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【ノゾエ征爾の「桜の島の野添酒店」】No.107「げす」

例に漏れず、息子の保育園も休園となった。
息子は陰性だったものの、濃厚接触者ということで、おうちでじっとしてなさいよ指令となった。
とは言え、3歳児が、「濃厚接触だ」、「外出ちゃダメだ」などを解することは、不可能であって。
解することが不可能な事態に、解することが不可能な言動を起こし始める3歳児。
見事に大怪獣となり、家がぶっ壊れてしまう。ので、接触だけ気を付けて、公園に。

一度「不可解」に触れると、様々な「不可解」が気になり出す。
春と言えばセンバツだ。なんて思ったことは一度もない私であるが、
この度のセンバツ高校野球の出場校の選定に関しては、不可解アンテナがピンとなった。
東海地区でのこと。要は、これまで準優勝していれば順当に選ばれていたのが、
今年は、二位の学校ではなく、三位の学校が選ばれたのだ。
それはそれは、ハテナと怒りが飛び交い、様々な野球関係者が苦言、苦情、咆哮していた。
しかし、解することが不可能なまま、
一生に一度も経験できないような大舞台を奪われた球児たちがいて、
え?負けたけど出場できんの?いいの?と、おそらく気持ちよく歓喜できないであろう球児たちがいることとなった。

北京での平和の祭典の最前線でも、解せないジャッジが堂々と起こり、
怒り、反論、抗議のお祭り騒ぎをものともせず、祭典は突き進んでいく。
世界中からこんなに痛切な声が上がっても、既読スルーできちゃえる、力握ってるサイドの図太さよ。
その精神が最も不可解なり。
スポーツマンシップだとか、平和の祭典だとかは、ハナから信用しきってはいないものの、不可解が堂々すぎて困惑する。

ちなみに、うちの面白い妻は財布をよく失くす。
片付け上手で、部屋も常にキレイにしているのだが、驚くべきペースで物を失くすこの不可解。
そして、今のところ、財布はいつも無傷で拾得物の連絡が来るという。
これが一番、解すことが難しいことかもしれない。

【著者プロフィール】

ノゾエ征爾
のぞえせいじ○1975年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の1999年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。2011年の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された。

【今後の予定】
演劇ワークショップやります。
香川県、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館にて。
2022年、3月5日と6日。
対象は、高校生以下になります。
https://www.mimoca.org/ja/workshop/2022/01/26/2598/

 

 

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