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OSK日本歌劇団創立100周年記念公演 『レビュー春のおどり』開幕! 東京公演レポート到着

1922(大正11)年に誕生した OSK日本歌劇団が、本年劇団創立100周年を迎えたことを寿ぐ記念公演『レビュー春のおどり』が、大阪松竹座公演に続き、東京新橋演舞場で上演中だ(27日まで)。

OSK日本歌劇団は、1922年に松竹楽劇部として大阪に誕生し、のちに「大阪松竹歌劇団(OSK)」として発展していった女性だけの歌劇団。東京の松竹歌劇団(SKD)、兵庫県で生まれた宝塚歌劇団と並ぶレビュー黄金期、また女性だけで演じる日本独自の文化である「歌劇」の世界を根付かせていった立役者のひとつだ。

だが、戦中、戦後の混乱期、更にはレビュー文化の栄枯盛衰と様々な試練の時がOSKを次々に襲い、存続の危機にも直面したが、劇団員の熱い心とOSKを愛する人々の思いとが、起死回生のバトンをつなぎ、ついに2022年創立100周年記念公演が実現。現トップスター楊琳、娘役トップスター舞美りら、千咲えみを筆頭に、「OSK存続の会」時代の体現者である、前トップスターで特別専科の桐生麻耶、同じく特別専科の娘役・朝香櫻子まで、現在のスターたちと、次代を担うスターたちがひしめき合うように大きな活躍を示す和洋レビューの二本立ては、OSK日本歌劇団ここにあり!の華やぎを示す盛りだくさんな内容になっている。

第1部「光」は、演出・振付 山村友五郎・尾上菊之丞・藤間勘十郎という、3人の舞踊家が史上初めて共同で演出する和物レビュー。100周年記念公演だからこそ実現した特別な内容になっていて、なんら予備知識なく観ても3人の舞踊家の特色がそれぞれの場面に現れる様が豪華絢爛だ。

第一章「花の巻」は山村友五郎作。激動の軌跡をつないだOSKのなか、ひたむきに歩み続けた劇団員たちが迎えた100年の春を、劇団歌「桜咲く国」にちなんだ春爛漫の桜のなか「三番叟」で祝っていく。楊琳を中心にした美しい群舞から、桐生麻耶、朝香櫻子の登場も華やぎを引き立てる。

第二章「夢の巻」は藤間勘十郎作。歌舞伎でおなじみの早替わりをはじめとしたケレンをふんだんに入れ、今夏の京都南座公演での退団を発表している、長くOSK歌劇団の中心メンバーとして舞台を支えてきた虹架路万、愛瀬光、遙花ここの大きな見せ場を作り、更にOSKの次代を担うと嘱望されるスター翼和希、唯城ありすも華やかに見せていきながら、パリの夢へとつないでいく、藤間らしい壮大なロマンが際立った。

第三章「光の巻」は尾上菊之丞作。闇が深いからこそ輝く月の光に思いを寄せ、この光を求める心が永遠に果てることはないという、100年のその先に向かうOSKの未来が、楊を中心とする壮大な群舞と、ストレートに明日に向かっていく言の葉とで、ある種前衛的な、非常に新しい日舞が新鮮だった。

続く第二部「INFINITY」は荻田浩一作・演出による洋物レビュー。「無限に続く進化」をテーマに、OSK第一回公演「アルルの女」へのオマージュから、65周年記念公演以来親しまれている「ビバ!OSK」などの懐かしい歌、シャンソンメドレー、近年のOSKを代表するダンスナンバー「ジャストダンス」など、OSKのこれまでとこれからを綴る見事なタペストリーが綴られていく。こうした過去の名場面を包括しながら、現在、そして未来への希望を描かせた時、おそらく右に出る者はいないと思える「荻田マジック」の魅力が炸裂。

何よりも際だったのは、トップ楊、娘役トップ舞美、千咲に、前述したこの節目の年に退団を決めている虹架、愛瀬、遙花。現在のOSKの主力メンバー白藤麗華、華月奏、城月れい、実花ももたち。次代をつないでいくと期待される翼、椿りょう、唯城ら若手スターたち。そして桐生、朝香を、それぞれにインパクトを持たせながら、決して舞台上でカテゴライズせずに、多彩な組み合わせと見せ場の連続で描ききったことで、OSKがスターの宝庫だと改めて感じさせた構成の巧みさに圧倒される。

娘役も堂々と舞台の芯を担って全員を引っ張っていくOSKらしい場面も多く、この洋物レビューは7月京都南座でも上演が決まっているが、その夏の舞台への期待も膨らみ何度でも観たいと思える、トップスター楊琳が度々口にしてきた「100年のその先に歴史をつないでいくことが使命」という、OSKが目指す100年のその先へと夢が続くレビューだった。

【囲み取材】

初日を前にOSK日本歌劇団トップスター・楊琳による囲み取材も行われ、楊が公演への思いを語った。

──大阪公演を終えていよいよ東京公演に向かうお気持ちは?

