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歌舞伎座「六月大歌舞伎」第二部『信康』市川染五郎 作品ゆかりの地を訪ねる!

 

歌舞伎座の6月公演「六月大歌舞伎」にて、市川染五郎が歌舞伎座で初めて主演を勤めることになった。

近年は歌舞伎以外にも、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で薄幸の美青年・源義高役で注目を浴び、劇場版オリジナルアニメ『サイダーのように言葉が湧き上がる』で主人公の声優に挑戦、シュウウエムラのアンバサダーをつとめるなど活躍の幅を広げている市川染五郎。「六月大歌舞伎」第二部では、平成8年9月以来久々の上演となる『信康』で主人公・徳川信康を勤める。

「六月大歌舞伎」(6月2日初日~27日千穐楽)は三部制で上演。第二部で上演される『信康』は、21歳という若さで命を落とした徳川家康の嫡男・徳川信康を、父・家康との心の葛藤に焦点を絞って描き、昭和49年に上演され、第三回大谷竹次郎賞(その年の優れた新作歌舞伎に贈られる賞)を受賞している。

天下統一目前の織田信長に抗うことができず苦悩する家康や、哀れさを漂わせつつも家のために潔く生きる信康の姿など、時代に翻弄された親と子の運命がドラマティックに描き出される感動作。

この度の久しぶりの上演では、タイトルロールの徳川信康を市川染五郎が勤める。さらに、信康の父であり後に江戸幕府を開く徳川家康には松本白鸚。祖父と孫の共演にも注目が集まっている。

その公演に先駆けて、5月13日、徳川信康ゆかりの地を市川染五郎が訪ねた。

演出の齋藤雅文と共に最初に訪れたのが、信康が城主をつとめたこともある岡崎城(愛知県岡崎市)。「三河武士のやかた家康館」で学芸員の説明に耳を傾け、展示されている資料を見つめる染五郎。

劇作家の齋藤雅文は、かつて同じ信康を描いた『反逆児』の舞台化を手掛けたこともあり、岡崎城にもつい先月訪れたばかり。『信康』の舞台でも、序幕は「岡崎城本丸書院の場」から始まることもあり、徳川家の居城として栄華を誇った土地に立ち、染五郎は初めて訪れた岡崎城で多くのことを吸収した様子。市内にある若宮八幡宮の首塚にも立ち寄り、手を合わせた。

織田信長に謀反の疑いをかけられたことにより、父・家康から岡崎城を離れることを命じられた信康は、岡崎から遠く離れた遠州二俣城へと移される。『信康』では、岡崎城の場面に続き、「二俣城外の丘の場」「二俣城本丸広間の場」へと場所が移る。

実際の信康がたどった足跡と同じく、岡崎城を訪ねた二人は、続いて静岡県浜松市の二俣城跡へと場所を移した。あいにくの雨の中だったが、二俣城跡はかつて信康が最期のときを過ごしたその面影を、わずかに残る石垣が映すよう……。

二俣城で自害した信康の墓は、すぐ近くの清龍寺にある。息子の信康を供養するために家康が建立した寺であり、「清瀧寺」の名も家康がつけたとされる。

悲運の武将・徳川信康の足跡をたどる旅の終着点は、自害した信康の墓がある清龍寺。

信康の墓は雨風を防げるように廟の中にあり、住職の案内で門が開かれると、墓前で染五郎と齋藤雅文が手を合わせる。雨のため、本堂にて行われた法要でも神妙な面持ちで手を合わせる染五郎。今回、ゆかりの地を訪ねた染五郎は、来月の舞台でどのような姿を見せるのか──期待が募るゆかりの地探訪となった。

【コメント】
市川染五郎
今回、自分が演じる役のゆかりの地を訪れることができ、大変嬉しかったです。来なければ分からないことがたくさんありますし、自分が想像していなかった角度からも信康のことを知ることができ、多くの収穫がありました。
信康が自害した二俣城跡は、事前にネットでも調べていましたが、今日実際に訪れてみて、何もないからこそ、「ここでこういうことがあったのだな」と想像することができ、より信康のことを知ることができました。ゆかりの地を訪れ、現代に生きる私たちには想像もつかないような覚悟を持って生きなければならなかった時代の信康の悲劇的な運命、強さを肌で感じることができました。今回は、齋藤さんに脚本・演出に入っていただき、新しい『信康』を作っていきたいと思っていますので、是非劇場にお運びいただければと思います!

