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歌舞伎座「七月大歌舞伎」開幕!

『身替座禅』奥方玉の井=中村芝翫、山蔭右京=松本白鸚 ©松竹

歌舞伎座で「七月大歌舞伎」が7月4日に開幕した。
三部制で上演する「七月大歌舞伎」は松本白鸚、中村梅玉をはじめ、人気と実力を兼ね備えた俳優が顔を揃え、歌舞伎の多彩な魅力を楽しめる演目揃いだ。
引き続き出演者・観客は各部総入れ替え、客席数(1808 席)は 50%(904席)を維持して公演を行っている。

『あんまと泥棒』あんま秀の市=市川中車、泥棒権太郎=尾上松緑   ©松竹

第一部の序幕を飾るのは、 『あんまと泥棒(あんまとどろぼう )』 。
暗い夜道、なにやらぶつぶつ独り言をいいながら歩いてくるのは、市川中車演じるあんま秀の市。文句ばかりいう秀の市の様子に、序盤から滑稽味が漂う。家に着くと、尾上松緑演じる泥棒の権太郎が押し入り、金を出すよう迫るが…。
1951(昭和26)年に NHK のラジオドラマとして放送され、後に舞台化されたユーモラスな人気作。2015年以来、4度目となる中車のあんま秀の市、松緑とは2018年12月に歌舞伎座で共演し好評を博したコンビ。図太くしたたかなあんま秀の市と、実はお人好しな泥棒権太郎の軽妙なやり取りに、客席からは笑いが起きる。出演者は2人だけ。コミカルな対話の妙が魅力で、松緑と中車のぴったり合った「呼吸」が楽しい一幕。

『蜘蛛の絲宿直噺』左より坂田金時=坂東亀蔵、平井保昌=尾上松緑、傾城薄雲実は女郎蜘蛛の精=市川猿之助、源頼光=中村梅玉、渡辺綱=市川中車 ©松竹

続いては、 『蜘蛛の絲宿直噺(くものいとおよづめばなし)』。
“再びのご熱望にお応えして”、昨年11月に上演した本作をバージョンアップして上演。さらに充実の内容で、市川猿之助が6役を早替りで勤める。
劇中、病に伏せる中村梅玉演じる源頼光を守護するため宿直をする家臣の女房たち(市川笑也・市川笑三郎)による「2年越しの感染症、そろそろ収束してもよい頃な(コロナ)」という掛け合いや、猿之助演じる小姓が薬を手に「頼光公に、ワクチンより効くこの御薬」という台詞など、時節ネタもたっぷりと盛り込んで会場を沸かせる。
猿之助は、舞台上の思いがけない場所から現れたかと思うと、また忽然と姿を消す華麗な早替りで観客を魅了。やがて女郎蜘蛛の精の本性を顕し、頼光の家臣・市川中車演じる渡辺綱らと勇壮な立廻りを繰り広げる。さらに尾上松緑演じる平井保昌が登場し、女郎蜘蛛の精を花道から本舞台へと押し戻すと、「梅玉兄貴の御寝所に、緊急事態と承り、自粛をしちゃいられねえと、声かけ出てくる花道に、先々月は俺が蜘蛛、そっちが退治をする側と、これも不思議な“えん之助”(猿之助)に、よく似た蜘蛛の化け者め…」と昨今の状況にちなんだ台詞と、5月に上演された『土蜘』について織り交ぜた台詞を披露。盛り上がりも最高潮となったところで、クライマックスでは女郎蜘蛛の精が舞台上に鮮やかな蜘蛛の糸を繰り出し、出演者が揃って決まると客席からは万雷の拍手が送られた。

『身替座禅』山蔭右京=松本白鸚、奥方玉の井=中村芝翫 ©松竹

第二部は、 『身替座禅 (みがわりざぜん)』 で幕を開ける。
松本白鸚が、恐妻家でありながら浮気性の山蔭右京を78歳にして初役で勤める話題の舞台。嫉妬深い奥方玉の井を演じるのは、こちらも初役で挑む中村芝翫。愛人花子に会いたい思いを募らせる右京は、玉の井に嘘をついて花子のもとへ向かう…。やがて帰ってきた右京が花子との逢瀬の様子を物語る場面は、色気と愛嬌にあふれる見どころ。家来の太郎冠者(中村橋之助)と思って話していた相手は、実は玉の井で…。狂言の大曲「花子」をもとにした人気作で、いつの時代も変わらぬ夫婦のやり取りがユーモアたっぷりに描かれる
松羽目物の名作を楽しめる舞台だ。

