魔法の世界は舞台へ続く!舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』製作発表レポート!
世界を席捲した大人気小説で、映画版も長く愛され続けているファンタジーワールド「ハリー・ポッター」シリーズの19年後を描く、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』が、この作品のための専用劇場として生まれ変わったTBS赤坂ACTシアターで、6月16日~プレビュー公演、そして7月8日に、無期限ロングランとしての日本初演の初日を迎える。
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、「ハリー・ポッター」シリーズの原作者・J.K.ローリングが自ら演出家のジョン・ティファニー、脚本家のジャック・ソーンとともに創作したオリジナルストーリー。完成した舞台を観た原作者自身も、「劇場でしか味わえない魔法」と絶賛したシリーズ8番目の、初めて”舞台”という手法を使って描かれたハリー・ポッターの新たな物語である。これまでにロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコ、メルボルン、ハンブルク、トロントで上演されていて、東京公演はアジアとしては初、世界で7番目の上演となる。2016年にロンドンで開幕して以来、前編と後編を2本の芝居で見せる2部制で上演されてきたが、2021年11月、ブロードウェイにおいて2部制の前編を第1幕、後編を第2幕とする新バージョンが誕生。東京公演はこの新バージョンでの上演として、休憩を含めた3時間30分の上演時間を予定。厳しいオーディションを勝ち抜いた日本オリジナルキャストでの上演となる。
最大の魅力は、世界のエンターテイメントを牽引する一流スタッフが知恵と技術を結集して創り上げた「ハリー・ポッター」の世界観を劇場で”体感”できること。次から次へと飛び出す魔法の数々、ハリー・ポッターの世界に入り込んだような舞台美術と衣裳、独創的で心躍る音楽など、原作ファンも、そうでない人も楽しめるストーリーとなっている。
そんな作品の製作発表が5月17日上演会場となるTBS赤坂ACTシアターで開催され、主催者であるTBSの佐々木卓社長が「子供の時にこの作品を見た人が、自分がお父さん、お母さんになって子供を連れてまた観に来てくださる。そんな魔法による奇跡が起きたら素晴らしいと思っている」と語れば、ホリプロの堀義貴社長も「コロナ禍のなかで海外のスタッフとリモートによるオーディションという困難を超えて、初めての無期限ロングラン公演に挑戦する。演劇の枠を超えた、テーマパークのような舞台をご覧いただきたいと思っている」と、それぞれ高揚感を隠せない様子で挨拶。続いて舞台にはハリー・ポッター役の藤原竜也、石丸幹二、向井理。ハーマイオニー・グレンジャー役の中別府葵、早霧せいな。ロン・ウィーズリー役のエハラマサヒロ、竪山隼太。アルバス・ポッター役の藤田悠、福山康平。スコーピウス・マルフォイ役の門田宗大、斉藤莉生。マクゴナガル校長役の榊原郁恵(※榊は木偏に神)、高橋ひとみ。そして、現在の稽古を統括している演出補のコナー・ウィルソンが登壇。通常の質疑応答とは異なり、それぞれが司会から異なる質問を受けて思いを語る、トークショーに近い形で抱負が語られた。
まず、演出補のコナー・ウィルソンが、およそ1ヶ月にわたる日本人キャストとの稽古の手応えについて「僕は世界中でこの作品を手掛けてきましたが、必ずこの作品について新しいことを学ぶんです。正直申し上げると、この6週間で一生かけても学べないぐらい、ここにいるキャストの方々から多くのことを学ばせてもらっています。この作品はたくさんのニュアンスと大変複雑な構成を含んでいますので、舞台に立つまでには6~7週間かかるんです。この期間稽古してきた状態を考えると、東京のお客様にすごく喜んでいただける仕上がりになるんじゃないかと思っています。皆さんと仕事ができることを誇りに思います」と挨拶。それぞれ個性が異なる俳優3人がハリーを演じるが、俳優が作品に描かれたハリーに近づいていくのか、或いは出来上がった舞台の世界に俳優が近づいていくのか?との問いには「ハリー・ポッターは世界中で知られている有名なキャラクターで、7冊の本の歴史があります。誰かが『ハリー・ポッターとは何か』?