歌舞伎座９月公演「九月大歌舞伎」中村梅玉丈、中村芝翫丈 合同取材会レポート

歌舞伎座９月公演「九月大歌舞伎」に出演する中村梅玉と中村芝翫が取材会に出席した。

梅玉は、父である六世中村歌右衛門が得意とした松風物の舞踊作品『須磨の写絵』に中村魁春とともに出演する。芝翫は、父　七世中村芝翫の当り役である『お江戸みやげ』のお辻を初役で演じる。

【コメント】

中村梅玉
こういった状況のなかではありますが、追善をさせていただけるのがありがたいと思っています。一門のみんなで追善できることは非常に意味のある事。
『須磨の写絵』は六世歌右衛門が自主公演「第一回莟会」で披露した演目で、父はこの作品に強い思い入れを持ち大事にしておりました。今回は海女松風を魁春、相手役を私が勤めさせていただきます。都を落ち延びた公家が海女の姉妹と戯れているという舞踊ですが、百人一首や古今和歌集のような風情のある舞台ができますればうれしく思います。在原行平を演じるのは三回目で、父が松風を最後に演じた時、先代芝翫（七世中村芝翫）の兄が松風の時も勤めました。供養の思いをこめて一所懸命つとめたいと思います。

2109歌舞伎座『須磨の写絵』右より在原行平＝中村梅玉、海女松風＝中村魁春（©松竹）

中村芝翫
今回、父（七世中村芝翫）の追善と六世歌右衛門のおじさまの追善とを合わせてさせていただけること非常にうれしく思います。歌右衛門のおじさまは厳しくも優しくもあり偉大な方でした。お稽古場でおじさまに教えていただくことが当時はなかなかわからなかった。今もう一度聞きたいですね。
父が亡くなってから早くも10年。今回、福助の兄も完全ではないですが、こういった形で一緒に追善できることはとてもありがたいです。父は女方で私は立役。父が勤めていて私ができるお役があまりないのですが、とにかく『お江戸みやげ』をやっているときの父は機嫌が良かった。女方をどこまでできるか、精一杯やらせていただきます。不安が続く中ではありますが、笑いとともにほっと心が明るくなるような芝居つくりをしていければと思っております。

2109歌舞伎座『お江戸みやげ』左よりお辻＝中村芝翫、おゆう＝中村勘九郎（©松竹）

また『お江戸みやげ』に常磐津文字福役で出演する中村福助からもコメントが届いた。

中村福助
今回、自分も出させていただけることを、大変うれしく、ありがたく思っています。
おじと父という、ふたりの偉大な存在に少しでも近づけるよう、自分にとっても、今回の出演は、日々のリハビリのモチベーションになっております。感謝しております。
『お江戸みやげ』では、父がお辻を勤めた際に、お紺で出演しております。
あの、父の独特の世界観を、今回久しぶりにDVDで見て、こみ上げてくるものがありました。そして、大変懐かしく感じました。
コロナ禍での開催となりますので、安全に、つつがなく、無事に千穐楽までできること、そして、自分自身精一杯勤めたいと思います。

【公演情報】
歌舞伎座９月公演
『九月大歌舞伎』
2021年9月2日（木）～27日（月）
【休演】9日（木）、21日（火）

◎第一部　午前11時～

六世中村歌右衛門 二十年祭
七世中村芝翫 　十年祭
川口松太郎 作
大場正昭 演出
一、『お江戸みやげ（おえどみやげ）』

お辻　芝翫
おゆう　七之助
阪東栄紫　勘九郎
角兵衛獅子兄　中村福之助
角兵衛獅子弟　歌之助
小女みの　玉太郎
女中お長　梅花
お紺　莟玉
鳶頭六三郎　松江
常磐津文字福　福助
常磐津文字辰　東蔵

二、『須磨の写絵（すまのうつしえ）』
行平名残の巻

在原行平　梅玉
海女村雨　児太郎
海女松風　魁春

◎第二部　午後2時10分～

一、『近江源氏先陣館（おうみげんじせんじんやかた）』
盛綱陣屋

佐々木盛綱　幸四郎
高綱妻篝火　雀右衛門
和田兵衛秀盛　錦之助
盛綱妻早瀬　米吉
信楽太郎　隼人
高綱一子小四郎　丑之助
盛綱一子小三郎　亀三郎
北條の臣　吉之丞
北條の臣　宗之助
竹下孫八　廣太郎
古郡新左衛門　錦吾
伊吹藤太　歌昇
北條時政　又五郎
盛綱母微妙　歌六

二、『女伊達（おんなだて）』

木崎のお光　時蔵
男伊達中之島鳴平　萬太郎
同　　淀川の千蔵　種之助

◎第三部　午後6時～

四世鶴屋南北 作
『東海道四谷怪談（とうかいどうよつやかいだん）』
四谷町伊右衛門浪宅の場
伊藤喜兵衛内の場
元の浪宅の場
本所砂村隠亡堀の場

お岩／お花　玉三郎
直助権兵衛　松緑
小仏小平／佐藤与茂七　橋之助
お梅　千之助
按摩宅悦　松之助
乳母おまき　歌女之丞
伊藤喜兵衛　片岡亀蔵
後家お弓　萬次郎
民谷伊右衛門　仁左衛門

〈料金〉1等席15,000円　2等席11,000円　3階A席5,000円　3階B席3,000円　1階桟敷席16,000円（全席指定・税込）
未就学児童は、満4歳よりお一人様につき1枚切符が必要です。
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹（10:00-17:00）0570-000-489
または東京は03-6745-0888、大阪は06-6530-0333
チケットWeb松竹　検 索
〈公式サイト〉https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/724