【ノゾエ征爾の「桜の島の野添酒店」】No.94「どん」

2021/01/20 ノゾエ征爾『桜の島の野添酒店』 / 日刊☆えんぶノゾエ征爾 , はえぎわ , フォトエッセイ

まずは、初日の出の当たる富士山をどん。
新年が明けてもおめでたい気持ちになれないのはなぜだろうか？
それは紛れもなく奴のせいであります。
今私は静岡にいます。
12月の14日からS P A Cでの創作のために滞在しており、何度かは東京に戻る予定でいたのだけど、奴の猛威の影響もあり、滞在しっぱなしとなっています。
服も３パターンくらいしか持ってきてなかったので、洗濯の頻度がすごいです。
Z O Z Oタウンを何度か覗いてみるも、なんか悔しくて、そっとまた閉じる。
しかし、新年を静岡の山の中で迎えるのは、悪くありませんでした。
初日の出に照らされる富士山は、そうそう見ることのできないいいものでした。
きっと一生忘れない年末年始。それほどのいいものがありました。
新年に入ってからは、静岡からまた新国立劇場の「ピーター&ザ・スターキャッチャー」の旅公演に行くという旅から旅状態。顔を出せたのは兵庫と豊橋。
宣言下でどうなるかと冷や冷やしたが、無事に上演することができて、劇場さんにも、来てくださったお客さんにも心より感謝。
S P A Cの「病は気から」は、まずは中高生鑑賞事業として、富士市のロゼシアターで開幕。
これもまた旅から旅状態。富士市に数日滞在しての上演となった。
夜、信号待ちしている時に、自分が今どこにいるのか本気でわからなくなった瞬間があった。
中学1年生を中心に、二日間で千人近くの中学生が観に来てくれました。
静岡でも警戒レベルが５まで上がる中、ありがたい限りです。
退屈そうな子もいれば、かじりつくように見る子もいれば。学校の行事として来ているのだから当たり前だ。とても様々な様相の客席を、緊張と期待とで眺めたものでした。
ともかく、またいつか演劇を観に行こうと思えるような何か、一つでも二つでも、何か響くことを願ったのでした。
そして静岡市でもう数回、中高生鑑賞公演をやったのち、一般公演が開幕します。
中高生と大人の反応の違いに、また色々と気づかされることだろう。
そして、東京での新作の稽古も始まる。
今はたまたま、いくつかが重なっててハードだけど、昨年、奴によって５ヶ月も暇にされたことを思えば、頑張れるってなもんで。
そして楽しみにしてくれるお客さんがいてくださることが何よりの力になるのであって。
P C R検査も6回くぐり抜けてきて、さらにもう一回が明日結果出る。ドキドキです。これ本当に心臓に良くない。
今年こそ、奴とのソーシャルディスタンスを、真剣に願うのであります。
どん底な気分はもうたくさんだ。どんと構えて、よーいどん。