」というお話をされていましたが、まず僕をキャストに入れたことが、だいぶチャレンジだったんじゃないかと思いました。本当に声をかけて頂いた時に、先ほど藤岡さんが労働者の役が多かったとおっしゃっていましたが、僕は9年間歌のお兄さんをやってきておりますが、こういう形で参加させて頂くにあたり、役柄が伝説の皇帝というだいぶ重い感じのお役を頂いてしまいました。これまでは笑顔や変顔を中心にやってきましたが、今回はビジュアル写真を見て頂いた通り変顔は一切ございません。 「変顔とかしたくなってしまうのですが」と写真撮影の時に言ったのですが「一切いりません」と言われました(笑)。今回はそういうものを一切消して、伝説の男になれるように頑張りたいと思います。また、明治座初のオーケストラでの公演ということで、この『チェーザレ』がいつか伝説のミュージカルと言われるよう、力になれたら嬉しいなと思います。一生懸命頑張りたいです。どうぞご声援よろしくお願いいたします。
松田 この作品は、本当に多くの方が製作に携わってくださっていまして、明治座の新しい試みのもと、素晴らしい歴史の中に新たな1ページを刻むという作品に、自分も参加させて頂けること光栄に思います。今年4月、いま自分の持てる全ての力を出し切って、舞台の上に立たせて頂きたいと思っております。何卒、皆さま応援のほど、よろしくお願いいたします。
平野 ジョヴァンニ・デ・メディチ役の平野良です。よろしくお願いします。明治座さんで初の試みであるオーケストラピットを使ってのグランドミュージカル。そして、僕が尊敬して止まない中川晃教さん主演ということで、そして本当に客席から観ていて、いつかご一緒したいと思っていた大先輩と、この素敵な作品で携われるということを幸せに思います。今回は、今さんの息子ということで、困ったら何でも今さんに聞きにいこうと思っております(笑)。この関係性で最後まで、高貴であり、威厳のあるメディチ家を作っていけたらと思っております。どうぞよろしくお願いします。
鈴木 鈴木勝吾と申します。今回、本当に僕自身も初めてのグランドミュージカルに参加させて頂きます。明治座さんにとっても大きな節目になる作品になるのではないかな?と思っております。また、若手チームはダブルキャストで分かれているのですが、自分のチーム(スクアドラ ロッサ)だけを言いますと、公私ともに信頼のおける俳優の仲間と一緒できることはとても光栄です。更に周りを見ると、尊敬している大先輩方と同じステージに立てるということを噛み締めながら、稽古初日から千秋楽まで頑張っていきたいと思います。どうぞ最後まで応援よろしくお願いいたします。
山崎 アンジェロ・ダ・カノッサを演じさせて頂きます山崎大輝です。よろしくお願いします。本当に錚々たる先輩方の中、24歳の僕がおそらく最年少になるのですが、とにかく皆さんから色々なものを吸収して、成長して行きたいと思っております。僕が演じるアンジェロという役は、おそらく『チェーザレ』を観に来る方の視点になれる役だと思っています。 ですから、観に来てくださった皆さんを、この『チェーザレ』という素晴らしい作品に引き込めるように演じていけたらと思っておりますので。皆さんどうか応援よろしくお願いいたします。
風間 ジョヴァンニ役を演じます風間由次郎です。皆さん今日は本当にありかとうございます。僕自身、漫画やアニメを観ることがすごく大好きなので、原作ファンの方にも楽しんで頂ける作品になったらと思っています。それと同時に演じるのは僕らなので、Wキャストである僕らの中でもガムシャラにやりながら、大人たちがやっている権力争いに巻き込まれているようで、僕らも実は悩んでいるような、そんな群像劇。僕らだからできるものがあると思っています。今からワクワクしております。僕のお父さんも今さんなので、双子のお父さんだと思って(笑)困ったら聞こうかと思っております。皆さま応援よろしくお願いいたします。
