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朗読劇『リスナーたちの星空』間もなく開幕! 永田崇人&石井杏奈インタビュー

それは、ラジオがつないだ10年越しの恋だった――

4月27日より開幕の朗読劇『リスナーたちの星空」。10年前に終了した人気ラジオ番組が、1年の期間限定で復活した。毎月の放送のたびに寄せられてくる、当時のリスナーからの投稿。それぞれの10年。変わったこともあれば、変わらないものもある。

そんな中、当時ラジオを通じて結ばれた“伝説のカップル”から投稿が届いた。10年の時を経て、2人は今何をしているのか。深夜ラジオというちょっと特別なコミュニティを舞台に綴られる人の絆、そして恋の行方が見どころの本作。“伝説のカップル”役には、日替わりでさまざまなキャストが扮する。

今回は初日の27日に出演する永田崇人&石井杏奈にインタビュー。この取材が初めましてという2人の初々しくも爽やかなトークをお届けする。

初の朗読劇。土田さんの世界を信じて飛び込みたい

──まずは朗読劇に挑む気持ちからお話を聞かせてください。

永田 本格的な朗読劇は今回が初めてなんですよ。基本的に僕、心配性なので。普段の舞台より稽古の日数がないので、それがいちばん心配ですね。

石井 私は2年前に初めて朗読劇をやらせていただいたことがあるのですが、声だけで伝える、さらに自分たちが台本を読んでいるところをお客さんに見られる難しさをとても感じて。どうしようと思ったのを覚えています。

──朗読劇の先輩である石井さんから永田さんにアドバイスすることはありますか。

永田 あ、確かに。聞きたいです!

石井 (恐縮して)いえいえ、何も言えることはないですよ。とにかくとても緊張します。

永田 わかる、絶対そうだよね。

石井 さらに本番になると、徐々に字が読めなくなってくるんです。なので、手元に台本があるとはいえ、ある程度覚えて挑んだ方が安心します。

永田 それは、ミスしたらテンパってきて、文字が見えづらくなるとか?

石井 立て続けにミスをすると、どんどん焦りが出てきて、何も目に入らなくなるんですよね。

永田 そのときって稽古は何回くらいあったんですか。

井 確か2回くらいでした。台本に「ここから気持ちをつくる」など細かく書き込んで。自分の台詞でない箇所では、そういうところを読んで準備していました。

永田 それ、間違えて「ここから気持ちをつくる」って読んだりしない?(笑)

石井 それはしないです(笑)。

──お2人はわりと緊張しやすいタイプですか。

永田 僕は舞台のときはしないです。1ヶ月も稽古をやったら、自然と体に染み込んでるんで。

石井 すごい。

永田 舞台で緊張します?

石井 私は、去年初めて舞台を経験したのですが、間違えたらどうしようと、とても緊張しました。

永田 確かに初めてはするかも。そういう意味では、僕は今回朗読劇が初めてなんで、ちょっと緊張するかもしれないですね。でもそれが楽しそうだなとちょっと思ったりするんですけど。

石井 新鮮にできそうな気がしますよね。

永田 それに(脚本・演出の)土田(英生)さんの本は絶対面白いので。今から6年前、僕がデビューして間もない頃に、ファンイベントの企画で朗読劇みたいなのをやらせてもらって。そのときの脚本と演出が土田さんだったんですよ。しっかりご一緒できるのは、それ以来。すごく楽しみだし、土田さんの世界を信じて飛び込んでいきたいと思っています。

ラジオは秘密を聴いてる感じがする

──では、ぜひ今回のストーリーに対する感想を聞かせてください。

石井 とても素敵な愛の物語ですよね。ロマンチックすぎて、ドキドキしながら読みました。ラジオという同じ趣味を通じて再会するところが素敵ですし、直接会ってはいないのに、ハガキのやりとりだけでまた恋が育まれていく。こんなロマンチックなことがあるんだ!と心打たれました。

永田 僕、最近ラジオをよく聴いてるんですけど、ラジオってなんか秘密を聴いてる感じがするので好きなんですよ。実際はいろんな人が聴いているんだけど、自分だけしか聴いていない気がするというか。パーソナリティーの方と自分が1対1になれている感覚が圧倒的にある。そんなラジオの良さが活きているお話だし、そこで恋愛が紡がれていくさまがちょっとこそばゆいところもありつつワクワクしました。

──何がきっかけでラジオにハマるようになったんですか。

永田 高良健吾さんが好きで、高良健吾さんが出ていたラジオを聴いたのがきっかけです。それが金曜の深夜1時とか2時くらいだったんですけど、そのとき、すごい孤独を感じていて。でも、ラジオを聴いていたら孤独が埋まった気がした。そこから徐々にハマっていって。今は移動時間とかにもよく聴くようになりました。

