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OSK日本歌劇団の新作『Salieri&Mozart~愛と憎しみの輪舞~』にW主演! 虹架路万&愛瀬光インタビュー

新トップスター桐生麻耶のもと、2022年に控えた劇団創立100周年の栄光へと力強く歩み続けるOSK日本歌劇団の中にあって、近年その存在感をますます大きくしている男役スター虹架路万と愛瀬光のW主演公演『Salieri&Mozart~愛と憎しみの輪舞~』が、6月6日~10日まで大丸心斎橋劇場で上演される。

1800年代のウィーンを舞台に、オーストリア皇帝ヨーゼフ2世に仕える作曲家サリエリと、不世出の天才作曲家モーツァルト。同時代に生きた音楽家である二人の存在と葛藤を描いた物語は、映画版も大ヒットしたブロードウェイ作品『アマデウス』を筆頭に、ミュージカルまた書物など多彩な形で取り上げられている。そんな世界観を今回作・演出・振付の上島雪夫がOSK日本歌劇団の新作として書き下ろし、歌とダンスをふんだんに取り入れた「歌劇」版サリエリとモーツァルトの物語が展開されていく。

そんな作品でW主演を果たすサリエリ役の虹架路万とモーツァルト役の愛瀬光が、作品と役柄への想い、互いに感じる魅力、更にOSK日本歌劇団の一員として100周年に向ける意気込みを語り合ってくれた。

黒と白のイメージが伝える複雑な面白さ

──お稽古たけなわというところですが、作品に感じている想いはいかがですか?

虹架 そろそろ全てが出来上がるというところに来ていて、皆様がよくご存知のモーツァルトの「レクイエム」に乗せたOSKならではのダンスを作・演出の上島先生が振付けてくださっているのですが、そこでサリエリも踊るという構成になっていて。「史実としては謎の多いモーツァルトの晩年、その謎を解き明かしていく作品だから」と先生がおっしゃる中、私達自身もその謎に立ち向かっていくことにやり甲斐を感じながら取り組んでいます。

愛瀬 お稽古がどんどん進んでいくに連れて、台本を読んでいただけではわからなかった感情が掘り起こされてきていて。周りの人の動きから想像もしなかった表情を見出したりすることによって、自分もこういう感情になるんだ!という発見をたくさんしています。例えば嬉しくて涙が出ることがあって、悲しい涙ではなく嬉しい涙がこういう局面で出てくるんだ!と感じていて。先生が思い描いている世界が、私達にも日々見えて来ているので、ここから更にどう深まっていくのかが楽しみです。

──その中で、演じる役柄についてはどうですか?

虹架 サリエリ役をさせていただきますが、同時代に生きた二人の作曲家サリエリとモーツァルトを描いていて、同じテーマで描かれたピーター・シェーファーの『アマデウス』がとても有名ですし、海外でも日本でも多くの名優の方達が演じてこられたサリエリ像というものがあると思います。私自身にもサリエリに対してある種の固定観念があったんです。モーツァルトの才能に嫉妬するあまり、闇を抱えていった人物というような。でも今回改めてたくさんの文献などにもあたって、サリエリの中に自分と近いものを探していく作業をしていった時に、お衣装でも表れているような「黒と白」、明暗の対比はもちろんありつつも、今伝えられているサリエリ像はもしかしたら後世が作りあげていったものなのではないかな?という気がして。実際に当時生きていた中でのサリエリは、あまりにも真面目な人であり過ぎたがために、人生の選択肢を誤っていった人なのではないか。何かひとつ別の選択をしていたら、全く違う明るい世界を見られた人なのでは?と思うようになりました。私自身も芸事を追求する中で、自分に限界を感じてしまったり、どうしても他の人と自分を比べてしまい嫉妬を感じてもがくことはこれまでにも経験してきているので、そうしたサリエリの人間らしい部分にはとても共感することができました。そういう面を大切に演じていくことによって、お客様にも共感していただけるサリエリを表現していけたら良いなと思っています。

──サリエリが残した楽曲にも近年再評価の動きが出ていますよね。

虹架 モーツァルトとサリエリが合作した楽譜が発見されたという話を聞いて、すごく嬉しいなと思いました。特にサリエリの指導者としての功績には大きなものがあると聞いているので、それ故にこそ孤独を抱えていたというものも加味しつつ、OSKの作品として先生から受け取ったスパイスを、皆さんにもご覧いただきたいと思っています。

──そんなサリエリに対するモーツァルト役についてはいかがですか?

