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ハートフルお葬式コメディ!『きっとこれもリハーサル』間もなく開幕!石野真子・鈴木福・土田英生 インタビュー

 

ハートフルお葬式コメディ!『きっとこれもリハーサル』が、9月29日に新国立劇場 小劇場にて幕を開ける。(10月13日まで。そののち10/月22日にCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演)

「喪主の練習がしたいの。」という母親の突拍子もない発言から、お葬式の練習をすることになった家族4人。笑いの中に家族や夫婦、そして人生が浮かび上がる作品だ。

脚本は、吉本新喜劇やルミネtheよしもとに個性派俳優として出演する赤松新。演出は、京都を拠点に活動する劇団「MONO」代表で、丹念な会話劇が生み出す「日常」の積み重ねから「人生」を描く土田英生が手掛ける。

その舞台で「お葬式のリハーサル」を提案する母親・太田弘江役の石野真子と、その息子・太田賢一役の鈴木福が、演出の土田英生とともにこの作品について語り合った。

土田英生 石野真子 鈴木福

彼女が何を思ってリハーサルをするのか

──出演のおふたりは、まず台本を読んでいかがでしたか。

石野 とても面白くて、笑いながら読んでしまいました。お葬式の稽古をする様子が細かく書かれているのですが、そのやりとりが面白いです。

鈴木 お葬式のリハーサルをするという時点でもう面白いですよね。読んでてマナーとかすごく勉強になります。

土田 この作品は笑いが沢山ある芝居になると思いますが、演出プランとしては皆さんにややトーンを落とした演技をしてもらおうと思っているんです。あまりお芝居お芝居した演技ではなく、リアルな演技をしていただこうと。そのなかで1人1人をちゃんと見せる部分をちょっと強めたい。たとえば石野さんの演じる弘江というお母さんも、明るいだけでなく、彼女が何を思ってリハーサルをするのか、その抱えているものを自然に見せていけるといいなと思っています。

──この一家はかなりバラバラで、弘江さんはそんな家族のことを心配していますね。

石野 夫が頑固で子どもたちとうまくいっていなくて。夫は和菓子職人ですが息子はケーキ屋になると言い出すし、娘は恋人がいるけれど相手と年が離れていて、そちらも心配です。

土田 お父さん役は羽場裕一さんです。ちょっと古くさい人で息子に和菓子屋を継いでほしいと思っているんですが、息子は言うことをきかない。福さんがその息子役です。

鈴木 これだけ出演者の少ない舞台で、重要な役割をいただいて嬉しいです。ちょっとプレッシャーもありますが、楽しみです。

──福さんはミュージカル『ビッグ・フィッシュ』(16年)が初舞台ですね。

鈴木 はい。そのあとに出演した舞台2本も音楽のあるミュージカル的なものだったので、ストレートプレイは今回が初めてです。今の僕に必要な部分を鍛えていただけるのではないかと期待しています。

──映像ではすでに芸歴10年以上ですが、舞台は違いますか?

鈴木 違いますね。ごまかせないというかお客さんも近いのでいろいろ見抜かれてしまうような感じで緊張します。

──石野さんは映像も舞台も経験豊富ですね。

石野 でも毎回手が震えますし、足も震えます。舞台に出たら隠れられない。

土田 テレビでいうなら画角から外れられないですよね。

石野 そう!   指一本動かしてもばれてしまいそう。

──土田さんはおふたりとは今回が初めてですね。

土田 そうなんです。石野さんはアイドルでデビューした当時から拝見していて、今は大人の俳優さんになられたなと。福くんはやっぱり『マルモのおきて』のイメージが強烈ですから、たぶん会う人会う人に大きくなったねと言われ続けてきたのかなと。ただ、僕としてはおふたりのそういうイメージを今回は取っ払ってしまおうと。お客さんに「あの役、石野真子さんだったの?」とか、「福くんってこういう人だったんだ!」ぐらいの新しい何かを観せたいし、今までのイメージの延長ではやりたくないんです。

お葬式の話ですけど楽しんでください

──鈴木さんは、やはり『マルモ』のイメージで見られることへの闘いがありますか?

鈴木 いえ、『マルモ』もありますが、その後、ほかの作品やバラエティもやったりしているので、そこまで気にはしていないのですが。俳優として一発かましたいという思いはあります(笑)。

石野 すごいね! いいね(笑)。

鈴木 やっぱり俳優として評価していただきたいですから。

──俳優という仕事は小さいときから好きでしたか?

