山崎樹範主演の~崩壊シリーズ~第3弾『派』、さらなる「崩壊」を呼んで今回も大騒ぎ!ゲネプロレポート
オークラ作・演出、山崎樹範主演~崩壊シリーズ~第3弾となる舞台『派』が10月18日、東京・俳優座劇場にて初日を迎えた。(11月4日まで。そののち大阪ほか6会場で上演)
初日の直前には公開ゲネプロが行われ、山崎のほか、本シリーズに初出演の松島庄汰、安西慎太郎、前島亜美、そして過去に出演経験のある伊藤裕一、上地春奈、大水洋介(ラバーガール)、梶原善が本番さながらのドタバタコメディを繰り広げた。
栗須が座長を務める小劇団では、新作の法廷劇をやろうとするが、貧乏のあまり素人の妻に立て込み(舞台の大道具などの設営準備)をさせている。また、照明・音響担当はマイペースで自由気ままに座長を振り回し、古株の俳優は台詞をろくに覚えてもいないのに、孫のために芝居を早退しようとする。
きゃぴきゃぴの若手女優とその女優にぞっこんの若手俳優。そこに新進気鋭の若手作家が加わり、何とか舞台の幕を開けようとするが、いかんせん素人が作った舞台セットなので、ちょっとしたことで物が折れたり、壁の絵が落ちそうになったりと「崩壊」しかけている。
また役者もそれぞれが自由気ままなので、芝居自体も「崩壊」寸前。1つ起きたミスを取り繕うとしたことで新たにミスが発生し、次から次と問題が発生するドタバタっぷりに思わず笑いが零れる。芝居そのものも誰かのミスを誰か(主に栗須)がフォローしているうちに、こんがらがってあらぬ方向に走り出す。そのうち人間関係のトラブルにも波及して大変な事に。
先に崩壊するのは舞台なのか、それとも舞台に乗っている人間たちなのか。そしてこの舞台はどこに着地するのか。ドタバタの間からふと垣間見える、優しさや相手を思う気持ちの存在に笑いながらも時々胸の奥がくすぐられる心地よさがある。最後の最後まで見てほしい良質なコメディだ。
【会見レポート】
ゲネプロ前に行われた会見では、キャストの8名とオークラが出席して今の率直な心境を述べた。(左より)伊藤裕一、前島亜美、安西慎太郎、松島庄汰、山崎樹範、梶原善、上地春奈、大水洋介(ラバーガール)、作・オークラ。
本作の座長であり、劇中では劇団の演出家・栗須健司役を演じる山崎樹範は開口一番、「観て下さる方々に夢や希望を与えるなんてさらさら考えておりません」と言い放ち笑いを誘う。続けて山崎は「この芝居は小さな劇団がミスをしながらも悪戦苦闘している様を描く物語です。僕らが汗をかき、はいつくばって芝居をしている姿を皆さんに笑ってもらいたい。もしかしたらその先には感動が待っているかも。皆さんでピリオドの向こう側を見たいと思います」と後半は遠い目をして語り、また笑いを煽っていた。
劇団員で新進気鋭の作家・志戸新留(しどにいる)役の松島庄汰は「ハロウィンで沸く六本木で(俳優座劇場が)一番沸く場所になったんじゃないかな」と嬉しそうに語り、劇団員・馬倉阿蘭(ばくらあらん)役の安西慎太郎は「“おもしろすぎる作品だな”と思っています」と自画自賛。「手ぶらで来て手ぶらで帰ることが最高のエンターテイメントじゃないかなと思っています。笑いが多くちりばめられているこの作品、笑うという行為は人間に必要な成分だと思うのでそれがたくさんあるこの作品はすばらしいと思っています」と胸を張った。
劇団員・阿賀桜(あがさくら)役を務める前島亜美は「この作品に携われることを本当にうれしく思っています。どんな風になるのか私もドキドキしながら稽古に臨んでいました。人生で初めて舞台上である事をします。お客様がどんなリアクションをされるのかドキドキ。どこまで崩壊できるのかを毎公演チャレンジしていきたい」と笑顔を見せる。
照明と音響担当・鳥場明(とりばあきら)役の伊藤裕一は「3作連続でこのシリーズに出させていただけることを嬉しく思っています。この劇団はぜんぜん成長していないな、という声が以前出ていました。確かに僕ら劇団員は成長していないんですが、作品は回を重ねる度に着実に成長を遂げていると思います。最高傑作になるように頑張ります」と気合いを入れる。
