センセーショナルなサスペンス劇『私に会いに来て』上演中!藤田玲インタビュー
韓国で映画と舞台で国民的大ヒットとなった作品『私に会いに来て』。その舞台が、藤田玲の主演により、9月13日に新国立劇場 小劇場で開幕した。(16日まで。9月19日・20日、大阪・サンケイホールブリーゼでも上演)
原作は、2003年に公開され、その年の韓国アカデミー賞(大鐘賞)で「作品賞」をはじめ4部門受賞の栄誉に輝いた映画『殺人の追憶」。実際に起きた猟奇殺人事件の資料をもとに創作され、犯行の残虐性を鋭く描き出したセンセーショナルな内容と、その裏にある捜査に当たる刑事たちの物語を俳優たちがウイットに富んだ演技で描き出したことで大評判となり、1996年の初演から再演が頻繁に重ねられる国民的大ヒットとなっている。そんな作品が2018年の本邦初演に続き、今回上演されることとなった。
主演の藤田玲を中心に、様々な映像・舞台作品に出演する中村優一、HKT48を卒業後、本格的な舞台に初挑戦となる兒玉 遥、5人組アイドルユニット「きゅい~ん’ズ」の西葉瑞希、歌手活動のみならず俳優としても活躍するグァンス(SUPERNOVA)、大河ドラマから ミュージカルまで幅広い栗原英雄ががっちりと舞台を固めている。
【物語】
「ああ、もう死んでしまいたい。」
何が彼らをそこまで追い詰めるのか…1980年代後半に実際に韓国で起こった殺人事件。
性格も捜査方法も異なる4人の刑事が集結した。彼らの目的はただひとつ、残虐な犯人の逮捕。
だが、捜査線上に浮かぶ様々な容疑者に翻弄され苦しめられ、もがきながら闘い続けた先で得たものとは── 。
この作品で藤田玲が演じるのは、事件解決の為にソウルから派遣されたエリート刑事キム・インジュン。映像作品はもちろん数々の舞台で活躍している藤田にとって、単独初主演作品となるこの舞台に懸ける想いを聞いた「えんぶ10月号」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介する。
ダブルミーニングの多い謎に満ちたストーリー
──作品について感じていることから教えて下さい。
映画化もされていて韓国でも日本でも愛されてきた作品ですし、その歴史はきちんと守りながら、今回新たな日本版を創れるということにプレッシャーもありつつ、大きな楽しみを感じています。しっかりしたストレートプレイで、リアルな台詞のやりとりが多いですし、高度成長時代の日本にも通じる世界観なので、決して楽しいお話とは言えないですが、入って来て頂き易いのではないかと。謎の多いストーリーで、ダブルミーニングが色々あるので、映像にも長けていらっしゃるヨリコさんの演出で、更に面白いものになるだろうと期待しています。
──その中で演じるキム・インジュン刑事については?
物静かで、詩人という設定もあってとても繊細な部分のある人物なので、そこはきちんと出していきたいと思っていますが、舞台のはじめの方に人を罵倒するような台詞も結構出てくるので(笑)、どう表現するかですね。自分のパーソナルスペースを侵されるのがとても嫌な人なのではないかな? が最初のイメージとしてありました。他者とのコミュニケーションの取り方があまり上手くないのが、僕自身に通じるところもありますし、そこは想像しやすいのですが、僕の方がもう少し社会性があって(笑)、彼は強烈に自分の世界を持っている。でもだからこそ事件の細かい点にも気づいていくことができるのだと思うので、大切に演じたいです。
共演者の芝居を柔軟に感じて務める初主演
──ご自分に近いところもあるのですね?
僕は彼のように詩的ではないですから、こんなにお洒落なことは言いませんが(笑)、理解できる面は多々あります。でもその一方で今お話したようなイメージだけに留まるのではなく、多面的な生きている人間として演じていきたいですし、ありがたいことに素晴らしい共演者の方達がいてくださるので、皆さんのお芝居を柔軟に感じて日々変化していけたらと思うので、その為にもお稽古を通じて役の確固たる芯を創っていきたいです。
──その役柄で今回、舞台単独初主演となりますが。
そうらしいんですよ(笑)。映像では主演をさせて頂いていたのに一番数多く立ってきた舞台作品でこれが初主演なんだ! ということに自分でもびっくりしました。でも、2.5次元作品や、ミュージカルの大作など幅広く舞台に立たせて頂いている中で、自分の原点であるストレートプレイの作品で初主演の機会に恵まれたことは素直に嬉しいです。自分を見つめ直す機会にもなるでしょうから、濃密に役と作品に向き合っていきたいです。事実に基づいている作品で、現実に被害者の方がいらしてまだ犯人も捕まっていないという重みも感じます。それだけに正解がありませんし、ご覧になった方の数だけ感じ方がある作品だと思います。大好きな新国立劇場の舞台に主演で立たせて頂ける幸せを感じながら、観に来てくださる方達と、毎日違う空気の中で一緒に物語を創っていけたらと思っていますので、是非「私達に会いに来て」下さい! お待ちしています!
ふじたれい〇東京都出身。03年『仮面ライダー555』(EX)で俳優デビュー。ミュージカル『レ・ミゼラブル』『南太平洋』『刀剣乱舞』~結びの響、始まりの音~、MANAKI STAGE『A3A3!』シリーズなど幅広く出演。ドラマ・映画『牙狼〈GARO〉』シリーズの涼邑零役を10年以上にわたり演じている。16年よりTVK『猫のひたいほどワイド』木曜メインMCを担当。ロックバンド「DUSTZ」のヴォーカルとしても活動中。
【公演情報】
『私に会いに来て』
原作◇キム・グァンリム
演出・映像◇ヨリコジュン
上演台本訳◇後藤温子
出演◇藤田玲 中村優一 兒玉 遥 西葉瑞希 グァンス(SUPERNOVA) 栗原英雄 ほか
●9/13~16◎東京・新国立劇場 小劇場
〈料金〉8,800円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
●9/19~20◎大阪・サンケイホールブリーゼ
〈料金〉8,800円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈公式HP〉https://www.watashiniainikite.com/
〈公式Twitter〉@wataai_St
取材・文/橘涼香 撮影/友澤綾乃
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