石井 私の場合、ラジオというと、祖母の家に行ったときにBGM感覚で流れているものというイメージがあります。ラジオから流れている歌謡曲を聴きながら、みんなで会話をしていた風景がパッと浮かびますね。

──ご自身がラジオに出演するときはどんなことを意識していますか。

石井 私、話すときについ身振り手振りをつけちゃうんですね。

──あら。でもラジオだと見えない(笑)。

石井 そうなんです(笑)。(手で差しながら)「あれが」「これが」と言っても何も伝わらないので、宣伝などでラジオに出させていただくときは、できる限り身振り手振りは抑えて、しっかり言葉で伝わるようにと意識しているのですが…。最近は徐々に改善されてきた気がします(笑)。

永田 いいですよね、ラジオ。僕もやってみたいんですよ。(主催の)ニッポン放送さんにはぜひお願いしますとめちゃくちゃ大きな声で言わせてもらいました(笑)。あ、ちなみにニッポン放送さんの『オールナイトニッポン』をよく聴いています!

──アピールしましたね(笑)。

永田 はい(笑)。でも、ラジオのおかげですごく世界が広がって。最近はラジオで紹介されているのがきっかけで知った音楽や本もたくさんあります。なんて言うんだろうな、普通に生活していたら絶対に行き着かない、自分の視界の死角にあるところに手が届く気がして。そういうところもラジオの良さだなと思います。

この10年で、人に嫌われてもいいやと思えるようになった

──物語は、ラジオ番組を通じて“伝説のカップル”が再会するところから動き出していきます。こんな「忘れられない恋」ってあると思いますか

永田 あると思います。ありますよね、みんな。

石井 私もあると思います。

──ちなみに笑って話せる初恋話で言うと…?

石井 保育園の年長さんのときに、お昼寝の時間に好きな男の子の横で寝るために、よくその子の後ろに頑張って並んでいました(笑)。

永田 それ、あるあるかもしれない。俺もあった気がする!

──10年ぶりにラジオ番組が復活するというストーリーですが、お2人は10年前、何をしていましたか。

石井 私はもうこの仕事をしていましたね。

永田 僕は高校生です。そのときはまだこの仕事をやるとは思ってもいなかったですね。当時は受験で頭がいっぱいで、勉強ばっかりしていました。

──この10年で最も変わったことは何でしょう。

石井 私は人に嫌われてもいいやと思えるようになりました。

永田 おお、すごい。

石井 昔は人に嫌われたくなくて、自分を見せられませんでした。これを言えば傷つけてしまうかもと考えると、言いたいことも一切言えず、殻に閉じこもり。消極的で、人見知りで、内向的で、よくないオーラばかりが出ていたんですね。

──そうだったんですね。

石井 ですが、家族や、仲の良い友達など、自分にとって大切なものがはっきりしたときに、その人たちを守れていれば十分だと。もちろんその上で新しい友達が増えたらうれしいですが、自分には大切な人がいるから大丈夫と思えるようになってからは、変に怖がらず、ありのままで人と接することができるようになりました。いい意味で我が強くなったというか、自分を出せるようになった気がします。

永田 僕は何が変わったんですかね…。周りからは「落ち着いたね」とやっと言われはじめるようになりました。なので、大人になってきたのかなと。

──「大人になった」と言われるのはご本人としてはうれしいんですか

永田 うれしいですよ! 大人のつもりで生きてきましたもん。まあ、仲の良い友達からは今でも「小学生だね」って言われますけど(笑)。それこそ、僕、インタビューではそのときの自分を赤裸々に話すタイプで。(インタビュアーさんに対して)それこそ何度も取材してもらっている分、僕よりよくわかると思いますけど、僕の変わったところって何ですか。

──何でしょう…。ちょっと前は思考が少しマイナス期に入っていた時期があると思うんですけど、そこから抜けたのかなという印象はあります。

永田 それです、抜けたんですよ! だから、石井さんの話を聞いていて、おこがましいですけど、ちょっとわかるなと思いました。まあ、でも僕はまだまだ幼虫なんで、もうちょっと頑張らないといけないですけど。

『チア☆ダン』で人の支えを強く感じた

──“伝説のカップル”を応援し支えるリスナー同士の絆が、この物語の感動のポイントになっていると思います。お2人が人の支えを感じた思い出といえば何でしょう。

石井 私はいつも周りに迷惑をかけてばかりで、常に人に支えられて生きているのですが、それをいちばん強く感じたのは、ドラマ『チア☆ダン』の撮影中でした。その頃、E-girlsとしても活動しており、ちょうどドラマとツアーが重なっていたんですよ。本当に大変で、相当体を酷使していました(笑)。

