『シュレック・ザ・ミュージカル』フルバージョン公演が開幕! 抜き稽古&初日前会見レポート
『シュレック・ザ・ミュージカル』フルバージョン公演が、7月8日、日本青年館ホールにて幕を開けた。
映画『シュレック』を元に2008年にブロードウェイでミュージカル化された本作は、昨年8月に90分短縮バージョンのトライアウト公演として日本初上演、今回は待望のフルバージョン公演となる。
公演の初日に先立ち、7月7日に抜き稽古&初日前会見が行われた。
【公開抜き稽古】
一幕(約70分)のみ、取材陣に公開された。
人里離れた森の沼のほとりに住む怪物シュレック(spi)が一人の生活を満喫していたところに、領主・ファークアード卿(泉見洋平)によって国を追い出されたおとぎ話の住人たちが押し寄せてくる。沼地での静かな生活を取り戻したいシュレックは、ファークアード卿に追放令を取り消すよう交渉するため、居城のあるデュロックへ向かう。ファークアード卿は、ドラゴンにより塔に囚われているフィオナ姫(福田えり)を救い出すことを交換条件として出し、シュレックは仕方なくお調子者で喋るロバのドンキー(吉田純也)と一緒に姫の救出へと向かうのだが……。
メインキャストの4人をはじめ、昨年のトライアウト公演に出演したキャストが多く再集結したこともあり、安定感は抜群。掛け合いのテンポのよさも相まって、コミカルなシーンでは取材陣からの笑いが絶えず、歌唱シーンではパワフルな歌声と息のあったハーモニーに圧倒され、70分があっという間に感じられた。
シュレック役のspiは、アニメからそのまま飛び出してきたかのようなビジュアルで登場し、パンチがありながらも繊細な歌声と表現力で一気に物語の世界へと観客を引き込んでいく。世の中に対してどこか醒めた姿勢を見せていたシュレックが、一幕ラストでドンキーに「なりたいものはないの?」と聞かれて、キラキラと輝く瞳で本心を歌い上げるところでは胸に迫るものがあった。
フィオナ役の福田えりは演技、歌唱共に緩急の付け方が見事で、可愛らしさ、力強さ、コミカルさが絶妙に同居したお姫様を体現。お姫様だって人間、キラキラ夢見るだけじゃ生きていけない、という生命力にあふれるフィオナは親しみを感じさせ、思わず応援したくなってしまう。
おしゃべりロバ・ドンキー役の吉田純也は、シュレックが思わず「関わりたくない」と思うような鬱陶しいほどの明るさを、持ち前の華やかな歌声と滑らかなセリフ回しでのびやかに見せている。素直さと優しさを持つドンキーがシュレックとの間に徐々に築いていく関係性にも注目したい。
ファークアード卿役の泉見洋平は基本的に膝立ちの姿勢で歌い踊り、自分の欲望に正直でずる賢く、尊大だが小男のファークアード卿を熱演している。本来は悪役の立場だが、キャラクター造形の可愛らしさと、泉見の弾けるような笑顔や表情が魅力的で、つい目で追ってしまうどこか憎めない存在になっている。
いずれのキャラクターもとにかく愛らしくて、この世界をずっと見ていたいと思わせる楽しさはもちろん、ただの夢物語ではない、現実と地続きのメッセージ性を同時に感じられるところが本作の魅力だ。オーディションで選ばれた実力派のキャストによるステージングで、シュレックの世界にどっぷりと浸って欲しい。
【初日前会見】
公開抜き稽古終了後、舞台上にて会見が行われた。
フォトセッションにはキャストのspi、福田えり、吉田純也、泉見洋平に加え、昨年のトライアウト公演に引き続き本作の応援サポーターを務める、お笑いコンビ「ハリセンボン」の近藤春菜が参加。続いて行われた会見には、spiと近藤春菜が登壇した。
《質疑応答》
昨年に引き続いての応援サポーター就任の感想を聞かれた近藤は「『シュレック・ザ・ミュージカル』がさらにパワーアップして上演されるということで、応援サポーターはやっぱり私しかいないと思っているので、また就任できてうれしい。昨年から「応援サポーターは春菜しかいないよね」という声もたくさんいただいた。本当に面白い作品なので、皆さんにぜひ見ていただきたい」と応援サポーターとしての熱い思いを語った。
フルバージョン公演ということで、昨年よりも曲数が増えたことについて問われたspiは「お客様も倍楽しめるのではないか」と答え、近藤も「しかも生のオーケストラですからね」と音楽面でのパワーアップをアピール。見どころについてspiは「歌もそうだが、こどもたちにわかりやすい笑いが散りばめられているので、三世代にわたって見に来ていただきたい」と語った。