と訊いた時に、ある意味それはすごく大きくて答えきれない質問でもあります。怒っている瞬間があれば、勇敢な場面もあり、欠けている部分もあって矛盾しているところもある。それがこの作品の美しさでもあるし、様々なニュアンスが出てくるポイントでもあると思っています。竜也さん、幹二さん、理さんはそれぞれ全然違うハリーになってくれています。それぞれがハリーの違うところをあらわにし、違うところに集中してくれている。例えとして理さんを褒めることになりますが、(アルバス役の福山)康平さんがアルバスとハリーのシーンについて不安を抱えていた時、理さんが『シーン自体がモヤモヤしているんだから、君がモヤモヤを感じているのは正しいんじゃない?』と言っていました。そんな風に、3人の役者がアルバス役の父になっていく過程を見ているので、全然違うハリーになっています」と、それぞれのハリー像に期待を込めた。
ハリー役の藤原竜也は「4月の頭から始まった稽古が1ヶ月と少し経ちました。コナーさんをはじめ優秀なスタッフに導かれながら、僕ら日本人キャストは必死にしがみつき食らいついたひと月強でした。日本の通常の演劇であれば、そろそろ幕が開くという時期なのでしょうが、ありがたくもプレビューも1ヶ月の時間を取っています。インターナショナルチームが理想とする『ハリー・ポッター』を完成させるために、もうひと月精一杯、共に走りながら頑張っていきたいと思っています。昨日、実際僕らも初めて劇場に入ったんですが、皆さんが感じるであろう感動を一足先に味あわせていただいて興奮しました。稽古場ではできなかった、より本番に向けた精度の高い稽古ができる素晴らしい小屋入りでした。作品のテーマである光を入れるということも含めて、僕らは非常に暗く大変な時代を共有してきましたが、やっぱり日本の演劇にとっても『ハリー・ポッター』という作品が光を入れてくれたらと思いますし、さらに次のステップに行く為に、今日からまた稽古を頑張りたいと思います」と抱負を述べ、久しぶりだろうオーディションで感じたこと、また19年後父親となったハリー役でいつ父性を感じるか?との問いには「ビデオオーディションから始まって1~2年と長かったので、もちろん忘れてはいなかったのですが、オーディションはどうなったんだろうというふうに思いながら過ごしていました。そのあと、本国からスタッフが来てくれて、対面式のオーディションに変わり、自分自身過度な自信もありませんでしたし、コナーさんはじめスタッフに言われたことに食らいついていった形です。受かったときには、また自分の中で新しいことにチャレンジをするんだ、今までの演劇人生とはちょっと違う、すごいところに立たせてもらうんだと興奮したのを覚えています。父性については、その瞬間、瞬間子供たちに助けてもらって学ばせていただいています」とこの月日を振り返りながら語った。
同じくハリー・ポッター役の石丸幹二は「僕はニューヨークでこの作品を見る機会があったんですが、そのときはオーディション前で、こんなにお客さんが盛り上がるショーがあるんだと実感しました。それをやはり実際に皆さんと稽古をしながらまた感じたのですが、特にスタッフチームの力強さとレベルの高さ、色々なチームがありますが、プロの技の競い合いと言いましょうか、彼らの力を借りながら稽古に臨んでいるところです。きっとこれは日本で開幕したら大ブームになるんじゃないかなと思います。この会場に入って、ショーが終わるまで、一瞬で魔法の世界に飛び込めるようになっていますので、私もそれを表現できるように精一杯頑張っていきたいと思っています」と石丸らしい真摯な言葉が続き、オーディションと父性についても「日本国内ですと僕自身がどんな活動をしてきたかを皆さんが大体知っているじゃないですか。でも海外の方はほぼ知らない。そういう方たちの前で、ゼロからどんなふうに自分を見せていこうかには悩みましたね。どう受け止めてくれているんだろうと反応が気になりました。最終的に『受かりました』と言われるまでの期間が、コロナ禍で仕方がなかったのですがとても長かったので、ひょっとしたら落ちているのかなという不安な気持ちもありながら過ごしていました。父親としては、自分の思いがちゃんと子供たちに伝わらない、ハリー自身がもがきながら過ごしていくところがリアルな父親像だなと思います」と、コロナ禍のなかの長い日々に思いをはせた。
