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【ノゾエ征爾の「桜の島の野添酒店」】No.98「テレビ」

緊急とは言え、あまりに急な宣言で、またもや数々の舞台があまりにムゲに中止に追いやられた。ムゲさにびっくりしすぎて1センチくらい縮んだかと思った。
昨年から続くびっくりの頻度を考えると、計3センチくらい縮んでんじゃないかと。
そんな覚悟でもって、定期検診に行ってきた。
普通に心配だった体の内部のあれやこれやは、どこも今のところは無事だったようで、一安心。
ただ、担当のご高齢の先生が、おそらく、パーキンソンの一種だろうか、手がかなり、いや、すごく震えていて、カルテの紙もばっさばっさなってて、不安と心配に襲われた。
震えと共に、簡単な単語も出てこなくなっていたので、なさおら心配になってしまった。
こう言っては失礼だが、正しく診断されたのだろうかと。そう心配になるほど、心配な先生の様子だった。
その病院で一番偉いのだろうと思われるその先生に、言える人が誰もいないのかもしれない。名字を見ると、息子さんなども勤めているようなので、息子よ、頑張って言うのだ。

で、身長の方はと言うと、以前測った時に、一センチ伸びていたのを記憶している。
成人以降はずっと177センチで通ってきていたのが、2年ほど前に、178センチになっていたのだ。
これは普通に何かの間違いだった。普通に考えて、40歳を過ぎて1センチなんて伸びない。伸びないし、むしろ縮むのが健全だ。
だから今年は、真実を知る覚悟でいた。177センチが正常値だとして、本当はどれくらいになっているのか。どれくらい縮んでいるのか。
身長がいくつとかはどうでもいいのだけど、縮み具合がともかく気になる。縮み、それは老い。
で、夕方、「寝起きは身長が高いよ」と言われる心配もない時間に行って、測ってもらった。靴下は脱いで、無理に姿勢も伸ばさず、自然体で。
身長が読み上げられた。
「178.1です」
え?
伸びてる。
1ミリ。
と言うか、178ってのも本当だったことが判明した。
と言うか45歳で伸びるって、、なんか悪いことしているような気分になった。
寝過ぎとか、1日中ゴロゴロしてるとか、なんか、身長伸びちゃうと、怠けてるような感じがして、恥ずかしい気持ちになる。
それはいいとして、事務所に報告すべきだろうか、1ミリ伸びましたって


【著者プロフィール】

ノゾエ征爾
のぞえせいじ○1975年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の1999年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。2011年の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された

 

【今後の予定】
ワタナベエンターテインメントDiverse Theater『物理学者たち』
原作◇フリードリヒ・デュレンマット
上演台本・演出◇ノゾエ征爾
2021年9月19日~26日◎本多劇場

▼▼前回の連載はこちら▼▼

http://enbu.co.jp/nikkanenbu/nozoe-097/

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