野田秀樹作・演出『赤鬼』(A team) 映像配信決定!(英語字幕付)
野田秀樹 の不朽の名作『 赤鬼』を無料で世界同時配信することが決まった。
東京芸術劇場の野田芸術監督が作・演出を手掛けた『赤鬼』は、1996 年の初演以来、その物語の普遍性から日本のみならず海外でも繰り返し上演されてきました。今回、配信する舞台『赤鬼』(2020)は、コロナ禍による休館から東京の劇場が再開して間もない今年夏、客席を半数に減らし、客席と舞台の間に飛沫防止の透明の仕切りを垂らし、感染症対策を周到に行った上で公演を行った。(上演は2020 年 7月 24日~8 月16日@シアターイースト)
奇しくも今直面している「未知の存在」に対する差別や偏見をテーマにした本作。ビニール幕の中で熱演を繰り広げたのは、日ごろ野田とワークショップを重ね、薫陶を受けてきた「東京演劇道場」の役者たち。4 組のキャストによるリレー上演は、いずれ劣らぬ個性的な演技となり、各組を見比べる観客まで出たという。
世界中で「見えざるもの」と共に生きることが必要な今、東京芸術祭と期を一にして、その中の1組の舞台映像に英語字幕を付け、全世界に向け、期間限定で無料配信する。
『赤鬼』 劇評(抜粋)
●野田が若手に手渡した名作(朝日新聞)
ミズカネを迫力と愛嬌で押した河内大和、あの女の夏子らの好演で赤鬼という他所との出会いによって「海の向こう」に希望を抱く若者たちの物語という側面が際立った。
●俳優の持ち味いかす野田演出(読売新聞)
村人に向けたタンカが小気味よかった夏子に、音吐朗々たるセリフ回しの河内。俳優の持ち味を生かした野田の演出は素材のマリアージュ(良い取り合わせ)を作り出す熟練の料理人のようだった。
【あらすじ】
「あの女」と白痴の兄とんび、あの女を狙う嘘つきのミズカネの 3 人が、離島の浜に打ち上げられる。「あの女」はフカヒレのスープを与えられるが、それは船上で呑んだものと味が違うと言い、後日自殺する。とんびが、その死んだ妹について回想をする形で芝居が語られていく。
ある日浜に赤鬼が現れる。村八分にされている「あの女」が呼び寄せたという偽りの噂が広まる。その日、ミズカネは、「あの女」の家で「あの女」に言い寄っている。と、その家に潜んでいた赤鬼を発見する。喰われると恐れるが、人間ではなく花を食べることを知る。
ある晩、赤鬼は赤ん坊を悪気なく連れ去る。村人はパニックに陥り、花を使って赤鬼を洞窟におびき寄せる。長老とミズカネ、「あの女」が話し合い、7日間赤鬼に手を出さないという条件で、赤ん坊を返させることにする。ところが、赤ん坊が救出されると、村人は洞窟を襲撃する。そして赤鬼が壁に描いた楽園の絵を見て驚く。「あの女」は、これは「海の向こう」を描いたものであり、赤鬼は神なのだと言う。村人は約束を守ることにする。その猶予期間中、「あの女」は赤鬼に自分のことばを教える。程なくして赤鬼は村人に受け入れられるようになり、見物の対象となる。「あの女」は赤鬼が人間ではなく、見世物として扱われていることに憤る。
「あの女」は赤鬼が書いた文字から、鬼たちが理想の土地を求めて航海を続けており、赤鬼は浜がその理想の地であるのかを確認しに来たということを知る。 ミズカネ、とんび、あの女の三人は赤鬼を元の国に戻すために船出をする。食べ物が底をつき、飢餓が進む中、彼らは狂乱状態で陽気になっていき、最初に赤鬼が死ぬ。
物語は最初の場面へ。命を救われた「あの女」は、飢餓で朦朧とした中、ミズカネが船上で呑ませたスープのフカヒレは赤鬼の肉であったことに気づき、絶望の後に自殺する。
【配信情報】
『赤鬼』
配信期間:11 月 13 日 (金) 17 時 ~ 11 月30日 (月 ) 17 時
視聴URL:東京芸術劇場 WEB サイト内芸劇 CH(芸劇チャンネル)
https://www.geigeki.jp/ch/ch1/akaoni_streaming.html
※YouTube<芸劇チャンネル>でも視聴できます。
視聴料:無料
収録日:2020 年 7 月 27 日(月)
会場:東京芸術劇場 シアターイースト
作・演出:野田秀樹
出演者(50 音順)
A team:池田遼 織田圭祐 金子岳憲 木山廉彬 河内大和 佐々木富貴子 末冨真由 扇田拓也 夏子 八条院蔵人 花島令 広澤草 深井順子 藤井咲有里 間瀬奈都美 三嶋健太 森田真和
舞台写真撮影:篠山紀信