もう一人のハリー・ポッター役の向井理は「1ヶ月以上の稽古を重ねてきましたが、稽古場では全く想像できなかったことが劇場ではたくさんできますし、稽古期間はいくらあっても足りないほど深い演劇になっていると思います。そして何よりチームとして、100人近いチームだと思いますが、本当に一丸となって一人ずつ自己紹介をするなど、コミュニケーションが取れたとても良い状態のチームだなと感じております。ロングラン公演で長く続けていくうちに、もっともっと絆は深まっていくだろうと思います。演劇としてはやはり魔法が大きなテーマになりますが、それでも19年後の世界、ハリー、ロン、ハーマイオニーの子供たちが、ちゃんと生身の人間として劇場に立っていられるように、お芝居をしっかり組み立てていかなければと思います。そうすることで、一人の人間として色々と受けとってもらえることがあるんじゃないかと。1回、2回ご覧になっただけではわからない、たくさんの仕掛けと謎が隠されていますので、ぜひ何度も足を運んで細かい部分まで観ていただけたらと思います」と魔法の世界だけではない人間ドラマとしての作品を語り、オーディションと父性については「最初はコロナということもあって映像の審査で、正直手応えはないですよね、反応がないので。そこから対面になって、皆さんに出会って実際にやってみることになった時に、僕としては楽しもうと思いました。そういう経験も久しぶりですし、僕を全く知らない人に見てもらえるというのは新鮮な気持ちで。結果はどうであれ楽しかったという気持ちが強かったですね。そのときフィジカルなこともやりましたけれどもすごくきつくて。それでも何か一緒にやれたことが、とにかく貴重な体験をさせてもらったなと思います。父性は、一緒に芝居をしている時よりも、自分たちが出ていない時に稽古場で子供役の人たちが演じているのを見ている時の方に、より感じるように思います」と、キャリアに関係なく、あくまでも前向きにオーディションに臨んだことが語られた。
また、そのオーディションで大役を勝ち取ったアルバス・ポッター役、スコーピウス・マルフォイ役の面々には、舞台が決まったときの気持ちや周りの反応が問われ、アルバス・ポッター役の藤田悠は「僕は大学から演劇を始めて、学生演劇をやっていたのですが、周りは『えー!?』というような反応でした。ですから、いま学生で演劇を頑張っている人たちを後押しできるような、そんな存在になれるように頑張っていきたいと思いますし、この作品自体やっぱりすごく面白いと感じるので、自分も期待に応える以上のものを出していきたいなと思っています。とても緊張しています」と、学生演劇出身者としての矜持を語る。
同じくアルバス・ポッター役の福山康平は「普段のオーディションの結果は電話やメールで教えてもらうことが多いのですが、今回はわざわざ家の前まで来て伝えてくれました。あとは家族、友人が本当にガッツポーズして喜んでくれたり、涙を流して喜んでくれた人もいました。日本中の各地で働いている同級生たちがいるのですが、わざわざ観に来てくれることになっていて、みんなからも応援してもらっているんだなと改めて感じられた瞬間でした。出演できてよかったなと思いますし、今日は衣装を着ていないのですが、本当にこんな素晴らしい劇場、衣装、大道具という環境の中で出来るので、良いものをお届けできるように残りの稽古を頑張っていきたいなと思います」と、大役に決定した特別な体験を述べた。
スコーピウス・マルフォイ役の門田宗大は「出演が決まったときにはまず母親に電話をしました。『おめでとう』と言ってくれたんですが、そのあと『これで私があなたに貸したお金を返せるね』と言われて、現実に引き戻されました(笑)。でもそんな現実を忘れられるぐらい素晴らしい世界観に入り込んでいて、素敵な日々を過ごさせていただいています。この作品の為に精一杯頑張ります」とウィットのあるエピソードを。
もう一人のスコーピウス・マルフォイ役の斉藤莉生は「オーディションで合格して、自分も北海道の大学で演劇をやっていたので、同期や先生、そして地元の稚内にいる友達などにお祝いしてもらいました。特に小さい頃から『ハリー・ポッター』を一緒に映画館に観に行く家族でしたから、自分がその世界の一員になれるということに、すごく盛り上がって喜んでくれて、何か恩返しができたかなと思っています。稽古が始まるまでは本当に現実感がなくて、今でもこんなに大きな劇場でやらしていただけるということが、ずっと夢を見ているんじゃないかなと思うんですが、本当に皆さんが優しくて、楽しくて、日々少しでも成長できたらいいなと思いながら一生懸命稽古に取り組んでいます。是非みなさんにも観に来ていただけたらと思います」と、大舞台への思いを込めた。