齋藤雅文(演出)
この地に立ってみて、信康の切なさや、家康は本当に信康を愛していたのだなということを実感できた気がします。切ないけれど男らしい、いい物語になるような、大きなヒントをもらった気がします。そして、染五郎さんは信康という役にとても合っている方だということを、この地に来てさらに感じました。信康は激しいキャラクターですが、とても切なく、青春を生き抜いた男、いいドラマになると確信しました。期待してください!

《『信康』あらすじ》
徳川家康の長男・信康の居城。そこへ家康が突如来訪し、信康に謀反の疑いがかかっているとして叱責します。実はかねてよりその優秀さを警戒していた織田信長から、信康を始末するよう指示を受けた家康は、信康へ大浜の城で時を待つよう命じます。我が子を助けようとする父の気持ちを知りりながらも、信康は家の為に自らの命を差し出そうと決意し…。

【公演情報】
歌舞伎座「六月大歌舞伎」
6月2日(木)初日~27日(月)千穐楽
※開場は開演の40分前を予定
【休演】9日(木)、20日(月)
※片岡仁左衛門休演につき第三部の演目を変更しております

◎第一部 午前11時~

一、菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
車引

梅王丸 巳之助
桜丸 壱太郎
杉王丸 男寅
藤原時平 猿之助
松王丸 松緑
岡 鬼太郎 作
市川猿翁 補綴

二、澤瀉十種の内 猪八戒(ちょはっかい)

童女一秤金実は猪八戒 猿之助
孫悟空 尾上右近
沙悟浄 青虎
村長張寿函 寿猿
女怪緑少娥 笑三郎
女怪紅少娥 笑也
霊感大王実は通天河の妖魔 猿弥

※「澤瀉屋」の「瀉」のつくりは、正しくは“わかんむり”です

◎第二部 午後2時15分~

田中喜三 作
齋藤雅文 演出
一、信康(のぶやす)
岡崎城本丸書院の場
二俣城外の丘の場
二俣城本丸広間の場

徳川信康 染五郎
松平康忠 鴈治郎
平岩親吉 錦之助
本多重次 高麗蔵
大久保忠佐 坂東亀蔵
大久保忠泰 廣太郎
御台徳姫 莟玉
鵜殿又九郎 歌之助
奥平信昌 橘三郎
大久保忠教 宗之助
酒井忠次 錦吾
天方山城守 桂三
大久保忠世 友右衛門
築山御前 魁春
徳川家康 白鸚

二、勢獅子(きおいじし)

鳶頭 梅玉
鳶頭 松緑
鳶の者 坂東亀蔵
鳶の者 種之助
鳶の者 鷹之資
鳶の者 左近
手古舞 莟玉
芸者 扇雀
芸者 雀右衛門

◎第三部 午後6時~

有吉佐和子 作
ふるあめりかに袖はぬらさじ(ふるあめりかにそではぬらさじ)

芸者お園 玉三郎
通辞藤吉 中村福之助
遊女亀遊 河合雪之丞
岩亀楼主人 鴈治郎

※片岡仁左衛門休演につき第三部の演目を変更しております

〈料金〉1等席16,000円 2等席12,000円 3階A席5,500円 3階B席3,500円 1階桟敷席17,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹(10:00-17:00)0570-000-489
または東京 03-6745-0888 大阪06-6530-0333 チケットWeb松竹 検 索
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/761

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