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伝説の舞台『世襲戦隊カゾクマン』三部作を回替わりで連続上演中!

戦隊モノのスケール大きな世界観に市民のささやかな日常を絡めて、笑いと涙とともに送る伝説の舞台『世襲戦隊カゾクマン』が、11月3日から赤坂RED/THEAERで上演中だ。(17日まで)

本作は制作会社プリエールがプロデュース、作・演出はONEOR8を率いて活躍する田村孝裕が手がけている。

まず第一話が2014年に初演され、その熱く楽しい舞台に感動した観客の支持を受け、第二話、第三話と2019年まで物語が繋がった。

今回はプリエールが創立20周年を迎えた記念公演として、シリーズ三部作を回替わり連続上演という前代未聞のかたちで「カゾクマン」を待っていた観客の前に還ってきた。

タイトルを担う「世襲戦隊カゾクマン」は、世襲により地球防衛軍の一員として活動する佐久間家の家族たち。

父レッド(山口良一)、母ピンク(熊谷真実)、兄ブルー(曽世海司)、妹イエロー(梨澤慧以子)、婿グリーン(小浦一優[芋洗坂係長])という5人に加え、兄ブルーの妻・詩織(上田桃子)も物語を進めるファクターとして大事な存在だ。また先代カゾクマンの一員だった元グリーンのお千代さん(山口智恵)は、地球防衛軍日本支部の新しい司令官としてカゾクマンをバックアックする。

一方、カゾクマンの敵となるのは地球征服を企む怪人ミドラー一味。

先代カゾクマンに父親を倒されたことで彼らを宿敵と狙うミドラー(西山水木)、その配下の男前男(岡田達也)、イーゲン(鈴木裕樹)。3人はそれぞれの思惑もありつつ、その邪悪な力を駆使してカゾクマンの前に立ちはだかる。

【第一話】
「男前男の威風堂々な登場! そして見事な変装?でカゾクマンをあざむくミドラー!」

かつては国民的人気を誇り、テレビでその戦いが中継までされていた人気戦隊だったカゾクマンだが、今や父レッドは腰痛で、母ピンクもテレビのアップに耐えられない年齢となり、世代交代が迫られている。そんな佐久間家にミドラー一味の魔の手が! 地球防衛軍日本支部司令官補佐の柴原、そして怪しいビームを出す保険の勧誘員、彼らの正体は? そしてブルーの妻・詩織が忽然と姿を消す────危うしカゾクマン!

【第二話】
「謝罪する一家に迫る怪人イーゲン! しかし朗報が!新司令官は十条のおばちゃんだった!」

兄ブルーと妻の詩織の間に生まれた赤ちゃんがミドラーに誘拐された! さらに防衛費をマッサージ椅子に私的流用?という嫌疑で謝罪会見をさせられ、国からは法改正も視野に入れた排除の動きも…ますます追い詰められる佐久間家の人々。しかもミドラー一味にはイーゲンという極悪な怪人が加わった。
だが力強い味方が現れる。先代カゾクマンでグリーンとして活躍した十条のおばちゃんことお千代さんが、地球防衛軍日本支部の新しい司令官としてやってきたのだ! お千代さんは「郷ひろみディナーショー作戦」でミドラーを誘い出すことを提案する。しかし母性に目覚めてしまったミドラーは果たして子どもを手放すだろうか────カゾクマンの決死の戦いが始まる!

【第三話】
「改造人間になった父レッドを救うワードは○○○○○! だがミドラーも強力な怪人○○○○を甦らせる!」

二話から2年後。ブルーが自分の跡を継ぐと決まり安堵した父レッドだが、腰痛の手術を受けている最中にミドラー一味にさらわれてしまう。嘆く母ピンク。だがある日いきなり父レッドが帰宅する。再会の喜びに湧く佐久間家だが、なんとレッドは改造人間にされていた!  刻一刻と怪人化していくレッド! それを止める方法はミドラーだけが知っている。
一方、イーゲンと惰性で結婚したミドラーだが、自分の帝国という野心を持つイーゲンからDVを受ける日々。しかしミドラーは密かにある切り札を用意していた────いよいよ物語はクライマックスに。そしてカゾクマンとミドラーとの最終決戦の時が近づく!

