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OSK日本歌劇団『レビュー 春のおどり』新橋演舞場で開幕!

翼和希 千咲えみ 楊琳 舞美りら 華月奏

OSK日本歌劇団『レビュー 春のおどり』東京公演が、2月24日、新橋演舞場にて幕を開けた。(26日まで)

第1部の『レ・フェスティバル』は、「あるお祭り」を意味する造語。映画『ロシュフォールの恋人たち』にオマージュを捧げ、全編をフレンチ・ジャズで彩った愛と幸福に満ち溢れた歌と踊りで綴られる物語。
第2部は『未来への扉~Go to the future~』、伝統と革新~クラシックからロックまでを踊りこなす新生OSKのダンス・レビューとなっている。

公演の初日に先立ち、2月23日に囲み取材・ゲネプロが公開され、トップスターの楊琳と出演者の舞美りら、千咲えみ、華月奏、翼和希が取材陣の前に登場した。

《挨拶と質疑応答》

楊琳 本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。新橋演舞場公演が明日、初日を迎えまして、26日まで劇団員全員で頑張りますので、どうか皆様のお力をお借りしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

舞美りら 本日はお忙しい中、お集まりいただき誠にありがとうございます。扮装をしてご取材が珍しいのでソワソワしている“フランソワ役”の舞美りらでございます…フランソワでソワソワをかけてみました(笑)。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

千咲えみ 本日はありがとうございます。昨日、新橋演舞場での舞台稽古が始まりまして、新橋演舞場に戻ってきたなと大変嬉しく思っております。明日からの公演で一人でも多くのお客様に心に残る舞台をお届けできるよう精一杯頑張って参ります。どうぞよろしくお願いいたします。

華月奏 本日はありがとうございます。第1部では色男ランス役を演じますが、第2部では「とうとう来たぜ!東京シティ!」という歌詞を歌いますので(笑)、そんなところも皆様にご注目いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

翼和希 本日はお集まりいただきましてありがとうございます。東京公演、本当に楽しみにしておりました。この作品は3日間という短い期間ではございますが、悔いの残らぬよう精一杯つとめて参りますので、たくさんの方に来ていただけますよう皆様のお力をお貸しいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

──1部・2部それぞれのみどころをぜひ

 第1部はミュージカル映画『ロシュフォールの恋人たち』を題材としたミュージカルアクトです。全てが歌とダンスで表現されておりますので、私たちにとっても初の試みとなります。ノスタルジックでお洒落なショーになっているので、そのあたりを観ていただければと思います。第2部はレビューの色々な要素が詰まった“ザ・レビュー”という感じです。クラシカルな部分から新しいところまで、余すところなくレビューの素晴らしさをお届けできると思います。

舞美 私はこれまでの舞台でも色々な“出会い”をさせていただいているんですけれども、今回、第1部のサミー(楊)さんとの出会いがまるで漫画やドラマのようにドラマチックで、いかに素敵な出会いに見えるかどうかというところに命をかけてます(笑)。第2部は幼い頃から習っていたクラシックバレエを活かせる「ワルツ」というシーンです。娘役だけで構成されておりまして、そこも見どころかなと思います。

千咲 第1部は歌と踊りで繋がれていくのですが、私はカトリーヌという役を演じています。本当に光栄なことに、私がメインで3曲の歌を歌わせていただきます。その3曲がそれぞれ全く違う心境で歌うことになりますので、どう歌い分けるか、きっと色んな人が持っている感情だと思いますので、そこが私の今回の挑戦だなと思っております。見どころと思っていただけるように頑張りたいと思います。

華月 新橋演舞場はステージが広くて花道が長くなっているので、運動会のように全員で走り回って伸び伸びと踊っているところを観てください。

 私は第2部のタンゴのシーンを見どころにしたいなと思って、東京へやって参りました。上島先生から、「本場のタンゴはこうやってやってるんだよ」と振付けていただきました。本場のタンゴを観た方から直々に教えていただける機会というのは貴重なので、それをできるだけ表現できたらと思っております。

──翼さんはNHK連続テレビ小説『ブギウギ』に出演が決まったそうですね

 笠置シヅ子さんはOSKを卒業された後に東京に進出されて、そこで有名になったという経緯をお持ちの方です。笠置さんが育った関西の劇団として、私たちも東京に来れたことが時を経て重なって、言葉では表現できない気持ちです。その笠置シヅ子さんの人生が題材とされたドラマに出演できるのも、言葉にできないです。

──最後に楊さんから一言お願いします。

 私たちOSK日本歌劇団にとって、今回の「レビュー 春のおどり」は次の100年目への第一歩でもあり、先程も申しました通り新たな挑戦だと思っておりますし、この先も200年、300年と続くよう、そういう意気込みで頑張っております。皆様のお力をお借りしてOSKをたくさんの方に知っていただき、「レビュー 春のおどり」、そしてOSK日本歌劇団が益々愛されるように頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【ゲネプロレポート】