舞台監督にして大道具役もやむなく兼務する杉山杏里(すぎやまあんり)役の上地春奈は「私、役では舞台監督なのでこの芝居が崩壊していくのは私がやっていると思ってください。そして私、役では結婚しているんですが、プライベートではこの中から…」と若手男子に目線を向けると「それ関係ない話だから」と梶原に止められていた。
小道具担当の城山一路(じょうやまいちろ)役の大水洋介は「前回から約2年半。体力は衰え、髪も少し薄くなり、個人的には2ヶ月前にセグウェイで転んで右腕を骨折するという、どんどんダメになっている自負があるんですが、その衰えたおかしみを舞台で生かせたら」と弱音を吐きながらも意気込みを見せる。
最年長の劇団員・出水護(でみずまもる)役の梶原善は「コメディとはお客様が笑って初めて完成するものなんです。なので今日その苦労がやっと実を結びます」といつになく真面目かつ意味のある語りを始めるが「……っていうボケを言おうとしたんですが、誰もつっこんでくれないので。とある映画で中井喜一さんが『コメディとはお客様が笑って初めて完成する』っていうCMが繰り返し流れていたので、それをここでやったら山崎あたりがつっこんでくれるんじゃないかなって」とボケ倒す。山崎はそれを聴いて「中井喜一感がすごくて」と苦笑い。その言葉に「完成度が高すぎたのか!」とあえてのポジティブなリアクションを見せた梶原は、「今日も付け焼刃な芝居で頑張ります。最高のコメディをお楽しみください」といつもの不真面目トークを披露した。
全員の話を聴いていたオークラは「今回3度目の崩壊シリーズですが、初めて観に来た人も楽しめるものとなっていると思うので『大丈夫だよ』って(記事に)書いておいてくれると嬉しいです」とにこやかにコメントした。
質疑応答では、一人の記者から「以前山崎さんに取材をした時、山崎さんの希望で今回かわいい子を一人入れてほしいという話が出た」と前島の抜擢理由を暴露され、「なぜこんなに人がいる時にその事に触れるのかな、って気持ちです」と苦笑い。その後「やっぱり稽古場に行くのにテンションがあがりますからね」と本音を口にすると、同じ女性の上地が「私じゃテンションがあがらないとでも」と食いつく。山崎は「一人いるより二人いるほうがいいでしょ?スタッフも女性が多いですし」とはぐらかしたが、最後には「亜美ちゃん、ありがとう!」と本音で締め、皆大笑いとなっていた。
【公演情報】
崩壊シリーズ第3弾『派』
作・演出◇オークラ
出演◇山崎樹範/松島庄汰 安西慎太郎 前島亜美 伊藤裕一 上地春奈 大水洋介(ラバーガール)/梶原善
●10/18~11/4◎東京・俳優座劇場
〈料金/全国共通〉7,700円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00~18:00)
●11/9・10◎大阪・松下IMPホール
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション0570-200-888(全日10:00~18:00)
●11/13◎仙台・電力ホール
〈お問い合わせ〉仙台放送 022-268-2174(平日9:30~17:30)
●11/18◎富山県教育文化会館
〈お問い合わせ〉イッセイプランニング 076-444-6666(平日10:00~18:00)
●11/20◎金沢 北國新聞赤羽ホール
〈お問い合わせ〉北國芸術振興財団 076-260-3555(平日10:00~18:00)
●11/21◎愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
〈お問い合わせ〉キョードー東海 052-972-7466(月~土10:00~19:00)
●11/23◎福岡・イムズホール
〈お問い合わせ〉ピクニックチケットセンター 050-3539-8330 (平日11:00~17:00)
〈公式〉https://www.houkai-st.com
【取材・文/こむらさき 写真提供/エイベックス・エンタテインメント】
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