愛瀬 現代でこそ偉大な作曲家としてのモーツァルトのイメージが大きいのですが、当時の人々から見たらサリエリ先生が正しくて、モーツァルトが異端児だったんだと思うんです。だから当時の見方からすると、衣装の色が逆だと思います(笑)。そう考えるとこの「黒と白」の色の使い方も面白いですし、作品の中でもモーツァルトは「僕の音楽を理解してくれるのはサリエリ先生だけだ」と死の淵に至るまで思い続けているんですね。自分の唯一の理解者としてサリエリ先生を信じている。そこが今回の作品では特に強く描かれていますし、モーツァルトがサリエリ先生を信じるパワーには本当に強いものを感じます。

虹架 死の床で衰弱していきながらモーツァルトが「レクイエム」を書くシーンで、お互いに違う理由で涙しているよね。モーツァルトは「サリエリ先生が来てくれた!」と純粋に喜びの涙を流していて、その涙を見たからこそ、サリエリはこれだけの才能を追い詰めてしまった自分に対する懊悩が溢れて涙するというような。作品の中でも二人は時にすれ違ったり、時に対峙したりが繰り返されるのですが、その二人の絡まり方、取り巻く環境を上島先生が場面毎に互いの家庭環境も含めてとても素敵に描いてくださっているので、その対比を様々に見ていただけると思います。

「台詞は結果だ」という言葉の意味

──作・演出・振付の上島雪夫さんの作品創りに接して感じることは

虹架 先生がいつも言ってくださるのが「台詞は結果だ」という言葉なんです。「言葉が発せられた時点でそれはすでに結果なので、その言葉を発するに至る心理をきちんと創って欲しい」と。それは「台詞をどう言えば良いのか?」では決してなくて「どんな感情が生まれてこの台詞が発せられたのか?」が最も大切で、台本もそこに注力して書かれているんです。私はこれまでに上島先生の作品には、毎年OSKが福井県越前市の「たけふ菊人形」で1ヶ月に渡る長期公演をさせていただいている「たけふレビュー」での、トップスター桐生麻耶さん主演公演『GERSHWIN NIGHT』に出していただきました。それはレビュー作品でしたから先生から振付、身体表現の上でたくさんの宝物をいただいたのですが、今回は劇中の振付もしてくださるのでそうした身体表現はもちろん、その上に言葉の宝物をいただき両面から先生のお人柄を感じています。先生はお忙しい中東京から駆け付けてくださっているので、先生がお稽古場にいらっしゃった時には「おはようございます!」という以上に「おかえりなさい!」という気持ちが湧きます。本当に私達に真摯に接してくださるので、そのお気持ちをお返ししていきたいです。

愛瀬 教えていただく先生によって、当然ですが少しずつ視点が異なるのですが、上島先生の視点はとてもナチュラルで、自然に起こる感情を大切にしなさいと言ってくださるんです。例えば「その台詞はそこで切らないよね」ではなくて、「気持ちが動いていたらそこでは切れないよね」を気づかせてくださいます。確かに日常では「私は、いま、ここで」のように区切って話すことってないじゃないですか。その普段絶対にしないことを、台詞を言うと思うあまりにしてしまっている。そうした不自然さに改めて気づけるんです。それは自分自身でお稽古をしていて感じることもありますが、下級生がお稽古をしているのを見ていて再確認できることも多くて。先生がサラリとおっしゃっている中に、たくさんの大切なことが散りばめられているので、それをひとつでも多く表現することによって、作品の中で登場人物一人ひとりがより生き生きできると思っています。振付にも抽象的なものが多くて、それが「歌劇」の夢の世界観を強くしてくれているのを感じるので、そのエッセンスを十分汲み取って、より「歌劇」として色濃く演じていきたいです。

100周年に向かうOSKに大切な公演となるように

──今回共にW主演を務めるお互いの魅力についてはどうですか?