この壮大な三部作のどれか1つでも観てしまったら、他の二話を観ずにはいられなくなる。それが『世襲戦隊カゾクマン』シリーズだ。

なんといっても佐久間家の家族たちとそれを演じる俳優たちが、それぞれ面白くてチャーミング。
腰痛で戦えない情けなさを笑顔に隠して、世襲としての責務をまっとうしようとする誠実な父レッドの山口良一。
いつまでも少女のような無邪気さで、嫁の詩織にも言いたい放題だが、家族思いの熱い母ピンクは熊谷真実。
世襲制度に疑問を持ち、跡継ぎとしての悩みも抱え、やや優柔不断だが真面目な兄ブルーは曽世海司。
婿のグリーンには強気で、バイト先で浮気?という疑いもあるが、しっかりもので頼りになる妹イエローの梨澤慧以子。
婿という立場ゆえに気弱になりがちだが、いざとなればその巨体から繰り出すパワーで怪人一味をなぎ倒してしまう婿グリーンの小浦一優。
そして、母ピンクの嫁いびりや一目惚れされた男前男のアタックをかわしながら、佐久間家の嫁として健気にたくましく生きる詩織の上田桃子。
さらに、地球防衛軍日本支部の新司令官として復帰、カゾクマンにとって大きな力になるカッコいい先代グリーンことお千代さんの山口智恵。

もちろん敵方のミドラー一味の怪人たちも、カゾクマンに勝るとも劣らない魅力的なキャラクターばかりだ。
父親ヘドラーや家族を失った少女時代の悲しみと孤独を引きずり、怪人としての凄みの中に母性や女心をふと滲ませるミドラーの西山水木。
登場曲であるエルガーの「威風堂々」に負けないキザなスター性と、ブルーの妻・詩織への一途な愛でカゾクマンをおびやかす怪人男前男の岡田達也。
名前の通り威厳と尊大さで相手を威圧するが、子守歌でコロッと眠るたわいのない怪人イーゲンは鈴木裕樹。

そんなキャラクター陣の魅力に加え、変身、合体ロボ、名乗りやテーマソング、ビル群を踏みつぶす怪人の特撮など、戦隊モノの定番をきっちり押さえた派手な演出でファンを楽しませながら、中の人たちの日々の暮らしの哀歓を涙と笑いのなかで描く田村孝裕の作・演出が冴えわたる。

そして、この物語のラストまで見届けたあとに、レッドが話し合いでの決着を望み、ブルーもイエローもグリーンも子どもたちの世代まで戦隊を続けたくないと言っていたその重さに、ふと思いが至る。

「世襲戦隊カゾクマン」とは、家庭という日常と戦隊という非日常が、世襲という不条理によっていやおうなく交わってしまった人たちの話だとすれば、その戦いが映し出す彼らが守るべきもの、国家や国民はどこまでも遠く…。そして彼らが命がけで向き合ってきたミドラーたち怪人一味こそが、カゾクマンが真に心を通い合わせることができる相手だったにちがいなく…。それだけに最後の戦いの光景が、いつまでも心をざわつかせるのだ。

【公演情報】

プリエール創立20周年記念公演『世襲戦隊カゾクマン』
シリーズ三部作 回替わり上演

作・演出:田村孝裕(ONEOR8)
出演:山口良一(東京ヴォードヴィルショー) 熊谷真実 小浦一優[芋洗坂係長] 西山水木 岡田達也(演劇集団キャラメルボックス) 曽世海司(Studio Life) 上田桃子(文学座) 梨澤慧以子(張ち切れパンダ)
※第二話・第三話のみ出演 山口智恵 鈴木裕樹

●11/3~17◎東京公演 赤坂レッドシアター
〈料金〉一般/前売6,000円 当日6,300円 高校生以下/前売3,500円 当日3,800円(全席指定・税込)
〈チケット取扱い〉
カンフェティ 0120-240-540(平日10:00~18:00)https://www.confetti-web.com
チケットぴあ https://t.pia.jp(Pコード 514-619)
〈お問い合わせ〉プリエール 03-5942-9025(平日11:00~18:00)
〈公式サイト〉https://priere.jp/

●11/21~23◎大阪公演 一心寺シアター倶楽
〈料金〉一般/前売6,000円 当日6,300円 高校生以下/前売3,500円 当日3,800円(全席指定・税込)
〈チケット取扱い〉こりっち https://ticket.corich.jp/apply/175171/
〈お問い合わせ〉一心寺シアター倶楽 06-6774-4002(平日10:00~18:00)

●11/25~27◎静岡公演 浜松市浜北文化センター 大ホール
〈料金〉各日とも6,000円 3日間通し券13,000円(全席指定・税込)
〈チケット取扱い〉HCFオンラインショップ https://www.hcf.or.jp
アクトシティ浜松チケットセンター(店頭販売のみ/10:00~19:00)
チケットぴあ https://t.pia.jp/(単日券Pコード514-004)(通し券Pコード787-780)
〈お問い合わせ〉公益財団法人浜松市文化振興財団 053-451-1114

 

【文/榊原和子 撮影/宮川舞子】

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