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上演記録1800回達成!堂本光一が走り続ける『Endless SHOCK─Eternal─』上演中!

 

自身が持つミュージカル単独上演回数1位の記録を、2月12日17時半公演で1800回に伸ばし、更に記録を更新し続ける堂本光一による『SHOCK』シリーズの最新作、『Endless SHOCK─Eternal─』が有楽町の帝国劇場で上演中だ(3月31日まで)。

『Endless SHOCK─Eternal─』は、昨年2月コロナ禍によって中断を余儀なくされた帝国劇場での『Endless SHOCK』を、この状況の中で如何に安全に、『SHOCK』シリーズの醍醐味を減衰させずに展開させるか?に腐心してきた作・構成・主演の堂本光一が、2020年9月~10月大阪・梅田芸術劇場で発表した作品。舞台は『Endless SHOCK』本編から三年後。カンパニー全員が、堂本演じる主人公・コウイチと過ごした日々を回想する形で進む幕間なし2時間の舞台だ。客席上空でのフライングは無人の舞台上空でのパフォーマンスに。殺陣はストップモーションを用い、飛沫リスクを避ける為にオーケストラをステージの上にあげて、管楽器奏者以外はマスクを着用しての演奏とした為、必然的にシンプルになった舞台セット等、感染リスクを抑えながら照明効果や、巧みな映像の挿入といった様々な工夫で、 SHOCKの物語を迫力とスピード感を保ったまま伝えた新作として大好評を博した。

今回の帝劇上演バージョンは、そのスピンオフ版『Endless SHOCK─Eternal─』再演との発表だったが、そこはEternal Producerジャニー喜多川の薫陶を長きに渡って有形無形に受け、その精神を引き継ぎ、自身の『SHOCK』シリーズのみならず、やはり長く上演されている『DREAM BOYS』シリーズでも近年演出を担い、なんと昨年から今年にかけて帝国劇場で4ヶ月間演出家を務めている堂本光一のこと。帝劇初登場となったこの『Endless SHOCK─Eternal─』でも、昨年秋の梅田芸術劇場上演でのバージョンに、更に細かく手が加えられていて、本編の人間関係と、起きた出来事、カンパニーそれぞれの心情を伝える芝居部分がよりきめ細かくなっている。

これによって、特にライバル役のKAT-TUNの上田竜也演じるタツヤのコウイチへの複雑に拗れた感情が、大きな事態を何故引き起こしていったかが鮮明に伝わり、三年後のタツヤが抱える悔恨や、忸怩たる思いが胸に迫る。上田の一見ものに動じない、ポーカーフェイスに映る個性の中にある、非常に熱量の高いものが噴出し、タツヤの慟哭の深さを強く表していて涙を誘われる。

それはコウイチを慕うリカの梅田彩佳にも言えて、カンパニーの中心メンバーとしてコウイチと踊り続けながら、リカがアーティストしてだけでなく、男性としてのコウイチに寄せていた思いの深さが伝わってくる。梅田のダンス力にも更に磨きがかかっていて、3年連続リカ役として出演していることを改めて納得させるパフォーマンスだった。

また、越岡裕貴、松崎祐介をはじめとしたカンパニーメンバーが、三年前に起きたこと、更に現在までの思いを語るそれぞれの声は、タツヤやリカほどには本編での書き込みが多くない分、「そんな思いがあったのか」や「いま、そう感じているのか」の一つひとつが新鮮。

彼らを見守るオーナー役の前田美波里の、責任ある立場だからこそのコウイチに対して、カンパニーに対しての自責の念の重さも響き、オーナーも加わった明るいダンスシーンへの言及には、場面の意味が違って見えるほど。

こうした細かい心情が語られていく構成・演出をした堂本光一自身が演じる、過去と現在を行き来するコウイチ役が、メンバーそれぞれを見つめる瞳が温かい。設定上どうしてもメンバーを離れた位置から見つめている場面も多くなるが、だからこそ舞台上で放つ稀有な存在感も際立つし、ショーシーンの華やかさが噴出する様は圧巻。SHOCKと言えばのフライングシーンも、客席上空に飛ばないことを忘れ去せるほどの爽快なパフォーマンスになっている。

そんなSHOCKのスピンオフ作品としての魅力が倍化された『Endless SHOCK─Eternal─』を更に楽しむ為に、2020年3月無観客で上演された本編が撮影され、堂本光一監督編集のもと作りあげられた本編映像作品が、2021年2月1日から14日まで、全国82の映画館で公開され、映像での本編と、全く同じキャストで繰り広げられるスピンオフ版の帝劇上演とを、同時期に楽しむことができる贅沢な企画も繰り広げられた。この本編映像作品も初登場週の興行成績ランキング1位に輝いたほどの盛況で、コロナ禍の中で、エンターティメントがどうあるべきかに立ち向かった堂本光一の、心意気と創意工夫が見事に結実した形となっている。だが、だからこそ世の中が平穏を取り戻した暁には、1800回を達成したこの作品『SHOCK』シリーズが、2000回、2500回と記録を伸ばしてくれることを願わずにはいられない。特にできることならこのメンバーで、もう一度本編『Endless SHOCK』が観られる日がくることを信じていたい。それほど、このスピンオフ版は、エンターティメントを決して諦めない、堂本光一とメンバーの信念と気骨にあふれた舞台だった。