稽古場での様子を聞かれたspiは「すごく風通しのいい現場だったと思う。笑いも絶えなかったしのびのびできる環境づくりを演出家がしてくれていた」と答え、苦労した点については「マスクでずっといること。サウナスーツみたいでかなり暑い。去年は顔が一回り小さくなるくらいで済んだが、今年は上演時間も長くなっているのでこぶしくらい小さくなるんじゃないか(笑)」と、シュレックのマスクをつけた演技の大変さを告白した。
今年も近藤が応援サポーターを務めることについて聞かれたspiは「春菜さん以外いないですよね。そっくりですし」と答え、すかさず近藤が「シュレックじゃねぇよ!」とツッコんで息ピッタリのやり取りを披露。記者が「機会があれば春菜さんも舞台に登場しては」と投げかけると、spiもノリノリで「ぜひカーテンコールで舞台に一緒に上がってもらえれば。お客さんはシュレックが2人になって「乱視かな?」と思うかも」と答え、再び近藤が「シュレックじゃねぇからね!?」とツッコミを入れ、会場は大きな笑いに包まれた。
《七夕企画》
この日は7月7日ということで、七夕企画としてメインキャストの4名と近藤春菜が短冊に書いた願い事を、代表でspiが読み上げた。
ドンキー役の吉田純也は「客席が笑顔で溢れますように」、フィオナ役の福田えりは「たくさんのお客様に楽しんでいただけますように」、ファークアード卿役の泉見洋平は「歌でみんながシアワセになりますように!」と、いずれも本公演の成功を願った内容に近藤春菜も「素晴らしい願いですね!」と大絶賛。
続いてspiが自分の短冊の内容を「ハリセンボン近藤春菜さんとおなら対決がしたい!」と読み上げると、近藤は苦笑しながらも「シュレックといえば、おならも見どころの一つですからね」と返し、spiは「最初のシーンでシュレックがおならをすると花が咲くので、近藤さんがおならをするとどうなるのか見てみたい」と意図を説明。近藤は「七夕なので願いをかなえましょう」と応じることに。まずspiが本編最初のシーン同様におならをすると花の咲き乱れる映像が舞台上に映し出され、続いて近藤がおならをすると、なんとシュレックに扮した近藤の顔が大きく投影された。これにはspiも「負けました!」と宣言し、おなら対決は近藤の勝利となった。
そして近藤の短冊の内容は「シュレックにお姫様抱っこしてもらえますように」ということで、spiは「ぜひやらせてください!」と快諾。「腰とか大丈夫ですかね?」と気遣う近藤を、spiは力持ちのシュレックさながらに軽々とお姫様抱っこして、近藤は「夢がかないました!」と満面の笑みを見せた。
会見の最後にメッセージを求められたspiは「この夏は『シュレック』で決まりです! 皆さんぜひ遊びにいらしてください」と力強く語り、spiと近藤が声を合わせて「やっぱりシュレック最高!」とこぶしを突き上げて会見は終了した。
【公演情報】
【公演情報】
『シュレック・ザ・ミュージカル』フルバージョン公演
原作:ドリームワークスアニメーション『シュレック』/ウィリアム・スタイグ『みにくいシュレック』
脚本・作詞:デヴィッド・リンゼイ=アベアー
作曲:ジニーン・テソーリ
翻訳・訳詞・音楽監督:小島良太
演出:岸本功喜
出演:spi 福田えり 吉田純也 泉見洋平 ほか
●7/8~16、7/22~30◎日本青年館ホール
〈料金〉S席10,800円 A席8,800円(税込)(全席指定・税込)
〈チケット問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日12:00~15:00 ※土日祝休業)
〈公式サイト〉 https://www.shrek-musical.jp/
※「文化庁 劇場・音楽堂等の子供鑑賞体験支援事業」対象公演
本公演に4歳以上~18歳以下のお子様を無料でご招待いたします。(各公演枚数限定)詳細はHPにて。
※4歳未満のお子様のご入場はできません。チケットはお一人様一枚必要です。(膝上不可)
【文/久田絢子 撮影/阿部章仁】
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