──どんなふうにみなさんが支えてくれたんですか。

石井 『チア☆ダン』の現場に行くと、私がE-girlsの現場があることも共演者の方たちはわかっているので、みんなで頑張ろうと手を取り合い支えてくれて。E-girlsの現場に行くと、私がドラマの撮影で出られなかった分、代わりに私の立ち位置をメモしてくれたり、振りを優しく教えてくれたり。もう二度と経験したくないほどの3~4ヶ月でしたが(笑)、あの過酷な時期を乗り越えることができたのは間違いなく人の支えのおかげでした。

永田 めっちゃいい話ですね。わかりました、今回の劇中、どっかで『チア☆ダン』って言います。

石井 言わないでください(笑)。

永田 僕も普段からいろんな人に支えられています。僕は何でも考えすぎて、自分って何なんだろうってわからなくなることがよくあるんですね。そういうときに、別に何でもいいやって、ありのままの自分を感じさせてくれるのが、高校時代からの親友たちとの時間。別に何か特別な言葉をかけてくれるとかではなく、一緒にいると自然と自分の気持ちをフラットな状態に戻してくれる。休みの日は彼らと一緒にいることが多いんですけど、友達との時間があるから、また仕事も頑張ろうと思えるところはありますね。

──では最後に、読者のみなさんにお誘いのメッセージをお願いします。

永田 この「リスナーたちの星空」は10年前に番組が終了した濱宮賢治というシンガーソングライターが、何かの縁でまたラジオに戻ってきて…というところから始まるお話で。デビューのときにお世話になった土田さんとこのタイミングでご一緒できるのも縁だし、今日この現場に入るまで知らなかったんですけど、プロデューサーさんもすごく前からお世話になっていた方なんですよ。だから、僕にとってはとても縁を感じる現場で。この感覚が、ひとつのラジオ番組にいろんなリスナーが集まってくる感じとリンクするんですよね。きっと僕にとって大切な1作になりそうな気がしているので、ぜひ昼夜2回観てください!

石井 “伝説のカップル”の恋や、もう一度立ちあがろうとする濱宮賢治の再起の物語だったり、さらにそれを応援する他のリスナーの姿など、共感できる部分や自分も頑張ろうと背中を押してもらえる部分がたくさんつまった作品になっています。ぜひ昼夜2回観てください!

永田 2回両方ね。ここ大事です(笑)。

石井 はい、大事です(笑)。

■PROFILE■

ながたたかと〇1993年8月27日生まれ。福岡県出身。2015年3月に開業した東京ワンピースタワーの「ONE PIECE LIVE ATTRACTION」でモンキー・D・ルフィ役を1年間務める。2016年以降、数多くの人気舞台に出演。ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」シリーズでは、人気キャラクター音駒高校・孤爪研磨役として出演、その演技が注目され、人気・実力ともに急上昇中。さらに、舞台だけでなく、TBS『初めて恋をした日に読む話』、読売テレビ『カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されてます。~』、テレビ東京『部長と社畜の恋はもどかしい』などにレギュラードラマ出演を果たし、映像作品での活躍の場も広げている。

いしいあんな○1998年7月11日生まれ。東京都出身。放送された関西テレビ/フジテレビ系ドラマ『GTO』へのレギュラー出演を果たし、 女優業をスタート。2015年には「第58回ブルーリボン賞新人賞」を受賞し、様々な映画、ドラマ、CMに出演。2012年に放送の大塚製薬「ポカリスエット –親から子へ篇-」のCMに出演。現在、JTのCM「想うたシリーズ」に出演しており、全世界配信中のNetflixオリジナルシリーズ「金魚妻」に出演中。また、2022年7月8日に公開予定の映画『破戒』にヒロイン志保役で出演が決定。2022年8月には東宝×NHK『みんなのうた』でミュージカルに初挑戦する。

【公演情報】
朗読劇『リスナーたちの星空』脚本・演出:土田英生
脚本協力:宮澤一彰
キャスト〈出演日順〉
永田崇人×石井杏奈
荒木宏文×仙名彩世
矢崎広×井上小百合
太田将熙×前田佳織里
武内駿輔×佐藤栞里
[全日程出演]石丸奈菜美(MONO)  渡辺啓太(MONO)  松永渚
●4/27~5/1◎紀伊國屋サザンシアター  TAKASHIMAYA
〈料金〉7,500円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉Zen-A 03-3538-2300(平日 11:00~19:00)
〈公式サイト〉https://event.1242.com/special/listeners_starry_sky/
〈公式twitter〉@starrysky_radio

 

【取材・文/横川良明 撮影/岩田えり】

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