お芝居観るならまずはココ!雑誌『えんぶ』の情報サイト。

平和三部作一挙上演で3時間の「ひとり芝居」に挑む! 風間杜夫インタビュー

風間杜夫の果敢な闘いがまた始まる。「ひとり芝居」シリーズの『正義の味方』、『ピース』、新作『あの時代』を、平和三部作として一挙上演しようというものだ。風間杜夫の「ひとり芝居」は1997年からスタート。「牛山明」を主役にしたシリーズは、03年の三部作一挙上演で多数の演劇賞を受賞。10年の五部作一挙上演では、5時間15分という前人未到の上演記録を打ち立てた。今回の「平和シリーズ」は、銭湯で働く95歳の大角卯三郎を主人公にした『正義の味方』、下町で小さな葬儀社を営む武藤万作の『ピース』、そして戦時下の落語家を描く新作『あの時代』という三部作。戦争の時代を挟んだ日本社会の様相を映し出す。この挑戦的な企画について風間杜夫に話してもらった「えんぶ10月号」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介する。

時代の波に呑み込まれた1人の落語家

──平和三部作を一挙上演することになった経緯から聞かせてください。

まず5年前に『正義の味方』を作って、2年前に『ピース』を作ったんですが、2つの物語がうまくリンクしていたので、新作もちゃんと繋げて、平和三部作として一挙に上演したほうがわかりやすいなと。『正義の味方』の主人公は95歳の大角卯三郎なんですが、彼は戦地で北村二等兵という人物に助けられます。北村は実は春風亭善好という落語家で、禁演落語をやったことで前線に送られた。その北村が新作の『あの時代』では主人公になります。

──禁演落語というのがあったのですね?

戦時中は、いわゆる艶ばなしとか郭ばなしなどは時局にふさわしくないと演じることを禁じられて、戦意昂揚のための国策落語をやらないといけなかった。春風亭善好は、そういう時代の波に呑み込まれてしまった落語家なんです。

──俳優であり落語家でもある風間さんにとって他人事ではない話ですね。

窮屈な時代だったんだなと思います。権力によって表現が規制されるのはやっぱりおかしい。ただ、僕は政治的なメッセージを声高に言うのは好きではないし、その時代その時代に生きた人たちの闘っている姿を、人間のドラマとして一生懸命に演じて、それを皆さんに観ていただくしかないと思っているんです。

──落語家の話ということで風間さんも劇中で一席語られるそうですね。

いよいよ出征というとき、北村が一番やりたい噺をみんなの前でするんですが、それが「芝浜」で。別に禁演落語ではなかったんですが、人情噺の名作で、北村の気持ちがそこに託されているのかなと。それを語ってバンザイに送られて出征していくんです。

──風間さんに「芝浜」を語らせる作・演出の水谷龍二さんの思いも感じます。もう8作目ですが、阿吽の呼吸という感じでしょうか?

五部作の中に入ってる『旅の空』で出会って、次が『カラオケマン』、そのあたりから水谷さんの文体というか言葉のリズムがわかってきて、台詞もしっくり入ってくるようになりました。それに、読み込んでみると宝が埋まっている。その宝をいくつ掘り出せるかという楽しみがあるんです。

体力が落ちているのを計算に入れてなかった(笑)

──三部作全部で時間はどのくらいかかるのですか?

前の二作をそのままやると結構な時間になってしまうので、少し削って、休憩15分を入れてなんとか3時間でおさめようと。

──それでも3時間あるのですね。それを1人で演じきる!

自分でもつまんないこと言い出しちゃったなと。僕が言い出したばっかりにこんなことになっちゃったんですからね(笑)。

──でも風間さんは、「牛山明」五部作で5時間15分という前人未踏の記録を作っています。しかも時間とともに乗りに乗っていくという超人ぶりでした。

あのときはなんかパドックですでに入れこんでいる馬みたいなもので(笑)、休憩時間も要らない感じで、「そんなものなくていい、やろう!」ぐらいの(笑)、出たい出たいという勢いでしたからね。でもあれから9年経ってるから、体力は相当落ちてるわけで。それを計算に入れてなかった(笑)。

──そんな3時間の闘いがいよいよ始まるわけですが、改めて意気込みを。

やりますよ!(笑)体調を整えて、いい状態の中でやってのけたいですね。

かざまもりお○東京都出身。77年以降、つかこうへい事務所の舞台に出演。映画の『蒲田行進曲』では、多数の賞を受賞。舞台、映画、TVドラマ、ナレーションとマルチに活躍。20年前から落語に取り組むなど実力派俳優として第一線を走り続けている。最近の舞台は『リトル・ナイト・ミュージック』『セールスマンの死』『唐版 風の又三郎』『黒白珠』など。文化庁芸術祭演劇部門大賞、読売演劇大賞最優秀男優賞などを受賞。10年に紫綬褒章を受章。

【公演情報】

風間杜夫ひとり芝居 平和三部作一挙上演』
作・演出◇水谷龍二
出演◇風間杜夫
●9/26~10/3◎下北沢 本多劇場
●10/8◎福岡 ももちパレス 大ホール
〈お問い合わせ〉トム・プロジェクト 03-3571-1153(平日10時~18時)
 http://www.tomproject.com/
〈地方公演〉
※は各地域の主催事業となります。お問合せは各問合せ先へお願いします。
※下記以外にも地方公演を予定。決まり次第、随時HPで更新します。
●10月6日(日)16:00◎長崎県時津町 とぎつカナリーホール TEL:095-882-0003)
●110月10日(木)14:00◎広島県廿日市市 はつかいち文化ホールウッドワンさくらぴあ TEL:0829-20-0111)
●10月12日(土)13:00◎兵庫県西宮市 兵庫県立芸術文化センター TEL:0798-68-0255)
●10月14日(月祝)14:00◎石川県七尾市 能登演劇堂  TEL:0767-66-2323)
●10月16日(水)14:00◎福井県越前市 越前市いまだて芸術館 TEL:0778-42-2700)
●10月20日(日)14:00◎山形県山形市 シベールアリーナ TEL:023-689-1166)
●10月26日(土)13:00◎新潟県長岡市 長岡リリックホール TEL:0258-29-7715)
●10月30日(水)14:00◎東京都江東区 亀戸文化センター カメリアホール TEL:03-5626-2121)

 

【構成・文◇宮田華子 撮影◇友澤綾乃】

記事を検索

観劇予報の最新記事

山崎樹範主演の~崩壊シリーズ~第3弾『派』、さらなる「崩壊」を呼んで今回も大騒ぎ!ゲネプロレポート
土田英生の人気戯曲を青木 豪が演出する舞台『相対的浮世絵』稽古場レポート
音楽劇『ハムレット』で初の海外戯曲演出に挑む 八世宗家・藤間勘十郎インタビュー
サイケデリックなフォーク・パンク・ロック・ミュージカル『Hundred Days』2020 年日本初上陸!
佐野勇斗らの新八犬士によるスペクタクル時代劇『里見八犬伝』東京公演開幕!

旧ブログを見る

INFORMATION演劇キック概要

LINKえんぶの運営サイト

LINK公演情報