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世田谷シルクの次回公演は、外の国からやってきた人間が働く『工場』の話。

「くすっと笑えるアート」と称し、日常生活に突如入り込む奇妙な状況を、時にコミカルに描いて好評の世田谷シルクの次回公演は『工場』。「トアル国からやってきたトアル人の視線を通じて、集団の中にいたときには分からない、息苦しさを伴う無意識のもがきを俯瞰する作品」になるという。
近年は、「野外劇場」「国際共同製作」など活動が多岐に渡り、ノンバーバルコミュニケーションを目的とした新しい表現も目指している世田谷シルクだが、今作は「自分にとっての幸福はなにか、仕事とはどういったものか」といった内容がちりばめられていて、キャッチフレーズは「世界は”すこし変”で彩られている。」。劇団の原点となるようなシンプルで“すこし変”な演劇に期待したい!

【堀川炎(脚本・演出)コメント】

作品のいきさつについて書きます。2015年から2016年にかけて、私はヨーロッパで劇場の稽古についたり、語学学校に通っていました。その時、日本との仕事ぶりの違いに気がつき、働くことを通した幸せとはいったい何なのかと考えはじめたのが、この作品をつくるきっかけです。また、その語学学校にやってきた生徒たちの理由の大半は、国に仕事がないから英語を学びにきたという理由だったことも重要な動機のひとつでした。
自分の生まれた国を離れ、遠い国へやってくる。その感覚は、今の日本ではないことです。けれど世界にはそういう人たちがたくさんいる。国が貧乏だからとブルガリアから、内戦がひどいからシリアから、職が全くないからスペインから、そんな人たちが隣で自分と同じように机を並べ、しかしもっと必死で勉強してる。その間には空気しかないけれど、その見えない壁はとても厚くて、同じ場所に居合わせることになんとも言い難い奇妙な感覚を覚えました。そして私は別の形でこれに触れてみたいと考えました。

といってもこの作品には、難しいことも、悲しいこともありません。
ただシンプルに外の国からやってきた移民が工場という規則の多い職場で働き、内の国の人たちに馴染もうとする話です。自分にとっての幸福はなにか、仕事とはどういったものか、知っている隣人について、小さな破片を感じ取ってもらえたらと思い書きました。
ご来場いただけましたら幸いです。

【あらすじ】
自分は外の国からやってきた人間だ。
この工場にやってきて、廃液処理の仕事にありついた。
職場の人はやさしい。だけど、規則が山のようにある。
会社への到着は始業三十分前、朝の七時四五分からは全員でラジオ体操。
朝礼、過去のトラブルを復唱、業務。
廃液を適当に流したら、ブザーが鳴って重大責任。始末書を書かされた。
お昼の後半三十分は節電消灯、暗い中で過ごす。
昼礼、また体操、企業理念の唱和。
指の皮が剝けたので絆創膏を貼ると、労災だとえらい騒ぎのように近寄ってくる。
床のボルトにつまずけば、理由を労働環境から書き、最後にはその時の精神状態まで提出する。
終わりのチャイムが鳴った。
勢いよく席を立つと、空気を読めと注意された。周りはまだ、仕事をしている。
調和、規則、団体行動。
一日でいやになったが、出稼ぎにきているから辞められない。
そしたら、ドモリの社員がニコニコしながらチョコをくれた。
彼はほとんど、話さない。話してドモルと、言いなおすまでに時間がかかる。
すると待っている相手との間に、変な空気が流れる。だから話さない、のだと思う。
ある時、屋上で廃棄ダクトの点検中、そのドモリがやってきた。
そして急にタバコをふかしはじめた。ここは禁煙だ。
それなのに、「イイイイ、・・・イイッポン、ドドドドウ・・?」なんて勧めてくる。
自分は煙草が吸えないと断った。
しかしその煙草をふかしている後ろ姿をみながら、意外と度胸があるし、こいつもうまいことやっているなと感心した。
それから気がついたことがある。
トイレには携帯を持って行く人がいる、ラジオ体操は、目をつぶったままの人がいる、仕事をしているようで、マウスをコロコロしているだけの人がいるということだった。
規則の多いこの工場は、色々なものに縛られている。
だけど、案外それを窮屈に感じていないのか、意外とみんな上手くやっているようだ。

【公演情報】

青年団リンク 世田谷シルク
『工場』
脚本・演出◇堀川 炎
出演◇石川彰子 中藤奨(以上、青年団) 堀川炎(世田谷シルク)
大迫健司 荻野祐輔 代田正彦(★☆北区AKT STAGE) 中島有紀乃

8/13(火)〜18(日)◎こまばアゴラ劇場

世田谷シルク https://www.setagaya-silk.com/

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