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歌舞伎座11月公演「吉例顔見世大歌舞伎」開幕!

第二部『連獅子』右より、親獅子の精=片岡仁左衛門、仔獅子の精=片岡千之助(C)松竹

歌舞伎座では 11 月公演「吉例顔見世大歌舞伎(きちれいかおみせおおかぶき)」が、11 月 1日に初日の幕を開けた。江戸時代には、毎年 11 月を「顔見世月」と呼び、劇場の向こう1年の座組を披露する顔見世興行が行われた“芝居国のお正月”。歌舞伎座では年に一度の“櫓(やぐら)”が劇場正面に掲げられる。

今年は尾上菊五郎、松本白鸚、片岡仁左衛門をはじめとする豪華な顔ぶれで、顔見世興行に相応しい多彩な演目が揃った。
歌舞伎座では引き続き安心して歌舞伎を楽しんでいただけるよう、換気や消毒を徹底するなど感染予防対策に万全を期して公演を行っている。

第一部『神の鳥』(前列)左より、狂言師左近実はこうのとり(雌鳥)=中村壱太郎、狂言師右近実はこうのとり(雄鳥)= 片岡愛之助、(後列)赤松満祐=中村東蔵(C)松竹

第一部は、『 神の鳥(こうのとり)』 で幕を開ける。
兵庫県豊岡市にある近畿地方最古の芝居小屋・出石永楽館で平成 26年に初演された作品で、兵庫県の県鳥でもあり、古来より幸せを運ぶとされる国の天然記念物“こうのとり”の親子を主人公にした美しい舞踊劇。

片岡愛之助を座頭に平成 20 年から毎年開催されてきた「永楽館歌舞伎」は、新型コロナウイルス感染症の影響で2年連続公演が中止に。しかし、例年公演が催されていたこの 11 月に、多くの観客に愛され永楽館で 2 度上演された本作が、さらに充実した内容で“歌舞伎座版”として初上演となった。
上演に際し愛之助は「とっておきの時に上演しようと思っていた」と述べ、愛之助と共に永楽館歌舞伎に毎年出演してきた中村壱太郎は「思い出深い作品」と話すなど出演者にとっても思い入れの深い作品。

第一部『神の鳥』(前列)左より、狂言師左近=中村壱太郎、狂言師右近= 片岡愛之助、(後列)左より、赤松満祐=中村東蔵、傾城柏木=上村吉弥、仁木入道=中村種之助、(C)松竹

幕が開くと、舞台上の大きな鳥籠の中には、幼いこうのとりが生贄として捕らえられている。中村東蔵演じる守護大名・赤松満祐の家臣たちが、こうのとりを満祐に差し出そうとすると、突如として愛之助と壱太郎勤める 2 人の狂言師が現れ…。

第一部『神の鳥』左より、赤松満祐=中村東蔵、狂言師左近=中村壱太郎、狂言師右近= 片岡愛之助(C)松竹

第一部『神の鳥』(前列)山中鹿之介幸盛= 片岡愛之助、(後列)左より、仁木入道=中村種之助、赤松満祐=中村東蔵_(C)松竹

第一部『神の鳥』(前列)山中鹿之介幸盛= 片岡愛之助、(後列)左より、仁木入道=中村種之助、赤松満祐=中村東蔵(C)松竹

奉納の舞を披露するが、実はこの狂言師は捕らえられた我が子を助けるために現れた、こうのとりの夫婦。
その窮地を救うため、愛之助の三役目となる山中鹿之介幸盛が登場。勇ましい姿の鹿之介が、「その羽根を筋隈に強いが自慢、負けぬが得手。いつも思いは天下泰平。疫病退散、コロナ収束。皆さま、平和を待つしまや(松嶋屋)」と収束を願う台詞を披露すると、客席からは大きな拍手が上がった。

錦絵のように華やかな舞台面を楽しんだ後、木挽町広場の上演記念特設コーナーに行けば、観劇記念になるこうのとりグッズも販売中。

第一部『井伊大老』左より、老女雲の井=市川高麗蔵、お静の方=中村魁春、仙英禅師=中村歌六(C)松竹

続いては、『井伊大老(いいたいろう)』 。
昭和を代表する劇作家・北條秀司が新国劇に書き下ろした台本に自ら手を加え、昭和 31(1956)年に歌舞伎として初演。激動の幕末、前代未聞の国難に対し、強い意志を持って立ち向かった大老・井伊直弼が、桜田門外で暗殺される前夜の様子を叙情豊かに描き出した名作。父・初世白鸚が当り役とした直弼を勤める白鸚は、「難しいのは志を持って貫き通すこと。父が英雄役者の自分と重ねたように、私も大老に生き方を重ねたい。私は舞台しかない人間です。それを何とか、貫き通したい」と述べている。

