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春のつかこうへい復活祭VOL.2『銀幕の果てに』矢島舞美・木﨑ゆりあ インタビュー

 

毎年恒例となっている紀伊國屋ホールのつか作品、今年は「春のつかこうへい復活祭」として、VOL.1の『熱海殺人事件』に続いて、VOL.2『銀幕の果てに』を連続上演する。この『銀幕の果てに』の原作は、1994年に発表された長編小説で、今回は初の舞台化となる。

秩父山中にある大東映画撮影所を舞台に、伝説の大女優の周りに起きた奇っ怪なエピソードや、撮影所に隣接する原子力発電所の意味、燃料棒の中に浮かび上がるハサミの謎など、映画界の裏側を描きながら繰り広げられる告発サスペンスだ。

いわば女優版バックステージ秘話と言えるこの作品で、伝説の女優「玲子」役で主演する矢島舞美と、彼女と対峙する大部屋女優「涼子」に扮する木﨑ゆりあ。期待の若手女優2人に作品への抱負を語ってもらった。

木﨑ゆりあ 矢島舞美

観るたびに貰えるものの量が増えていく

──この作品でお二人がそれぞれ演じる役柄は?

矢島 私の役は野火止玲子という伝説の女優で、17歳から60歳くらいまで演じます。大女優なので人前では堂々としているのですが、背負っているものが沢山あって、誰にも見せないそれを、次第にハサミで切るようにさらけ出していきます。そんな大女優玲子の抱えているものをしっかり見つめたいです。そして大部屋女優の涼子をいじめます(笑)。

木﨑 いじめられます(笑)。涼子は今回の脚本を読んで、私が一番やりたいと思った役なんです。ただ、難しい役なのでどう演じようかと悩んでいたら、先輩の味方(良介)さんが、『蒲田行進曲』を参考にするといいと教えてくれたので、映画版を観たらやっぱりヤスに釘付けになってしまって。ですからすごくやりたい役をさせていただけて嬉しいです。

──ヤスも大部屋俳優で大スターの銀ちゃんとの愛憎が描かれていましたね。お二人が観たつか作品の舞台の印象は?

矢島 『新・幕末純情伝』を観たのですが、言葉の熱がすごく伝わってきて、つかさんの言葉のパワーってすごいなと。そして人間から言葉は出るんだと思いました。

木﨑 私は『熱海』も『新・幕末』も何度か観ていますが、観るたびにどんどん深くなるんです。演じる人が変わるとまた新たに分かることがあって、観ていて貰えるものの量が増えていく。こちらが成長した分だけ貰えるものが多くなるんです。そこが、つかさんの作品の深さだと思います。

──岡村さんの演出はそれぞれ2回目ですが、どんな稽古場ですか?

矢島 昨年の『LADY OUT LAW!』で一番感じたことは、その時その時、役者が思った気持ちを大事にしてくださるんです。台詞についても「この台詞でなかったとしたらどんな台詞にしたい?」と、こちらの意見を聞いて変えてくださったり。役者が素直な気持ちで演じられるように、話し合いながら作ってくださるんです。

木﨑 私にとっては自分が一番熱くなれる稽古だなと。岡村さんの発する言葉は、つかさんの全てを知っていらっしゃる上で出てくるので、一言に重みを感じますし、稽古している中で、自分の想像力が足りなくて読み取れてなかった時など、悔しくてすごく燃やされます(笑)。

矢島 燃えますよね!(笑)頭ではわかっているし、そこに行きたい自分がいるのになぜ出来ないんだ! と悔しい。

木﨑 そういう「越えてこいよ」と言わんばかりの演出が好きなんです(笑)。

深い部分を考えられて想像力が膨らむ仕事

─お二人ともアイドルとして第一線で活躍してきたわけですが、その理由を自身で分析するとしたら?

矢島 やっぱり楽しかったというのが一番ですね。楽しくなければ何事も続けられないと思うんです。それから、お金を払って観に来て下さる方に良いものを届けたいという気持ち。そして、自分に与えられたことが出来ないとやっぱり悔しいので。

木﨑 アイドルって色々な仕事があって、演技だけでなくラジオとかバラエティとか雑誌とか、私はその全てで自分に満足したことがないんです。演技も100%やったと思っても、あとで見た時に自分はこれしかできないんだと。そういうゴールのない、ずっと上を目指し続けなくてはいけない、それが好きなんだと思います。立ち向かうのが好きなんです(笑)。

──そして今は女優という方向に絞り込んでいますが、どこが魅力ですか?