近藤 はじめまして。近藤頌利です。よろしくお願いします。歴史ある作品を現代で表現できるということがすごく幸せに思いますし、同時に素敵な俳優の皆さんとご一緒できることを幸せに思います。この作品の出演の話が来た時は「おっマジか!?」と思いました。何しろ僕は初ミュージカルです。挑戦です。努力に努力をして作品づくりの一員となれるように、精一杯頑張ります。よろしくお願いします。
木戸 ロベルト役をさせて頂きます。木戸邑弥です。本日はどうもありがとうございます。素敵な大先輩の皆さんに囲まれて、とても緊張していたのですが、先ほどから先輩方のお話を聞いて、とても愉快な先輩たちだなと安心しました。明治座さんの新たな挑戦ということで、僕自身もこの作品でどんどん挑戦していきたいと思います。演劇界に新たな風を吹かせるように頑張っていきますので、どうか皆さん応援のほどよろしくお願いいたします。
ジョルジョ・スタラーチェ 「(日本語で)皆様、こんにちは!」私にとりまして、今日ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』製作発表会に(俳優たちを示して)“イタリアの若者”と共に出席できることをとても嬉しく思っております。ありがとうございます。ルネッサンス期は、皆様ご存知だと思いますが、中世から15世紀に渡り、多くの芸術や哲学、絵画、彫刻などが花開いた時代になります。当時を代表する天才としてはレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロが活躍した、素晴らしい時期にあたります。イタリアの中世は、修道院や教会などが中心となった時期から、人物が世の中の中心となっていく時代でした。実はロレンツォ・デ・メディチ氏が当時書いた最も有名な詩がありまして、皆様のお話を伺いながら思い出しておりました。この詩を簡単にではありますが、ご紹介致します。“若いということは一瞬にして過ぎ去ってしまう、しかしそれが若さとして残る”というようなものです。こちらは“日常の毎日を大切にしましょう”という意味です。特に当時は、暗殺や、いつ何が起こるかわからない時代でした。ですから明日は無いと思って、毎日を大事にしましょうということを、メディチ氏が若者に託したメッセージだと思います。中世は裏切りや権力者同士の同盟が多く語られた時代でございます。ニッコロ・マキャヴェッリが『君主論』の中で、素晴らしい指揮官としてチェーザレ・ボルジアを書いていて、強い印象と感銘を受けたのではないかと思います。権力のためには色々な策略を行ったということは偶然ではなく、ある意味、目的が良ければ、その手段は選ばないということもあると思います。2020年日本はオリンピックイヤーとなります。その中で、明治座創立から147年を記念して、イタリアの国にヒントを得たミュージカルに取り組んで頂いたことに、改めて衷心より厚く御礼を申し上げます。 実は皆様にメモリアルイヤーについて、二、三、申し上げたいことがございます。実は2019年はレオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年にあたります。そして、今年2020年はラファエロ・サンティ没後500年です。彼らが5世紀前に亡くなったということを記念しまして、イタリアでは多くの回顧展やイベントが行われています。皆様もイタリアに行かれましたら、これらのイベントをご覧頂けたらと思います。私自身イタリア駐日大使として、日本とイタリアの友情の絆の証として、素晴らしいミュージカルを開催して頂けることに、心からお礼を申し上げたいと思います。この素晴らしいミュージカル『チェーザレ』に関わって頂いたスタッフ、関係者の方々、そしてご出演してくださる一人一人の成功を祈念してご挨拶とさせて頂きます。『チェーザレ』に出て頂いたからには、キャストの皆さんにも物語の舞台であるフィレンツェへ行って頂かなくてはなりません。ぜひご招待します!(喝采と拍手)
また、原作者惣領冬美からのメッセージも届き、「ミュージカルの持つ歌での語りや、心理描写がこの作品を通して入りやすくなるのではないか?と想像しています。宗教と権力、そして陰謀が渦巻くルネッサンス時代のイタリアを背景に、様々な策を巡らせながら、チェーザレがどのように舞台に息づいていくか、私も楽しみにしています」との、期待の言葉が代読された。