第一部『井伊大老』左より、お静の方=中村魁春、井伊直弼=松本白鸚_(C)松竹

第一部『井伊大老』左より、お静の方=中村魁春、井伊直弼=松本白鸚(C)松竹

雛祭りの前夜。千駄ヶ谷の井伊家下屋敷で、中村魁春演じるお静の方が娘の菩提を弔い、旧知の仲の中村歌六演じる仙英禅師と昔を懐かしんでいる。仙英が直弼の書いた和歌に気づき、その死期が近いことを悟る。やがて松本白鸚演じる直弼が登場。お静とともに桃の節句の宴を始めると、しんしんと春の雪が降るなか酒を酌み交わし、心を通わせ…。

白鸚が苦悩を抱える直弼の姿を味わい深く表現すると、客席は静まり返って舞台に魅入る。お静の直弼を支え続ける姿が心に沁み入り、二人の情愛溢れるクライマックスに場内からはあたたかい拍手が送られた。新たな視点で井伊直弼の人間性を浮き彫りにした、滋味溢れる歴史劇を堪能できる。

第二部『寿曽我対面』右より、曽我十郎祐成=中村時蔵、曽我五郎時致=坂東巳之助(C)松竹

第二部は、江戸歌舞伎の様式美溢れる『寿曽我対面( ことぶきそがのたいめん)』 を、「十世坂東三津五郎七回忌追善狂言」として上演する。
本作は、十世三津五郎が平成 13(2001)年の三津五郎襲名披露で曽我五郎を勤めたゆかりの狂言。当月は、曽我五郎を三津五郎の長男・坂東巳之助が初役で勤める。

幕が開くと、尾上菊五郎演じる工藤左衛門祐経が富士の巻狩りの総奉行に任じられた祝宴を催し、大名たちが居並んでいる。そこへ、尾上松緑演じる小林朝比奈の仲介により現れたのは、中村時蔵演じる曽我十郎と巳之助演じる五郎の兄弟。父の仇を討とうとはやる五郎は、工藤に詰め寄るが…。

第二部『寿曽我対面』(前方)右より、工藤左衛門祐経=尾上菊五郎、曽我五郎時致=坂東巳之助、(2列目)右より、近江小藤太=河原崎権十郎、梶原平次景高=坂東亀蔵、秦野四郎=中村萬太郎、大磯の虎=中村雀右衛門、(後方)右より、梶原平三景時=市川團蔵 、八幡三郎=坂東彦三郎(C)松竹

第二部『寿曽我対面』右より、曽我十郎祐成=中村時蔵、曽我五郎時致=坂東巳之助、小林朝比奈=尾上松緑(C)松竹

第二部『寿曽我対面』(前方)右より、工藤左衛門祐経=尾上菊五郎、曽我十郎祐成=中村時蔵、曽我五郎時致=坂東巳之助、(後方)梶原平三景時=市川團蔵 、八幡三郎=坂東彦三郎(C)松竹

歌舞伎の様々な役柄が一堂に揃う華やかな一幕。公演に先立って行われた取材会で巳之助が「菊五郎のおじ様をはじめとする先輩方が、お顔をそろえて並んでくださる。ありがたいのひと言に尽きます」と感謝を語ったように、豪華顔合わせで名優を偲ぶ。また、「基本を大事にすることが父の芸風だったと思うので、そこを大切にすることが父の追善になる」と話した巳之助は、五郎が持つ荒事ならではの力強さを見せ、花道から登場すると、場内は大きな拍手で包まれた。

⑨第二部『連獅子』(前方)仔獅子の精=片岡千之助、(後方)親獅子の精=片岡仁左衛門(C)松竹

続いては、歌舞伎舞踊の代表作『連獅子(れんじし)』。
片岡仁左衛門が、本興行としては最高齢となる 77 歳で親獅子の精を勤めることでも話題となる舞台。孫の片岡千之助と、本興行では 3 度目の共演となる。昭和 61 年に 76 歳で親獅子の精を勤めた十七世中村勘三郎の『連獅子』を見て「自分も同じ歳で踊りたいと思った」と明かした仁左衛門は、「35 年間の夢が叶う公演」と意気込む。

