【ノゾエ征爾の「桜の島の野添酒店」】No.93「地名」
この12月、新国立劇場で公演をやっておりまして。
10月下旬から稽古が始まり、こんな時期でもあるので、自転車で通っておりました。
山手通りをのんびりと30分ほど。
基本的には緩やかなんだけど、時折くだったり、のぼったり。
どちらかというと、行きのほうが若干疲れる。
そんな時に、ふと、同じく自転車通勤を始めたという友人が、自転車で走ると地名の由来がよくわかるよと言っていたのを思いだした。
なるほど確かに。
富ヶ谷では、ちょうど谷のようにくだってのぼる。
そして劇場のある初台に向けて、緩やかな長い登り坂となる。
台はやはり高いなのだな。
渋谷も確かに凹んでいる。
しかし、たまに由来のわかりづらい地名がある。
その一つがここだ。
「東大裏」
ひがしおおうら。
何かの東のめっちゃ裏。てことだろうか。
いつもこの信号で止まる度に気になる。ちょっと検索でもしてみようか。いや検索しちゃうのも悔しいな。などと思って、ある時その標識の英語が目に入った。
TOKYO UNIV
東大か!東大の裏だったのかお前!
なんとも気の抜けたお話でございました。
てな感じで、今年最後のお話となりました。
一年前の今頃は、今年がこんなことになるなんて思いもよらなかった。
さて来年は。
皆さまどうぞ、年末年始、お気をつけて。
今年もどうもありがとうございました。
【著者プロフィール】
ノゾエ征爾
のぞえせいじ○1975年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の1999年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。2011年の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された
【上演中】
新国立劇場「ピーター&ザ ・スターキャッチャー」
作:リック・エリス 原作:デイヴ・バリー、リドリー・ピアスン 音楽:ウェイン・パーカー
翻訳:小宮山智津子 演出:ノゾエ征爾
2020年12月5日、6日 プレビュー公演
12月10日~27日 東京公演( 新国立劇場・小劇場)
https://www.nntt.jac.go.jp/play/peter-and-the-starcatcher/
▼▼前回の連載はこちら▼▼
http://enbu.co.jp/nikkanenbu/nozoe92/
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