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トム・ストッパードの自叙伝的新作『レオポルトシュタット』小川絵梨子演出で日本初演!

上段/浜中文一 音月 桂 中段/村川絵梨 木村 了 那須佐代子 下段/土屋佑壱 岡本 玲 浅野令子

新国立劇場では英国の劇作家トム・ストッパードの最新作『レオポルトシュタット』を、演劇芸術監督の小川絵梨子の演出で10月に日本初演する。

『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』『コースト・オブ・ユートピア』『アルカディア』など、日本でもこれまで多くの作品が上演されているストッパードが「最後の作品になるかもしれない」としたことから、その上演前から大きな話題を呼び、2020  年 1 月にロンドンで世界初演を迎えると瞬く間に絶賛され、20年のオリヴィエ賞作品賞を受賞し、ブロードウェイをはじめ英国国外での上演も既に決定している。

本作で描かれているのは、あるユダヤ人一族の物語。戦争、革命、貧困、ナチスの支配、そしてホロコーストに直面した 20 世紀前半の激動のオーストリアに生きた一族の一大叙事詩は、50 代で初めて自らのユダヤ人としてのルーツを知ったというストッパードの自伝的要素も含まれていると言われている。

翻訳に超大作『コースト・オブ・ユートピア』を手掛けた広田敦郎を迎え、演出には、『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』『かもめ』『ほんとうのハウンド警部』などこれまで数々のストッパード作品に演出者・翻訳者として携わってきた演劇芸術監督の小川絵梨子。この大作をおよそ 30 名のキャストと共に届ける。

《あらすじ》
20 世紀初頭のウィーン。レオポルトシュタットは古くて過密なユダヤ人居住区だった。その一方で、キリスト教に改宗し、カトリック信者の妻を持つヘルマン・メルツはそこから一歩抜け出していた。街の瀟洒な地区に居を構えるメルツ家に集った一族は、クリスマスツリーを飾り付け、過越祭を祝う。ユダヤ人とカトリックが同じテーブルを囲み、実業家と学者が語らうメルツ家は、ヘルマンがユダヤ人ながらも手に入れた成功を象徴していた。しかし、オーストリアが激動の時代に突入していくと共にメルツ家の幸せも翳りを帯び始める。大切なものを奪われていく中で、ユダヤ人として生きることがどういうことであるかを一族は突き付けられる……

【メッセージ】
翻訳:広田敦郎
トム・ストッパードといえば、難解で深遠なテーマを好んで扱うインテレクチュアルな文学者と考える向きもあります。しかし、それ以上に彼は、圧倒的な物語の力で強烈な感情を呼び起こすことに長けた、職人的劇作家です。事実、『レオポルトシュタット』の背景となるオーストリアやユダヤ民族の歴史、文化について、わたし自身、さほどなじみがないにもかかわらず、翻訳、改稿しながら、何度も大笑いし、そして何度も心を打ちのめされています。1899年から1955年のウィーンを舞台に、社会の抑圧や人類史上まれに見る惨劇を懸命に生き延びようとした四世代の家族の物語は、百年後の日本に生きるわたしたちにとっても、切実に感じられるはずです。
『レオポルトシュタット』は、作者が自らのルーツについて、はじめて正面から取り上げた戯曲です。旧チェコスロバキアでユダヤ系の一家に生まれたストッパードは、幼少期にナチスの迫害を逃れ、家族とともにシンガポールへ移住、日本軍の侵攻により父を失った後、さらなる避難先のインドで母が英軍将校と再婚して以来、イギリス人として育ちました。そして後年、四人の実祖父母を含む多くの家族がホロコーストで亡くなったことを知らされます。彼は自身の人生を a charmed life(魔法に守られた人生)と表現します。運や偶然のいたずらは、彼の戯曲におなじみのテーマです。
ストッパードのウィットと情熱あふれるテキストをもとに、この理不尽な世界において生の奇跡を祝福する劇、虐げられた命の尊厳を回復する劇をつくるべく、アーティストと観客が一体となって集合的な知性とユーモアのセンスを発揮できるよう、助力できれば幸いです。

演出:小川絵梨子
トム・ストッパードの新作である本作は、2020 年 1月 25 日にロンドンのウィンダムズ劇場で幕を開けました。しかし感染症拡大により公演は一時中断となり、約一年半後、21年 8 月から上演が再開されることとなりました。現時点ではストッパードの最新作であり、多くの部分でストッパードの自伝的な要素が見られる物語となっています。
『レオポルトシュタット』は、20  世紀前半のウィーンのユダヤ人社会を舞台に、あまりに惨い歴史の中にあっても世代を紡ぎ続けてきた或るユダヤ人の一族について描かれています。実際にストッパードの祖父母たちはナチスの強制収容所で亡くなられました。迫害が繰り返され、生きる権利も住む場所も奪われ続けてきた一族ですが、しかしその生活の中には決して苦しみだけではなく、日々の喜びや笑いや家族の強い繋がりがありました。歴史的英雄や重要人物ではなくとも時代の中に確かに存在し、厳しい状況下でそれぞれの人生の物語をしっかりと生き続けた人々の姿を、できる限り鮮明に真摯に立ち上げていきたいと考えています。

【公演情報】
令和4年度(第77回)文化庁芸術祭主催公演
新国立劇場開場25周年記念公演
新国立劇場2022/2023シーズン演劇『レオポルトシュタット』
作:トム・ストッパード
翻訳:広田敦郎
演出:小川絵梨子
キャスト:
浜中文一、音月 桂、村川絵梨、土屋佑壱、岡本 玲、浅野令子、木村 了、那須佐代子
泉関奈津子、内田健介、太田緑ロランス、椎名一浩、椙山さと美、鈴木勝大、鈴木将一朗、瀬戸カトリーヌ、田中 亨、野口卓磨、松本 亮、万里紗、八頭司悠友
●10/14~31◎新国立劇場 小劇場
〈料金〉S席8,800円 A席6,600円 B席3,300円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈一般発売日〉 9月4日(日)10:00~
※通常の座席配置での販売を予定。
〈チケット申し込み・問い合わせ〉新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999(10:00~18:00)
新国立劇場Webボックスオフィス  http://pia.jp/nntt/
〈公式サイト〉https://www.nntt.jac.go.jp/play/leopoldstadt/

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