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音楽劇『歌うシャイロック』東京公演上演中!

京都・南座、福岡・博多座で好評を博した音楽劇『歌うシャイロック』が最後の公演地、東京・サンシャイン劇場で3月16日から26日まで上演中だ。

16世紀のキリスト教目線でユダヤ人=悪の構造による勧善懲悪の喜劇として生まれたシェイクスピアの『ヴェニスの商人』を 、鄭義信がシャイロックを主人公に再構成した話題作で、現在まで多様に論じられてきた名作を新たな一つの形に昇華した。すべてを失ったシャイロックがどうなったのか考えたことがある人は必見の舞台となっている。。

《あらすじ》

代々ヴェニスに住む高利貸しシャイロック(岸谷五朗)は、ユダヤ人(異教徒)の守銭奴として嫌われ者だが、本人は信条を貫いて生きていた。しかし、娘のジェシカ(中村ゆり)は強欲な父のせいで結婚できない鬱憤が爆発して、蓄えを持ち出しロレンゾー(和田正人)と駆け落ちする。

また、シャイロックとは対照的に無償で金を貸す貿易商アントーニオ(渡部豪太)は、友人である貧乏貴族パッサーニオ(岡田義徳)の婚活資金のためにシャイロックに借金を申し込むことになる。

日頃からアントーニオを気に入らないシャイロックは、アントーニオの肉1ポンドを担保に金を貸す。そこまでするのはパッサーニオへの友情からだとアントーニオは言うが、実はパッサーニオを愛している。だがそれを受けるパッサーニオは自覚なく真の友情だと喜ぶ。

一方、ベルモンテでは富豪の娘ポーシャ(真琴つばさ)が、父親の遺言である婿選びの三択クイズに正解者が出ぬままの独身生活30年にうんざりしていて、女中のネリッサ(福井晶一)を相手に権利の無さを嘆き男をディスる日々が続いていた。そこに現れた無一文のパッサーニオが謎かけに正解し夫の座に収まる。

そんなとき、アントーニオの船が難破して借金を返せず窮地に陥っているという知らせが届く。夫の親友が肉を切り取られて死ぬかもしれない裁判が行われるのを知ったポーシャは、借金を10倍にして返せるほどの金を持たせてパッサーニオを送り出し、それとともにある策を練る。そして、いよいよ裁判を迎えたポーシャは、知恵と愛によりシャイロックをこれ以上ないほどに叩きのめし、それを見たヴェニスの人たちは快哉を叫ぶ。

理不尽に財産を奪われながらも自分を通すシャイロック、駆け落ちまでしたジェシカの愛の行く末、パッサーニオとアントーニオの関係性は……物語は波乱含みの中でラストへと向かう。

岸谷五朗は、多くはない出番でありながらシャイロックの人間性を印象付け、愛の形をしっかりと表現して観客の心を掴む。その娘で、中村ゆりが丁寧に演じる純な女性ジェシカが、あることで破滅的に人が変わる様は胸に訴えてくる。

一方、キザなポーズを繰り出し男装も麗しいポーシャの真琴つばさは、まさかの女装が意外にしっくりする福井晶一ネリッサとの掛け合いやデュエットが最高。

ジェシカの恋人ロレンゾーの和田正人は無垢からの残酷を、パッサーニオの岡田義徳は当時の貴族階級の内面をそれぞれ感じさせ、渡部豪太はアントーニオの憂鬱と清さを際立たせる。また、グラシアーノ、モロッコ大公、公爵という3役で活躍するマギーは巧みな話術で客席を沸かせながらストーリーを牽引する。

全編関西弁であることが、この物語で描かれる人間臭いさまざまな欲望や愛憎、そして苛酷な現実にも、どこか軽やかさを与え、人が生きるエネルギーの力を強く伝えてくる。

芸達者が揃って、歌あり踊りありのエンターテインメントは見どころ満載で、3時間超の長さが短く感じられる舞台だ。

【東京初日前・囲み挨拶】

後列/渡部豪太 岡田義徳 和田正人
前列/マギー 福井晶一 真琴つばさ 岸谷五朗 中村ゆり 鄭義信

岸谷五朗:シャイロック
芝居というのは生き物で、この作品『ヴェニスの商人』は400年前にシェイクスピアが書いた作品です。その400年前に既に芝居をやっていたという南座でやらせていただき、そのあと博多座へ行き、芝居を深く熟してしてまいりました。いよいよ東京公演ということで皆テンション上がっています。皆様の力をえて千秋楽まで俳優20名、鄭義信さんの元頑張っていきたいと思います。
『ヴェニスの商人』が鄭さんによって『歌うシャイロック』となり、本当に多面的なテーマが含まれております。皆がそれぞれ主人公、皆が多くのものを背負って、たくさんのテーマが入った作品に変わっています。その辺を楽しみに観ていただきたいと思います。