また、そんな舞台の初日を前に帝国劇場舞台で囲み取材も行われ、主演の堂本光一、ライバル役のKAT-TUNの上田竜也、カンパニーメンバーの越岡裕貴、松崎祐介、3年連続でヒロインリカを演じる梅田彩佳、オーナー役の前田美波里が登壇した。

この中で「緊急事態宣言下で幕を開けられるのは、お客様をはじめ皆様がたくさんのご協力を下さるからで。夜間外出自粛で20時までの上演にとなったことも、それを読んで上演時間を2時間にしていた訳ではなく、昨年からそのぐらいが良いだろう、ということで構成していましたが、18時開演だと19時55分過ぎくらいに終わる内容なので、それではあまりにギリギリだろうと、僕からは17時半からの開演に出来ないでしょうか?とお願いをしました。昼公演と夜公演の間に消毒作業をしければならないので大変になるのですが、ご協力を頂けるということで、そんな皆様のご協力に感謝しながら、感謝を乗せて作品の中にあるメッセージをお届けできたらいいなと思っています。」と、この期間での上演に対しての決意と感謝を語った。

また、帝劇で4ヶ月演出家を務めていることについては「恐ろしいことですよね」と、改めてその重さを語りつつも「ジャニーさんは数々の演出を手掛けたということで、ギネスブックにも載っていらっしゃるのですが、コロナ禍に於いてその対策を踏まえての演出という意味では、僕はジャニーさんを超えていると(笑)、ジャニーさんはゼロなので(笑)」と、茶目っ気たっぷりの言葉で場を和ませる一幕も。更に『Endless SHOCK』と言えばスペクタクルだが、それも減っていることになるが、という記者の問いかけには「そうなんですが、そう思わせないような作りにしたつもりですけどね!」の、「けどね」にさもおどけたように力を入れ、爆笑を誘いつつ作品への確かな自負も覗かせていた。

一方、今年が所属するグループKAT-TUN15周年の年にあたったている上田竜也には「2月~3月『Endless SHOCK─Eternal─』の舞台が重なる大変さはないか?」という問いが飛んだが、上田は「大変ではないですね。光一くんから去年の段階でもうこのお話を頂いていて、やるということでいたので、大変さは何もないです」とのキッパリとした答えが。それを受けて堂本も「去年の帝劇での公演が2月いっぱいくらいの、公演途中で終わってしまった残念な思いもあったので、来年あった場合には『出る?』って訊いたら『それは僕はやりたいですよ』と言ってくれたので、嬉しかったですね」と語り、更に「面白いのは竜也はもう本編よりも『Eternal』を長くやっているんです(笑)」と思えばそうなるんだ!という意外にもピンと来ていなかった、上演の流れが語られる。上田自身も「短い間にキュッと、本編、映画、『Eternal』と全てを経験させてもらっています」と述懐すると、記者から「光一さんともずいぶん馴染んだのでは?」と問われ、「そうですね。仕事の時にはもちろん尊敬する先輩ですけれども、それを抜けると友達みたいで、調子にノッた時は“光一”って呼んでます(笑)」という、二人がこの期間に、共に困難に立ち向かい、築き上げた信頼を感じさせていた。

同じく、越岡裕貴、松崎祐介からも堂本の才能や、照れ隠しも含んだお年玉の渡し方などのエピソードが語られ、3年間ヒロインを務めている梅田彩佳からは「『Endless SHOCK』と『Endless SHOCK─Eternal─』を経験させて頂いているので、感謝の気持ちでいっぱいです」と、この舞台への思いを込めた言葉が。更に「『Endless SHOCK─Eternal─』はもちろんですが、やはり本編『Endless SHOCK』も観たい、いつ頃になりそうか?と記者が問いかけたのに対して、「それは正直わからない。僕も歳を重ねる訳ですし」と、決して重すぎるものではないながら、舞台に対して真摯な堂本ならではの言葉を「大丈夫です光一さん!何をおっしゃいますやら!」と、ベテランならではの太鼓判を押した前田美波里の頼もしさも光り、『Endless SHOCK』の未来に、希望を感じる時間となっていた。

【公演情報】
『Endless Shock─Eternal─』
エターナル・プロデューサー◇ジャニー喜多川
作・構成・演出・主演◇堂本光一
出演◇上田竜也 / 越岡裕貴 松崎祐介 / 寺西拓人 高田翔 椿泰我 松井奏 / 石川直 梅田彩佳 / 前田美波里 ほか
●2/4~3/31◎帝国劇場
〈料金〉S席13.000円 A席9.000円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉帝国劇場 03-3213-7221
https://www.tohostage.com/shock/

 

【取材・文・撮影/橘涼香】

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