KAAT×岡田利規 『未練の幽霊と怪物』6月に上演!
現代演劇の旗手として国際的に活躍、昨年 12 月にミュンヘンで初演された『The Vacuum Cleaner』が、ドイツ演劇の年間ベスト10を上演する「テアタートレッフェン 2020」にも選出された劇作家・演出家の岡田利規(チェルフィッチュ主宰)が、現存する世界最古の舞台芸術「能」に触発された新作『未練の幽霊と怪物』(『挫波』『敦賀』)を、KAAT神奈川芸術劇場にて、日本の俳優たちと共に創作する。
本作『未練の幽霊と怪物』は、ドイツ公立劇場の名門、ミュンヘン・カンマーシュピーレの委託で創作、2017 年2月に発表され、話題を呼んだ『NO THEATER』の日本版進化形でもある。今回の公演では、同作と同じく能の上演形式にのっとり、間狂言を挟む二つの演目を上演する。構想中の演目は、ザハ・ハディドをシテにした『挫波』。そして、高速増殖炉「もんじゅ」をめぐる『敦賀』。
『挫波 ザハ』
2012 年に新国立競技場の設計者としてコンペで選ばれ、日本でも一躍脚光を浴びた天才的な建築家「ザハ・ハディド」。後にその採用を白紙撤回され、その後失意のうちに没した彼女が、2020 年の千駄ヶ谷に現われる。
『敦賀 もんじゅ』
1985 年の着工以来1兆円を超す巨額の資金が投じられながら一度も正式稼動することなく廃炉の道を辿る高速増殖炉「もんじゅ」。夢のエネルギー計画を実現するべく、希望を抱いて「もんじゅ」の設立・計画にかかわってきた人々の思いが、もんじゅを臨む敦賀の浜辺に現れる。
目に見えないもの 、霊的 な存在がその想いを語る 「夢幻能」の構造を借り、岡田が現在に問うもの はー。東京オリンピック・パラリンピック直前の日本に一石を投じる、話題必至のプロダクションだ。
作・演出には、従来の演劇の概念を覆すと評され、創作した作品は世界 30 都市以上で上演をかさねるなど国内外での活躍が目覚しい、作家・演出家・チェルフィッチュ主宰の岡田利規。
音楽は維新派の音楽監督に 32 年にわたって携わり、UA、Salyu、細野晴臣、カルメンマキなどの作・編曲、プロデュースのほか、即興演奏などでも自在に活躍する内橋和久が担当。ダクソフォン3重奏を率いて、能の囃子方の役を担う。
出演者には、個性的で才能あふれる俳優・アーティストが集った。俳優、そしてダンサーとしても常にその活動が注目される森山未來をはじめ、無二の存在感を放つ片桐はいり、独自の個性で俳優としても活躍目覚しい栗原類、若手の実力派女優、ダンサーでもある石橋静河、チェルフィッチュ作品にも多数出演し、映画監督としても話題を集める太田信吾が名を連ねる。さらに、シンガー・ソングライターの七尾旅人が出演。類まれな歌い手の七尾が、劇中では謡をつとめ、内橋率いる演奏家とともに音楽劇としての能の根幹を担う。
【コメント】
岡田利規
社会とその歴史は、その犠牲者としての未練の幽霊と怪物を、ひっきりなしに生み出して来て、今だって生み出し続けています。
わたしたちはそれら幽霊や怪物のことを見ないこと忘れてしまうことを、その気になればできちゃうし、そのほうが快適な向きは確かにある。
でもそれらに、つまり直視しないこと忘却することに、抗うために、能という演劇形式が持つ構造を借りて、音楽劇を上演します。
『NO THEATER』
岡田利規が 2017 年 2 月ドイツ公立劇場の名門、ミュンヘン・カンマーシュピーレより委嘱され、同劇場のレパートリー作品として創作した「NO THEATER」。ドイツ・ミュンヘンの地で、能の様式を用いて(六本木駅に現れるトレーダーの幽霊、都庁前駅にあらわれるフェミニズムの幽霊など)資本主義に飲み込まれている現代日本の姿をするどく描き出し、高く評価された。2018年には京都ロームシアターから招聘され日本での上演も果たした。
劇評掲載:https://chelfitsch20th.net/articles/1793/
【公演情報】
KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース 『未練の幽霊と怪物』
作・演出:岡田利規
音楽監督・演奏:内橋和久
出演:森山未來、片桐はいり、栗原類、石橋静河、太田信吾/七尾旅人(謡手)
●6/3~24◎KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ
〈チケット発売〉一般発売 4 月 4日(土)~
〈お問い合わせ〉チケットかながわ 0570-015-415(10:00~18:00)
〈公式サイト〉https://www.kaat.jp/d/miren
●6/27◎穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
●7/1◎りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
●7/4・5◎兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール