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愛があるからこその生きづらさを描く。タクフェス『ぴえろ』宅間孝行・佐野和真 インタビュー

佐野和真 宅間孝行

 

タクフェスの新作は、下町人情あふれるサスペンスコメディ『ぴえろ』。

2001年初演、2005年再演、2013年には『間違われちゃった男』というタイトルで、古田新太主演でドラマ化され話題を呼んだ。そしてこの度、ついに再上演されることになり、本年10月7日から16日までの東京・サンシャイン劇場を皮切りに、12月まで仙台、青森、福岡、札幌、大阪、足利、名古屋という8都市を巡る。

物語は、下町の寿司屋「すし政」に、お間抜けな泥棒コンビが忍び込むところから始まる。だが、あっけなく見つかりボコボコに! しかし翌朝、2人が目覚めると、思いがけなく歓迎の嵐で……最高に笑えて、ぐっと心に刺さる、宅間孝行の原点ともいえる傑作が待望の登場となる。

そんな作品で、作・演出の宅間孝行と泥棒コンビとしてタッグを組むのは、タクフェス初参戦の佐野和真が、演出の宅間とともに『ぴえろ』の世界を語り合った「えんぶ10月号」のインタビューをご紹介する。

これ僕がやっていいんですか? と思うぐらい凄い作品

──舞台化は17年ぶりになりますが、今この作品を上演しようと思ったのは?

宅間 タクフェスのラインナップとして、秋はわりと泣かせる作品になるとお客さんに受け止められているところがあるんですが、今はコロナで「春のコメディ祭り」もやれていないので、泣かせるだけでなくちょっとエンタメ感もある芝居にしたかったんです。『ぴえろ』は「笑い」と「切ない」とのバランスが取れていて、うちの舞台では珍しくサスペンス感もある。きっと楽しんで観てもらえると思っています。

──そして、佐野和真さんは今回がタクフェス初参加となります。

佐野 舞台は8年ぶりになります。これまでもいくつか舞台のお話はいただいていたのですが、『ぴえろ』は、脚本を読ませていただいてこれなら! というか、むしろこれ僕がやっていいんですか? と思うぐらい凄い作品なので、ぜひ参加させていただきたいと思いました。出演が決まってから、俳優仲間にタクフェスに出ることや作品や役柄のことを話したら、すごく羨ましがられました。僕自身30歳をすぎて、俳優としてステップアップしたいと思っていたところなので、本当に良い機会をいただいたと思っています。

──宅間さんとは初対面だそうですね?

佐野 今日がはじめましてだったので、めちゃめちゃ緊張しました。

──先ほどポスター撮りを拝見していましたが、宅間さんの沢木と佐野さんのヤスの泥棒コンビが面白くて、佐野さんも勘がよくて、2人の呼吸が合ってましたね。

佐野 ありがとうございます。

宅間 今、ハードル上げられたからね(笑)。

佐野 稽古場で「勘がいいはずだったんじゃないの?」って、宅間さんに言われないようにしなくては(笑)。

──台本を読んだ感想はいかがですか?

佐野 とにかく面白くて、あっという間に読み終わってしまいました。

宅間 『ぴえろ』は僕にとっては初期の作品なんですが、僕自身も沢木とヤスのコンビが大好きで、2人を主人公にシリーズ化したいなと思ったり、ドラマでそういう企画が持ち上がったこともあったんです。2人ともダメなヤツで、アホの極みみたいなことばかりするんですけど、人が良くて、そういうデコボココンビがお客さんに愛されたらいいな、お客さんを引き込んで楽しませることができたらいいなと思っているんです。

佐野 とくにヤスは沢木を大好きなんですよね。尊敬しているし。僕も稽古場でヤスになりきって宅間さんについていこうと思っています。

間違えて入ってきちゃった人も、観てよかった! と

──この作品の見どころでもあるサスペンス部分ですが、宅間さんの他の作品にもある、この社会の中での「生きづらさ」みたいなものを描いています。

宅間 今現在もそうですが、この作品を書いた当時もいろいろな事件があって、でも世の中に起きるいろいろな出来事や事件は、その裏には愛があるからこそそうせざるを得なかった、ということが多いと思っているんです。そういう苦しさとかつらさとか、人間の持っている弱さとか、そういう根底のところを描けないかなといつも思っているんです。物事の見え方ってある一面だけではないし、別の角度から見るとこういうふうに見えるとか、いつでも多面的に捉えることが大事だと思っていて。だからこれも、調子に乗っていたら実はぴえろで、本当のように見えていたことがいかにフェイクだったかという話になっているんです。

佐野 そういう宅間さんの見方が脚本にも描かれていて、1人1人が愛すべき人間になっているなと思います。僕もヤスという人間の魅力を伝えたいし、それが表現できたらまた俳優として成長できると思っています。

──稽古が楽しみですね。でも宅間さんの稽古は厳しいという噂が。

宅間 そういうことを言うと佐野くんが恐がるでしょ!(笑) 僕は真面目なだけなんです。理不尽に何かを怒るとかいうことは一度もない。ただ、遅刻したら「おまえふざけんな」と言うし、「これを家でやってきてね」と言ったのに、3回目とか4回目でまだやってないというのが2回ぐらい続いたら「いいかげんにしろよ!」ってなるだけなので。意味もなく「飛べ! なんで飛べないんだ!」とか、そういう無茶な怒り方はしないから(笑)。