そんな、多くの出席者の熱のこもった挨拶の為、質疑応答は時間の関係で1問のみとなり、代表して中川に「チェーザレを演じるにあたって準備しておきたいことは?」との質問があり、中川は「原作を読むと、あらゆることに精通している人物ですが、今の作品はミュージカルですし、そこを“歌”で表現したい。それがミュージカルとしての見せ場にもなると思うんです。音楽という音色の裏側にある、チェーザレのクレバーな思惑を歌で表現できたら。あとは、馬に乗ること。演出の小山さんとお話すると、今作のイメージに“馬”という単語がよく出てきたので、どんな演出で馬が登場かるのかと…」と話すと、隣の藤岡が「それはお前が準備することじゃないだろう?」とツッコミを入れ、会場は笑いの渦に。それを受けて中川が「どんな演出が来ても、馬に乗ることができるようにしたいです!」と話し、和やかに会見の時間は終了となった。
続いて、歌唱披露が行われ、中川が劇中歌「チェーザレ」を熱唱。壮大なピアノの伴奏に乗せて「腐り果てた世界と神の家、正義が崩れ落ちるこの世の中で、自分こそが真の神の国、新たな世界を打ち立てる」というチェーザレの強い想いと野心を歌い上げる。ハイキーも多用された難易度の高い楽曲で、中川が主演のミュージカルだからこそ創造された楽曲だということが強く感じられた。
歌い終わった感想を問われた中川は「緊張しました。出来立てほやほやの『チェーザレ』というナンバーを今日はお届けしました。作品を代表する曲を通してお客様の心に爪痕を残す物語になれば」 と語り、作品への期待を高めていた。
【囲み取材】
また、こののち囲み取材も行われ、中川晃教、別所哲也、宮尾俊太郎、岡幸二郎、藤岡正明、今拓哉、横山だいすけが登壇し、終わったばかりの製作発表の感想を含めたトークが繰り広げられた。
──キャストの皆様の顔触れをご覧になって、どんな印象でしたか?
中川 実は僕の父を演じられる別所さんとは今日「はじめまして」なんです。
藤岡 ホントに?
中川 そうなの。だから、緊張感がありましたが、優しく声をかけてくださって感謝しています。この作品を創り上げていく一人としても、素晴らしい父を持ちましたし、また岡さんはミュージカルがはじめてというメンバーにとっても、おそらく何よりも信頼のおける方だし、今さんとはつい最近『怪人と探偵』という新作をご一緒させて頂いたばかりなので、すごく心強い皆様がいらっしゃるので、背中を押してくれる気がします。
別所 よくできた息子でしょ?(笑)彼が言ってくれたように、今回が初共演で、もちろん拝見はしておりましたし、他にも初共演の方が多いのですが、岡さんや、今さんはこれまで共に作品を創ってきた仲間ですから、皆さんと一緒に、新しいこの世界を組み立てていくのが心強いですね。男子ばかりですし、しっかりコミュニケーションを取りながら歴史に残る舞台をつくりたいです。
宮尾 僕がこれまでご一緒させて頂いたのは岡さんだけで、『ロミオ&ジュリエット』という舞台で、僕は踊らせて頂いていたのですが、今回は歌も歌わせて頂くということなので、皆さんと精進していきたいと思っております。
岡 先ほども言いましたが、このメンバーを見て明治座の本気度を感じました。(最後まで発表されなかったミゲル役の)もう一人は誰が来るんだろう、と思っておりましたら宮尾君で!さっき袖で「これでミュージカル俳優の仲間入りですね!」と言ったのですが、しっかりちゃんと地に足を着けたメンバーが揃っていて、後ろにいた若手の面々も、話を聞いていましたら一生懸命やってくれると思いますので、良い作品ができるのは間違いないんじゃないかと。日本発の作品をどんどん出して行こうとする、この流れに私達もちゃんと乗って、大きな作品として他の作品群に挑戦状を突き付けられるような、歴史に残る作品になると思います。