鈴木 好きでした。ただ、今その思いが再燃してますね。

土田 おー!(笑)

鈴木 俳優と子役の狭間にいた時期は、俳優なの? 子役なの? と聞かれてもどっちでもいいと思っていたんですが、今は「俳優です」と名乗りたいので。

土田 素晴らしい! お母さん、いい子に育ちましたね。

石野 育てた甲斐がありました(笑)。

鈴木 よくアンケートで職業欄とか、バラエティでも肩書きとか書くことがあるんですが、そこはやっぱり「俳優」って書きたいので。

──石野さんは女優になることについては自覚的でしたか?

石野 歌手ですか? 女優ですか? と言われても、「私、女優と言ってもいいのかしら?」みたいな感じです。「歌手です」と言うのもはばかられますし、今の福さんのお話を聞いて感心しました。

鈴木 女優さんと歌手では職業として別なので、ちょっと僕の場合とは違うと思います。子役の先が俳優なんです。

石野 なるほど! そうよね。

土田 そのことで言えば、僕は小劇場をいまだにやっているし、テレビの仕事もさせてもらってるんですけど、ずっとアウェイ感があるんです。ドラマの現場の人たちと一緒に飲みに行ったりしても、「僕はここにいていいのかな?」みたいな感覚がずーっとある。それで、いつまでこのアウェイ感があるのか他の人にも聞いてみたんです。そうしたら意外とその中心でやっている方でも、似たようなことをおっしゃるんです。今も石野真子さんが、これだけ長い間やっていらっしゃるのに「女優です」とちょっと言いづらいとか。そういう意味で、人はそう見るけど、自分ではこれです! とはなかなか言いづらい世界なのかなと。だからこそ作品が大事で、作品に手応えがあれば自分が○○ですと言わなくてもいい。結局のところ作品で充実感を持てればいいのかなと思っているんです。

──この作品も手応えがありそうですね。最後に改めて観てくださる方へのアピールをいただけますか

鈴木 年に何回か舞台でお芝居をさせてもらえる機会をいただくですが、その中でもこれほど密度の濃いストレートプレイをさせていただくのは初めてなので、ここでしっかり鍛えていただいて、今後の自分のためにも成長したいです。

石野 ちょっと面倒臭い家族の物語。家族あるあるの愛おしい台詞を是非、身近で感じていただけたら嬉しいです。お母さん頑張っています! お葬式の話ですので楽しんでというのもあれなのですが。

土田 楽しんででいいと思いますよ。

鈴木 最初のシーンから最後ぎりぎりまでは笑いがいっぱいですからね。

石野 そういうほうが「人生」って気がしますね。

土田 そう、「人生」はいろんなことがいきなり来るんです(笑)。

鈴木福 土田英生 石野真子

■PROFILE■
すずきふく○東京都出身。2011年にTVドラマ『マルモのおきて』で人気を博す。以降、映画、TV、舞台、CMなどで活躍中。最近の出演作品は【舞台】『イッツショータイム!!』朗読劇『青空』ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』【映画】『KAPPEI カッペイ』『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』『ゾッキ』【ドラマ】BSプレミアム『小吉の女房2』NHK『うつ病九段』BSプレミアム『不要不急の銀河』など。

つちだひでお〇愛知県出身。1989年に「B級プラクティス」(現MONO)結成。1990年以降全作品の作・演出を担当する。第6回OMS戯曲賞大賞を受賞。第56回芸術祭賞優秀賞を受賞。一般社団法人日本劇作家協会副会長。テレビドラマや映画脚本の執筆も多数。その代表作に【ドラマ】『崖っぷちホテル!』『斉藤さん』【映画】『約三十の噓』『それぞれ、たまゆら』など。俳優としても『半沢直樹』などに出演。

いしのまこ〇兵庫県出身。1978年「狼なんか怖くない」で歌手デビュー。以降、アイドルとして活躍。その後は女優として、ドラマや舞台、映画で活躍中。最近の出演代表作として【舞台】『花盛り四人姉妹~吉野まほろば物語~』【映画】『大綱引の恋』【ドラマ】TBS系「縁側刑事シリーズ」、NHKBSプレミアムドラマ、ディズニープラス『拾われた男』NTV『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~』CX『やんごとなき一族』など。

【公演情報】
『きっとこれもリハーサル』
作:赤松新
潤色・演出:土田英生
出演:石野真子 鈴木福 川島海荷 しゅはまはるみ 羽場裕一
●9/29~10/13◎新国立劇場 小劇場
●10/22◎COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
〈お問い合わせ〉
東京公演:公演事務局 https://supportform.jp/event(平日10:00~17:00)
大阪公演:キョードーインフォメーション 0570-200-888(平日・土曜11:00~16:00)
〈公式サイト〉http://koreriha.com/

 

【インタビュー◇宮田華子 撮影◇岩田えり】

 

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