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COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールオープニング公演『KEREN』上演中!

2025年の国際万国博覧会開催が決定し、2018年訪日外国人旅行者数が全国No.1を記録した大阪に誕生したエンターテインメント施設、COOL JAPAN PARK OSAKA 「WWホール」こけら落とし公演Original Japanese Revue『KEREN』が上演中だ。

COOL JAPAN PARK OSAKAは、「お笑い」をはじめとした多様なエンターテインメントが花開く大阪のシンボル、大阪城公園に新たに誕生した劇場型文化集客施設。様々なジャンルのエンタテインメントの上演を可能とする最新鋭の設備環境を整えた1,138席+車いす6席の「WWホール」、702席+車いす4席の「TTホール」、椅子席最大300席、スタンディング400〜500人収容の「SSホール」という、キャパシティの異なる3つのホールを有し、世界に通じるエンターテインメントの発信をテーマに、世界的な観光都市・エンターテインメントシティ大阪の魅力を国内外に広く伝える目的で開場された文化施設となっている。アルファベットを並べた各ホールの名称は、日本を代表するお笑いタレントの1人、明石家さんまが命名。「お客さま一人一人がアルファベットが何の略であるかを想像しながら自身の言葉で自由にホール名をつけて遊んでもらえたら」という、ユニークな由来も楽しい大阪らしさに溢れた文化施設となっている。

その大ホールに当たる「WWホール」はミュージカル、コンサート、演劇、ダンスなど様々なジャンルのエンターテイメントの上演が可能で、プロジェクションマッピングによる映像演出にも対応したスケールを誇るものとなっているが、その「WWホール」こけら落とし公演として、現在ロングラン上演中なのが、関西発NIPPONオリジナルレビューと銘打った、日本総狂宴ステージOriginal Japanese Revue『KEREN』だ。

『KEREN』=外連(けれん)とは、歌舞伎の世界での奇抜な演出を指す言葉で、早替わり、屋台崩し、宙乗りなどの奇抜な発想で、観客の度肝を抜く場面や演出に対して使われている。そもそもはハッタリを利かせてごまかすことを指した言葉でもあるので、「良い意味でのケレンがたっぷり」等と表現されることもあるが、海や波を現した歌舞伎の伝統的な仕掛けや、なんの脈絡もなく突然出演者全員での総踊りがはじまるレビューの人海戦術といった、日本で愛されてきた芸能が持つ定石の流れは、文字通り「ケレン」そのもの。よく考えたらつじつまが合わないところも多いものの、そんな細部に気を取られてしまうよりも、舞台から発せられるパワーとエネルギーと煌びやかさに、我を忘れて共に盛り上がった方が勝ち!という、エンターティメントが持つ「ハレ感」にシンクロできる醍醐味は、日本に脈々と受け継がれてきた文化なのだ。

そんな「ハレ感」に、主には実際に日本に訪れたことがない外国人が強く持っているだろう「NIPPON」のイメージ、フジヤマ、トビウオ、芸者、忍者、サムライ、妖怪、そして今や日本が誇る最大の外国向けコンテンツとも言えるアニメ、漫画の世界を、すべて取り込んで豪華絢爛にお見せ致しましょう!というのが、このOriginal Japanese Revue『KEREN』の仕掛けで、70分間ノンストップのなんでもあり!の世界が展開されていく。

舞台は大阪の街並みからはじまり、着物姿の女性が美しく登場したのち、引き抜きで洋舞になるというオープニングから、「クール!」なカッコよさが弾ける。海外から日本に観光に訪れる人たちが残念に思うことのひとつが「着物姿の人になかなか会えない」ということだと良く聞かされるが、そうしたイメージの中にある日本のトラディショナルな部分と、現代とが混然一体となっているのがこのショーの見どころのひとつ。日本のタップダンスの第一人者HIDEBOH振付による、暗闇の中で光る足だけが見えるところから始まるタップシーンや、客席に登場した武士が繰り広げる、島口哲朗による迫力満点の殺陣シーンとの間に、ろくろっ首、一反木綿、一つ目小僧、のっぺらぼうと言った妖怪が踊り騒いで、宙乗りで飛んでいくという場面が平然と飛び込ん
でくる。かと思うと、日本古来の曲芸である水芸が、ここにつながるの?!これってありなの!?というほどの、大爆笑シーンに転換されたり、女子高生やヤクザの描写の一方で、歌舞伎世界や、奈良の大仏、タキシードと純白のドレス姿のダンサーの美しいデュエットダンスがあるカオス感に幻惑されていく。脚本・演出の高平哲郎の豊かな発想力と、全体を自在につないでいくバーヨーク・リーの振付が多彩だ。

やがて「タコヤキ、オハヨウ、カブキ、スシ!」と言った「外国人のカタカナ日本語」が陽気なラップになり、巨大なお相撲さんがヒロインの行く手を次々に阻む、ちょっとヒヤリとした場面も、「そうきたか!」の驚きと笑いにつなげて、影絵、忍者の手裏剣から、SFアニメーションをイメージしたライトセーバーを使った戦いへと、時代を駆け巡るショーシーンは、迫力の大屋台崩しへ。これらを支えるのがすべて、Moment Factoryによるプロジェクションマッピングで、その美しさ壮大さに圧倒される。極めてアナログな歌舞伎世界の手法による波の表現と、プロジェクションマッピングの大マグロがちゃんと融合して浮かないのは、この新しい劇場と大阪という街そのものが持つ、楽しんだ者勝ち!の気風がマッチしてこそだろう。100の言葉を並べるよりも、実際に劇場で体感して欲しいタイトル通りの「ケレン」にあふれたレビューが、天女の宙乗りも美しく幕を閉じた時には、なんだかクリエーター達の底抜けの臆面のなさ、これが大阪のエンターテインメントだ!文句あっか!!の勢いにただただ感嘆してしまった。

そんな公演は現在ロングランによる絶賛上演中。言葉の壁を飛び越える、大阪でしか観られないエンターテインメントのるつぼのノンストップレビューの醍醐味を、是非この新しい劇場で体感して欲しい。

WWホール外観

WWホール場内

TTホール外観

TTホール場内

SSホール外観

SSホール場内

【公演情報】

日本総狂宴ステージOriginal Japanese Revue『KEREN』
脚本・演出◇高平哲郎
振付◇バーヨーク・リー
タップ振付◇HIDEBO
殺陣◇島口哲朗
音楽◇仙波清彦/久米大作
ステージング・演出助手◇室町あかね
宣伝美術◇横尾忠則
ビデオコンテンツクリエーター◇Moment Factory
●2/25〜ロングラン上演中◎COOL JAPAN PARK OSAKA「WWホール」
〈料金〉S席(大人)7500円(子供)3000円、A席(大人)5000円(子供)2000円
※3月限定で大阪府民、在勤、通学者 S席(大人)5000円(子供)2000円、A席(大人)4000円(A席子供料金割引なし)
子供料金は小学生以下対象。府民割引は要証明書。
〈お問い合わせ〉 https://cjpo.jp

 

【取材・文/橘涼香 写真提供/よしもとエージェンシー】

 

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