真琴つばさ:ポーシャ
今回は50過ぎの行かず後家という役で、やりやすい雰囲気の中、やらせていただいております。福井さんとよく言っているのですが、全体の物語の流れを元気で明るさで包んでお届けしているような感じがします。千秋楽まで頑張ります。

中村ゆり:ジェシカ
岸谷さんの娘の役です。選択肢のない環境の中、どうにか抜け出したいともがきながら精一杯生きていく女性です。結構大変なことがたくさん起きて悲劇的に堕ちていく役どころなんですけど、2回公演の翌日の朝は必ず足が攣って起きるというくらい身を粉にして演じておりますので東京公演も私たちの熱演を楽しんでください。

岡田義徳:パッサーニオ
お人好しで憎めない奴で、毎公演毎公演一所懸命全力を注いでやっております。そんな元気のいいパッサーニオを皆さんにもお届けできたらいいなと思っておりますので、宜しくお願いします。

和田正人:ロレンゾ
中村ゆりさんのジェシカと駆け落ちをする役で、簡単にいうとこの作品に於けるロマンス担当です(一同爆笑)。この通り皆さんからもとても愛され、純粋無垢な好青年を演じておりますので、最後の最後まで観ていただければ嬉しいなと思います。

渡部豪太:アントーニオ
原作となった『ヴェニスの商人』の商人は私が演じるアントーニオの役となっております。和田さんがおっしゃられたように私は和田さんにロマンスを引き渡して、愚直にまっすぐ悩みながら岡田さんのパッサーニオと友情を育んでおります。たくさんの人間関係が交錯する作品なので見応え十分だと思います。ぜひ皆様に観ていただきたいです。

福井晶一:ネリッサ
真琴さん演じるポーシャに仕える女中役です。女です(笑)。京都・博多と積み上げてきたものを東京で皆さんに観ていただけるのが本当に楽しみです。今回『歌うシャイロック』は音楽劇ということで、ダンスも歌もありますので、そちらの方も楽しみにしていただければと思います。

マギー:グラシアーノ・モロッコ大公・公爵
おっさんの方のマギーです。音楽劇『歌うシャイロック』ですが音楽劇は一切担当しておりません。今回のお芝居は座長の五郎さんを筆頭に舞台の生のエネルギーを観ていただきたい、それが一番の魅力じゃないかと思っております。京都・博多とこれまでの20公演、毎ステージ熱量高くやって参りました。ただゲネプロはどうしても熱量が上がらない。どうしたら熱量が上がるかなとあと数分で考えたいと思います(笑)。

鄭義信:作・演出
400年前のシェイクスピアの物語を現代の皆さんにも通じる話としてお届けしたい思います。素敵なキャストの皆さんと素敵なとスタッフの皆さんの力を合わせて、京都・南座、博多座を回ってより充実した作品になっておりますので、多くの方に来てもらいたいと思います。

【公演情報】
音楽劇『歌うシャイロック』
作・演出:鄭義信
出演
シャイロック :岸谷五朗
ジェシカ:中村ゆり
パッサーニオ:岡田義徳
ロレンゾー:和田正人
アントーニオ:渡部豪太
マージャリー・パルサザー・医者・避難民:小川菜摘
ラーンスロット・避難民:駒木根隆介
ネリッサ:福井晶一
モロッコ大公・公爵・グラシアーノ:マギー
ポーシャ:真琴つばさ
車貴玲 五味良介 曽我廼家桃太郎 武田亮汰 谷田奈生 西村聡 羽鳥翔太 平井珠生 平岡亮 山村涼子
●3/16~26◎東京・サンシャイン劇場
http://shylock-stage.com/

 

【取材・文/佐藤栄子 写真/©松竹】

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