幕が開き、清涼山の石橋に現れる仁左衛門の狂言師右近と、千之助の狂言師左近が、文殊菩薩の使いである霊獣の獅子は仔獅子を谷底へと蹴落とし、自力で這い上がってきた子だけを育てるという故事を踊ってみせる。目の前に霊山の風景が広がるような 2 人の舞いに、客席の視線が集中。厳しくも温かい親獅子の情愛、仔獅子の健気さ、親子の感動的な再会が、格式高く描かれる。

第二部『連獅子』右より、法華僧日門=中村又五郎、浄土僧専念=市川門之助(C)松竹

第二部『連獅子』右より、狂言師右近=片岡仁左衛門、狂言師左近=片岡千之助(C)松竹

続いて、中村又五郎の法華僧日門、市川門之助の浄土僧専念によるユーモラスな間狂言を挟んで、ついに仁左衛門、千之助の獅子の精が現れる。親獅子の精の堂々たる貫禄、仔獅子の精の躍動的な姿に、場内の熱気が高まり、仁左衛門が 77 歳とは思えぬ勇壮な毛振りを披露すると、幕切れには割れんばかりの万雷の拍手に包まれた。

第二部の『寿曽我対面』、『連獅子』は、特別ポスターが作成され、歌舞伎座で掲載されるほか、歌舞伎座地下2階の木挽町広場や、1階お土産処「木挽町」などでも販売中。

第三部『花競忠臣顔見勢』(前列)右より、塩冶判官=中村隼人、桃井若狭之助=松本幸四郎、(後列)右より、高師直=市川猿之助、足利直義=坂東新悟(C)松竹

第三部は、『花競忠臣顔見勢(はなくらべぎしのかおみせ)』。
元禄年間に起きた赤穂浪士の討ち入り事件を題材とした『仮名手本忠臣蔵』は、歌舞伎の三大名作狂言の一つとして、時代とともに人々の心を惹きつけてきた。また、討ち入りに関わる人物を、様々な視点からドラマチックに描き出した「忠臣蔵もの」も今日まで数多く創作されている。

今回の上演では、『仮名手本忠臣蔵』の「大序」の世界で幕を開け、小浪と力弥の縁組みに若狭之助が心を砕く「桃井館」、おなじみ「徳利の別れ」を題材にした「稲瀬川々端」へと続く。さらに、亡き主君の奥方との涙の別れを描いた「南部坂雪の別れ」、討ち入り当日の吉良邸隣家の物語『土屋主税』を『仮名手本』の世界に置き換え、クライマックスは十一段目より「高家奥庭泉水」、「花水橋引揚げ」と、討ち入りまでの数日間を順に追い、それぞれの名場面をスピーディーな展開でお見せする新たな演出で上演。「忠臣蔵」の魅力がぎゅっと凝縮された、まさに「“超高速”忠臣蔵」が開幕した。

第三部『花競忠臣顔見勢』右より、桃井若狭之助=松本幸四郎、小浪=中村米吉(C)松竹

第三部『花競忠臣顔見勢』右より、葉泉院=尾上右近、戸田の局=市川猿之助、大星由良之助=中村歌昇(C)松竹

第三部『花競忠臣顔見勢』右より、清水大学=松本幸四郎、大星由良之助=中村歌昇(C)松竹

松本幸四郎と市川猿之助を中心に、若手俳優が活躍する本作。幸四郎は「興行形態が変わった中、本来ならば 1 日かかる忠臣蔵を凝縮して、現在の興行形態でもできる忠臣蔵を考えようと企画した第一弾」と話し、今回演出も勤める猿之助は「現在ではなかなか上演されることない外伝を描くことで、本筋を浮かび上がらせる。スピンオフのような、いいとこ取りの幕内弁当のような作品」と想いを語る。

第三部『花競忠臣顔見勢』右より、お園=坂東新悟、槌谷主税=中村隼人(C)松竹

第三部『花競忠臣顔見勢』右より、清水大学=松本幸四郎、大星力弥=中村鷹之資(C)松竹

さらに今回は歌舞伎界の未来を担う若手の花形俳優たちが大活躍。猿之助は「将来、必ずこの役を勤めてもらいたいということを見越した上で配役。当り役になってほしい」と願いを込めたように、中村歌昇、坂東新悟、尾上右近、大谷廣太郎、中村米吉、中村隼人はじめ若手俳優がそれぞれの場面で重要な役どころを演じると、期待に応えるように気持ちのこもった演技を魅せると、場内は次々と展開される凝縮された物語に魅了される。

