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中川晃教コンサート2020 feat.ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』レポート 

明治座の新スタートに膨らんだ未だ見ぬ新作ミュージカルへの夢 

7月11日、日本が誇る老舗劇場、日本橋の「明治座」が新たなスタートを切る公演、中川晃教コンサート2020 feat.ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』が上演された(公演は12日までの2回)。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、出演者・スタッフ、そして観客の安全を考慮し、3月~7月の全公演を中止していた明治座が、ついに再びその幕を開ける瞬間となったこの公演は、4月に明治座が開場以来初となるオーケストラピットを使い、生演奏による、明治座発海外へ!の高い志を持って鋭意製作していたオリジナルグランドミュージカル、ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』の主人公、チェーザレを演じる予定だった中川晃教によるコンサートだ。観客入場数を大幅に縮小し、時差入退場、検温、消毒などあらゆる対策が立てられ、生配信でも届ける万全の体制のもとスタートした。

 

そんなステージは、舞台稽古に進むばかりにまで進行していた作品を、開幕することができなかったカンパニー全員の想いを背負った中川が、ところも同じ明治座で、『チェーザレ 破壊の創造者』からのナンバー6曲の披露と、名作ミュージカルの楽曲、アーティスト中川晃教オリジナル曲、そしてチェーザレカンパニーからのゲストを迎えたトークを織り交ぜながら、展開される特別なものになっていた。

中川のピアノ弾き語りによる、本人作詞・作曲の著名なデビュー曲「I WILL GET YOUR KISS」から開幕。劇場が閉ざされた長い日々の間、中川本人はもちろん観客がどれほどこの日を待っていたことかを、歓声はあげられない中、精いっぱいの熱い拍手が伝えていく。

それを感じ取ったのだろう中川は、冒頭のMCで「お待たせいたしました。感極まってしまいそうなくらい、これは夢じゃありません。現実です。明治座再開にこのコンサートを企画してくださって本当に嬉しいです。今日は皆さんといろんな思いを共有、共感したいです」と興奮した面持ちで語った。

続いて「マイソング」、更に、個人的に2020年への想いを込めて書いていたという「止まらない一秒」が歌われ、誰しもが世界から多くの人が訪れ、賑わいと熱気に包まれると信じていた2020年の幕開けの日々が思い返される。そしてアインシュタインの「相対性理論」から、見方を変えればすべて変わることにインスピレーションを得て、時間の概念を考えたというその名も「相対性理論」が歌われた。

 

合計4曲のオリジナル曲に続いては、ミュージカル俳優中川晃教が生まれた瞬間を振り返りながら、ミュージカル『モーツァルト!』より「僕こそミュージック」を。小池修一郎にオーディションを受けてみないかと勧められ、出演が決まったものの、今振り返れば当時の自分はミュージカル俳優ではなくアーティストのままだった。そんな何も知らない自分に、稽古場での居方から全てを教えてくれたWキャストのモーツァルト役の井上芳雄との出会いは大きく、井上をはじめとした多くの人々との出会いから今につながっているという趣旨の話が尊い。そのまま台詞つきで歌われた「僕こそミュージック」は、舞台の中川が一瞬にしてモーツァルトに変わったことがわかる、圧巻の歌唱だった。

また、劇団☆新感線の『SHIROH』からの楽曲「人のツバサ」では、演じたシロー役だけではなく、何人もを演じ分けながら、やはりそこにはちゃんとシローがいたし、この明治座で上演された「銀河鉄道999 40周年記念作品 舞台『銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~」より中川作詞・作曲による「舞台『銀河鉄道999』メインテーマ」では、星野鉄郎役の中川の少年性と共に、楽曲の壮大さが再び明治座に蘇る感動を広げてくれていた。

そこからいよいよお待ちかねミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』コーナーへ。まずMCゲストとして、共演予定だったアンジェロ・ダ・カノッサ役の山崎大輝、ドラギニャッツォ役の井澤勇貴が登場。衣装もつけ、通し稽古も済ませたところでの稽古場クローズ以来の3ヶ月ぶりだという再会を喜び合う。中川が「この作品は彼らとの化学反応で生まれたんです」と語ると、ソーシャルディスタンスを保つためにトーク位置が銘々離れているために、センターになっていた山崎が「アッキーさん(中川)のコンサートで僕がセンターなんて」と恐縮し、井澤が「袖で聞き入ってしまいました!上手いではなくて凄い!」と中川の歌に感嘆するなど、いささか緊張の面持ちの二人の中川へのリスペクトが伝わる。

そんな二人を前に、中川が井澤の高身長を示して「170㎝までの小動物系プリンスと、180㎝以上のサバンナ系プリンスがいるんだよ」と線引きをしたり、山崎が稽古場で「毎日必ずクマの柄のTシャツを着ていた!何枚あるんだろうと思ってクマ柄に癒されていた!」等と語って場を和ませていく。

一度中川が袖に入り、ぶっつけのムチャぶりだったという井澤の「中川晃教が歌う『モーツァルト!』の僕こそミュージックのモノマネ」という、このシチュエーションで緊張必至だろうな、と思える披露もあり、温かな拍手が贈られ、もう一度山崎と共に、チェーザレの学友たちが「ロッサ」と「ヴェルデ」と名づけられた2チーム体制だったための稽古の流れの違いなどの片鱗も語られ、開幕が待ち望まれていた舞台への想いが募った。

ここで一度幕が下り、ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』の世界観の解説と、キャスト全員がキャラクターに扮した姿が映像で映し出される。この舞台がこの場所で観られるはずだった!との想いがこみあげる中、チェーザレのイメージの黒の衣装に着替えた中川が登場。一瞬、舞台用の衣装を着てきた!?と錯覚するほど、チェーザレ役そのものの空気をまとって、製作発表会見でも披露された「チェーザレ」を歌いあげる。山崎アンジェロとの台詞の掛け合いも入った「民衆の処し方」。チェーザレの考え方に大きな影響を与えた「ダンテの理想」。そして、ハインリッヒ7世役の横山だいすけが登場して、デュエット曲「皇帝」が歌われる。「だいすけおにいさん」で知られる横山が、ハインリッヒ7世役にキャスティングされた意味が伝わる、神々しい歌声が印象的だった。

その横山とのトークでは、それぞれが生きた時代としては100年間のズレがあるハインリッヒ7世が、如何に『チェーザレ』の思想形成に寄与した人物か?をはじめとした、作品世界の解説や、中川と横山が自粛期間中の規則正しい生活を語り合い、この時間(コンサート上演中の18時台)は夕ご飯の時間だった!と意見が一致し笑わせるひと幕も。

再び中川のソロで「祈り」。そして「プリマヴエッラ」が披露され、明治座の劇場に協会の壁画が見えるかのような中川の歌唱力が光り、この作品を「いつか必ず上演します。その日まで応援よろしくお願いします」との決意を秘めた言葉に、その日が必ずくることを信じて待とう!という気持ちが膨らんだ。

最後は中川のオリジナル曲に戻って「マタドール」そして、アンコールとして「FAMILY」が歌われ、大きく異なる世界観の楽曲を歌い分ける中川の魅力が爆発。ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』上演への期待と共に、アーティストとして、またミュージカル俳優としての中川晃教の魅力が堪能できる時間だった。

【公演データ】
中川晃教コンサート2020 feat.ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』
出演◇中川晃教
横山だいすけ
山崎大輝(トーク出演)・井澤勇貴(トーク出演/11日のみ)・近藤頌利(トーク出演/12日のみ)
●7/11~12◎明治座

【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】

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