愛瀬 虹架さんは普段とても面白い方なのと同時にすごく頭の良い方で、それが独特の個性と魅力につながっているのですが、サリエリさんではその頭の良い部分だけを残して、面白い部分は奥深くにしまっていらっしゃって。そうした中で私が特に好きな場面が、生徒さんのレッスンをしているところの動作なんです!

虹架 本当?初めて聞いた

愛瀬 初めて言いました!(笑)。とてもナチュラルに「あぁ、先生ってこういう動作をするな」と納得できるし、決してドラマチックな場面ではない、日常的な一連のシーンを自然に演じるって実はすごく難しいことだと思うだけに大好きなんです!お客様にも是非注目していただきたいです。

虹架 意識してしまう!(笑)

愛瀬 いえいえ、ナチュラルに!(笑)。もうひとつ終幕に私が衰弱してよろめくシーンがあるのですが、そこで何一つ打ち合わせをした訳ではないのに、バッと支えてくださって。そこにはサリエリとモーツァルトとしてという面だけでなくて、虹架さんと私とが長年ご一緒させていただいてきた中で、築けてきたからこその信頼を感じられてとても嬉しいです。

虹架 最初にW主演をさせていただけると知った時に、お互いにまず感じたのが喜び以上に責任の重さでした。私達はひとつの公演の度に、もっとOSKを多くの方々に知っていただき、OSKの舞台を観たいと思っていただけるようにを常に目指していますが、二人で主演をさせていただく以上、この公演を通じて更にその目標に向かってカンパニーの皆をリードしていかなければいけない責任がある。その重みをお互いに感じていく中で、役割りの重さに対する不安さえも共有することができたのは、愛瀬君とだったからこそだと思いますし、初めてこうしてW主演という機会をいただく相手が愛瀬君で良かった!と思いました。私は82期生で、彼女は84期生で学年こそ下級生なのですが、愛瀬君は本当にしっかりしていて、私を甘えさせてもくれますし、同時に自分を律する「もっと頑張らなければ!」と刺激をもらえる存在でもあります。もちろん他の下級生のお芝居への想いからも感じることですが、OSKをもっと多くの方々に愛し、応援したいと思っていただける作品を創らなければいけないですし、愛瀬君とはそういう意味でも常に同じ方向を向いていると信じられるので、サリエリとしても虹架路万としても尊敬する存在です。

──お二人がお互いを信頼されている姿を拝見すると、観客としては欲が深くなって役柄をチェンジされる役替わり公演があっても面白いだろうなと感じますが。

虹架 私もお稽古をしていてそれをすごく思っています!絶対面白いだろうなと!

──いつかは東京での公演もと思いますし、その際には役替わり公演もプラスしていただいてと夢が広がりますが、では改めて公演への意気込みをお願いします。

愛瀬 W主演という形で公演させていただける貴重な機会ですし、歴史上に実在した人物を演じますので、お客様の中にも様々な情報やイメージがおありだと思います。そういう時代背景や先行する同時代の作品もあるものだからこそ、「歌劇」ならではの夢の世界だったと思っていただけるように、OSKだけの作品として確立させていけたらと思っています。五日間という短い公演期間の中で、初日にご覧くださるお客様に「また観たい!」と言っていただける作品にしていきたいです。OSKには色々な時代があって、その時代時代にバトンをつないで来てくださった方々が創り上げられた伝統と、今現在の私達が新しく生み出していくものがあると思います。その歴史あるOSKに今いることを忘れずに、100周年に向かって素敵な舞台を創っていく、この作品がそのひとつになるように頑張りたいと思います。