矢島 人間って一番奥が深いなと思うんです。人それぞれ考え方も違うし、人の数だけそれはありますよね。そういう深い部分を考えられて、しかも答えが簡単に見つからない。宇宙とか海とかもそうで、わからないから想像力が膨らむ、だからこそ惹きつけられるのかなと。

木﨑 私はシンプルにワクワクします。台本を読んだり、自分はどう演じようかと思ったり、他の人が演じているのを見たり、すべてにワクワクできるのが演技で。自分でわかったのですが、私って飽き性なんです(笑)。でも女優なら何にでもなれる。消防士にも警察官にも、今回は女優にもなるし(笑)。そんな素敵な職業があったんだと。

──アイドルから女優になったことで自由になった部分はありますか?

矢島 私は卒業するまでグループの中の人たちしか知らなかったのですが、今は色々な人と知り合いになって、稽古場で話したりする中で色々なものをもらって、すごく世界が広がりました。

木﨑 私は前から自由で、アイドルらしくないアイドルだったのですが(笑)。でも1人の女優になって思うのは、当たり前なんですけど、16人というグループでやっていた時とは比べものにならないくらい1人で闘わなくてはいけない。心細いこともあるんですけど、闘ったぶんだけ自分のものになるので、わかりやすいし闘いやすいなと。

──ファイトも強さも持っているお二人ですね。作品の中で女優同士として、どう対峙するか楽しみです。最後に改めて意気込みを。

矢島 初の舞台化ということで、作品のこれからが私たちにかかっているし、全力を出し切って良いものに作り上げていきたいです。きっと面白い作品になりますので、皆さんもワクワクして待っていてください。個人的には初めて演じるような役で沢山挑戦がありますから、頭も体も沢山使って精一杯表現したいと思います。

木﨑 私たちの年代で、つかさんの作品を表現するのは、なかなか難しいと思いますが、つか作品をよく知っている方たちにも納得していただけるような、そして私たちと同年代の人には、つか作品ってこんなに面白いんだと、わかりやすく伝えられるような舞台にしたいと思っています。

矢島舞美  木﨑ゆりあ

やじままいみ○埼玉県出身。02年ハロー!プロジェクト・キッズに選ばれる。05年アイドルグループ『℃-ute』結成。07年2月デビューシングル「桜チラリ」をリリース。同年末、第58回NHK紅白歌合戦に初出場。2017年℃-ute解散。現在は女優として活躍中。主な出演作品は、ドラマ『グッドモーニング・コール』、舞台は演劇女子部『一枚のチケット~ビートルズがやってくる!~』、『熱帯男子』、『LADY OUT LAW!』など。

きざきゆりあ○愛知県出身。アイドルグループAKB48およびSKE48の元メンバー。2017年に卒業。現在は女優として活躍中。主な出演作品は、ドラマ『GTO』、『戦う!書店ガール』、『JOKER×FACE』、映画『柘榴坂の仇討』、『9つの窓「candy」』(2016年、キャンター)、『ダブルドライブ~龍の絆~』、舞台は東京マハロ『紅をさす』、『熱海殺人事件 CROSS OVER 45』、東京マハロ「『たぶん世界は8年目』―幸せな私たち、興味がないあなた達―」など。

 

【公演情報】

春のつかこうへい復活祭VOL.2『銀幕の果てに』

作◇つかこうへい

演出◇岡村俊一

出演◇矢島舞美 味方良介 木﨑ゆりあ

石田明(NON STYLE) 佐久本宝 久保田創

岡田帆乃佳(劇団4ドル50セント)  黒川恭佑 磨世

松本利夫

●4/24~29◎東京・紀伊國屋ホール

●5/8~9◎大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TT ホール

〈お問い合わせ〉Mitt 03-6265-3201 (平日 12:00~17:00)

 大阪公演/チケットよしもと予約問合せダイヤル0570-550-100(10:00~19:00)

http://www.rup.co.jp/ginmaku.html

 

[取材・文/宮田華子 撮影/田中亜紀】

 

 

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