また、マクゴナガル校長と、ハーマイオニー・グレンジャー、ロン・ウィーズリーを演じる顔ぶれには「他の舞台とこの舞台との違いは?」という質問があり、マクゴナガル校長役の榊原郁恵は「一言で言うと『ハリー・ポッターと呪いの子』というこの舞台にかけるスタッフの愛ですね。世界でずっとやってきていますけれど、アジアでは日本が初めてということなので、この作品の素晴らしさを伝えたい、その一員として皆も一緒に頑張りましょう!という愛を感じますし、積み上げていく上でのやさしさも感じます。昨日初めて劇場に来ましたが、そのときにも『まずお客さんと同じ気持ちで舞台に立ってください』と言われて。私達も一瞬にして、まさにスタッフに魔法かけられました。この感動を今度は私たちがステージの上で皆さんにお伝えしたいと、それを肌で感じさせていただきました。これまで作りあげてきたスタッフさんたちの愛を私たちが受け止めて、それを観客の皆さんにお伝えする。そんな舞台だということが、これまでの舞台との大きな違いです」と語り、ロングラン公演で心がけていることはと投げかけられると「ロングランの経験がなくて今のところ模索中なんですが、とにかくまずは食べる。食べることが大事ですね。お手軽なのは焼き鳥かな。タンパク質が必要だと思って。本当に必死なんですよ!60代でロングランというのはとんでもない挑戦なんです。皆さんのパワーがめちゃくちゃすごいので、そのパワーに乗せられてここまでやってきていますけれども、まず自分を見つめ直そうと。このロングランの舞台に穴を開けることなく、一番良い状態で挑めるように自分を持っていくことがテーマです」と、長年愛され続けるミュージカル『ピーター・パン』の、初代ピーター・パン役者である榊原にして、このロングラン公演が大きな挑戦であることを感じさせた。
同じマクゴナガル校長役の高橋ひとみは「私もオーディションから今日に至るまで毎日が夢のようで、本当に稽古初日から楽しくてワクワクして。そして郁恵さんがおっしゃったように、本当に愛していただいているなというのを実感できて、丁寧に教えていただいて、とにかく毎日楽しめています。昨日もびっくりするような魔法をたくさん見せていただいて、稽古では見られなかった本物の魔法が見られて、それがまだたくさんあるんだと思うと、本当にワクワクします。この年になってまだこんなにワクワクドキドキさせていただける体験ができるなんて本当に幸せです。命ある限りここにいたいなと思わせてくれる素敵な舞台です。優しさ、ユーモア、全てが私たちにとって幸せな時間です。あとはマクゴナガル校長として皆さんの母であり、居るだけで安心していただけるような存在になれるように頑張っていきたいと思います」と自身がこの作品に魅せられている気持ちを吐露。ロングラン公演については稽古場での毎日のトレーニングが役立っているそうで「稽古3日目にして体が変わってきたんです。前は押したらフラフラしていたぐらいなのですが、大地に足がついている!というぐらい日々身体が変わってきました。ロングランに備えてウォーミングアップを毎日しております」と継続の大切さを語った。
ハーマイオニー・グレンジャー役の中別府葵は「一言でいうとスケールの大きさですね。赤坂ACTシアターを『ハリー・ポッター』の専用劇場にまるごと変えてしまうということもそうですし、セットにしても演出にしてもこれまで見たことのないようなものばかりです。無期限のロングランで、この作品に携わっている人の数も本当にすごいんです。それほどスケールの大きな作品を日本でやれるということが、これまでもなかったと思いますし、今後もなかなか出会えるものではないと思っているので、日本中の皆さんにこの作品を見て欲しいなという思いが強くあります。私も日本初演に携われることを本当に光栄に思っています」と、一大プロジェクトへの感懐を語る。
もう一人のハーマイオニー・グレンジャー役の早霧せいなは「私が他と違うな、ここがすごいと思うところは驚きの数です。稽古が始まってから、特に魔法の数ですけれども演出も素晴らしくて。その素晴らしい魔法や演出が、この赤坂ACTシアターで体感できる、演じる私たちでさか何度見てもフレッシュな驚きを与えてくれるので本当に楽しみです。プレビューの初日に向けてブラッシュアップして、その体験を皆さんにお届けできるようにしていきたいと思います」と、作品に込められた魔法の数々に、早霧自身も感動していることを伝えた。