『御存 鈴ヶ森』白井権八=尾上菊之助、幡随院長兵衛=中村錦之助 ©松竹

続いては、『御存 鈴ヶ森(ごぞんじすずがもり)』
中村錦之助演じる江戸随一の侠客・幡随院長兵衛と、尾上菊之助演じるお尋ね者の美少年・白井権八が出会う名場面。「雉も啼かずば打たれまいに」などの名セリフをはじめ、歌舞伎の醍醐味が凝縮された人気作。権八と雲助による立廻りは、権八のしなやかな刀捌きに雲助の顔や手が切られてしまうなど、歌舞伎ならではのユーモラスな趣向で描かれる。眉目秀麗な権八の美しさと殺気、権八が追われる身であることを承知しながらも世話を約束する長兵衛の懐の深さ、暗闇の中にそんな2人のコントラストが鮮明に浮かび上がる。長兵衛と権八が「ゆるりと江戸であいやしょう」と再会を約束するクライマックスまで、見どころ満載の鶴屋南北の名作を堪能できる。

『雷神不動北山櫻』鳴神上人=市川海老蔵、雲の絶間姫=中村児太郎 ©松竹

第三部は、『雷神不動北山櫻 (なるかみふどうきたやまざくら)』
市川海老蔵が、2019年7月以来2年ぶりに歌舞伎座へ帰ってきた。歌舞伎十八番の『毛抜』、『鳴神』、『不動』の3作品が織り込まれている成田屋ゆかりの通し狂言である本作は、海老蔵が2008年に新たな脚本と演出で上演して以来、好評を博し再演を重ねてきた人気作。7度目となる今回、更にブラッシュアップした魅力ある作品として上演する。海老蔵が善悪、個性豊かな5役の、鳴神上人、粂寺弾正、早雲王子、安倍清行、不動明王を早替りで勤め、豪快な荒事芸を披露。スケールの大きな悪役の早雲王子と色好みの安倍清行の演じ分けや、悪人たちをやり込める粂寺弾正の見事な弁舌、鳴神上人の荒れ狂う立廻りや六方など、歌舞伎ならではの魅力に満ちた舞台!さらに大望破れた早雲王子の大立廻り、その王子を鎮めるために降臨する不動明王の空中浮遊は必見!

『雷神不動北山櫻』左より制多迦童子=市川九團次、不動明王=市川海老蔵、矜羯羅童子=大谷廣松 ©松竹

【公演情報】

歌舞伎座「七月大歌舞伎」
2021年7月4日~29日
第一部・第二部
休演/8日(木)・19日(月)
2021年7月4日~16日
第三部
休演/8日(木)

◎第一部 午前11時開演

村上元三 作・演出 石川耕士 演出
一、あんまと泥棒

あんま秀の市 市川中車
泥棒権太郎 尾上松緑

二、再びのご熱望にお応えして 蜘蛛の絲宿直噺(くものいとおよづめばなし)
市川猿之助六変化相勤め申し候

女童熨斗美
小姓澤瀉
番新八重里
鼓持彦平
傾城薄雲実は女郎蜘蛛の精 市川猿之助

平井保昌 尾上松緑
坂田金時 坂東亀蔵
碓井貞光 中村福之助
卜部季武 市川弘太郎
金時女房八重菊 市川笑三郎
貞光女房桐の谷 市川笑也
渡辺綱 市川中車
源頼光 中村梅玉

◎第二部 午後2時30分開演
岡村柿紅 作
一、新古演劇十種の内 身替座禅

山蔭右京 松本白鸚
侍女千枝 中村米吉
侍女小枝 中村莟玉
太郎冠者 中村橋之助
奥方玉の井 中村芝翫

四世鶴屋南北 作
二、御存鈴ヶ森

幡随院長兵衛 中村錦之助
東海の勘蔵 河原崎権十郎
北海の熊六 坂東彦三郎
飛脚早助 中村吉之丞
岩間の蟹蔵 市村橘太郎
和尚の鉄 片岡亀蔵
土手の十蔵 市川團蔵
白井権八 尾上菊之助

◎第三部 午後5時40分開演

安田蛙文・中田万助 作 奈河彰輔 演出 藤間勘十郎 演出・振
通し狂言 雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)
市川海老蔵五役並びに空中浮遊相勤め申し候

鳴神上人
粂寺弾正
早雲王子 市川海老蔵
安倍清行
不動明王

八剣玄蕃 市川右團次
秦民部 市川男女蔵
雲の絶間姫 中村児太郎
八剣数馬/制多迦童子 市川九團次
小野春風/矜羯羅童子 大谷廣松
錦の前 市川男寅
小原万兵衛実は石原瀬平/黒雲坊 片岡市蔵
秦秀太郎 市川門之助
白雲坊 市川齊入
小野春道 大谷友右衛門
腰元巻絹 中村雀右衛門
後見 市村家橘

〈料金〉1等席15,000円 2等席11,000円 3階A席5,000円 3階B席3,000円 1階桟敷席16,000円(全席指定・税込)
未就学児童は、満4歳よりお一人様につき1枚切符が必要です。
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹 0570-000-489(10:00~17:00)
または03-6745-0888
チケットWeb松竹 検索
〈公式サイト〉https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/721/
〈松竹HP〉https://www.shochiku.co.jp

【写真提供/松竹】

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