虹架 先ほど東京でも公演して欲しいと言っていただけたのが本当に嬉しくて!と言いますのも、ちょうど今年は日本とオーストリアの友好150周年ということで、東京ではクリムト展など、ウィーンに関する催しがたくさん開かれているので、私もその息吹きを感じたくて東京に行って赤坂離宮なども拝見してきたんです。そういう記念の年にOSKの『Salieri&Mozart~愛と憎しみの輪舞~』でウィーンの香りを感じていただけたら。生の舞台にはそうした非日常にタイムスリップできる力があると思うので、お客様を異国情緒の中に引きこみたいという目標がありますし、今回の作品は高校生以下のお客様に無料で観ていただける企画もご用意しています。私自身が母の影響で子供の頃からOSKを観ていたことが今につながっているように、誰かが誰かをお誘いくださることで、生の舞台を観る楽しさ、OSKを観る楽しさを感じていただけたら。私はこれまで大貴誠さん、桜花昇ぼるさん、高世麻央さん、桐生麻耶さんと4人のトップスターさんの下で舞台を務めさせていただいてきました。やはり男役として成長するのには長い時間がかかりますし、先輩方から教わったことを、これからどうつないでいくか、どんな形でお返しできるのかは常に考えています。その中で今、トップスターの桐生さんのお傍で、舞台上で少しでもお役に立てる戦友のような存在になっていけたらを目指しているので、まずこの作品でたくさんのお客様にご来場いただいて、100周年に向けて歩み続けるOSKに期待していただきたいと思っています。皆様の心に残る舞台を全員で創っていきますので、是非大丸心斎橋劇場にいらしてください!お待ちしています!

 

■プロフィール

にじかけろまん〇大阪府出身。和物洋物双方に秀でたオールラウンドプレイヤーとして、OSK日本歌劇団を牽引する男役スターの一人。第39回「たけふレビュー『GERSHWIN NIGHT』」での大活躍や、『新撰組コンチェルト~狂奏曲~』の沖田総司役など、近年高まるばかりの存在感でその魅力を発揮している。

まなせひかる〇鹿児島県出身。和物を得意とし、更に歌唱力にも秀でたOSK日本歌劇団の次代を担う男役スターの一人。『Dracula』『三銃士 La seconde』『My Dear』『円卓の騎士』など、ミュージカル作品に重要な役柄で多数出演していて、役幅の広さも大きな魅力となっている。

【公演情報】


『Salieri&Mozart~愛と憎しみの輪舞~』
作・演出・振付◇上島雪夫
音楽◇浅野五朗 長野雄輔
美術◇堀容子
歌唱指導◇太田聖二
振付助手◇まあさりと
出演者◇虹架路万(W主演)愛瀬光(W主演)千咲えみ・城月れい・椿りょう・柚咲ふう・唯城ありす・
凜華あい・雅晴日・朝風まりあ・知颯かなで・せいら純翔/緋波亜紀(特別専科)
●6/6~10◎大丸心斎橋劇場(大阪市中央区心斎橋筋1-7-1 大丸百貨店北館14階)
〈料金〉SS席 7,500円 S席 6,000円  U-25 S席 5,000円  A席(自由席)4,000円
A席学割(自由席)2,000円  はじめて割 1組2名様/S席2名で6,000円
※当日券は前売価格に500円加算
※先着順(各回20名)で「高校生以下」はA席(自由席)無料(要予約・観劇当日学生証提示)
※「はじめて割」について OSK初観劇の方(一人又は二人共に)を対象とするペアチケット(1名3,000円)。会場受付にて氏名、連絡先の記載が必要。(各回5組10名限定)
〈問い合わせ&各種企画券予約〉 OSK日本歌劇団 06-6251-3091(平日10時~18時)

http://www.osk-revue.com/category/schedule

 

【取材・文・撮影/橘涼香】

 

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