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【粟根まことの「未確認ヒコー舞台:UFB」】第93回「番宣」

さあ! いよいよ劇団☆新感線の39周年興行である「偽義経冥界歌」が始まりますぜ! まずは3/8から大阪で、その後は金沢と松本で、そして来年には東京と博多へと一年以上に渡る公演の始まりです。まあ間には別の公演も挟むんですけどね。とにかく、久しぶりの地方公演ですから楽しみますよ! 皆さんも楽しんで下さいね。

さて、こうやって近況報告も兼ねながら公演の宣伝をしているワケですが、こういった宣伝も最近では様々な手段が増えてきました。昔は他劇団の公演でチラシを配布したり、ポスターを知り合いの居酒屋に貼らせてもらったり、情報雑誌に公演情報を載せてもらったり、あわよくば取材なども受けてページを割いてもらったりといった宣伝が王道だったのですが、最近では随分と様変わりをしていますね。
インターネットの普及からこのかた、公式ホームページを作成したり、情報サイトに取り上げてもらったり、こうやってブログに書き込んだり、twitterやFacebook、InstagramなどのSNSでの拡散を狙ったりと多様な戦略が可能になりました。
特にSNSは昔で言う「クチコミ」の進化形のようなモノで、怖ろしいほどの速さで噂が広がりますから、有り難くもあり怖くもありといった存在です。でも、様々な意見が迅速に広範囲に届くようになったのは確かです。その上での取捨選択はそれぞれの受け手に委ねられてはいますけどね。

それとは別に、テレビやラジオなどのマスメディアを利用した宣伝も浸透してきました。いわゆる「番宣」です。番宣とは番組宣伝の略でして、元々はテレビ業界の用語です。新番組や特番などを宣伝するために、自社のバラエティ番組などに出演者を送り込んで、ゲストとして番組に参加して「番組を宣伝」するから番宣です。
テレビの番組を宣伝するから番宣なのですが、今ではもう少し範囲が広がって番組のみならず、その局が製作する映画を宣伝するためにバラエティ番組に出演者をブッキングすることも番宣と呼ばれるようになってきました。
間もなく公開される映画の出演者がバラエティ番組に出て、番組の最後の方で「大事なお知らせがあります」とか言って告知をするような手法ですね。芸人さんに「さては番宣だな」などと予定調和のツッコミを受けながらも効果がある手段として定着しています。
番組の宣伝ではないので厳密には番宣ではありませんが、その略語の手軽さから番宣と呼ばれがちです。もっとシンプルに宣伝とか告知とかと呼ばれるコトも多いですが、なんか「番宣」って口にしやすいんだよね。語呂がいいのかな。

この流れが映画だけではなくて舞台にも波及しておりまして、特にテレビ局製作の舞台ではよく行われます。例えばIHIステージアラウンド東京で上演されました「髑髏城の七人」や「メタルマクベス」はTBSさんが主催ですから、TBSさんやBS-TBSさんで何度も特番を組んで頂いたり「オールスター感謝祭」に呼んで頂いたりしていましたね。
こういった番組に出演者が出ますと、我々共演者は「番宣お疲れ様でした」とか声を掛けたりするのですが、そんなカンジで使われる用語だってコトですよ。

そんな番宣にまさか私が参加することになるとは。先日オンエアされましたフジテレビ系列の「VS嵐」のコトですよ。「偽義経〜」出演者チーム六名の中に選ばれまして、嵐のみなさんやチョコレートプラネットのお二人と様々な競技でバトルするという内容でして、キチンと公演の宣伝もさせて頂きました。しかも勝ちました! ま、私は勝利には全く貢献できなかったんですけどね。なぜ私が選ばれたのか、まあ色々な事情があったのでしょうが、カゼドクロの番宣の時には劇団員の河野まさとくんも出ていましたから私も断れなかったんですよ。

「VS嵐」さんには「髑髏城〜」の時にも何度か取り上げて頂いたのですが、不思議なのはフジテレビ製作の舞台ではなかったのに番宣させてもらえたこと。何しろ「髑髏城〜」はTBSさんの主催だったのですよ。いわばライバル会社の製作する舞台。なのに何度も取り上げて頂いたのです。「偽義経〜」だって大阪公演の主催はABCテレビ。これまたライバル会社です。なのに番宣させて頂けるなんてなんともありがたい。

番組の中では「もうチケットは売り切れている」的な話も出ましたが、日によっては、劇場によってはまだあります。当日券も日によっては出そうです。しかし、チケットの残り少ない公演の番宣をする意味はあるのか。これがあるんです。「この団体が、この人々が、こんな公演をやっている」というコトを視聴者の皆様に知って頂くという効果があるのです。それが今後にも繋がっていくのです。なんともありがたい話じゃありませんか。

そんなカンジで宣伝に負けない面白い作品にしようとキャスト・スタッフが一丸となって大阪で舞台稽古中です。久しぶりとなる普通の劇場での新感線。かなり気合いが入っています。殺陣も濃いけどストーリーも濃い。いくぜ大阪金沢松本! 待ってろ東京福岡! 来年までどうぞよろしくお願い致します!

初めてお台場のガンダムも見たよ。今回はユニコーンガンダムでした。

【著者プロフィール】
粟根まこと
あわねまこと○64年生まれ、大阪府出身。85年から劇団☆新感線へ参加し、以降ほとんどの公演に出演。劇団外でも、ミュージカル、コメディ、時代劇など、多様な作品への客演歴を誇る。えんぶコラム「粟根まことの人物ウォッチング」でもお馴染み。

【出演情報】
劇団☆新感線『偽義経冥界歌』
3/8-21◎フェスティバルホール(大阪) 金沢・松本公演もあり。

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