佐野 安心しました(笑)。

宅間 僕たちはお客さんがいて成り立っているわけですよね。1か月の稽古期間、その前の準備期間も含めて、いかにお客さんの前でウソをつかないで1つの作品に向き合えているか、そのことだけはちゃんとやろうねということなんです。最終的な目標はお客さんにちゃんとしたものが観せられればいい、観せたい、それだけなので。だから俳優としてのキャリアをきちんと積んできている人たちは、そこはわかっているからあまり心配していないんです。今回の舞台もベテランの俳優の方々が出てくれますけど、皆さんとんでもなく真面目ですからね。

──柴田理恵さん、鈴木紗理奈さん、モト冬樹さんなど、タクフェスの常連といっていい方々が今回も出演していますね。

宅間 皆さんいつも真剣だし、本当に凄い方たちばかりです。

佐野 稽古でご一緒できるのがすごく楽しみです。

──最後にこの『ぴえろ』を観に来られる方へのメッセージをぜひ。

佐野 本当に面白くて、観たあとも胸に残る物語で、こんな時代だからこそ観ていただきたいエンターテインメント作品です。僕自身は久しぶりの舞台ですが、劇場でお客さんと一緒に作りあげていく楽しさは知っているので、僕らと一緒にこの舞台を作るつもりで劇場に来ていただけたら嬉しいです。

宅間 タクフェスはお客さんが参加できる部分が沢山ありますからね。前説とかフィナーレのダンスとか。とにかく来てもらえば楽しさがわかるし、間違って入ってきちゃった人も、観てよかった! 間違えてよかった!(笑)と絶対思うのがタクフェスなので。『ぴえろ』に話を戻すと、なんでもっと再演しなかったのかと思うぐらい僕の中では大事な作品ですし、作・演出家としての原点なんです。切ない作品シリーズもここから始まったし、劇中の曲の使い方とか、1つのフォーマットが出来上がったのもこの作品からでした。だから僕の原点をぜひ観にきてください。

佐野和真 宅間孝行

■PROFILE■
たくまたかゆき○東京都生まれ。タクフェス主宰。俳優・脚本家・演出家。97年、劇団「東京セレソン」を旗揚げ。01年「東京セレソンデラックス」と改名するのを機に、主宰・作・演出・主演として活動。12年12月に劇団を解散。13年「タクフェス」を立ち上げる。役者としてドラマや映画に出演する一方、脚本・演出家としても活躍。劇団作品の映像化として、ドラマ『歌姫』『間違われちゃった男』、映画『くちづけ』『あいあい傘』『流れ星』など多数。他、監督、脚本作品は、映画『同窓会』『LOVE HOTELに於ける情事とPLANの涯て』、YouTube連続ドラマ『THE BAD LOSERS』シーズン1&シーズン2。

さのかずま○神奈川県出身。05年にドラマ『大好き!五つ子GO!!』でデビュー、『砂時計』(07年)で注目を浴びる。『ガチバン』シリーズなど数々の作品に出演。映画『音楽人』(10年)ではダブル主演を務める。近年の主な出演作は、映画『ENEMY WITHIN』(ガブリエル・ロバートソン監督/米英公開映画)『任侠学園』、ドラマ『最高のオバハン中島ハルコ』(CX系)『法医学教室の事件ファイル』(テレビ朝日)、舞台『Honganji』など。

【公演情報】
タクフェス第10弾『ぴえろ』
作・演出:宅間孝行
出演:宅間孝行 佐野和真/鈴木紗理奈 浜谷健司(ハマカーン) /三戸なつめ 太田奈緖 竹内茉音
柴田理恵/モト冬樹
西村佳祐 真田和輝
●10/7~16◎東京公演 サンシャイン劇場
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京0570-00-3337(平日12:00~15:00)
〈公式サイト〉http://takufes.jp/pierrot/

●10/22(土)◎宮城・電力ホール
●10/25(火)◎青森・弘前市民会館
●11/5(土)◎福岡・ももちパレス
●11/18(金)~11/19(土)◎北海道・道新ホール
●11/23(水・祝)~11/27(日)◎大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
●12/3(土)◎あしかがフラワーパークプラザ(足利市民プラザ)文化ホール
●12/9(金)~12/11(日)◎愛知・ウインクあいち(愛知県産業労働センター)

《アフタートーク》
10/8(土)13:00 登壇:宅間孝行、佐野和真、浜谷健司、三戸なつめ
10/12(水)18:00 登壇:宅間孝行、鈴木紗理奈、モト冬樹、太田奈緒
10/13(木)18:00 登壇:宅間孝行、佐野和真、柴田理恵、竹内茉音
10/22(土)15:00 登壇:宅間孝行、浜谷健司、モト冬樹、太田奈緒
11/24(木)13:00 登壇:宅間孝行、佐野和真、鈴木紗理奈、三戸なつめ
12/10(土)13:00 登壇:宅間孝行、佐野和真、梅宮万紗子、太田奈緒

 

【構成・文/宮田華子 撮影◇神ノ川智早 ヘアメイク◇伊熊美砂 スタイリング◇ゴウダアツコ】

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