劇団扉座『Kappa ~中島敦の「わが西遊記」より~』上演決定!
劇団扉座は第75回公演として『Kappa ~中島敦の「わが西遊記」より~』を5月に厚木と東京で上演する。
本作は、小説家・中島敦の未完の大作『わが西遊記』の連作『悟浄出世』『悟浄歎異-沙門悟浄の手記-』を原作として、横内謙介が、その精緻な文学性を保ちつつ現代人の感動を呼び起こす舞台作品とするべく、独自の視点解釈を加えて新作脚本として書き下ろし、演出にもあたる。
昭和の戦時下、中島が書き綴った、頭でっかちで行動を起こすことが出来ず、焦燥感に苛まれながら己と向き合うばかりの沙悟浄の懺悔と後悔の独り言は、ロシアのウクライナ侵攻に心を痛めつつも傍観するしかない、現代人の無力感にも通じるものがある。三蔵法師の旅に加わり、悟空たちの力を畏怖しつつ生まれ変わってゆく沙悟浄。その静から動への変化を演劇的に描き、現代演劇としての至高を目指す。
《座・高円寺にむけてのご挨拶》
横内謙介
Kappa ~中島敦の「わが西遊記」より~
昭和戦中の文豪・中島敦の未完の小説「わが西遊記」の「悟浄出世」と「悟浄歎異」の二編を換骨奪胎して、自省と沈思黙考に留まり行動しない知識人的なカッパの妖怪の沙悟浄が三蔵法師一行の冒険に加わり、考えるよりも先に行動実践がある、悟浄とは真逆の生き方の孫悟空らとの出会いによって、未知なる世界を体験する、沙悟浄目線の新しい西遊記を新作として上演します。
悟浄は引き籠もりの青年であり、心に思っても口に出さない大人であり、語りはしても自ら動こうとしない傍観者です。それは現代を漂う我々そのものの姿であり、中島敦の描いた悟浄の苦悩と屈託は、我々の病理だと思うのです。
【あらすじ】
昭和初期を思わせるレトロな書斎で、背広姿の河童が思索にふけっている。
一見物書きに見える彼こそは、流沙河の底に棲む、河童の妖怪(のちの沙悟浄)である。
彼はひたすら自己をみつめるばかりで、行動を起こそうとせず、だがその為に無為なる己の存在を恥じ、忸怩たる思いで焦燥の日々を過ごしていた。
さまざまな文献にあたり、我が道を模索したが、確たる答えはみつからない。
(静なる前半)
やがてそんな彼にも転機が訪れる。虚しさに苦しんだ果て、天の声(観音菩薩の言葉)を聞いたのだ。
「身の程知らぬ『何故』は、向後一切打ち捨てることじゃ。疑わずして、ただ努めよ」
そうして河童は、三蔵法師一行の旅に従うことになる。
その冒険で自分とは真逆の、懐疑することからの脱出者、孫悟空や三蔵法師、猪八戒の力を思い知り、畏怖する。
「意味を知って動くのではなく、動くこと、そのものに意味が生じる」
その真理に驚愕する沙悟浄も、少しずつ生まれ変わってゆく。
【公演情報】
劇団扉座第75回公演
『Kappa ~中島敦の「わが西遊記」より~』
作・演出:横内謙介
出演:岡森諦 有馬自由 犬飼淳治 累央 鈴木利典 新原武 松原海児 紺崎真紀 小川蓮
砂田桃子 小笠原彩 北村由海 佐々木このみ 大川亜耶
/菊池均也(客演) ほか
●5/13・14◎厚木市文化会館・小ホール
〈料金〉4,500円 2,000円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉ドアクラブ先行販売 4/8(土)12:00~
〈一般発売日〉4/9(日)12:00~(扉座 03-3221-0530)
〈扉座公式サイト〉http://www.tobiraza.co.jp
●5/17~28◎東京公演 座・高円寺1
〈料金〉前売・当日共5,000円 学生券3,000円[扉座でのみ取扱・当日学生証持参](全席指定・税込・未就学児童入場不可)
★ミナクルステージ<5月17日(水)19:00の回>3,500円(前売・当日共)
〈一般発売日〉4/9(日)10:00~座・高円寺チケットボックス、4/9(日)12:00~扉座 03-3221-0530
〈お問い合わせ〉扉座 03-3221-0530
〈公式サイト〉https://tobiraza.co.jp/kappa