藤岡 中川晃教とは腐れ縁と言えるのではないかと言うくらい、何度も共演していますし、公私ともに仲良くしているからこそ、色々な話ができると思います。そういった意味で、その関係性が作品に良い作用をもたらせるようにしたいなと思っております。また、僕が22歳の時、『レ・ミゼラブル』でミュージカル初舞台を踏んだ時にお世話になった大先輩がいらっしゃいますし、『ミス・サイゴン』以来の方もいらっしゃいます。本当に皆さんと共に地に足のついたしっかりした作品にしたいなと思っています。個人的には僕の娘が、だいすけお兄さんと共演することを本当に喜んでおりまして、もうパパとしての仕事がすでにできた気持ちがしています!(笑)よろしくお願い致します。
今 凄い話だったね!でも再会できたメンバーもたくさんいますし、若い役者たちが自由に個性が活かせるような座組みにしたいです。オリジナルミュージカルなのでまだ形がありませんから、その為に集いし勇者の集まりなので、良い作品になるようにみんなで力を合わせてつくっていきたいと思います。
横山 僕は皆さんと「はじめまして」なのですが、少し前に皆さんとお話をさせて頂いて、本当に素晴らしい方ばかりなので、早く稽古が始まらないかなとワクワクしています。今日見て頂いたように、男ばっかりなので、男性同士の歌のぶつかり合い、ここまで男声一色というのは珍しいのではないかと思いますので、楽しみにして頂きたいですし、その中で僕の歌のカラーをどう皆様と混ぜていけるのかな?というのも楽しみで仕方がないです。
──まだまだお話を伺いたいのですが、時間に限りがありますので、最後に中川さんから皆様にメッセージをお願いします。
中川 今日は劇中歌を1曲披露させて頂きました。初めて曲を聴いた時に、オリジナルミュージカルが生まれてきた時って、世の中に流れている完成した曲を聴くのと違って、今、まさに出来立てほやほやの譜面、歌詞、音楽をいち早く、こうして皆様にお届けすることができる、オリジナルミュージカルってすごいな!と思っています。特に今はSNSなど色々な形で皆様に情報が届く時代なので、皆様のお力をお借りしながら、この題材に詳しい方はもちろん、そうでない方にも、色々な方に劇場に足を運んで頂けるように、我々がこれから創っていくこの『チェーザレ』の魅力、ミュージカルの魅力を、少しずつ皆様にお届けしながら、盛り上げていけるように頑張っていきたい!そんな気持ちを新たにしました。今日はたくさんの方々にお越し頂き、このミュージカルへの期待が高いことを実感しました。全身全霊で新たなミュージカルの幕開けに挑みますので、歴史ある瞬間に立ち会って頂けたら嬉しいです。どうぞ皆さんよろしくお願い致します。ありがとうございました!
【公演情報】
ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』
原作◇惣領冬実 『チェーザレ 破壊の創造者』 (講談社「モーニング」連載)
原作監修◇原基晶
脚本◇荻田浩一
演出◇小山ゆうな
音楽◇島健
出演◇中川晃教
宮尾俊太郎(Kバレエ カンパニー)
〈スクアドラ ロッサ〉 松田凌 平野良 井澤勇貴 鈴木勝吾 (Wキャスト)
〈スクアドラ ヴェルデ〉 山崎大輝 風間由次郎 近藤頌利(劇団Patch)木戸邑弥(Wキャスト)
藤岡正明/今 拓哉 丘山晴己 横山だいすけ/岡 幸二郎
別所哲也 ほか
●4/13~5/11◎明治座
〈料金〉S席 13,000円(1階席・2階席正面) A席8,000円(2階席左右)B席6,000円(3階席正面)注釈付B席(3階席左右)※ 注釈付B席は演出の都合上、舞台の一部が見えづらい可能性あり。
〈お問い合わせ〉明治座チケットセンター 03-3666-6666(10時~17時)
一般前売り開始 2月16日(日)10時~
〈公式サイト〉http://www.cesare-stage.com
(C)惣領冬実・講談社/ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』製作委員会
【取材・文/橘涼香 撮影/岩田えり】
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