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【粟根まことの「未確認ヒコー舞台:UFB」】第127回「光に集まる習性」

さあ、2022年! 新年明けましておめでとうございます。何が、さあ! だか判りませんが、今年は楽しい一年になりますようにという気合いだと思って下さい。まあ、毎年まあまあ楽しいんですけどね。

さて、そんな私は昨年末まで、ホントに末の末まで「明治座で逆風に帆を張・る!!」という作品を上演しておりました。る・ひまわりさんと明治座さんがタッグを組んで年末にお送りしている祭シリーズです。若いイケメンを中心に、ミュージカルやら小劇場やら芸人やら、多種多様なキャストでお送りする仮想歴史劇でして、このような機会が無ければなかなか明治座には立てませんからね。二度目ではありますが、貴重な体験をありがとうございます。

でですね、今回ご紹介したいのは舞台用語ではありません。いわば「舞台あるある」です。明治座で舞台稽古をしながら、まさに舞台上で、あ、これはいわゆる「あるある」だなと思いついてしまいましたので、今回はそんなあるあるをご紹介したいと思います。それは「舞台俳優は光に集まる習性がある」というコト。

あるシーンで鳩と闘い(鳩と闘うシーンがあるという不思議さは置いといて下さい)、鳩に負けて倒れるのですが、舞台稽古をしながらどこに倒れようかなと思っていたら、丁度良いところに照明のエリアの端っこがあり、これ幸いとそこに倒れ込んだのです。つまり、その照明のエリアが部屋の大きさを表しており、特に言われたワケでもないのにそこに倒れ込んだのですよ。
このように、エリアが照明で区切られていると、舞台俳優は自動的にそのエリアの中に留まろうとする習性があるというコトなんです。これはもう、長年の舞台生活で染みついた習性なのです。これが舞台俳優あるあるなのです。

もちろん、俳優側からお願いしてその照明エリアを広げてもらったり移動してもらったりする場合もありますが、基本的には演出家と照明プランナーが決めた照明のエリアからは逸脱しません。その照明の外側はアクティングエリアではないからです。
舞台装置によって区切られている場合ならば当然そうなるでしょう。床がなければそこには立てないのですから。しかし、照明で区切られているだけでも、例えそこに床があったとしても、その外側には行かないという暗黙のルールがあるのです。

エリアで区切られている場合だけではありません。基本的に、舞台俳優は照明に敏感です。なぜならば舞台で明かりが当たっていなければ暗いからです。当たり前に聞こえるかもしれませんが、舞台照明は意外と暗いのです。特に大劇場の場合、照らすべき舞台が大きすぎて、「地明かり(じあかり)」と呼ばれる全体を照らす照明だけでは足りないんですね。ですので、セリフを喋っている俳優にはほぼ必ずセンターピンスポットが当てられています。そうして補っているのですね。つまり、基本の照明だけではちょっと暗いのです。
それが故に、舞台俳優は照明に貪欲です。どうやって判断しているのかと言いますと「自分が眩しいかどうか」です。自分が眩しいということは、顔に照明が当たっているということです。センターピンスポットを当ててもらっていなくても、自分が眩しければ充分明るいところにいるというコトです。
小劇場公演などでセンターピンが無い場合などでは、明かりの当たり方をある程度自分でコントロールする必要があります。大事なセリフがある時には明るいところで喋るとか、逆に気配を消したい時には眩しくない場所に移動するとか、位置を調整する必要があるのです。しかも無意識に。それが故に「舞台俳優は光に集まる習性がある」と言っても良いのでして、それではもうほぼ昆虫です。飛んで火に入る夏の虫です。まんまと罠にかかったなへっへっへです。
そんな昆虫のような舞台俳優の習性をご紹介して今回の原稿を締めたいと思います。ではまた来月。本年もどうぞよろしくお願い致します。

明治座に行ったら近所の博多ラーメン「しばらく」に行っちゃうよね。我慢できずにスープを一口飲んじゃってますけど。

【著者プロフィール】
粟根まこと
あわねまこと○64年生まれ、大阪府出身。85年から劇団☆新感線へ参加し、以降ほとんどの公演に出演。劇団外でも、ミュージカル、コメディ、時代劇など、多様な作品への客演歴を誇る。えんぶコラム「粟根まことの人物ウォッチング」でもお馴染み

 

 

【出演予定】

劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎『神州無頼街』
3/17~29◎オリックス劇場
4/9~12◎富士市文化会館ロゼシアター 大ホール
4/26~5/28◎東京建物Brillia HALL

 

◇コラム「粟根まことの人物ウォッチング」掲載の「えんぶ2月号」は、1/8より全国書店にて発売!

 

▼▼▼今回より前の連載はこちらよりご覧ください。▼▼▼

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