ロン・ウィーズリー役のエハラマサヒロは「僕が違うなと思うのは影響力の大きさですね。これまで結構舞台にも出させてもらっているのですが、普通、舞台に出ると言うと『出るんですね』ぐらいなのですが、今回は『おめでとうございます』と言われるんですよ。キャストが発表になったときにもSNSでお祝いの連絡がいっぱい来て。エゴサーチしていると『ロンがエハラってマジうける』と書かれていて(笑い)。影響力の大きさを感じました」とユーモアたっぷり。
同じロン・ウィーズリー役の竪山隼太は「皆さんおっしゃるんですけど、今回特にモチベーションの高さを感じます。ここにいる先輩方もそうですし、それこそスイングやアンサンブルのみんなもすごいんですよ。誰かが代わりに入れるようにずっと昼休みも稽古をしていて、ある子が急に『やってみてください』と言われると完璧に演じられる。それに稽古場のみんなが拍手する、素敵なカンパニーだなと思っています」とカンパニーの結束力を力説してくれた。
さらに、原作の人気キャラクターを実際に演じている今の印象について、代表して石丸、早霧、エハラに質問が飛び、石丸は「ハリー・ポッターというと映画でずっと見てきたイメージがすごく強いじゃないですか。僕も映画を見ていて、『こういうことなんだな』という思いがあったんですが、今回の戯曲を読むと19年の時が経って、ハリーも大人になっているんです。子どもが3人いて、魔法省の企業戦士でバリバリなんですね。そうすると現実的なことが起こるんだなぁと。子供は思春期なのですが、思春期の子供と向き合えないお父さんで。映画の中の世界というより我々の実生活、実体験と繋がってくる、そんなハリーが描かれているので、演じるのは一筋縄ではいかないと思っていますが、我々3人がどう演じるのかを楽しみにしていただきたいと思います」と、この作品のなかに描かれる大人になったハリー像を説明。早霧は「ハーマイオニーは子どもの頃からとても信念があって、正義感が強い女の子だったと思うんですけれども、19年後大人になってロンと結婚して、子供ができて、何より魔法大臣として信念も正義感もより深く強くなっています。それに責任感もプラスされているんじゃないかなと思っていますが、ハーマイオニーだけじゃなくて、今回の舞台に出てくる女性陣の強さといったら!本当に強い女性ばかりなんです。でも強さの質が違うというところで、魔法大臣として芯のある、正義感たっぷりの女性を演じていけたらなと思います」またエハラは「ロン・ウィーズリーはですね、子供の頃からお調子者でユーモアもセンスもあって、ちょっと天然な部分もあって、みんなの雰囲気をいい意味で緩和させるようなキャラクターだと思うんですけれども、大人になって19年経っても、その根本は全く変わっていなくて。子供を愛し、妻を愛し、家族を愛しながらみんなを笑わせようと頑張っている世界中に愛されるキャラクターなので、そのまま見ていただけるかなと思います。やっぱりもう世界的にファンがいるので、僕もそのイメージを壊したらあかんなと思って12キロ痩せたんです!ロンのイメージ的に大きいと駄目なんじゃないかと思ったんですが、海外のロンの方がめちゃくちゃデカかったんですよ!(笑)。痩せないでよかったんだと後々知りました。とはいえ皆さんのロン像を崩さずに作りたい。皆さんの本気度がすごいので、負けられないなと思います」と、それぞれ原作の人気キャラクターを演じる思いの強さを語った。
続いて藤原と向井に「この作品に登場する魔法の中で、自分でも実際に使ってみたいと思う魔法は」との問いが飛ぶと藤原は「やっぱりエクスペリアームスでしょうか。(コナーに)色々な使い方があるんですよね?」と確認。するとコナーが「ご自分でお使いになっていますよね?僕に訊かずにむしろ教えてください(笑)」と返し、藤原は「色々な使い方があって非常に面白いんです。この舞台でも何度か使っていますから、是非注目してください」とおすすめの魔法について説明。一方向井は「現実的に一番使い勝手がいいなと個人的に思っているのはアロホモラ。扉を開ける魔法ですけれども、扉っていっぱいあるじゃないですか。まず朝起きて部屋の扉を開けて、洗面所の扉を開けて、劇場の扉も開ける。1日に何回も使うタイミングがあるなと思って、これが一番色々な方にとっていいなと思っています」と、確かに一番使う機会があるかもしれない魔法をあげるとコナーから「エクスペリアームスとアロホモラの魔法と言っていますが、透明になる魔法などもうちょっと大きく夢を見た方がいいんじゃないかな(笑)」とのリクエストがあり、会場は和やかな笑いに包まれた。