第三部『花競忠臣顔見勢』右より、大鷲文吾=尾上右近、河瀬六弥=中村歌之助(C)松竹

第三部『花競忠臣顔見勢』右より、赤垣源蔵=中村福之助、大鷲文吾=尾上右近、大星由良之助=中村歌昇、大星力弥=中村鷹之資、龍田新左衛門=大谷廣太郎(C)松竹

討ち入りを果たすまでの数日間を時間軸を追って見せる本作。幸四郎の「物語の展開を肌で感じていただけるような構成で、客席にいらっしゃる皆さんにも義士の一部のような感覚で観ていただけるのではと思います」という言葉の通り、物語の展開とともに会場が一体感に包まれ、幕切れには大きな拍手が沸き起こった。時代を超えて紡がれてきた名場面が連続されるので、「忠臣蔵」の物語を知っている方はもちろん、全く知らない方でも存分に楽しんでいただける内容となっている。是非、劇場空間でその一体感を味わいたい。

【公演情報】
歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」
令和3年11月1日(月)初日→26日(金)千穐楽
休演:8日(月)・18日(木)

◎第一部 午前11時開演

水口一夫 作・演出
一、『神の鳥(こうのとり)』

狂言師右近実はこうのとり(雄鳥)/山中鹿之介幸盛 片岡愛之助
狂言師左近実はこうのとり(雌鳥) 中村壱太郎
仁木入道 中村種之助
傾城柏木 上村吉弥
赤松満祐 中村東蔵

北條秀司 作・演出
二、『井伊大老(いいたいろう)』
千駄ヶ谷井伊家下屋敷

井伊直弼 松本白鸚
仙英禅師 中村歌六
老女雲の井 市川高麗蔵
お静の方 中村魁春

◎第二部 午後2時30分開演

十世 坂東三津五郎七回忌追善狂言
一、『寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)』

工藤左衛門祐経 尾上菊五郎
曽我五郎時致 坂東巳之助
曽我十郎祐成 中村時蔵
小林朝比奈 尾上松緑
八幡三郎 坂東彦三郎
梶原平次景高 坂東亀蔵
化粧坂少将 中村梅枝
秦野四郎 中村萬太郎
近江小藤太 河原崎権十郎
梶原平三景時 市川團蔵
大磯の虎 中村雀右衛門
鬼王新左衛門 市川左團次
後見 坂東秀調

河竹黙阿弥 作
二、『連獅子(れんじし)』

狂言師右近後に親獅子の精 片岡仁左衛門
狂言師左近後に仔獅子の精 片岡千之助
浄土僧専念 市川門之助
法華僧日門 中村又五郎

◎第三部 午後6時開演

河竹黙阿弥 作
渡辺霞亭 作
戸部和久 補綴
石川耕士 構成・演出
市川猿之助 演出
『花競忠臣顔見勢(はなくらべぎしのかおみせ)』
序幕
第一場 鶴ヶ岡八幡社頭の場
第二場 桃井館奥書院の場
第三場 稲瀬川々端の場
第四場 芸州侯下屋敷の場
第五場 同 門外の場
大詰
第一場 槌谷邸奥座敷の場
第二場 高家奥庭泉水の場
第三場 元の槌谷邸の場
第四場 花水橋引揚げの場
顔世御前後に葉泉院/大鷲文吾 尾上右近
河瀬六弥 中村歌之助
源蔵姉おさみ 市川笑也
高師直/戸田の局/河雲松柳亭 市川猿之助
晋其角 市川猿弥
大星由良之助 中村歌昇
井浪伴左衛門 松本錦吾
桃井若狭之助/清水大学 松本幸四郎
足利直義/お園 坂東新悟
寺岡平右衛門 澤村宗之助
大星力弥 中村鷹之資
塩冶判官/槌谷主税 中村隼人
龍田新左衛門 大谷廣太郎
赤垣源蔵 中村福之助
小浪 中村米吉
(五十音順)

〈料金〉1等席15,000円 2等席11,000円 3階A席5,000円 3階B席3,000円 1階桟敷席16,000円(全席指定・税込)
未就学児童は、満4歳よりお一人様につき1枚切符が必要です。
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹(10:00-17:00)0570-000-489
または東京 03-6745-0888 チケットWeb松竹 検 索
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/731

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