《第1部》『レ・フェスティバル』

第1部は、フランスのとある港町、ロシュフォールで年に一度開催されるお祭りが舞台となり、世界中から人々が集まるところから始まる。お祭りの高揚感の中、アメリカのスター・サミー(楊琳)はピアノの得意なフランソワ(舞美りら)と出会い、互いに惹かれあう。囲み取材で舞美が見せ所として挙げた、2人が恋に落ちる瞬間のきらめきが舞台上でまぶしく乱反射して物語を盛り上げる。

フランソワの妹でバレエが得意なカトリーヌ(千咲えみ)は詩を口ずさむような人に出会いたいと夢見ていて、色男のランス(華月奏)に言い寄られてもつれない態度でかわしている。そこに、まだ見ぬ想い人との出会いを夢見て海を渡り歩く水兵で詩人のジャック(翼和希)がやってくる。出会いそうで出会わないカトリーヌとジャックにやきもきするが、2人の夢見る瞳の輝きと、軽やかなランスの存在が物語の明るさを牽引する。

若き日に出会った相手のことが忘れられずに、同じロシュフォールに住みながらもお互いすれ違うミシェル(桐生麻耶)とアンヌ(朝香櫻子)は浮かない表情でお祭り騒ぎの街を歩く。前トップスターで特別専科の桐生麻耶と、同じく特別専科の娘役・朝香櫻子という頼もしい2人が、華やかな物語の中で陰のある登場人物をきっちり表現することで陰影が生まれ、物語は輪郭をくっきりと浮かび上がらせていく。ともすれば停滞しがちな“陰”のシーンだが、緩急を巧みにつけながら各々の交錯する思いをフレンチ・ジャズに乗せてテンポよく進んでいく。

楊琳は、アメリカのスター・サミーをさすがの存在感で演じているが、ふとした瞬間にサミーを伸びやかに楽しそうに演じているOSKトップスターである楊自身が垣間見える。その塩梅が絶妙だ。サミーを演じながらも、時折見せる表情やしぐさに楊自身が重なって見え、サミーと楊という2人のスターの輝きが舞台上を支配する。楊を通してサミーを見ているのか、サミーを通して楊を見ているのか、虚実がないまぜになる感覚が舞台の醍醐味でもあり、相乗効果でサミーと楊の両方が魅力的に舞台上に立ち上がっている。

祭りの終わりは旅立ちのとき。出会った2人、そしてまだ出会えぬ2人の行く先はどうなるのか。春の訪れを一足早く感じられるような愛と幸福に満ちた華やかなステージは、心がワントーン明るくなる爽やかな後味を残してくれた。

《第2部》『未来への扉~Go to the future~』

第2部は、「未来へ向かう」をテーマに、懐かしさと新しさが交錯する作品がずらりと並んだ。伝統を重んじながらも、新たなことへ挑戦する姿勢に劇団の希望が感じられる。第三場「ここが僕たちのベスト・プレイス」では、楊を中心にストリートダンスとラップにも挑戦しており、新たな魅力が楽しめる。第八場「Swan Lake」では、「白鳥の湖」をテクノ風にアレンジした音楽に合わせ、男役が黒い衣装でダークかつスタイリッシュに見せる群舞に圧巻の美しさと迫力がある。

 

第五場の「KYEE」はチアリーダー風の明るさ、第七場の「ワルツ」はクラシックバレエの優雅さで見せ、娘役の華やかさとかわいらしさが堪能できて楽しい。“ロケット”の愛称で親しまれるラインダンスの一糸乱れぬスピード感で、技術力の高さもきっちり披露している。OSKは男役と女役、それぞれの魅力が拮抗したバランスの良さが劇団の持ち味にもなっているのではないだろうか、と感じさせる。

 

 

プロローグとエンディングで歌われる「未来への扉 ~Go to the future~」の、<時を超えて今飛び立とう 軽やかに 華やかに はかなげに>という歌詞が印象的だった。舞台の幕が開き、閉じるまでの瞬間、観客も演者もひと時の夢の世界へと旅立つ。はかないからこその華やかさを求めて、舞台は時を超えて何度も上演され、観客は足を運び続ける。OSK日本歌劇団と観客が歩んできた歴史の重みと、その歴史がこれからも続いていくようにという双方の願いの込められた『レビュー 春のおどり』に魅せられ、胸をつかまれる時間だった。

【公演情報】
OSK松竹歌劇団『レビュー 春のおどり』
第1部 ミュージカル・アクト『レ・フェスティバル』
第2部 『未来への扉~Go to the future~』
作・演出・振付:上島雪夫
出演:楊琳
舞美りら 千咲えみ 華月奏 城月れい 実花もも 翼和希
天輝レオ りつき杏都 壱弥ゆう 椿りょう 唯城ありす
桐生麻耶(特別専科)他OSK日本歌劇団
●2/24~26◎新橋演舞場
〈料金〉S席(1、2階席)10,000円 A席(3階席)5,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉03-3541-2111(販売営業まで)
〈公式サイト〉https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/202302_osk_enbujo/

 

 

【取材・文/久田絢子 写真提供/松竹】

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