さらに、舞台にふんだんに盛り込まれた仕掛けのなかで、是非見てもらいたいポイントをアピールして欲しいという要望には藤原が「仕掛けではないですよね?」とコナーに振り「はい、全部本物です」との答えに「そこが見どころですね(笑)」いう茶目っ気のある回答を。対して石丸は「魔法三昧なので色々な魔法があります。すごくテクニカルな魔法からアナログの魔法まで。どれもが見どころですが、僕が一番気に入っているのは変身魔法。それを説明はできないのですが、ぜひ客席に座って体感して欲しいんです。人が変わります、面白いですよ!」と観てのお楽しみのポイントをあげる。向井は「いっぱいありすぎて、もう本当に数分に1回のペースで魔法なりイリュージョンなりがあるので、どれと言うのはすごく難しいんですが、一つ言えるとしたら劇場全体ですね。どの席でも確実に体感できるイリュージョンが、ある瞬間に訪れますが、怖くもあり面白くもあり、舞台ならではで、映像には絶対できないものなので、僕は一番印象的だと思います」と、それはいったいどんな瞬間なのだろうと期待感を高めるコメントを残してくれた。
最後に代表してハリー役の三人から、観客へのメッセージが寄せられ、藤原は「まずはプレビューの6月に向けて精一杯稽古をしていきたいと思います。気を引き締めて頑張りますので、応援よろしくお願いします」石丸は「この舞台はチケットを買った瞬間から作品の世界が始まっています。胸を膨らませて待っていて欲しいですし、3時間はあっという間に終わってしまいますが、存分に楽しんでいただけたらと思います。僕たちも頑張って稽古に励んでいきたいのでご期待ください」向井は「やはり映像では感じられない、実際の僕らの声や活力、パフォーマンス全てが現実の世界で起きているということが舞台のストロングポイントだなと。それを存分感じていただけると思いますし、本当にすごい瞬間がたくさんあります。それと同時にやはり芝居の部分で丁寧な台本になっている、色々なところを楽しんでもらえる演劇になっていますので、是非その瞬間を目撃してもらえるよう、これから稽古に励んでいきたいと思います。よろしくお願い致します」とそれぞれ力強く語り、新たな作品への期待が高まる時間となっていた。
【公演情報】
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』
オリジナルストーリー:J.K.ローリング
脚本・オリジナルストーリー:ジャック・ソーン
演出・オリジナルストーリー:ジョン・ティファニー
振付・ステージング:スティーヴン・ホゲット
出演:(名前の表記はアルファベット順)
ハリー・ポッター:藤原竜也/石丸幹二/向井理(※藤原竜也は9月末までの出演)
ハーマイオニー・グレンジャー:中別府葵/早霧せいな
ロン・ウィーズリー:エハラマサヒロ/竪山隼太
ドラコ・マルフォイ:松田慎也/宮尾俊太郎
ジニー・ポッター:馬渕英里何/白羽ゆり
アルバス・ポッター:藤田悠/福山康平
スコーピウス・マルフォイ:門田宗大/斉藤莉生
嘆きのマートル:美山加恋
ローズ・グレンジャー・ウィーズリー:橋本菜摘
デルフィー:宝意紗友莉/岩田華怜
組分け帽子:木場允視
エイモス・ディゴリー:福井貴一
マクゴナガル校長:榊原郁恵/高橋ひとみ
安藤美桜 安楽信顕 千葉一磨 半澤友美 川辺邦弘 小松季輝 前東美菜子 みさほ 扇 けい 尾尻征大 岡部雄馬 織詠 大竹 尚 大内慶子 佐竹桃華 佐藤雄大 篠原正志 鈴木翔吾 田口 遼 田中彩乃 手打隆盛 上野聖太 渡邉聖斗 薬丸夏子 横山千穂
●プレビュー6/16~7/7、本公演7/8~無期限ロングラン◎TBS赤坂ACTシアター
〈料金〉SS席17,000円 S席15,000円 S席(6~15歳)12,000円 A席13,000円 B席11,000円 C席7,000円 9と4分の3番線シート※特典付き20,000円
〈公式サイト〉https://www.harrypotter-stage.jp
【取材・文・撮影/橘涼香】
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