皆様ご存知の通り大阪公演はコロナ禍で公演日数が短くなってしまったのですが、お客様からは「待ってました!」という怒濤のような熱気と、温かいお言葉をたくさんいただきました。私たち劇団員も100周年、そして素晴らしいこの作品をお客様にお届けできるという喜びと同時に、本当に大きな感動にあふれた初日を迎えることができました。東京でも劇場のスタッフの方々をはじめ、皆様が待っていてくださったという気持ちをたくさん感じましたので、その思いを忘れずに東京の皆様にも作品をお届けしたいです。

──作品の見どころは?

第一部は山村友五郎先生、尾上菊之丞先生、藤間勘十郎先生という、史上初めて3人の先生方の構成・演出の作品、また第二部は荻田浩一先生の作品で、OSK100年の歴史をきらびやかにつづっていただいてる作品に、100周年記念公演だからこそ実現した特別な内容になっていますので、作品自体か見どころ満載の心から楽しめる作品になっていると思います。

──改めて100周年を迎えた思いと、特にお気に入りの場面などは?

100周年に関しては自分が在団している、ましてやこのような立場でということがまさに奇跡だと感じております。私はなんという運命のもとに生まれたのだろうと思いますし、たくさんの方に感謝を忘れずに精進していきたいです。お気に入りの場面はたくさんありすぎて選べないのですが、敢えてひとつをあげるとしましたら、尾上菊之丞先生の「光の巻」がある意味前衛的と言いますか、今までにない日舞で、自分ではとても好きな場面ですので、そこには是非注目していただきたいと思います。

──他の方々のご様子はどうですか?

100周年を迎えられること、こうして公演ができることを、皆心から喜んでいます。更に『春のおどり』は OSKにとってもファンの方にとっても年に一度のお祭り的存在なので、「100周年だから!」というのではなく、そのお祭りの中に100周年を入れ込んで作品を創り上げています。作品と向き合う想いは100周年でもそうでなくてもいつも一緒で、モチベーション高く日々技術を磨いてくれています。

──今回の作品は特に多くの方に見せ場がありますが、魅力をアピールしていただくとすると?

個性豊かなところです。本当に色々な色の劇団員がいますし、そこにOSKのスピリット、OSKを愛している皆様の為にという熱い思いが根底に共通しているので、個性豊かでありつつひとつになっていると思います。おっしゃってくださったように、今回の作品にはたくさんの劇団員に見せ場があるので、よりお客様にひとり一人を認識していただけるのではないかな?と思っています。

──改めて100年の歴史を感じる瞬間は?

公演の最後に昭和5年から歌い継がれている「桜咲く国」を歌わせていただいていているのですが、はじめてOSKが新橋演舞場で公演させていただいた時に、SKD(松竹歌劇団)のOGの方に「ありがとう、まさか桜咲く国をまた東京で聴けるなんて」と言っていただいたんです。その時に本当に歴史ある曲なんだと感じました。ですから「桜咲く国」を歌わせていただくときは毎回、その歴史を感じています。これから先もこの「桜咲く国」を歌い継いでいけるよう、がんばりたいです。

──では改めて意気込みをお願いします。

このような状況のなか、OSK100周年という素晴らしい年にこうしてOSKの公演を東京でたくさんのお客様に観ていただけるのが本当に嬉しいです。でもOSKの知名度はまだまだこれからあげていかなければならないと思っていますので、この機会にたくさんの方にOSKを知っていただきたいですし、この『春のおどり』とても素晴らしい作品に仕上がっておりますので、最高のレビューを皆様にお届けできるよう、劇団員一同一丸となって邁進して参りたいと思います。

【公演情報】


OSK日本歌劇団創立100周年記念公演『レビュー春のおどり』
第一部「光」:演出・振付 山村友五郎・尾上菊之丞・藤間勘十郎
第二部「INFINITY」:作・演出 荻田浩一
出演:楊 琳 舞美りら 千咲えみ 白藤麗華 虹架路万 愛瀬 光 城月れい 華月 奏 遥花ここ 翼 和希 椿 りょう
桐生麻耶(特別専科) 他 OSK日本歌劇団
●3/25〜27◎新橋演舞場
2022年3月25日(金)12:00/16:30
2022年3月26日(土)12:00/16:30
2022年3月27日(日)11:30/16:00
〈料金〉S席(1・2階)9,500円/A席(3階)5,000円(全席指定・税込)
〈公式サイト〉
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/enbujo_202203/

 

【取材・文・撮影(囲み)/橘涼香 舞台写真提供/新橋演舞場】

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